「黄金の七人」 (SETTE UOMINI D'ORO)

~味な腐れ縁~
1965年 伊 マルコ・ヴィカリオ監督

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洋画系チャンネルのイタリア映画特集にて久々に観賞。
いやー、楽しいですね、このあっけらかんとした馬鹿っぽさ。軽やかさ。昔、最初に観たのはいつだったかしらん。多分小学生の頃にTV放映で観たのが最初だと思うのだけど、子供心にも印象が強烈な映画だった。頭脳で金塊強奪計画を立てる「教授」と謎の美女ジョルジア、そして実行部隊の野郎ども6人。ルパン三世(もっとも初期のシリーズ)を観ているのと同じ感覚で観られる映画。というかルパン三世のルーツも幾分かはこの映画にありそうな気もする。公共工事にみせかけた金塊強奪方法など、その後の様々な泥棒モノのルーツとなった作品ではなかろうか。ジョルジアを演じるロッサナ・ポデスタのコケティッシュなトランジスタ・グラマーぶりが小学生だったワタシの脳裏にも染み付いた作品。

これ、音楽(参考までにこちらでどうぞ)が本当にたまらない。
映画にピッタリ。こじゃれている。スキャットと口笛がいかにも60年代風だ。
「教授」ことアルベールを演じるフィリップ・ルロワ。いでたちは英国紳士風で、人物としてはイギリス男のカリカチュアのような気がする。きつい労働は実行部隊の連中にやらせておいて、自分は高見の見物としゃれ込んだ挙句にジョルジアと金塊をネコババしようと目論むが、ジョルジアは莞爾と微笑みつつ、まるで別な計画を抱いていた…というわけで、クレディ・スイスの大金庫からいただいた大量の金塊をめぐる二転三転の争奪戦が展開される。
スピーディで小粋で文句なしに楽しいエンターティメントだ。

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騙し騙されのばかしあいを演じる教授とジョルジアは殆どルパン三世と峰不二子の関係性そのまま。幾度痛い目に遭わされても憎めないカワイコちゃんキャラというのは、ロッサナ・ポデスタ演じるジョルジアが元祖ではなかろうか。とにかく、記号的なコケットリーをこれでもかと展開するのだが、小柄でキュっとしているので観ていて暑苦しく感じない。つまり、似合っているのだ。白い毛皮のコートを纏い、その下は限りなく何も着ていないに等しい状態で銀行の貸し金庫に澄まして入っていくジョルジア。いまや古典的である。衣装に合わせて様々なウィッグを被って現れる。毛皮もスケスケ衣装もとっかえひっかえ。フォックス型のメガネや頬のつやボクロなども記号的なコケットリーの必須アイテムだ。

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コケティッシュなロッサナ・ポデスタ  つやボクロがいいですね
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60年代の映画に黄色いフォルクス・ワーゲンはとても似合って見える。ヨーロッパの街並みにもよく似合う。昔のフォルクス・ワーゲン・ビートルって形がとてもルパン三世的だ。ルパンによく登場した、似たような形の車はシトロエン2CVだが、まぁ、とにかくそのあたりの車というのはとても欧州的なニオイがする。そして教授以外の6人がそれぞれフランス、イタリア、スペイン、ドイツ、ポルトガル、アイルランド出身だというのもなんだかとってもヨーロッパ。悪事を働くにも連合している。背景に移る街並みももちろん色濃くヨーロッパ。
ラストはなんとコロッセオの近くで大ドンデンのおまけつき。

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黄色いワーゲン・ビートル(左)とシトロエン2CV(右) お約束の車

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コロッセオのすぐ近所でのローマ・ロケ

教授とジョルジアに眼がいきがちだが、実行部隊の6人もそれぞれヨーロッパ映画で顔をお見かけした事のある俳優が出ている。殊にアウグストを演じている俳優ジャンピエロ・アルベルティー二はあれこれの映画でよくお見かけしたような気がする。6人の中ではもっとも活躍し、目立つ役どころだ。

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この人。 イタリア及びフランス映画で割りによくお見かけする

余談ながら、ワタシはどうも吹き替えが入って、俳優の口の動きとセリフが合わないというのが気になる方なのだけど(TVの日本語版吹き替えとはまた別)、昔のイタリア映画は殊に吹き替え台詞が多い気がする。多分、公開時に英語版と、英語版のフィルムにアフレコでイタリア語のセリフを入れたイタリア語版を作っていて、ソフト化されるのが後者の方なので、なんだか微妙に口の動きとセリフが合わないのだ。という事はつまり、大半の場合、俳優本人がしゃべっていないセリフを聞いている事になるわけで、ワタシはどうもこれが興ざめなのだ。「黄金の七人」でさえも、その現象が見られたのであれあれ、と思った。最近ではこういう事は殆ど無くなったと思うけれど、80年代以前のイタリア映画にはそういう事が多かった気がする。あのヴィスコンティの映画でさえそうだから時々ちょっと困る。「ルードヴィヒ」なんか俳優はどうもセリフを英語で喋っているらしいのに、アフレコのイタリア語版しかソフト化されないので、物凄い違和感だと思いながら寒い北国のバイエルンの人々が巻き舌で暑苦しくしゃべるのを聞く事になる。まぁ、「黄金の七人」的にはイタリア語で映画のムードと全然違和感ないですけれども。

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実行部隊6人は一応一枚岩のようでもあるが、6人と教授とジョルジアは、互いに内心では相手を利用しながら警戒し、隙あらば出しぬこうと思いつつも、ツメの甘さか、腐れ縁か、スッタモンダの挙句の果てに、仲間割れしてそれっきりになってもいいところをニヤリとした微笑ひとつで収めて再びチームを組む事になる。さんざん骨折り損のくたびれ儲けをさせられた6人が、さして怒りもせず、ふたたび教授(+ジョルジア)と組むことにするのが暢気でいい。まぁ、自分たちでは綿密な計画が立てられないからなのだけど。懲りずにニコニコと銀行前の道路で穴を掘る姿にアッケラカンとした可愛さを感じた。続編「続黄金の七人/レインボー作戦」は1作目ほど面白くなかったような気もするけれど、どうだったかしらん。似たようなものかしらん。ともあれ、そちらも再度観てみなくっちゃである。

コメント

  • 2009/05/13 (Wed) 20:46

    昔テレビでよく放映してた「レインボー作戦」「エロチカ大作戦」 タイトルはよ~く憶えてるけど何故かちゃんと見てないんですよねぇ。まじめな我が家(?)ではおおっぴらに見る映画じゃなかったからかな?ってハハ。おしゃれで楽しくってニクイ映画という雰囲気はわかってましたよ。私もそのうち観てみましょ。そおか、ルパン三世、峰不二子の感じとくれば、そりゃもう面白いこと受け合いですわね。
    ロッサナ・ポデスタといえば「トロイのヘレン」。その昔やっぱりテレビで見たときは、なんて綺麗~。この前のブラピがアキレスを演った「トロイ」でのヘレン役は、どうも美人という感じではなさそうでしたね。結局観ませんでしたけど。
    ロッサナ・ポデスタ  ジーナ・ロロブリジーダ  シルバーナ・マンガーノ ・・・ イタリアの女優ってインパクトある名前多いですよね。

  • 2009/05/14 (Thu) 07:35

    ちょっとオシャレで、Bテイストな泥棒コメディですね。でも、なんとなく好きなんですよこれ、昔から。キャラ設定が効いてます。そしてなんといってもロッサナ・ポデスタに尽きるでしょう。彼女が出てなければそんなに印象的でもないとは思います。そういえば「トロイのヘレン」もやってたんでしたね。そっちは未見なんですわ…。ともあれ、「黄金の七人」、ジョディさんも機会があったら観てみて下され。

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