「アークエンジェル」 

~愛しのケルソーさん~
2005年 英BBC ジョン・ジョーンズ監督


秘められた謎に強引に迫るケルソーさん


彼に最初に逢った時から二ヶ月あまりがたち、なんだかふとその姿が懐かしく慕わしく思われ始めたので、もう一度彼に逢った。マイ・ダーリン、プロフェッサー・ケルソーである。
色んなキャラを演じているダニエルだが、ワタシの中で不動のNo.1はボンドさんとして、2位の座はレイヤーのXXXXと、このケルソーさんで、結構熾烈に争っている。でも、昨今どちらかというと無鉄砲な先生・ケルソーさんの方が慕わしく思われてくることが多いようだ。前にも書いたけれど、なんだかこのキャラは素のダニエルに近いように感じられてならない。犯罪者でもスパイでも悪魔でも異常者でもない普通の男を演じているという事もあって、ワタシは最近、あれこれと色んな色のついていないキャラクターを演じているダニエルを見たいという願望がとても強いので、この役などは最もそういう欲求を満たしているからかもしれない。しかも、ケルソーさんの時も、XXXXと同様、スーっと姿がよく見える。黒いコートがとってもお似合いで、少し痩せ気味な体型もなんとなく象牙の塔の人らしくていい感じである。背筋を立てて、大またでシャキシャキと歩き、背筋を立てて反り返って走る。

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コートでスタスタ

そして、自分が何もしなくても女性に受けることが分っているので、意識的に女性をうまく利用して物事を都合よく運ぼうとするチャーミーな面もあって、(図書館の女性を上目遣いでオトしたり)先生ったら、けっこう女子大生に手を出しちゃってるでしょ?イケナイわね、などと思ってふふふんとニヤニヤしてしまうのだ。この図書館の女性は頼まれもしないのにベリヤの旧居を教えてくれる。堅く閉ざされたその門が車の出入りで開いた時、さりげにスーっと中に入ってしまうシーンのちゃっかり加減も好きだ。アラ先生ったら、不法侵入よ、もう、イケナイわね、とまたニヤニヤしてしまうのである。

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早くも女子がウットリしてるわよ

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コラコラ!不法侵入よ

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ここでカーテンの猛烈なホコリにむせる

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ぴさぴさとホコリを払う。この仕草がなんだかチャーミー

前に誰かを惑わせてから随分たつ、などと謙遜したフリをして同僚の黒人女性を見張りをまくためだけに利用し、さっさと放置して去る、あのマキャベリストぶりもヒューヒューである。キスもしないでやらずぼったくりという事だって出来たとは思うけれど、一応、利用した御礼にキスだけはしてあげる、というのも紳士的と言えば言える。ワタシがケルソーさんだったらキスもしないで放置するかもしれない。なんだか猛獣に食いつかれているような趣さえあるキスシーンである。ダニエルが気の毒に感じてしまうことは「Jの悲劇」のあのねっとりとしたキスシーンに勝るとも劣らない。

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"猛獣"(失礼)を囮に使う

冒頭、あのいい声で(この時は少し鼻にかかり度合いが強い)スターリンについて講演しているシーンがあるが、ケルソーさんのようなセンセイが講義をしていたら、一番前に陣取って、先生だけに分るようなサインを送ったり、3秒に1回脚を組替えたり、あれこれと思わせぶりな様子をして気を引いてみたくなったに違いない。そういえば、「レイダース」でインディ・ジョーンズが講義をしていると、女生徒が瞼に「I Love You」と書いていて、ねっちょりと瞼を閉じたり開けたりしているのをインディが気おされながら見る、というシーンがあったっけ。ぷふふ。

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このドラマでは、寒そうなロシアの町を大またで歩くダニエルを少し引きで撮った絵が多くて印象に残るのだけど、「J」のあのモサったらしいジーンズ姿とは打って変わって、妙にすーっと格好良く見える。相手役の女性がとってもちんまるこいので、並んで歩いているシーンなどは殊更に目の錯覚でいつもより二割増しぐらいに縦に長く見えているような気がする。ともあれ、いつもスタスタと大またで歩いていて小気味いい。殊に後半、ロングコートを着てからはカッコ良さ 3割増しで、長いコートの裾を翻して、雪道を走って逃げるシーンなど、ホレボレとそのコートの裾を眺めてしまうワタシである。

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シャキっと姿勢よし

少し痩せ気味になるとシワが深くなってしまうのがちと気になるところ。鼻の脇のホウレイ線、というか、頬の下のくぼみのような縦の線がぎゅーっと深くなる。少し太るとこの線や額のシワがあまり目立たなくなる。そういう微細な変化を見ているのも妙に楽しい。この作品ではとにかく寒いので顔も白くそそけたって、シワも常より深めに見えるが、そのシワの刻まれた両頬に手をあてて、冷たくなったシワをあっためてあげたい気持ちになる。

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寒そうなのねん

この作品は、あまり大げさにならないように、だけどダニエルを引き立てるように、演出や撮影が工夫されている感じがある。主要スタッフにきっとダニエルファンが居たのだろう。あのロングコートと合わせた毛の耳当てがついた帽子なんて、女性スタッフが「ロシアが舞台ならダニエルにはこんなの着せたいわぁ」なんて選んだ衣装そのものって感じである。だからワタシなんてもう、モロにその姿にウットリしているわけだけど。ふほほ。狙いは大当たり、といったところである。

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シックなお帽子とコート

そして、情報提供者の娘(ちんまるこいねえちゃん)には、とても優しいケルソー先生。彼女を見るまなざしに、男として、というよりも何か親戚の娘を見るような愛着がにじんでいる。彼女には愛嬌のあるお茶目な顔を見せたり、彼女があまりに若いので(そんなに若くは見えないけれど)自分の年をはっきりと言わなかったり、カワイイ面もちゃんと描かれている。

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表情がカワユイ

グレイのTシャツと並ぶ、ダニエルの必殺激似合いアイテムが「黒いコート」なのだけれど、この黒コートの姿をふんだんに拝めるという点でも、「アークエンジェル」はポイントが高い。ケルソー先生はまだ身近な場所にいないのだけれど、ふとした時に、その表情や姿を楽しみ、ややあって、またふと懐かしくなった頃に、遠距離恋愛のごとく再び逢瀬を楽しむというスタンスで、お付き合いして行こうと思う。


*補足*
3月2日は、ダニエルの誕生日だったらしい。ワタシは全く無意識で漠然と3月生まれだったような…ぐらいの意識しかなくてすっかり寿いであげるのを忘れてしまった不届き者なのだけど、ダニエルにとって今年はいつにも増して華やかな空気に包まれた誕生日だったのではなかろうか。横に成長した体つきに難癖をつけつつ誕生日のことはすっかり念頭になかったワタシであるが、30代最後の1年を、公私ともに充実した(してるようですが)いい年にして欲しいと願うばかりである。ワタシはダニエルの40代の仕事にとても期待している。なんせ人生の華、ゴールデンエイジですからね。40代は。いい仕事をジャンジャン受けて、ミラクルな変貌をあれこれと見せて欲しいものである。

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