「Dracula 2000(原題)」

~白塗りのドラGさま~
2000年 米 パトリック・ルシエ監督


黒髪にグリーンアイズ

いやいや。半額を利用してやはり一応観ておくか、というわけで観てしまいましたわよ。Gサマのヴァンパイア。雰囲気としてはキアヌ・リーブスがやりそうな雰囲気のドラキュラを、若いGサマが真面目にやっておられる、という感じで、ちょっと微笑ましかった。なんたってもう、ロンゲに白塗りで、ワタシ的には原則チ、チ、チ!のお姿なわけではあるが、総体にほっそりとしてロンゲも似合っていた。しかし、なんでドラキュラなのに、邦題は「ドラキュリア」になっているんだろうか。面妖である。"リア"って、なに?
感慨深かったのは、ヴァン・ヘルシング教授役のクリストファー・プラマー。確かにチロルの麓で子供らと一緒に「ドレミの歌」なぞ歌っているより、陰陰滅滅と吸血鬼の血で生き長らえて人に言えない秘密を持つ爺さんなどをやってた方がハマリ役である。ワタシはこの人の重そうなまぶたや立派な鼻、長い鼻の下、そしてやや受け口気味な薄い下唇をみていると、今はなき田宮二郎を思い出してしまうのだ。どうでしょ。 かなり似て蝶でしょ?

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ね?  現在           若い頃     田宮二郎

で、本題に戻ると、Gサマは2000年の現代に甦った不老不死のドラキュラ。銀の玉でも死なないし、聖書も全然怖くないという、いかにしても死なない不死身の魔物。あまりにも死なないので、ヴァン・ヘルシング教授は仮死状態にして生け捕ったドラキュラを棺に押しこめて厳重に保管し、彼をこの世から抹殺する方法がみつかるまで自らも命を永らえようと、ドラキュラにヒルを吸い付かせて、ヒルから彼の血を採取して自分に注射し、今日まで生き長らえてきたという設定。ぷふ、という感じだが、このヘルシングさんのやっている博物館の地下金庫に厳重に格納されたドラキュラの棺が、事もあろうに強盗に盗み出されてしまい、強盗どもが棺を開けてしまったのでさぁ大変。

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復活直後 猛烈に白塗り仮面

長い間、仮死状態で、一滴の血も口にしていなかったドラキュラは白くグニョリとした腐肉の貧弱なミイラ。強盗達を次々血祭りにあげてちゅうちゅうと生き血を啜るや、シケたミイラがあっという間にトール、ダーク、ハンサムなGサマへと甦っていくという趣向なのである。長年血を吸わずに眠っているとドラキュラも不老不死といえど、衰えるわけなのね。ふぉふぉ?ん。

そしてドラキュラがまっすぐに狙いをつけているのがヴァン・ヘルシングの娘マリー。このマリーはヴァン・ヘルシングがドラキュラの血を体内にいれてから作ってしまった娘なので、ヴァンパイアの血脈を生まれながらに持ってしまったのである。つまりドラキュラとは血が呼びあう仲で、どうにもこうにも逃れようもない。まぁ、ドラさまは蒼白で長身でロングコートを翻してやってくる素敵な魔物なので、こんな男にだったら是非、首筋に吸いついて欲しいものではあるが…。

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マリーがニューオリンズのヴァージン・ストアで働いているという設定なので、甦ったドラキュラがマリーを探して街を歩き、街頭のヴァージンの大きな広告スクリーンを物珍しげに見上げて「輝いている…」などと大真面目に言うのが可笑しい。また、ヴァージン・ストアにロングなコートを翻して悠然と入ってきて、店中の女という女が彼に色目を使う中を千両役者のごとく店の奥まで歩いていく様子が、なかなか板についた色男ぶり。やるねぇ、Gサマ。

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ふふん

マリーの女友達をすぐに見つけ出すと、行きがけの駄賃にこの女を戴いてしまうのはお約束であるが、なんだかもう、ベッドを転がりながら宙に浮いたり、アクロバティックも極まって笑えること請け合いである。

更にドラキュラに血を吸われてヴァンパイアになった女たちが、マルディグラの祭りのさなかに獲物を求めて牙を剥き出してポーズを取るのだが、この大口を開けて歯を剥き出しているのがかなりお馬鹿っぽくて間抜け顔。三人揃って、胸を突出して、大口を開けてポーズを取っている姿の間抜けさ加減など、笑ってくださいといわんばかり。遠慮なしに笑わせてもらった。

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お色気三馬鹿トリオ

Gサマのドラキュラは、実は裏切り者といえばこの人、という裏切りの代名詞的人物が正体であるという「新解釈」のヴァンパイア。そのとってつけたような設定も笑えるので、やはり笑わせてもらったが、いきなりB.C.に時代がビューンと飛んで、顎ひげ顔が妙にお馴染みな気がするGサマが、あのお方の頬に唇をつけて裏切りの接吻なぞしており、Gサマファンはやはり見所があれこれあるといわざるを得ない、かも。

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裏切りの接吻

まぁ、折角マルディグラに山場を持ってきながら、祭りのダイナモがさっぱり画面に生きてないし、総体にチープなB級感は拭えないものの、ほっそりとした若いGサマが女を幻惑する魔物をやっておられるし、ルックス的には締まってて美しいので一度は見ても損はないかな、という作品ではあった。が、こうしたチンマリとキザな役のGサマは、なんか見てて少しこそばゆい感じがする。こういうのはやっぱりキアヌ・リーブスあたりに任せておく方がよさそうだ。Gサマは早々にご卒業になったが、これ、パート3まで出来ているらしい。結局甦ったってことか。ドラキュラ、不死身なり。

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