「幻の光」

~しずかな微笑~
1995年 シネカノン=テレビマンユニオン 是枝裕和監督

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宮本 輝原作の映画化ですぐに脳裏に浮かぶのは「泥の河」(1982年 小栗康平監督)だろうと思うけれど、ワタシはこの「幻の光」もしんとした捨てがたい味わいがあって好きだ。江角マキ子はTVよりも映画の方が光る(つまり本編向きの)女優だな、とこの映画を最初に観た時に思った。監督の是枝裕和(「誰も知らない」等)はこれがデビュー作。そういえば小栗康平も「泥の河」がデビュー作で、双方デビュー作にして、既に揺るぎない世界を構築している。いずれも宮本 輝の原作という事は偶然ではないのかもしれない。ワタシにはなんといってもこの映画で、何の前触れもなくある日突如としてこの世を去ってしまう夫役で登場した浅野忠信が忘れがたいインパクトで脳裏に刻まれている。劇中のゆみ子(江角)でなくても 「なぜ?」と問いかけたくなってしまう、あの謎を秘めた静かな微笑み。
人の心の不可思議、ふと魔のよぎる刹那が誰の人生にもあるものなのか、どうなのか…。久々の再見。