「300」 (再見)

~ギリシャの葉隠~



我が家に「腹筋」がやってきた。「300」二枚組DVD、26日に到着。
家に帰るとDVDが届いているというのは、なんだかけっこう嬉しいものだ。でも、なかなか見ている暇がなく、ようよう本日サクサクっと本編の気になる部分や、特典ディスクを鑑賞した。

middle_1191027294.jpg

劇場で見た時には、圧倒されたのか何なのか、ひたすら「濃い!」と感じた「300」ワールドなれども、一度観ているせいか、我が家の小さな画面によるものか、比較的サラリとした感触だった。

何と言ってもその努力に敬意を表するために購入したわけなので、Gサマの鍛え上げたお体とその動きをあれこれチェックしなければ。いまさらにロングなおみ足。赤いマントがよくお似合いである。それにつけても、この長い赤マント。つくづくと長身でロングな脚がなければ似合わないシロモノ。これほどに着る人を選ぶ衣装も他にあるまい。シンプルここに極まれリ。

特典ディスクで監督が言っていたが、この時代、実際にはスパルタ兵士は兜と盾と槍だけで、あとは真っ裸で闘っていたらしい。裸族である。さすがにそれを忠実に再現するわけにもいかぬので、皮パンとあいなったわけなのだろうけど、そのほか膝までカバーする脛当ても追加になっている。これがまた、膝下も長いG サマによく似合っているのだ。
よくもまぁ、あそこまでの体を撮影のために作り上げたもの。撮影の合間にも赤マントの端を人に持ってもらって腕立て伏せ等していたらしいけれど、その甲斐あって、実にクッキリと張った見事なマッスルが画面に映える。セリフを言う時に腹に力を入れているのも、常にお腹が見えているのでよく分かる。ギューっとたわむ腹筋に、贅肉ゼロ、筋肉オンリーの体脂肪率の低さを垣間見る思い。

middle_1191027335.jpg

元々の筋肉のつき方が非常に綺麗な形をしているので、鍛えて盛りあがると見ごたえがある。フィジカル的に条件がいいというのは、俳優として本当に恵まれていると思う。おまけに目も、声もいいしねぇ。うふふん。声といえば、普通の声で話している時には、間合いやその低い声音の心地よさに、Gサマ、貫禄を増したのねぇ、などとうっとりであるが、戦闘シーンになると常に髭を震わせ、大声を張り上げて精鋭の兵士たちに檄を飛ばしている。大変だったろうね。喉飴必須かな。何回も繰り返すうちには喉が潰れそうである。
しかし、今回は腹筋よりも節目節目に見せる目の演技が印象に残った。深いグリーンアイズのGサマ。歴史物でこの目の周囲にシャドーなどをいれると、また一層、目の効き具合が違ってくる。いい目をしているなぁ、つくづくと。

middle_1191027388.jpg
middle_1191027407.jpg

そして、これだけはDVDで観なおしても変らない感想として、シワ妃ゴルゴはやはりどうも気に入らない。賢妻で有名だったらしいし、スパルタ市民はみな平等の権利が与えられており、議会にまで出席できたかどうかはともかく、女性も人格を認められていたと歴史学者が特典ディスクで言っていたが、それにしても、それにしても、ワタシは、やはりこの妃がしゃしゃり過ぎる、という印象は否めず、最初のペルシャの使者を「This is SPARTA!」と井戸に蹴りこむ前に、王が妃を振りかえって「いいか?」という顔をし、シワ妃がえらそうに頷く場面は引っかかって引っかかって仕方がない。

middle_1191027601.jpg
なぜ振り返る?

middle_1191027624.jpg
そして何故頷く?偉そうに

この妃との信頼関係のようなものを描くのも今回のテーマだったようなので、抜き難いシーンなのだろうけど、あぁ、納得いかない。フランク・ミラーは「俺たちのこの世界、この非情なる世界」といった謳いあげが大好きな男騒ぎ系の作家なのだけど、それと同時に抜き難く女性礼賛な気配もほの見える。荒くれた世界に生きる男の胸のうちに、たった一人最愛の女性の面影が宿る。男はその女性に純情を捧げるのだ。純情一番星である。今回の髭王とシワ妃の間にもそんなミラーお得意の世界観が投影されていた。妃を他の女優がやっていたら納得できたのか、誰がやってもあの設定にはどうしても引っかかってしまうのか、そのへんは自分でも定かじゃないのだけど、あぁ、やっぱりシワ妃は却下である。

最後の最後、Gサマの髭王が一瞬のチャンスに賭けて、槍を遠いペルシャ王に向けて投げる場面で、(この投げるフォームも、オリンピックの槍投げ選手のごとく決まっていた)クセルクセスの鎮座まします玉座までの長い階段の上を槍の影がピョ?っと伸びていく演出は劇場でも美しいなと思ったが、やはりDVDで観ても美しかった。そしてペルシャの大軍が放つ矢で空が真っ黒になるシーン。その猛烈な矢の数に太陽も翳ったとヘロドトスが書いているとおりの演出だったようだ。

middle_1191027695.jpg

middle_1191027729.jpg

戦場での死こそ無上の名誉であるスパルタ兵士。生まれた時から選別され、兵士になるには、さらに厳しいサバイバルをいくつも潜りぬけなくてはならない。何重にもふるいにかけられ、残ったものだけが兵士になれる。300人でも一騎当千のツワモノたち。闘う為に生まれ、戦場に死す。戦場での誉ある死こそ、至上の喜び。まこと、死ぬこととみつけたり、な美学に満ちたこのスパルタ兵士の心情は、日本人こそが最も理解しやすい筈の世界なのかもしれない。


    コメント(6)