人はいろいろ

           


フィーリングの合う美容師さんやマッサージ師さんは恋人と同じで余人をもって変え難い。
言葉にできない微妙なニュアンスをピっと分ってくれる勘の良さ、というか、
特に説明しなくても向こうがよかれと思ってする事がこちらの望むところであるというのは、
とても深い満足感のあるもの。そういう人を見つけた暁には雷が鳴っても離すわけにはいかない。


だから滅多な事では行きつけのヘアサロンやマッサージサロンは変えられない。
というわけで、ワタシはここ5年ほど、ずっと自由が丘のヘアサロンに通っている。
ちょっとニュアンスを説明しただけで望むように髪を整えてくれるフィーリングの合う美容師さんがいるからだ。聞けば誰でも知っているような有名店でないのもいい。少し家が遠くなっても、
行きたい日に予約が取れなくても、他の店に行こうとは思わない。
痒いところに手が届くように「わかってくれる」人を他で探すのは至難の技ですものね。

この美容師さんとは旅の話で主に意気投合している。これまでに行ったところや、
これから行きたいところが結構かぶる。
好きな食べ物の傾向も近いらしく、店情報の交換などもする。

が、どうしても話が噛み合わないのが映画。
この人は音楽が好きでポップス、ロックのコンサートには頻繁に行くが、
映画には1ミリも興味が無いらしい。だから封切りの新作はもとより、古典的な作品とか、
普通誰もが知っているような作品についても観た事がなく、俳優などにも興味がないので
さっぱり分からないとのこと。
ワタシはこの話を聞いた時、ほっへぇ???…という感じで心底驚いた。

両親ともに映画好きの家に生まれ、子供の頃から洋の東西を問わず、新作はいわずもがな
古い映画を殊更に愛好してきたワタクシ。そんなわけで周囲には映画に興味がない人なんて
全く居なかったし、友人になる人はもちろん映画好きに決まっていたし、知人や周辺の人も
大好きではなくても一応、映画は観る、という人ばかりでワタシの世間は構成されてきたので、
「全く観ない、興味ない」という人種もいるという事を実感する機会が無かった。
基本的に「そんな人は存在しない」と思っているフシもあった。
少なくとも、なんとなくフィーリングの合う人で映画に興味がない人というのは
これまでには皆無だった。

でも事実はかくのごとし。…いやはや、居るんですね、そういう人も。
別に文句を言っているわけでもなんでもなくて、単純にワタシはとても驚いたのだ。
控えめに言っても、非常に、全くもって、驚いたのである。ふぅん。人はそれぞれですわね。
ワタシは音楽は嫌いじゃないが、別にそうあれこれとコンサートに行こうという気にはならない。
ごくたまに、これはいいかも、と思うものは聴きに行くが、CDやiTunesで適宜聴いていれば
いいので、コンサートに何年行かなくてもなんら痛痒を感じない。
映画を観なくていい、という人はつまりそういう感じだろうかしらんなんて想像したりはするのだけど、
この美容師さんは映画そのものを何年観なくても平気なわけだから、映画館に行かないばかりで
なく、DVDでさえも見ないわけである。う?む。凄いな。

ワタシ的にはその美容師さんの言う「全く興味ない」というその「全く」に、とてもたまげてしまった。
「全く」ねぇ。 …ふ??ん。
髪を切ってもらいつつ、雑誌をめくりながら、たまたまページに載っていた映画スターの話をしても腑に落ちない顔をしているのに、友人が「コールドプレイ」のコンサートに行ってきたという話をしたら「ええ?!いいなぁ?、行きたかったんですよぉ、それ!」と目の色を変えて身を乗り出す。ブランドの広告モデルをしている女優の名前にはまるで興味がないのに、写真の顔や体は殆どPhotoshopでお直し三昧だろうという話題には、「そうそう、みんなそうらしいですよね。すっごいお直し入ってるって聞きますね」と興味深々なノリだった。シワやシミを消して、仕上げに肌にはすこしぼかしをかけるだろうので、みんなグラスファイバーでつるりと仕上げたみたいな人工的な同じような皮膚感になるのよね?、と言うと、「あ?。ほんとだ?!確かにみんな同じ肌質の感じですね、化粧品の広告モデルって。毛穴も消すし、睫は伸ばすし」というので、ついでに「キーラ・ナイトレィが上半身セミヌードで出た広告もPhotoshop技で胸をちょろんと大きくしてたという噂よん」と続けると、
「誰ですか?キーラなんとかって」だって。 ここまで興味ないといっそ清々しいですね。
いや?、ほんと人はそれぞれでございます。

コメント

  • 2009/10/13 (Tue) 22:47

    本当にお気に入りの美容師さんにめぐり合うのは大変です。「あ、この人!」と思っても人気がすごく出て予約がとっても取りにくくなったり、通いきれないほど遠くの支店に異動になったり、自分が引越ししたりしてしばらくお気に入りの美容師さん無しの状態が続いた時期は辛かった。
    今の担当さんは映画と車の話で意気投合!同年代の男性ですが、ショーン・コネリーの007が大好きでダニエルボンドも認めてはいるけれど、やっぱりボンドはショーン・コネリーという人です。
    何回も見ているのに先日「地上波初!」というカジノ・ロワイヤルを久々に見て、ダニエル病が再発してしまった私です。

  • 2009/10/14 (Wed) 07:11

    Rikoさん、そうですよね。ずっと担当してもらっていた人が何かでダメになって別の人を探さなくてはならなくなった時に、これ!という人が見付かるまでって結構大変ですよね。担当者だけでなく店の雰囲気とかもあるし。ワタシは今やってもらってる人がこれまでで一番満足感がありますね。残念ながら映画の話はできないので、旅と食の話で盛り上がりつつ年に4~5回ほどお世話になってます(笑) ところで、カジノの地上波初放送。ワタシもチラっと観てましたわ。「カジノ」の日本語吹替えを初めて聞いたけど、ダニエルの吹替えはいい声で合ってましたね。彼はやはりボンドをやっている時が最高なので、ワタシもちょっと彼への萌え気分を思い出しましたわ。「カジノ」は散々観たので、久々に「慰めの報酬」でも借りて来て観ようかなと思ってます。 ふふふ。

  • 2009/10/16 (Fri) 11:32

    kikiさん随分とご無沙汰でございました。どうもROMがすっかり身に付いちゃって・・・。映画に興味ない人時々いますよねえ、話すりあわせるのも割に苦労します。話題がなかなか見つからなくて。私は映画じゃないけど、前の職場の同僚で小説系を一切読まない人がいて驚いたのを覚えてます。工学系女子で建築や、空間デザインの学術系本や雑誌は読むらしいんですが、いわゆる文学系には全然興味がなくて、「そうか私がいわゆる「本」と思っているものを読まない人がいるんだあ」とすごく驚きました。同じ本屋さんの使い方でも私と彼女ではまったく違うんだなあと妙に感心したのを覚えています。

  • 2009/10/17 (Sat) 01:16

    Sophieさん、おひさしぶり~。ROMもよいけど折々水面に顔を出して何かおっしゃってみてねん(笑)楽しみにしてますわよん。ところで、小説読まない人というのもけっこう居ますね。本といえば学術書や専門書、またはノンフィクションあたりは読むけど小説読まないという人ね~。ワタシも何人か出くわした事あります。小説を読まない人。でも、小説を読まないだけで「本」は読むわけですよね。ワタシは、映画を何年も全く観なくていい、という人には初めてお目に懸かったのでかなりたまげましたわ。そんなに観なくても平気なんだ~スゴイな、なんて妙に感心しちゃったりして。(笑)

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する