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女神さま ガルボ様!

自分の好きな俳優(女優)についても適宜、語っていこうという主旨のこのブログ。ゆえに「My favorite Stars」というカテゴリを作ってみた。アルファベット順も何も無関係に、心に思いついた人から書きたくなった時に書いて行こうかな、というかなり適当なこのコーナー。そんなわけで「My favorite Stars」第一回目はイニシャルG「グレタ・ガルボ」について。

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"Divine" Garbo

グレタ・ガルボとフルネームで書くよりも、私にとってこの人の呼び名は「ガルボ様」である。有名人多しといえども、「様」をつけて呼ぶべきなのはこの人だけ、とワタシの中では定義が決まっている。ペとかポとかいう人まで「様」をつけてしまうぐらいに昨今では安くなってしまった「様」ではあるが、ワタシは 17歳で初めてガルボ様を知った日から、ずっとこの人を様づけで呼んでいる。なんだか「様」をつけたくなってしまう人なのだ。なんといっても、空前絶後のこの美貌。ムッツリとして、憂鬱げで、けれど、とにもかくにも神秘的で、神々しいまでに麗しいその顔(かんばせ)。横顔の完璧さはいまだに比類がない。見ただけで「おお…!」と感嘆するような横顔を持つのは、ガルボ様とネフェルティティの胸像だけであろう。さすがDivineと呼ばれた女。美しさの格が、他の美人女優とは一段階違う気がする。

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いつ見てもお美しい

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ガルボ様とネフェルティティ。パーフェクト・プロフィール

ガルボ様の存在を初めて知ったのは芳賀書店のシネアルバムによる。ライバルだったディートリッヒとのカップリングで出ていた。17歳の頃「モロッコ」をテレビで見たワタシはディートリッヒに興味を持ち、お小遣いで学校帰りに最寄の書店でシネアルバムを買った。ガルボ様はディートリッヒのおまけについてきた、という感じだったのである。ディートリッヒはとにかく、「モロッコ」で見たときに動作が粋な人だなぁと思った。斜めに被ったシルクハットにテイルコートで、タバコをくゆらせながら、流れ者の芸人の彼女は最果ての地、モロッコのナイトクラブで歌うのである。歌は全然うまくないのだけど雰囲気抜群。客の女にたわむれにキスをする姿がサマになっていて、かっこいいわぁ、と痺れた。

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ディートリッヒ。スタイリッシュ!

そうして当初はディートリッヒのために買ったシネアルバムなのに、中の写真を眺め、「北欧のスフィンクス」などというキャッチを知るにつれ、なんだかガルボ様が気になりはじめた。その頃ガルボ様の映画はテレビなどでは殆ど放映されず、ビデオも全く出ていなかったので、スタンバーグとのコンビで有名な作品の多かったディートリッヒに比べると遥かに伝説のベールの向こうに隠れてしまっている存在であった。たとえばディートリッヒの代表作(「モロッコ」「嘆きの天使」「間諜X27」など)などはNHKの名画劇場などで見ることが出来たけれども、ガルボ様の映画はとんと見ることはかなわなかった。だから、低くてスウェーデン訛りが抜けなかったというその声はどんな声なのか、動いてセリフを言うとどういう感じなのか、はひたすらにスチール写真を眺めて想像するしかなかった。でも、その「遠く、遥かに想像する」という事が、いかにもガルボ様に似つかわしく思われた。

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「マタ・ハリ」のガルボ様

そして、一生困らないだけの財産を作って、36歳で未練げもなくさっさと引退してしまい、以降は隠遁生活をしている、という彼女の謎めいた実人生に、とても興味をひかれたのである。何人か付合った男もいたが、全て彼女から引導を渡して関係を切るというその生き方、例の「I want to be alone」という有名なセリフも、彼女にあまりに似合っていたので、映画を観る前に、いくつかのエピソードと神々しいばかりのスチール写真によって、いつのまにかディートリッヒからガルボ様のファンになっていた。

ガルボ様といえば、帽子の人である。その名も「ガルボハット」と呼ばれるブリムの広い帽子が有名だが、ガルボ様といえばワタシが第一に思い浮かべるのはクロッシェ帽を被ったお姿(写真左)である。20-30年代に流行したこの帽子はいまだに残ってはいるが、ガルボ様の被られていたクロッシェは最近の帽子屋などで売っているクロッシェと比べると顔の輪郭に沿ってカーヴを描くブリムの形が非常に美しく、アールデコ全盛時の流行は最高にかっこいいと思っているワタシは、この時代のおしゃれさには、他のどの時代の流行も及ばないなぁと毎度、思うのである。

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ガルボ様と帽子

また、ガルボ様には彼女にぞっこんのスタッフが美しい彼女をいやが上にも神々しくみせるのに寄与していた。MGM専属の衣装デザイナー、エイドリアンと、カメラマンのウィリアム・ダニエルズである。ダニエルズはたださえ美しいガルボを照明に工夫を凝らして更に美しく撮り、観客のため息を誘った。かたやエイドリアンは各種の帽子に斬新な衣装でガルボを飾ったが、彼女が引退した時、エイドリアンもまた「グラマーの時代は終わった」と言い残し、スタジオを去るのである。
ガルボ様の目は青かったという。彼女はカラーの時代にはもう映画界を去っていたので、北欧の湖のようだったというその青い眼をスクリーンで確認することは永久に叶わなくなった。

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さて、ワタシはこうしてガルボ様にうっとりしながら小娘時代を過ごしたのであるが、そのワタシが初めてガルボ様の映画を見たときの感想はというと、「……」という感じであった。(しかも何を最初に観たのかさえ忘れてしまった)ガルボ様だけは息もできないほど美しいのであるが、全てそこに照準が合っているため、映画としては本当に大した事のないシロモノで、同じスパイ物でもガルボ様の「マタ・ハリ」は彼女がひたすらに美しいだけ。対するディートリッヒの「間諜X27」はヒロインが処刑される間際までスタンバーグ一流の美学に満ち、映画的魅惑満載なのである。
ガルボ様の作品中で、なんとか今日観てもほほぉ、と思えるのは後期の「椿姫」、「アンナ・カレーニナ」及び「ニノチカ」ぐらいであるが、これとても、些か冗長で、いつ観てもぱーっと画面に引きこまれるか、というとそういう出来ではない。けれど、「アンナ・カレーニナ」でガルボ様扮するアンナが列車の外に出て深呼吸をするシーンの美しさ、ガルボ様登場!という感じで盛り上がるBGM、ガルボ様がお召しの毛皮のフードのついた高価そうな外套など、印象的なシーンは幾つもある。「アンナ・カレーニナ」はこの人の映画の中では一番、まとまっていてよい出来だと思う。運命の恋に引きずられ、最愛の息子にも会えなくなるアンナ。ガルボ様は憂い顔の美しい母の役が、とても似合っていた。
ガルボ様は作品によってではなく、その個体としての稀有な存在感で不滅の存在になった珍しい人であろうと思う。どんなスターだってこれという作品はあるものだ。ガルボ様は在る意味、それがないに等しいのである。美貌に恵まれ過ぎて、作品に恵まれなかったという事だけは間違いなかろう。ガルボ様の稀有な存在感を表すものに映画のキャッチコピーがある。何しろサイレントから初トーキーに出演する時には「Garbo talks!」でつかみはOK。更に何年かのち、悲劇のヒロインばかりを演じてきた彼女が「ニノチカ」で初コメディに挑戦する時には「Garbo laughs!」でこれまたOKだったのであるから凄い。こんな短いキャッチで人目を惹けるのは昔も今も、ガルボ様だけであろう。
映画としてはさしたる出来ではないもののガルボ様を象徴する役として「クリスチナ女王」がある。これは彼女の故国スウェーデンの男装の女王様の伝記映画で、リボンの騎士のような羽のついた帽子にブーツ姿の男装のガルボ様は、颯爽として非常に似合って見えた。そして、劇中クリスチナ女王が「私は生涯、独身(バチェラー)のまま生きて、死ぬ」というセリフがあり、これが現実のガルボ様のイメージとあいまって観客の想像力をかきたてたのだろうと思われる。
ガルボ様は、仕事師としてとにかくプロだった。時間厳守でスタジオにはけして遅れてこない。セリフは常にきっちりと入っていた。そして、女性が職場でいかに雇い主に対して権利を主張して戦うか、という事も彼女流にやってのけた人だった。声高に叫ぶのではない。スタジオのお偉方に対しておもねらず、妥協もせず、自分の意思を「No!」と言いつづけることで押しとおした。「No」と一言いうだけで、「yes,yes」と尻尾を振るよりも莫大なものを手に入れたのはガルボ様だけである。それは彼女にしか出来ない芸当だった。

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クリスチナ女王

ガルボ様のボーイフレンドとして、世間的に有名なのは「マイ・フェア・レディ」の衣装デザイナーとして名高いセシル・ビートンや、指揮者レオポルド・ストコフスキーなど、地位と名声のある男ばかりである。何故かというに、彼女はプライバシーを詮索されるのが死ぬほど厭で、マスコミから徹底的に私生活を隠したがった。だからそういう方面で彼女をマスコミから守り、プライバシーを保護できるパワーを持っている事が彼女の恋人になるための第一条件だったのである。セシル・ビートンとは随分若い頃から知合い、彼女が引退後にN.Y.の高級アパートで暮し始めた時にも常に傍に居た男であるが、彼の求婚をガルボはこう言って退ける。「あなたは私が朝、男物のパジャマをきて目覚めるところを観たくはないでしょう-」この時ガルボ様は40代の初めで、まだ世界一の美女としてのステータスを欲しいままにしていた。そして、後にビートンが自らの回想録「ハッピー・デイズ」の中で自分との日々について書いたことを知ると、ガルボ様は利用されたと怒り、ビートンと絶交してしまうのである。引退後のガルボが本当に好きで付合っていたのはジョージ・シュリーという実業家だった。彼にはもちろん妻子が居たが、このシュリーとの関係は彼の死まで続くものだった。シュリーは彼女をあらゆる意味で失望させなかったのだろう。

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こうして、いかに長い付合いでも自分との交友をマスコミに語れば、その時点であっさりと関係を切ってきたガルボ様であるが、最晩年には、手を携えて支えあって歩く老夫婦をみて、結婚しなかったことを悔やんでいたという話も聞いた。また自らはゴシップダネにされることが大嫌いなくせに、ゴシップ満載のタブロイド紙などはスーパーで好んで買っていたという。こんな側面も、なんだかガルボ様だと思うと微笑ましい。
世にも美しかったが、パーティに出るとあまりの無愛想と無口のために周囲を凍りつかせたというガルボ様。ケチで若い頃から使用人も呆れるほどの守銭奴だったガルボ様。ニューヨークがとても好きだったガルボ様。人見知りだけどお茶目な面も持っていたというガルボ様。最晩年に彼女に仕えた家政婦か看護婦に営々と築いた莫大な遺産をやってしまったガルボ様。ワタシは、そんなガルボ様がとても好きである。

コメント

  • 2013/06/19 (Wed) 19:04
    妖艷妖気グレタ ガルボ樣~~~

    グレタガルボ樣ですね~~ 昔から グレタガルボ樣の 名前は 知ってましたが 確かに デートリッヒは 見れましたが グレタガルボ樣の 映画は 見れませんでしたね~~ 最近 不思議な 事が あって これは なんなんだろう…? と… 実は 私 インテリア デザイナー なんですが 絵も 描いたり してまして 抽象画が ほとんど だったのですが 売るためでなく 自分の ために 具象画を 残そうと 思い 美人画を 描き出して 気に入ってくれる人が ふえだし 知人や 昔の 絵画や いろんな 写真 なんかを 原型が 無くなるほど 変えて 描いてるんですよ…… あくまでも 絵ですからね…♪ ………… たまたま 何人かの 女優さんの 写真を 参考に ヴィヴィアン リーとか いろいろ 描いてみたら たまたま グレタガルボ樣の 写真が 目にとまり 描いてみました……… 不思議なんですよ…… ガルボ樣の だけ 生きてるみたいに なるんですよ…… 誰を 描いても 綺麗には なるんですが ガルボ樣だけは 違うんですよ…… 見たひとは どんな 美人も 動揺したり 怒ったり 男も 不思議な 動揺 怯え 怖い とも 言われました…… ガルボ樣には にてませんよ… しかし……… なんか 違うんですよ……… それから グレタガルボ樣の 映画を はじめて 見ました…… 肉体の悪魔ですよ……… 驚きましたよ…… 同じ 妖気が 濃厚に 漂いますね~~~~~ 単なる 美人画を 描いたのに …………… 不思議な 事が あるもんですよ……… その絵を 見ると 女性も 男性も みんな 親切に なるんですよ…………

  • 2013/06/19 (Wed) 22:25

    …………なるほど。

  • 2014/04/03 (Thu) 15:33

    まだこの記事しか拝読しておりませんが、ガルボの人となりについて、簡潔でありながら余すことなく伝わるようまとめていらっしゃるのに感心致しました。ガルボに対する敬愛の情が行間から伝わり、嬉しかったです。
    私は8歳くらいの時に「椿姫」をテレビで見て以来約50年のファンです。
    特に映画ファンという訳ではありませんが、他の記事もまた読ませていただきますね。

  • 2014/04/04 (Fri) 22:33

    ちびまこさん こんばんは。
    ガルボがお好きなんですね。8歳からのファンとは筋金入りですね。
    ワタシは高校生になるまで、ガルボについては知りませんでした。しかも、本文中にも書いている通り、ディートリッヒのついでに知った、という感じだったんですが、出演作品も観てなかったのに、だんだんあの笑わない顔に惹き付けられちゃって(笑)
    好き勝手に書きたい事を書いているブログですが、幾らかなりともガルボの人となりが伝わっていれば幸いです。記事はあれこれとありますので、気が向いたときに読んでみてください。

  • 2014/05/18 (Sun) 22:42

    「肉体と悪魔」はクールでいながらも艶っぽかったですね。サイレント期のガルボには柔らかさと存分な色気があったと思います。トーキー以降はアイシーにカチっとしすぎちゃったような、ね。「サイレント映画の人」、確かにそうかもしれませんね。

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