「グラン・トリノ」 (GRAN TORINO)

~死に花の咲かせ方~
2008年 米 クリント・イーストウッド監督

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イーストウッドはアクション俳優で売り出し、いまや監督としても赫々たる名声を持つ名伯楽だが、俳優としては大好きなれども、ワタシはどうもこの人の監督作品というのが苦手で、よほどその気になった時にしか観る事ができない。「ミスティックリバー」も……だったし、「ミリオンダラー・ベイビー」などは、アカデミー賞受賞から随分たって観てみたが、あまりの辛さと救いの無さに「もう当分、イーストウッドの映画はいいや…」と思った程だった。硫黄島をめぐる二本の映画は未見だし、この前の「チェンジリング」も見送った。(これはアンジー・アレルギーというのもあったのだけど…)というわけで、今回はかなり久々のイーストウッド作品とのおめもじ。さてさて、いかがなことに。


「けものみち」

~メフィストは優男の姿で現れる~

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1965年 東宝 須川栄三監督

松本清張原作「けものみち」の最初の映像化作品。CSにて観賞。ヒロイン民子を池内淳子が演じているのは前から知っていたが、彼女を自分の野望のためにけものみちに引きずり込むメフィスト・小滝を池部 良が演じていると知って俄然観る気になった。
モノクロの映像が物語にとても合っており、期待通りに面白かった。日本映画専門チャンネルでは松本清張生誕百年記念とかで、6月までその原作の映像化作品が放映されるとか。未見のものもチラホラと混ざっているので、ちょっと楽しみな企画だ。

「ミルク」 (MILK)

~男、40にして立つ~
2008年 米 ガス・ヴァン・サント監督

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あれこれと力の入った作品の封切りが始まったので何から観ようかと悩みどころだが、興味の赴くまま、まずは「ミルク」へ。
見事な70年代色の再現。リアルにさらりと描かれた、作り物ではない70年代がそこにあった。そして色濃く「アメリカ」を感じた。アメリカに生まれ、マイノリティとして生きるとはどういう事なのか、を。

ひそかな憧れ 安野光雅の世界



10代の頃、ワタシは挿絵画家になりたいと思っていた。
絵本作家ではなく、挿絵画家。
物語の部分、部分に絵をつけるという作業が、自分の感覚に合っていた。
文字だけのページを繰って行って、ふいに現れる挿絵で、
余計に深く物語の中へ引きこまれる。
子供の頃に読んでいた本は、そんな素敵な挿絵のついたものが多かった。
さらさらっと描いたカットが想像力を掻きたてる。
挿絵画家は素敵な仕事だと思った。
今でも思っている。


「しゃべれども しゃべれども」

~川風と下町の緑~
2007年 アスミック・エース 平山秀幸監督



昨今、妙に落語がブームらしい。いまに始まった事ではなく、数年前から落語は再び流行り出しているらしいのだけど、残念ながら一度もライヴで落語を聞いた事はない。ましてや寄席ともなれば異次元空間。もはや東京にも四軒しか寄席は残っていないというので、絶滅するまえに一度行っておかなくてはと思っているのだけど、なかなか…。新作落語などで光っている落語家が何人もいる時代に巡り合わせているわけだから、一度ライブを聞きにいかないと損かしらん、とは思っているのだけど、映画だけで精一杯な有様で落語までは手が伸びず。おまけに当世人気落語家のライブはチケットが入手困難という噂だし…(と言い訳)というわけで、これは国分太一が修行中の落語家を演じた作品。

「ある公爵夫人の生涯」 (THE DUCHESS)

~結婚の摩訶不思議~

2008年 英/伊/仏 ソウル・ディブ監督



作品のトーンや出来については、予告編で見た印象を出ない映画(トレーラーで大体予測がついてしまうという感じ)じゃなかろうかという懸念を持ちつつも、名家の体面だけを重んじる夫を演じるレイフ・ファインズを観てニヤニヤしたいが為に、劇場へと足を運んだ。30分前に着けば余裕でしょうなんてタカを括っていたら、割引デーだけに女性が押しかけて、さぁ大変。はや残り10席を切っていた。いつも後方からゆったりと観るのが習いのアテクシだが、今回は選択の余地なし。前から2列目での観賞なんていつ以来だろうか。ともあれ、映画は予想していたよりも面白かったので前方の席に甘んじつつも観た甲斐があった。

「タロットカード殺人事件」

~英国式庭園とむちむちのスカヨハ~
2006年 英/米 ウディ・アレン監督



ウディ・アレンの、スカーレット・ヨハンソンをフィーチュアした英国物第2弾というわけで、爺さんが年寄りの冷や水で、今回は自分も出ちゃってまして、どうもウディ・アレン出演シーンはところどころ邪魔にも感じたのだけど、お気に入りのスカヨハと偽親子の設定でも一緒に出たかったという爺さんの老いらくのパッションに免じて邪魔なところは目を瞑って観賞。プリムチのスカヨハとオージー産英国紳士のヒュー・ジャックマンはスクリーンの相性が良く、またこのコンビで別なシチュエーションの映画が観たいような気がした。

「ダウト あるカトリック学校で」 (DOUBT)

~校長様の嘘~
2008年 米 ジョン・パトリック・シャンリー監督



トレーラーを最初に観た頃には、面白そうだわ、封切られたら即行こう、なんて思っていたのに、いざ封切られたらなんだか食指が動かなくなり、ずっとホッタラカシにしてしまった本作。 ふいにその気になって日比谷シャンテでようよう観て参りました。
いやー面白かったですねぇ、これは。トレーラーを観て期待していた通りの作品だったので、かなりの満足感を持って劇場を後にした。
ギリシャの島で似合わないはっちゃけ母さんを無理矢理演じていた「マンマ・ミーア」と比べるまでもなく、メリルさんはこっちの方がハマリ役。必殺の魔女顔を武器に思う存分やっていた。受けて立つのはフィリップ・シーモア・ホフマン。間に入って目をぱちくりさせているのはエイミー・アダムス。ディズニー作品の常連と化した彼女だが、こういうシスター役は持って来い。丸い目のピュア顔が役にピッタリだった。

「華麗なるギャツビー」 (THE GREAT GATSBY)

~金持ちの女は貧しい男とは結婚しないの~
1974年 米 ジャック・クレイトン監督



バズ・ラーマン監督が映画化権を得たという噂があるので、そのうちリメイクされるだろう“グレート・ギャツビー”。また?という気持ち半分と、映画化に際してこのたびは誰をギャツビーにキャスティングするんだろうという興味もちらっと湧いた。書店の文庫のコーナーに(オリジナルを書けなくなったのか最近は翻訳に精を出している)村上春樹の、彼のもっとも愛好する作家の、もっとも愛好する作品である「グレート・ギャツビー」の新訳(この訳本は未読)の文庫が平積みになっていたりして、ギャツビーねぇ…と久々に手元にある74年版の、あのR・レッドフォード主演の「華麗なるギャツビー」を観賞してみた。

「いとしい人」 (THEN SHE FOUND ME)

~やはり女は水分が大事~
2007年 米 ヘレン・ハント監督



「いとしい人」ってタイトルがまたもやどうもねぇ、と思いつつも、「マンマ・ミーア」で締まらない事夥しかったコリン・ファースが久々に大人のロマンス物(…)に出演しているという事もあって、ヘレン・ハント初監督作品を観てきた。