知性と野性とマザコンと 「ジェラルド・バトラー」

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久々のMy favorite Stars、第6回目は花の(?)バチェラー、ジェラルド・バトラーについて語ってみたい。もうちょっと後でもいいかしらん、と思ったりしていたけれど、最近少しまたワタシの中で「Gサマはぁとモード」が少し高まってきているので、今回はジェラルド・バトラーでまいりたいと思います。アミャーリカでは「ジェラード」と発音されるようだけど、本人が「母は俺をジェラルド(ジェの部分にアクセント強め、ルの発音は弱め)と呼ぶよ」と言っているインタビューがあった気がするので、当ブログでも表記はジェラルド・バトラーのまま行きたいと思う。

どうも「300」でスターの仲間入りを果たして以降、みっしりとつけた筋肉がただの肉に変ってしまったのか、やや肉付きのいい状態が続いてきた彼。最近はいつ見ても顔が丸めでほっぺたの肉をもうちょっと減らしてちょうだいな、と注文をつけたくなってしまうジェラルド・バトラーだが、若い頃のやや薄っぺらい二枚目ルックスよりも、短髪で無精髭ザラザラの昨今の方が、ずっと男前なのは言う間でもない。30前後の頃のスチールをみると、細身でさして筋肉質でもなく、ヤサ男な風情さえ漂っているのが今みると隔世の観があったりする。

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若い頃 何かイマイチだ

ハリウッドでは体を鍛えないとダメだと言われ、鍛えてムキムキと筋肉のついた自分の体が、首から下は他人の体みたいで当初は気持ち悪かった、と何かで語っていた。
ワタシは日本においてこの人の人気に火を点けた(とされる)「オペラ座の怪人」がとても苦手で、彼を認識するずっと前にTV放映されたのを観た時、なんかキモイわ-、この怪人 とか思って眺めていた。怪人=キモイという事ではないが何かキモく感じられた。(怪人ファンの方にはまことあいすみません)頑張ってモノにしたという歌も、なんだかこそばゆくってじっと聴いていられない心持がした。Gサマと知ってからのちは、ますます聴いていられない心持になる事請け合いなので「オペラ座の怪人」はもう観る事は無いと思われる。

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…怪人

そんな「怪人」と同じ年に出演したのが、ワタシを虜にした「Dear フランキー」だというのが面白いところ。怪人には1ミリも来なかったが、この無口でぶっきらぼうな「ストレンジャー」(多分船乗りさん)はワタシの中でジェラルド・バトラーのイメージを決定づけた。(要するにこういう根は優しいけど無口で無愛想ってな男が好みなんですのよね、ワタシ。ペラペラしゃべる男は×なのだ。Gサマはそんなストレンジャー役にとてもハマっていた。でも素の彼はぺらぺらしゃべる男みたいなのだけど…)多分、この役がなかったらワタシは彼のファンにはなっていなかっただろうし、その後の彼の出演作も殆どスルーしていたに違いない。

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「Dear フランキー」の寡黙な船乗りさん …素敵である

ルックス的には2000年-2004年ぐらいまでがすっきりとスマートで、オッサン化していないGサマを見られるあたりと言えようか。中でも映画としてはBテイストぷんぷんなれど、ロン毛のGサマがセクシーなヴァンパイアを演じた「ドラキュリア」などは超イケメン路線で微笑ましい。あぁ、ほっそりしていたなぁ、なんて思うわけである。黒髪に黒いスーツとグリーンアイズがよく映えていた。

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こんなポーズは、昨今の彼にはありえない感じ

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Gサマことジェラルド・ジェームズ・バトラー(Gerard James Butler)は1969年11月13日、スコットランドはグラスゴーに生まれた。血統的にはアイルランドの血も混ざっているらしい。アイリッシュ・スコティッシュである。両親ともに労働者階級の出身で、彼が幼い時に両親は離婚。3人兄弟の末っ子として、母の手ひとつで育てられた。子供の為には全てを犠牲にして頑張ってくれたこの母には頭の上がらないGサマ。そんな生い立ちからしてもマザコン気味なのは仕方がないともいえようか。(大体において男というのは大なり小なりマザコン気味なものであるし)肝っ玉母さんに育てられた甘えん坊の末っ子というわけである。だからどんな豪傑を演じていても、どこか強い女の顔色を覗うような部分が役を通してにじみ出てしまうキライもある。(「300」しかり)
余談ながら「300」は戦闘に次ぐ戦闘、殺戮に次ぐ殺戮で、アクが強すぎて観ていて疲れを感じたのだが、もっとも納得がいかなかったのが王と王妃の関係性で、王が生きては帰れぬ戦場に赴く際、女房が「Spartan!」と亭主に呼びかける。王は振り向き「Yes. milady-」と応えるのだが、これじゃ女王サマと護衛兵士みたいである。一事が万事で、勇猛で誇り高い王様がどうもこのシワ妃にへりくだる風があるのも「300」がダメな原因の1つだった。血とグロが観ててくたびれるって事が一番の理由ではありますが…。

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脱線したが、強く優しい肝っ玉母さんに育てられたGサマは、子供の頃から賢く、とても成績が良かったらしい。そんなわけで地元の名門公立大学(UKのアイビー・リーグともいうべき伝統的名門校でオックスフォードやケンブリッジに次ぐ歴史ある大学)であるグラスゴー大学の法科に進み、なんと主席で卒業したというからオドロキ。そんな知性が表面にあまり(というか殆ど)現れていないところが凄い。そして、そんなところが好ましくもある。ある意味、奥ゆかしいとも言えるかもしれない。(言いすぎか)卒業した後は流れとして法律事務所に入った。労働者階級の子はなかなか労働者階級を抜け出られないUKにおいて、その階級を頭脳で飛び超える事ができるポジションに身を置いたわけである。ただ、この法律事務所にいた間は彼としてかなり苦悩の時期だったらしく、将来を嘱望されつつも弁護士がイヤでイヤでたまらなかったらしい。彼の中には既にして俳優で身を立てたいという抜きがたい願望が根を張っていて、安定した将来を棒に振って夢に挑むか、意に染まないが弁護士としての人生を進むかの葛藤に、酒に溺れてアル中になった時期もあったようだ。Gサマ的には、かなりキツかったんでしょうね。人生で一番荒れ狂っていた時期らしいが、極めて若い時期にこうして荒れ狂ってみたので、成功してから自分を見失うという事が無いというメリットを得たのだろう。人生って棄てるところはないものなのだ。

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たまにちらりと見せる知的な表情がいいですね

葛藤の末、彼は答えを出す。夢に賭ける事を選び、法律事務所を去った。人生をかけた博打に打って出たわけである。(ちなみに、彼が法律事務所に籍をおいていたのはほんの僅かな間らしく、大学の法科は出たが、弁護士資格も正式に取るところまでは至らないうちに辞めたという説もある)俳優を志してまもなく、ロンドンのカフェでスティーヴン・バーコフと知遇を得たことから役者としての道がスタート。舞台からTVの端役などを経て90年代末から2000年あたりで目立つところに姿を現すようになる。俳優になる、と決めてからはそれ程の下積み生活もなく、すぐにそこそこの役がついて、トントンと出てきたようなイメージがあるけれど、どうでしょうか。2000年に前述の「ドラキュリア」、2001年にはTVでアッチラ大王を演じてホップ、ステップ的に登ってきた彼は、2004年、例の「怪人」役でジャンプするに至る。この間、「トレイン・スポッティング」の舞台版で、ユアンが映画で演じたレントン役を演じたりもしているとか。ふぅん、Gサマのレントンはどんな感じだったんだろかしらん。うまく想像できない。
レントンはやはりユアンのイメージが強烈だものね。

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懐かしいトレスポ ユアンのレントン

その後のキャリアはみなさまご承知の通り、「300」の大ヒットでついにアメリカ的にもブレイクしてスターダムに乗った。弁護士の道を棄てて挑んだ人生博打に、ひとまずは勝ったわけである。それほどの苦労もなく、ルックスにも恵まれてトントンと出てきた観のあるGサマだが、スターダムに浮かれる風もなく、伝統的なハリウッド・ライフにさして染まる様子もなく、浮いた噂もあまりなく(出てきても殆どガセか、ちょっとした遊びに過ぎない気配だ)、次から次に仕事をこなしている。昨年は仕事のしすぎで体調を崩しかけた事もあるらしいが(マドンナにお尻注射を受けたり)、そんなにまでワーカーホリックと言ってもいいほど頑張って仕事をしている背景には、アル中になるほど葛藤してまでやりたかった俳優稼業に就いたんだからという事があるのだろう。不退転の決意で臨んだ道ゆえに、軌道に乗ってきた今は、仕事以外の事にエネルギーを注ぐのが厭なんだろうと察する次第である。納得の行くところまでキャリアを積み上げてから、恋愛やら結婚方面に、さて、と眼が向くのかもしれない。チャラチャラしていて女子には手が早いような感じもするけど、本筋では非常に慎重である。これだけパパラッチが横行し、何か行動を起こすとあっという間に世界中に情報と写真が駆け巡るこのご時世に、殆どゴシップらしいゴシップが出て来ないというのは、何よりも当面はキャリア優先で、詰まらない事で蹉跌をきたしたくないという冷静で慎重なスタンスのなせる技に違いない。そういう面もわりに好ましく感じる。もっとも自分では、「プライベートな恋愛はロマンティックな要素があまりなくセクシュアルな要素だけ」になり勝ちなんだそうで、「実際のところ、俺はサイテーな野郎だと思うよ」とものたまっている。 うふん、なんとなく想像がついたりする。

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アクセサリーも含め、この私服センスもご愛嬌か…

スクリーンでは寡黙で男臭い役が似合いながらも、素ではお茶目でサービス精神旺盛、ご陽気でよくしゃべり、私服のセンスはかなり問題アリで、お気に入りでつけている私物のアクセサリーなども「勘弁して-」と思うほどにダサイ趣味全開のGサマ。(ほんとダサイです)だけど、それも「素として見せているキャラ」であって、本当の彼は更にその奥にいるという感じがする。誰にも見せないところで、じっと静かに考え事をしている全く別な彼がおちゃらけた彼の背後に透けて見える気がするところに、ワタシの興味は引っ張られるのだ。(まぁ、ファンとしての勝手な思い込みですけど…)何と言ってもどんな私生活を送っているのか、あまりハッキリしないというのはミステリアスでいい。たとえ事実は、「書かれるほどの事が何もないからというだけのことだよ」という事なのだとしても。

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「The Ugly Truth」

全米ではこの7月、キャサリン・ハイグルと共演した新作のロマンティック・コメディ「The Ugly Truth」(放題は「男と女の不都合な真実」)が封切られる。Gサマは下品な恋愛パーソナリティ役らしい。ぷぷぷ。東京では8月公開予定。とりあえず楽しみである。ロマコメがあまり似合うとも思われないけど、いろんな役をやってみたい、という事でのチャレンジなのだろう。このロマコメの後は「Gamer」の近未来戦士役と続き、「The Ugly Truth」以降の待機作は9本にものぼるGサマ。うまくすれば今年2本、来年以降もコンスタントに年2本ペースで彼の主演作が劇場で観られる運びになりそうだ。が、これは彼の出演作に限らないけれど、毎回、日本公開って香港などに比べると遅れ気味である。シネコンはあっちこっちに出来て映画館増えてるんだから、もっと頑張ってちょうだいな、と日頃からの不満をちらと漏らしつつ、あまり合わなさそうな役だなと思っても、チャレンジしながら何かを掴んで行こうとしているGサマの出演作品はチェックしていこうと思う次第。

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彼の次なる当り役がどんな役になるのかも楽しみだし、プライベート方面でも、きっと今のところはこれ!という相手に出会わないんだろうけど、彼がどんな女性に「本気」になるのかもちょっと楽しみである。最終的には同業者(女優やモデルなど)は選ばないような気がする。なんとなく。もしかすると40半ばを過ぎたあたりで、さくっと白人以外の女性(たとえばインド人とか、日本人女性など)と結婚したりするんじゃないの-なんて気もしてるんですけど、いかがな事になりましょうやら。人生の華、40代に突入した彼。40代の10年間、そのゴールデン・エイジをどんなキャリアで綴っていくのか、とても楽しみだ。その先の10年も更に渋みを増すだろうので楽しみである。とつおいつ、色々な要素を含めて今後もやはり、ジェラルド・バトラーは要チェックでいきましょう、と思っているkikiでございます。