kiki的ハノイ紀行-3 スコールとハノイ的憩い編



最終日の4日目は晴天だったが3日目はスコールの日だったので、ちょっと歩いているとぽつぽつと雨が降り出し、あっという間にドシャ降りになった。風景は白く煙り、通りは幾らか閑散とする。ドシャ降りになると店の軒先で様子を見たり、カフェに入って憩ったり、土産物屋に入ったりしながら、激しく水しぶきをあげるスコールを眺める。雨の日はビニールの雨合羽売りが登場する。バイクの人々は雨の日は雨合羽を着てバイクで走る。青が多いが、ピンクや緑もある。傘をさしている人はあまり見かけなかった。みんなすっぽりと雨合羽を着て歩いたりバイクで走ったりしていた。ワタシも記念に1枚買おうかと思ったが日本に帰ったら使わないのは目に見えているのでやめにした。お値段は1$。


スコールは突如激しくやってきて、いつしか小雨になり、ふっと止む

ベトナムの人は一人一台ぐらいの割りでバイクを持っている。自転車も使う。車比率はさして高くなく、とにかくバイクである。これは電車やバスなどの公共交通機関が整備されておらず、通勤や通学にバイクがなければお手上げだから。国民の足なのである。ホンダの50ccはとてもよく消費されていた。(トラックはヒュンダイのが目に付いた。中古が安いのかも。頑張れトヨタ、そして日野)バイクの平均価格は幾らぐらいなんだろうと聞いてみると、大体日本円にして7万ぐらいとの事。1万のバイクに乗る人もいるし、70万のバイクに乗る人もいるだろうが、平均して7万程度らしい。必需品なので、まず何はおいてもお金を貯めて中古のバイクを買うのだろう。


雨宿りに入ったカフェで

カフェの窓辺で憩っていたら、目の前を青い合羽にお馴染みのベトナム笠を被ったアメリカ人らしい若者が二人、楽しそうに笑いながら通り過ぎていった。アメリカ人はベトナムと言えば、あの笠が強いイメージなのだろう。ひゃっほーう、ナムに行ってきたぜぃ!イェイ!と国に帰って周囲に言うには、あの笠が一番良い証拠物件なのに違いない。天秤棒と笠を借り、物売りの格好をさせてもらって喜んでいるアメリカ人らしい3人組もみかけた。アメリカ人はけっこうベトナムが好きらしい。


スコールを楽しむアメリカの若者二人 無邪気でかわいかった


物売りさんから笠と天秤棒を借りて喜んでいた三人組 やはり無邪気

ベトナム戦争はベトナムにもアメリカにも深い翳を落としたが、ベトナム人はアメリカ人を排斥などしないし、恨みがましい事も一切言わない。(このへんは戦後ナン十年たってもしつこく恨み事ばかりを繰り返し、どれだけ経済援助をしてもらったかも忘れて日本をののしる事しかしない韓国人や中国人に爪の垢でも煎じて飲ませたいぐらい。いつまでも恨みがましいというのは見苦しい事である)経済発展するためにはアメリカと友好的関係を結ぶ事は重要なので、観光客も歓迎される。現にドルはかなりの流通度。ベトナムの人は地元向けの店の人でも片言の英語を話す。ほぼどこでも英語が通じる。100年前はフランスの植民地だったのに、フランス語はまるで流通していない。フランス植民地時代の名残は建物とフランスパンのみというのも面白いが、フランス人もよくベトナムに来るようだ。その他、ドイツ人もけっこう居たし、欧米人旅行者の比率はかなり高い。アジアでは中国からの観光客が一番多いとのこと。陸続きで来られるという事もあるのだろう。




ハノイは街のほぼ中心にホアンキエム湖という湖がある。ぐるりをけざやかな緑に囲まれたこの湖は市民の憩いスポット。観光客にとっても憩いスポットである。恋人たちにはデートスポット、早朝は老人たちの太極拳スポットにもなる。涼しい日は涼しい日で気持ちがいいが、暑い日には木陰のベンチに座って湖を臨んで一息入れるとほぅっという気分になる。


ベンチでもの思う欧米人の若者


ホアンキエム湖を臨む歩道に椅子を出して憩う老婦人
身なりはラフだが真珠のイヤリングにネックレス、翡翠の腕輪をして
白髪が美しく、なんとなく風情があった

この湖の西側にシックな雑貨や衣服、テーブルウェア、インテリア、リネンなどの店がひしめくエリアがある。湖の西南には大教会が建っていて、この大教会周辺が屈指の買い物スポット。ハノイに滞在中、何度この教会周辺を経巡ったか知れない。


ハノイ大教会 建物の後ろから出入りが出来、見学もできるそうな


湖のほとりのいい感じのカフェで憩う人々

そして、有名なカフェ、パリ・デリで足を休めてお茶をするのもよろしくてでございます。ここは名物のプリンがあるのだが、ワタシたちが寄った時にはちょうどプリンが品切れとなっていたのでケーキを食べた。特にプリン愛好家でないワタシ達はケーキでも無問題だった。欧米人とアジア人で店はざらりと満席状態だった。


カフェ パリ・デリ

だが、買い物疲れで一休みに立ち寄るならなんといってもクラシカルなコロニアル・ホテル、ソフィテル・メトロポール・ハノイである。白亜の外観。蘭とユリと蓮が空間を彩るシックなロビー。天井でゆるやかに廻る木製のファンはザッツ・コロニアルスタイルという佇まい。白いアオザイに帽子を被った長身のドアマンならぬドアガールがにこやかに扉を開けてくれる。クラシック・ホテルというのはいつでも、どこの土地でも、いいものでございます。泊まろうと思えば別段泊まれない事もないけれど、今回はホテルで贅沢しようという主旨ではないので、気軽なプチホテルに宿泊してお茶休憩にメトロポールを訪れるというのは頃合な気分だった。メトロポールはやはり欧米人の宿泊客が多い様子で、家族連れが幾組も屋外プールで賑わっていた。


優雅な白亜のソフィテル・メトロポール・ハノイ








ベトナムは何を食べても美味しい。ベトナム料理以外のものでも例外なく美味しい。ベトナム人は味にうるさく、まずい店は流行らないのだとか。だから混雑か行列している店に行けば味は折り紙つきであるらしい。確かに、パスタやケーキなども食べて見たが全て美味しかった。昔、バリ島はクタの通り沿いの小さな店で、うどんのようなパスタが出てきて、しかも珍妙無類な味のトマトソースがかかっていたのに閉口したのをまだ覚えている。そんなものと比較するのも失礼だが、ベトナムで食べるものは味付けが実にほどよく、申し分なく、外れがなかった。しかも安い。素晴らしい。ワタシは食べ物の写真をレストランで撮るのが嫌いな上に、今回は夜の食事といえばとにもかくにもフォーばかり食べていたのであまり写真映えがする食事をしなかった為、1枚程度しか写真はないけれど、炒めたフォーも、スープのフォーもいずれも美味だった。ホテルの朝食のフォーも、屋台で路上に並べられた小さなプラスティックの椅子に腰掛けて食べるフォーも、いずれ劣らぬ味わいだった。




***
最終日、現地代理店の空港への送迎車を宿泊したホテルのロビーで待っていると、フロントマン氏が「これから空港に向かうんですか?」とベトナム訛りの英語で話しかけてきた。相棒は買い漏らしたお土産を買いに近所に出ていた。「そうですよ」と答えると、「誰かが迎えに来てくれるんですか?」と訊くので、「トラベル・エージェントが空港まで送ってくれます」と言うと「それは良かった」とにっこりし、「ハノイはお気に召しましたか?」と訊くので、「良いですね。人も街並みも雑貨も好きですよ」と答えるととても嬉しそうな笑顔を見せた。

「次回はいつおいでですか?3ヵ月後ぐらい?」と言うので、次回ベトナムに来るのはたぶん来年以降かな。次はホイヤンやフエにも行ってみたいですね、と答えると、ハノイじゃないのか、と落胆した顔をした。ベトナムの男性についてはどんな印象ですか?と訊くので、どんなもこんなもよく知らんわと思いつつ、男性とか女性じゃなく一般的にベトナムの人は慎みがあって控えめで穏やかで良いと思う、と答えると、彼は自分は日本と日本人が大好きだ、と言った。日本の何がそんなに好きなの?と問うと、最初は高性能の車やパソコンから日本に目がいったのだけど、次第に文化や経済、人の気質についても惹かれるようになったと言う。日本人はフレンドリーでおっとりした人が多い、とフロントマン氏。それはまぁ、ガサガサの極みの中国人や韓国人と比べたら日本人は総体に殿様気質でおっとりしているかもしれない。
日本のどこに帰るんですか?大阪?東京?と訊くので、東京ですよ、と答えると、更に遠い夢を追うような目つきになった。

そして「一生に一日だけでもいいから日本に行ってみたいんです。そのために僕はいま、一生懸命に貯金してるんですよ」と言った。一生に一日だけ、なんて何を大袈裟なと思うかもしれないけれど、これは実に正味な発言だと思う。それというのも、到着日に送迎車の中でガイドさんが話していたが、ベトナム人が日本に来るには大層もない旅費(US$2500)がかかるらしい。邦貨にして約25万円である。大統領の月給が3万にも満たない国で、一般庶民が25万の旅費を貯めようと思ったらそれはもう大変な事に違いない。しかもそれはツアー代金だけであって、諸物価の高い日本で移動して、買い物をするためにはさらにお金を貯めなくてはならない。現地代理店のガイドさんはハノイ大学で日本語を学んだが高額のツアー代金のために一度も日本に行った事はないとため息をついていた。日本政府も、もっと貧乏な国の人が安く行かれるようにしてくれればいいんですけど…とガイドさんは苦笑いしていた。簡単に日本に行けるようになると亡命が増えて困ると思ってるのかもしれませんね、とも言っていた。そういう事もなきにしもあらず、かもしれない。



日本への旅費がとても高いというのは聞きましたよ、と言うと、フロントマン氏はそうなんですよ…。大変です。でも夢だから頑張りますよ、と言い、あなたは日本に生まれてラッキーだ、と言った。日本に生まれた事を手放しでラッキーとは言いきれないようなものも感じるのだが、ラッキーでないわけでもない。ワタシは曖昧な笑顔で「It may be so」と答えた。ふと、外国に行くといつもその国の人にしてみる質問をここでもしてみようと思い、「中国人や韓国人についてはどういう印象があります?」と訊いてみた。すると彼は「中国人はともかく、韓国人はちょっとね…」と言い「韓国の女性は殊によくないですね」と言いつつ、思い切り顔を歪めて、うー、ぷるぷる、という感じのゼスチュアをしてみせた。厚化粧でがさつで我儘で厭な感じの女が多い、という事だろうかしらん、と解読してみたけど、どうかしらん。「中国人もそんな感じでは?」と突っ込んでみると、「中国人はさほどでもないけど、韓国人は…苦手ですねぇ」と苦笑いする。「ハッキリ言うと、嫌いなんでしょ」と言うと「ええ、嫌いなんです」と笑った。

ホテルでは様々な国の人間の様々な部分をかいまみる機会に恵まれる。彼もこれまでに色々なものを見たのだろう。「韓国の女性は嫌いだけど、僕は日本の女性は最高だと思います。印象がソフトだし、肌質がいいから実年齢よりずっと若く見える人が多いし、綺麗な人が多いと思います。大好きです」とおべんちゃらを言ってくれたので、一応日本女性の一人としてお礼を言っておいた。今度ハノイに来られたら、僕があちこちご案内します。僕はまだ独身だし、色々ステキな場所を知っているからお連れしますよ、などと言い始めたので、アドレス交換なんて話になってったらちっと面倒だな、と思っていると、うまい具合にフロントの電話が鳴ったので、それをいいシオにワタシは会話を切り上げて荷物の整理を始め、そうこうするうちに相棒も帰ってきた。日本に行く旅費がなかなか貯まらない場合、日本人の彼女を作るのが一番の近道なんだろうけど、アテクシそんなに人がよくないのねん、むほほ、と思いながらも、そういう下心もうっすらと無いわけではないのだろうけど、一生懸命に日本への憧れを語る30代前半とおぼしきフロントマン氏に悪い印象は持たなかった。
彼が晴れて目標額を貯めて、ようようの思いで日本の土を踏んだ時、日本という国が、彼が憧れ、夢見たとおりの姿で彼の目に映ってくれる事をささやかに祈った。




kiki的ハノイ紀行-1
kiki的ハノイ紀行-2

コメント

  • 2009/07/22 (Wed) 20:43

    色々と文句はあるけれど(腰砕けの外交とか)やはり日本に生まれた事はラッキーなのだと、今日恵比寿の「報道写真展」を見てきて思いました。

    ハロン湾は興味があるので一度行って見たいと思っています。でも結構遠いのですね。
    写真が素敵です。建物とか、インテリアとか、めっちゃ好みです。建築がお好きなkikiさん、ハノイは堪能されたのでは?

  • 2009/07/23 (Thu) 00:31

    なんだかすっかりご無沙汰しております。ベトナムよさげざんすねえ。ベトナム料理は私も好きですが、なかなか国まで行くチャンスには恵まれておりませんです。よく友達の間で旅行先になるところですが、コロニアルクラシックなところがやっぱり多いのか知らん。kikiさんだけに、旅行先でも大いに飲み大いにおいしいものを頂いたんでしょうねえ。うらやましや。

  • 2009/07/23 (Thu) 07:29

    Rikoさん。ほんとほんと。日常的感覚としては、税金を取るだけ取って使い道は曖昧だし、年金も破綻しそうだし、福祉は行き届かず、政府は無能だし、官僚が好き勝手やってるし、アメリカや中国には毎度弱腰だし…、と頭に来る事もあれこれあるけど、日本に生まれた事はやはりラッキーなのかもだなぁ、と外国に出ると思い直したりもしますね。
    ハロン湾、是非行ってみてください。ただあまりに波が高いとクルーズは中止になるので台風などには御用心。ハノイには暑さを避けてやはり10月ぐらいに行くのがベストなようざます。Rikoさんもレトロ建築お好きだし、きっとお気に召しますわ。それにテーブルウェアやリネンなど、安くていいものがゴマンと売ってますしねぇ。やはりベトナム雑貨は一味違います。食べ物も美味しいです。なにより小遣い予算5万円程度で富豪気分なんて、そうそう味わえる感覚じゃありませぬよ。(笑)

  • 2009/07/23 (Thu) 07:31

    Sophieさん、おひさしぶりっこ。またROM専モードに入ってましたな。ふほ。ベトナムは良かったですわよ。7~9月はやはり暑いので夏には行かない方がいいようだけど、久々に異国をほっつき歩く楽しみを満喫しましたわい。ハノイやホーチミンなら直行便が出てて安いし、6時間以下で行かれるし、物価は激安だし、日本からの旅行者はますます増えるでしょうね。今回はあまり他のものを食べたい欲求がなくて、シーフード以外はフォーばかり食べてたような気がするざんす。そのせいか、成田に戻ると何はおいてもまずは蕎麦!の麺星人のワタシが今回は蕎麦を食べたい欲求には全くかられませんでしたわ。本場のフォーですっかり満足したらしい。(笑)

  • 2009/07/30 (Thu) 22:06

    kikiさん、お久しぶり!
    なーんと、ベトナムへ行かれてたのね~!
    いいなぁ♪
    旅行記&写真で、しばしのベトナム時間を楽しませてもらいました。
    レトロなコロニアルな雰囲気と、いかにもアジアな土着的な人々の姿や佇まいがよいなぁ。
    まさに”青いパパイヤ・・・”を思い出す感じ。
    雑貨屋さん、パラダイスみたい!私が行ったら
    恐ろしく散在しそう(笑)。
    日本へ旅行の話・・・興味深いですねぇ。
    やっぱり世界的に見ると、日本へ生まれるということは
    やっぱり幸せなんでしょうね~。でも、経済的に恵まれてても、このアメリカ型資本主義社会に押しつぶされて、皆が余裕がなくなって、昔ながらの日本人の美徳とか、いいものも失われていってるよね。
    あと、女性談義も興味深い・・・。
    日本人を褒めてくれるのは、単純に嬉しいね。

  • 2009/07/31 (Fri) 00:22

    acineさん。こちらこそご無沙汰ざます~。そうなの、ハノイに行ってきました。例年夏休みは9月なんだけど、今年は7月に休んでちょろっとね。街並みも雑貨も、acineさんきっと気にいるわよ、間違いない。殊に雑貨系は狂喜乱舞かも。(大袈裟か 笑)ワタシもかなり色々買ったけど、それでも予算が余りました。高いものを買ってないせいもあるけど、それでもスーツケースは20kgチョッキリで、少しでも超過したら追加料金取られるとこをピッタシカンカン(古)ですり抜けました。陶器は手荷物にするのであまり買わなかったけど、もう少しあれこれ買ってくればよかったかなぁなんて思ったりしてます。うるし塗りのワインホルダーなんかも買いました。機能的でデザインがいいのよね。スグレ物ですわ。
    で、普段は文句ばかり言っているけど、なんだかんだで日本に生まれた事はラッキーなんだな、とより一層思うようになったわ。よそに出ると認識を新たにしたりしますねぇ。昔ながらのいいものは喪われているようだけど、国民性として日本人は総体に近隣の国々の人より様子や振る舞いにやや品があるとは思います。善い人が多い、とホテルマンも言ってたし。日本人もまだまだ捨てたもんじゃないのよ、きっと。日本女性を褒めてくれたのはいいんだけど、なんであんなに韓国女性を嫌いになったのかもちょっと聞いてみたい気がしたわ。何を見聞し、経験したんだろうかしらんね(笑)

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