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kiki的ヨコハマ追想

 こういうのは横浜の最もいいイメージ

一時期、数年横浜に住んでいたことがある。家を出て最初に一人で住んでみた町が横浜だった。なにぶんにも初めてなので、どの程度生活費がかかるものか予測もつかなかったから家賃を控えめに設定したため、中区のど真ん中などに部屋は借りなかった。そのため、人々がイメージする横浜は、ほんの一部だけなのだという事を引っ越してすぐに悟った。

そもそも、勤め先からも遠くなるというのになんで横浜に住んでみようかと思ったかといえば、ワタシは東京の南エリアの生まれ育ちなので、北エリアや東エリアの人ほど横浜を遠く感じなかったことと、ずっと東京に住んでいたので一度東京都民でなくなってみたいという気持ちもあった。それに、うちの父が土曜の夜には家族を連れて食事に行くのが好きな人で、かなりの頻度で行ったのが横浜中華街だった。そんなわけで、中華街や、山下公園前の通りや、車窓を流れる関内の町並みですっかり漠然と「横浜好き」になっていた。横浜は実態とは少し離れたイメージで成り立っている部分が大きい町だというのは、住んでみないと分らない。それまではワタシも横浜に対してかなり素敵なイメージを持っていたのである。

家族を離れて一人横浜に住んでみると…。関内も桜木町も、案外うらぶれたような気配が立ち込めている。ちょっと歩くとすぐに場末な空気が漂ってくると言えばお察しいただけようか。関内といえば、日本大通りや海岸通りのあたりなどはとてもいい感じだけれど、歌にも歌われた伊勢崎町なんて、かなりのうらぶれ加減。馬車道も、もっと風情のある通りかと思っていたのだけどさにあらず。けっこう「終わった感」が漂っているのだ。かつては栄えたのかもしれないけれど、横浜というと人が脳裏に思い浮かべるエキゾチックな洒落たムードよりも、廃れた感じが色濃いのである。桜木町は、新しく埋めたてたMM21エリアはキンキラキンでも、通り1本を隔てたところに、あの黄金町、日ノ出町が控えており(こちらの方が町としてはずっと古い)まさに表の顔と裏の顔という感じ。桜木町は、元はこっちの色合いなんだな、と察しられる。

横浜に行って驚いたことは図書館事情が東京ほど潤沢でないこと。おまけに横浜市中央図書館が日ノ出町、黄金町エリアの中に建っているのである。野毛山という小高い所なのだけど、坂を下ればちびた鉛筆を耳に挟んでWINDSのビルを出たり入ったりしている人々が主流のエリアなのである。横浜に行って最初に中央図書館に行ってみた時、夏は冷房目当て、冬は暖房目当てでレゲエのおぢさんたちの憩いの場になっているのに驚いた。別におとなしく座っておられるだけなので特にどうという事もないのだけど、問題は独特のニオイである。ちょっと長居は難しいと思った。

横浜は東京と比べると、なんとなくうら寂しいところが多い。そして平日の夜は横浜駅周辺以外は閑散としている。週前半は中華街もガラ空き。謝甜記のおかゆも並ばずに食べられる。

横浜が横浜らしいのは中区全部と西区の一部ぐらいである。残りの大部分は「どこが横浜?」という町ばかり。しかも横浜という名前だけで東京ばりの値段を取る。行政は東京に及ばないにも関わらず税金も割高な気がする。免許の書き換えも即日交付にはならず、1週間後に取りに来るか、郵送だとコレコレの費用がかかります、と確か1000円ちょいの金額を言われた。東京だったらその場で貰って帰れるのにダメだこりゃ、と思った。ゴミの分別も「なにもそこまで…」と思うほどにヒステリック。微妙に暮しにくい横浜。

 関内 横丁の喫茶店

それでも、関内から山手は好きだったので、横浜に住んでいる間はよく行った。秋になると市庁舎前の銀杏並木がまっ黄色に色づいて壮観だし、日本大通りの界隈は堂々たる建物が多くて素敵なのである。キング、クイーン、ジャックの塔は昼もいいが、夜はライトアップされて更にきれいだし、山下公園から赤レンガ倉庫近くまで歩ける遊歩道は、いい感じのデートコースでもある。山手の高台に、いい夜景スポットがあって、その頃付合っていた彼とよく行った。中華街の中も冷やかして歩くと面白い。
中でも私のお気に入りは関亭廟通りにある骨董屋。とても怪しげでいい感じである。古い雑居ビルの二階にいろんな店が出店してコマコマといろんなものを商っている。横浜的アヤシサを堪能できる世界だ。そしてこの通りをずっと重慶飯店に近い方まで行く途中に、アヤシさ超ど級の建物がある。その名も「旅館オリエンタル」。

 旅館オリエンタル

いつ頃これに気づいたのか、横浜で一人暮しをする前から知っていたのだけど、とにかく物凄くアヤシイ。写真だとそうでもないけど実際見るともっと怪しい。旅館なので宿泊施設なのだろうけど、一体どういう人が泊まるんだろう、などとドキドキする。一度、そのドアを開けて中に入ってみたい気持ちしきりなのだけど、ヘタレなのでまだ果さない。今度暫くぶりに行ったらもう無かった、なんて事がないといいのだけど…。最近行ってないから少し心配である。旅館オリエンタル、フォーエバー。

それでもなんだかんだで数年住んだ横浜だけど、横浜から都内に戻ってみて初めて東京の良さが分った気がした。横浜に行くまでは何とも思っていなかったのだが、好きで行った横浜なのに違和感を感じることも多く、東京に戻ってきて妙にほっとした自分に些か驚いた。でも、それはワタシだけの感じ方で、東京から横浜に移って快適だという人も大勢いるだろうと思う。
ワタシには横浜はたまに遊びに行くのに最適なところ、そして時折心の中で、そのいい部分だけを密かに取り出して楽しみたいところである。

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