あっという間に老ける人々



大体において白人よりも東洋人の方が若く見えるというのは定説で、一般に欧米の人は老け易いという先入観があったのだけど、昨今ではジョニー・デップやキアヌ・リーヴスなど、40代後半になってもあまり印象の変らない俳優もちらほらと出てきた。かつてはブラッド・ピットも万年青年的変らなさで、長らくその仲間に入っていたが、アンジー先生の尻に敷かれ、子沢山になってからというものは急激に爺むさくなり、突如時限装置が作動したかのように老け始めた観がある。(昨今、ちょっと注入して若返ったという噂だが)ジョニデやキアヌのように一部例外もあるが、やはり欧米人は老け易いのかもしれない。そして、昔からワタシが不思議に思っているのは、ちょっと目を離すとあっという間に老ける人というのが存在することである。

「霧の旗」

~生娘の青白い怒り~
1965年 松竹 山田洋次監督



今となっては珍しい山田洋次監督のサスペンス。松本清張の原作を松竹が独占状態で映画化していたうちのひとつで、お!という役者が顔を見せているのが面白かった。ヒロインに倍賞千恵子というのはいつもの山田組だが、その兄に山さんこと露口茂(まだ若い)。ヒロインの先輩ホステスで市原悦子なども登場。有名弁護士役の滝沢修が実に役にハマっている。昔はこういう重厚感のある俳優がきちんと映画を締めていたのだなぁ、と実感。橋本忍の脚本で描く復讐譚。モノクロのシャープな画面に、若い女の固く凍った怒りが迸っている。ビデオオンデマンドサービスの邦画ラインナップの中に入っていたので観賞してみた。

万年青年の恍惚と憂鬱 池部良



時折、この人は永遠に死ぬことはないんじゃないか、と思われる人がいる。
80代でも売れっ子爺さんだった頃の笠智衆や、人前に出てはボケ老人を装って面白がっていた森繁久弥、永久に現役で舞台に立ちそうだった杉村春子などなど。池部良も、ワタシ的にはそういう感じのする人の一人だった。みな、死というものが似あわないのみならず、どこかで永遠に元気でいて欲しい、という気持ちもあってそう思っていたのかもしれない。が、有情のもののさだめゆえ、誰しも永遠に生きることはできない。池部良も例外ではなく、ついにあの世に旅立ってしまった。訃報に接して数えてみると、ワタシも「暁の脱走」「白夫人の妖恋」「雪国」「早春」「けものみち」「乾いた花」池部良の出演作品6本のレビューを書いている。我が家は両親共に彼のファンなのだが、ワタシもいつしか影響を受けて池部良が好きになっていたのだろう。というわけで、「My favorite Stars」第8弾は、永遠の万年青年・池部良

ジェイキーだの、クリスだの、その他もろもろ



全米では11月末公開のジェイキー(ジェイク・ギレンホール)の新作が秋の終わりか冬の初めには日本で観られるのか、いまや殆どそれだけが気懸かり(ウソ)なワタクシ。あちらでもスニークプレビューが始まって批評家の評判は上々らしい。まぁ、ヒットしない要素はないようなロマンス映画だから、間違いなくヒットするでしょう。日本では今のところまだ公開予定はハッキリしないのだけど、出来れば年内に是非とも観たい気持ちしきり。配給会社のみなさん、よろしくお願い致しましてよ。ちゃっちゃと買い付けてきて、公開スケジュールを決めてちょろろん。

「七人の侍」

~百姓と野武士と侍と~
1954年 東宝 黒澤明監督



日比谷シャンテシネでの黒澤明回顧上映では、どうも都合が合わずに見送った本作。これと「用心棒」はチケットの出足が早くて、なおかつ、上映後にトークショーなどのある回はネットで席を売り出す前から完売みたいな状態だったので殆どお手上げだった。今回は日本映画専門チャンネルの黒澤明生誕100年特集の放映で、実に久々の観賞。有名なわりに、ワタシ的には黒澤作品の中でも非常に観賞頻度の低い作品である「七人の侍」。前に観たのは80年代末のNHK-BSでの放映だったと思うが、その時が初で、今回が二度目となる。とりあえず録画しておいて、ようよう観賞した。

「シングルマン」 (A SINGLE MAN)

~死の接吻~
2009年 米 トム・フォード監督



公開をずっと楽しみに待っていた本作。東京では3館で上映されているが、お馴染み六本木ヒルズでの上映もあるので当然ヒルズで、と思っていたら、プレミア・シートのみの上映だと分り、ヒルズでの観賞予定は消滅。残るは新宿と立川となれば、もう選択肢は新宿しかないと決まったようなもの。渋谷同様に気の進まない新宿なれどもそこでしか観られぬとなれば致し方ない。映画の日にしか割引デーのない新宿バルト9だからといってえり好みはできない。というわけで、かなり久々に新宿に赴き、バルト9での初観賞とあいなった。

「ポケベルが鳴らなくて」

~幸薄い小娘と情けないオヤジ~
1993年 日本TV制作



この前の懐かしの90年代ドラマ記事からは洩れてしまったのだけど(これは80年代末だと思い込んでいたが90年代初頭のドラマだった)、緒形拳のファンだったワタシは、これも本放送時に一応観ていたのだった。日テレプラスで放映していたのを見かけて本当に久々の観賞。本放送以来だから17年振りか。うっひゃ~!…って1つ前のおふくろ様なんかその比じゃない古さだものね。なんだか知らないけど日テレ系の懐かしドラマの記事が続きますが、今回は「ポケベルが鳴らなくて」。

「前略おふくろ様」

~前略おふくろ様…うまく言えません~
日本テレビ制作 倉本 聡 脚本



ワタシは1よりも2のほうを漠然と覚えているのだけど(1と2の設定の違いは主人公の勤める料亭が違うぐらいで他の顔ぶれは大差ない)、井上堯之の音楽に滝田ゆうのイラストのタイトルバックも強いインパクトがあった。「傷だらけの天使」の時とは打って変わった東北出身の修行中の板前を演じるショーケンに、子供ごころにも、傷天とはエライ違いだなぁ、と思って見ていた。この頃のTVドラマは面白かったと思う。今は今で今なりに面白いんだろうけど、何せここ数年、全く観てないので分らない。観たいという気もしない。今はあまりTVドラマに関心がないのだ。「前略おふくろ様」は、昨今、日テレプラスで時折放映しているので、たまたま観られた時に観るともなしに観たりするのだが、倉本聡の脚本もこの頃が一番良かったような気がする。