「インベージョン」

~普通の男~
2007年 米 オリヴァー・ヒルシュビーゲル監督



観ようかどうしようかと思っていたが、「インベージョン」を見て来た。
殆どニコマン先生の一人芝居だと聞いていたし、ダニエルは役としても小さく、ヒーローでもなんでもないというのも分っていたので、あらかじめそのつもりでいれば、それなりの楽しみ方もある。今回は東映系の封切りだったので、いつもやたらに幾つも入る予告篇が二つ程度で、ワーナーのマークがでたと思ったら、すぐに本編が始まった。あっさりしている。
始まったと思ったらいきなりニコマン先生の登場で、なるほどニコマン劇場だと思いつつ観ていくと、ややののち、バツイチ子持ちの彼女のアッシーとしてダニエル登場。でも彼女を職場に送る車を運転する初登場のシーンを観ていて、ほほぉ、悪くないじゃんと思った。横顔が好きなせいもあるが、優しげな横顔をみせて、ニコマン先生に柔らかく語りかける普通の男ダニエルは、ワタシ的には悪くなかった。風にぴろぴろとそよぐ長めの髪も心なしか、かわいく見えた。

彼は病院勤めの医者で、開業している精神科医のニコマン先生とは限りなく恋人に近い友達という間柄。なにがあったか最初の結婚に懲りたらしいニコマン先生は、当面そういう微妙な関係のまま、都合よく彼の友情に甘えていようと思っている。彼はそんなこんなを織り込んで彼女と「友達付き合い」をしている男という設定。
もう大体の筋書きはおわかりだと思うけれど、
ある日、スペースシャトルが原因不明の事故で地球に墜落。その残骸の中には、謎の地球外生命体が紛れ込んでいた。やがて間もなく、感情を失ったように人間の行動を変質させる謎の伝染病が発生する。そのウィルスは感染した者の睡眠中に発症し、人間ではない何かに変えてしまうものだった。(all cinema onlineより抜粋)
という事でキャロル(ニコマン)の元夫タッカー(ジェレミー・ノーサム)は冒頭でいち早く、この謎のウイルスに感染してしまう。この地球外生物に体をのっとられた夫が、息子との面会権を主張してきて、ニコマン先生は仕方なしにある日、息子を元夫の家に連れていく。この「ヒトでないもの」になってしまっている元夫から、彼女は無事に息子を取り戻すことができるのか?そして人類の運命は?というのが大筋である。ジェレミー・ノーサムもまた、どうしてこんな役を引きうけたもんだろうか、というような感じであったが、無難にやっていた。子役はもう絵に描いたような「ボクかわいいでしょ?」というパチクリ二重の子役の王道的ブロンド小僧。ツルリとしてセルロイドのようなニコマンの息子にはピッタリな人選だったかもしれない。何か怪しいモノに細胞がらみのっとられて変容した夫に子供を奪われ、周囲にも巷にも、妙なものに感染してヘンなことになった連中がゾワゾワと増える中、パニくりそうなニコマン先生が頼るのは優しいお友達のベン(ダニエル)、電話をかければいつもそこに居てくれるベンである。お便利君みたいにニコマンに甘えられるベンであるが、ダニエルの「普通の男」っぷりはなかなかに悪くなかった。「大変だったの…」とSOSを出されると夜中でも惚れた女の為にすっとんできて、翌朝は彼女より早起きして黒焦げのホットケーキを焼き、「何か食べていきなさい」なんてにっこりする。その前の夜「あなたとはお友達のままでいたいの…」なんて言われてお預けを食った犬みたいな目に遭わされていても、呼ばれればすぐに飛んで来る。そして優しい笑顔で癒してくれるのだ。

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ワタシは自分が我侭なせいか、男は感情に波がなく安定している優しいヒトと相性がいい。付合うのも大抵そういうタイプ。だからこの穏やかな普通の男・ダニエルはけっこう高ポイントだった。が、この穏やかで優しい男がそうでなくなるシーンがあり、ドッキリとさせる仕掛けなのであるが、それすらも予定調和の中に組みこまれているような感じがするのは、この作品のレベルということなのかもしれない。が、そのシーンあればこそ、ダニエルが出演を決めたんだろうなという事は察しがついた。
全体的には、少し恥ずかしそうな微笑を浮かべて、ニコマンを包むようにみつめるダニエルはそれなりに良かったと思う。ワタシはとびきりのヒーローでも悪人でも変な奴でもないダニエルを観たいと常々思っていた。等身大の、普通の男を演じているダニエルが観たいと。「インベージョン」に別段そんなものは期待していなかったのだけど図らずもそういうダニエルを観ることができた。真剣にSFサスペンスとしてみれば「ちょっと、どうなの?」という所は大有りだが、そういう側面は程ほどにおくとして別な角度から観ればそこそこ楽しめる作品だったと思う。ダニエル目当てのワタシ的には、「ジャケット」のルーディに比べたら、今回のダニエルは二の線だし、タートルネックは似合うし、インテリで優しいし、まずまずだった。とても嫌なことがあった日や、疲れる事のあった日の夜に電話をかけて、あれこれ甘ったれた愚痴をダニエルのベンに言ったら癒されそうだなぁ、などと思いながら観ていた。(あまりストレスのないワタシだけれど…)
それにしても、ニコマン先生は黒木 瞳といい勝負なぐらいの貧乳だった筈だのに、いつの間にこんなにぷるんぷるんと豊満になったものだろうか。トムちんと別れたら胸まで豊かになったという事だろうか。おまけにヒールを履いてなくてもデカいので、ダニエルが相変わらずちっこく見えたが、実際にちっこいのでそれは仕方がないのかな。(笑)でもちっこくても雨の中、腕を差し出し、パーティにエスコートする優しい紳士っぷりはダニエルならでは。「ニコマン ア・ラ・モード ダニエル・クレイグ」という一皿だったが、添え物もそれなりに優しい味わいがあり、ワタシ的には久々のダニエルをそれなりに楽しめた。

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