「恋のゆくえ」

~ほろにがの程よき味わい~
1989年 米 スティーブン・グローブス監督



原題は「The Fabulous Baker Boys」
これもオールタイムベストの1本で、昔から折に触れて思い出しては観ている映画である。(やはりLDで持っているのだけど…)それにしても、クラブやホテルのラウンジでピアノを弾くのが商売なんて、思いきりその日暮らしな感じでいい。それでも兄は郊外に家も買い、高校時代のガールフレンドと結婚して子供もこさえ、ごく一般的な人生を歩んでいる。(この兄ちゃんは学校の先生とか、実直なサラリーマンとかしかできなさそうな人なのに、なんでラウンジのピアノ弾きなどというヤクザな稼業で何年もやってこれたのか少し不思議な気がしてしまう)対する弟は根無し草。古いアパートに住み、老化現象の出始めた愛犬だけが家族という体たらく。女関係はその場限りいきずりで済ませている。これを実際の兄弟、ボーとジェフのブリッジスブラザースが演じていることでも、確か話題を呼んだと思う。全くタイプは違うようでありつつ、顔はどことなく似ているのが実の兄弟の面白いところだ。


似てないような似てるような…。

踊る敏ちゃんを見たか! 「三船敏郎」

またも、ふと語りたいスターの顔が浮かんだのでMy Favorite Stars の第2弾を行ってみようと思う。さあ、このイケメンは誰でしょうか?

middle_1172076844.jpg

竹之内 豊じゃありませんよ

晩年は眉間にシワを寄せて、何かといえば唸ってばかりいる気難しいオヤジ、という印象しかなくなってしまった三船敏郎であるが、この人こそは、かつて一世を風靡し、ミスター・ニッポンとして海外にその名と勇姿をとどろかせた日本の誇る男前No.1だった。「生きる」を除く黒澤 明の傑作は悉く、この人あって初めて作り得たものである。よく、世間では逆の言われ方をしているけれど、ワタシは断固としてこう言い切る。三船敏郎なくして黒澤 明は無かったのだ、と。

「BEYOND THE SEA」

~ケビンの夢舞台~
2004年 米 ケビン・スペイシー監督



ケビン的ザッツ・エンターティメント。彼の熱情があちこちから立ちのぼってくる。これを作りたかったのね…と微笑ましい気持ちになる。そしてこの映画はとにもかくにも彼の歌である。ケビン・スペイシーのような人は歌が上手いだろうな、と思っていた。むしろ下手だったりした方が驚いてしまうかもしれない。ともあれ、本当に心地よい歌声だなぁと聞きほれた。軽やかに歌っているのだけど、いい具合にスィングが効いている。歌ほど上手くはないが踊りも披露している。途中タイトルにもなった大ヒット曲「BEYOND THE SEA」を歌い踊るシーンはミュージカル仕立てになっていて、ハリウッド黄金期のMGMミュージカルを思い起こさせる。歌は玄人並のスィングぶりだが、踊りはちょっとナンチャッテなケビンが可愛い。これで踊りもアステアばりに踊れたら、もう大変なことである。そんな異常な才能は不幸を呼ぶかもしれないので、踊りはあの程度がご愛嬌である。

「ミラーズ・クロッシング」

~やせ我慢の美学~
1990年 米 ジョエル・コーエン監督



コーエン兄弟の名をこれで知ることになった作品だが、無論コーエン兄弟よりも何よりも、これはガブリエル・バーンを最初に見た作品として、ワタシの心に刻まれている。ガブリエル・バーンだけでなく、スティーブ・ブシェーミも、ジョン・タトゥーロも、この作品で初めて知った。
昨今、これについて思い出す事が多く、持っていたLD(!)を観なおしたら、なんだかレビューを書きたくなってしまったので書くことにした。梗概などはここを見ていただくとして、前に観てから随分たつけれど、少しも面白さは色褪せていない事に頬が緩んだ。タイトルの「ミラーズ・クロッシング」とはミラーの十字路という意味で、町外れの林の中のギャングの処刑場所を指す。

女神さま ガルボ様!

自分の好きな俳優(女優)についても適宜、語っていこうという主旨のこのブログ。ゆえに「My favorite Stars」というカテゴリを作ってみた。アルファベット順も何も無関係に、心に思いついた人から書きたくなった時に書いて行こうかな、というかなり適当なこのコーナー。そんなわけで「My favorite Stars」第一回目はイニシャルG「グレタ・ガルボ」について。

middle_1171260069.jpg
"Divine" Garbo

「真珠の耳飾りの少女」

~無言のエロス~
2003年 英・ルクセンブルク ピーター・ウェーバー監督



この映画はとにかくエロい。空気が濃密にエロいのだ。薄闇の中で一輪、色濃く香っている百合の花を見ているような濃密さである。エロいからといって、なんら具体的な描写は出てこない。秘すれば花の極地ともいえる。それこそ絵画を地で行くような陰影深い画面の中で、男と女の秘められた愛、一触即発ながらもけして肉体的には交わることのない想いが、1枚の絵を通して交歓されるのだ。
謎の多い画家・ヨハネス・フェルメールを演じるのはコリン・ファース。好きな俳優ではあるものの、あまりコリンを観ていてエロいと思ったことはないのだけど、この作品のコリンは素敵印3重丸はさしあげたい風情である。ロン毛が殊の外良く似合う。そのロン毛にまたよく似合う悩ましくも憂鬱げな眼差し。無口で気難しく、絵だけ描いていたい、他の煩わしいことには一切関わりたくないという絵描きの雰囲気がよく出ている。

 「ほんとうのジャクリーヌ・デュ・プレ」

~天才と凡人の間~
1998年 英 アナンド・タッカー監督



原題は「ヒラリーとジャッキー」。二人共通の少女時代の思い出から、姉の視点で描いた部分と、妹の視点で描いた部分の3部構成になる。少女時代の二人を演じる少女たちがとても可愛いく、何故か郷愁をもって眺めてしまう。二人が共通に持つ少女時代の心象風景は、どことも知れない海岸で遊ぶ姿である。ここで何か童話の一節なのか、印象的に繰り返されるフレーズがある。「13歳のころ、私は黄金の国へ行った。キンバロウゾ・コトパクシーが私の案内役…」というものである。これは本編中で3度ぐらい登場する印象的なフレーズである。原典を知りたい気もするし、知らなくてもいいような気もする。この印象的な海岸のシーンは冒頭とラストに出てくる。