アステアとMJ



「THIS IS IT」のレビューの中でもちょっとふれたが、マイケル・ジャクソンを観ていると、その細身でシャキっとした体型、きゅっと短い胴(ウエストの位置が高い)に長い手足、体の割に手がとても大きい事など、身体的な特徴の類似や、音の切れ目にピタっと動きをシャープに合わせるキレの良さ、そして完璧主義のパフォーマーという性質的な点で、ワタシはなんだか、しきりとフレッド・アステアを思いだしてしまうのだ。


「THIS IS IT」の中に、コンサートで使われる予定だったビデオ映像も適宜挿入されていたが、その中のモノクロのショートムービーを見ていて、そこに登場したマイケル・ジャクソンの白いスーツとソフト帽といういでたちは前にも何かで観た事があると思ったら「MoonWalker」というマイケル主演のSFファンタジー映画の主題曲「Smooth Criminal」のPVに登場した時に、そんないでたちをしていたのであった。そして、当時そのPVを見たワタシは、あ?、これはアステアの「バンド・ワゴン」へのオマージュだな、と思ったりしたのだった。
長らく忘れていたけれど、そんな事をも、ふいに思い出した。


「Smooth Criminal」のMJの衣装


「バンド・ワゴン」1シーンでのアステアの衣装

アステアのファンは、マイケル・ジャクソンの「Smooth Criminal」のパフォーマンスを観ていると、「あぁ、あれだね」とピンと来る。スパッツをつけたその服装、その動きを見ていたら、アステアを思い出さないわけにはいかないのだ。そして、コンサートでの「Smooth Criminal」の演出をみると、プロジェクタに投影された巨大なマイケルの影が3つ現れてイントロのダンスを踊るのだが、同時に複数の影が同じダンスを見せる、というのは、9人の自分と踊るアステアの有名なナンバー「Puttin' on a Ritz」の至芸のタップダンスを想起させるのである。


3つの影が躍るMJ


9人の自分を背後に従えて踊るアステア


そこで、アステアのダンスが久々に見たくなり、Youtubeであれこれ観ていたら、こんな動画を見つけた。
Fred Astaire + Michael Jackson - Smooth Criminal [short film]
これは超ナイス!思わず膝を叩いた。

マイケル・ジャクソンの「Smooth Criminal」に合わせて踊る、フレッド・アステアとシド・チャリシー。
想像以上にピッタリと音楽と踊りがマッチしている。 イントロ部分でのアステアのカットも粋でナイス。
編集もお上手なり。

まさにワタシがイメージしていた通りの映像を、ショートムービーに仕立ててくれていた人がいたのだった。
同じような事をイメージする人っているものなのねん、と嬉しくなった。
そうそう、これですよ、これ。実にもうぴったんこ。元は全然違う曲に合わせて踊っているのに、上手く合うもんである。素晴らしい。グッジョブ!冒頭に入っている「足長おじさん」からの1シーンはソースが古いのか映像が劣化しているのもご愛嬌。でもレスリー・キャロンがジュークボックスにコインを入れるシーンをどうしても入れたかったんでしょね。…お気持ち分ってよ。


時を越え、本当のホンモノ同士の達人の仕事というのは、こんなにも違和感なくピッタリとマッチするもんなんですわねぇ。いや?、楽しませて貰いました。

アステアに興味を持たれた方は、至芸「Puttin' on a Ritz」のダンスも是非どうぞ。序盤は歌っているので、中盤2分ぐらいのところから見るといいかもしれない。9人の自分と踊るシーンはもちろん合成の特撮だが、スゴイのは背後の踊りを1回撮ってそれを9回コピーしたのではなく、9人分、全部個別に踊って撮影している、という事なのだ。そしてメインでの踊りも無論撮るので、合計10人分をそれぞれ個別に撮影したのである。このコダワリ、誰かさんとも通じるでしょう? 



この二人はそれこそBlack&Whiteで、人種も違うし時代も違うけれど、アーティストとして気質的に物凄く似通っていたと思う。ふだんはにこやかでフレンドリーな紳士だが、仕事には妥協を赦さない完璧主義だった。音に対する体の動きへの神経質なまでのコダワリと反応、50を過ぎても滑らかにすばやく華麗に踊れる体を持っていたこと、なによりもその長い手足、そしてその踊りに対するセンス?体を動かす時の本能的なセンス?が、とても近かったのではないか、と思う。
マイケル・ジャクソンはきっと見事にタップダンスも踊れたに違いないが(それは見なくても分かる)、なろう事ならば、アステアの華麗なムーンウォークも見てみたかったなぁ、などとかなわぬ願いを抱いたりしてしまうkikiなのでございます。

コメント

  • 2009/11/20 (Fri) 23:47

    少年時代のマイケルのタップダンス動画は、結構見ることができます。
    タップも上手いです。
    (そして、やっぱり兄弟で踊っても彼がセンターになってしまう)

    あと、マイケルの自伝『ムーンウォーカー』に、
    モータウン25周年(ビリージーンを踊ってムーンウォーク全国初披露した伝説のステージ)
    のすぐ後、晩年のアステアからマイケルに直接電話がかかってきて
    絶賛されたとあります。
    そしてアステアはその後自分でもムーンウォークを練習していたそうです。
    wikiなどには、マイケルがムーンウォークを直に教えたこともあるとか
    マイケルはアステアに共演も頼んだが年齢を理由に断られた
    などとも書いてあります。
    二人が一瞬でも同じ世界に生きて
    そんな時間があったことだけでもすごいですが
    映像がないのはやはり残念ですね。

  • 2009/11/21 (Sat) 02:44

    コメントありがとうございます。(ついでにお名前も入れていただけると幸いです) マイケルはやはり少年時代からタップも出来たんですね。出来ないわけがないですものね。アステアが彼のダンスを褒めたというのは聞いた事があったのですが、本人が直接電話で伝えたんですね。彼は後輩のジーン・ケリーもリスペクトしていつも立ててた人ですからね。アステアらしいな。マイケルも嬉しかったでしょうね。アステアはさすがに80年代になると、ちょっとヨロヨロしていた感じですから、共演は無理だったかも。もう15年ぐらい時代が被ってるとチャンスもあったかと思われますが…。二人が一緒にムーンウォークをしている映像があったら素晴らしかったのに。でも、アステアの存命中にマイケルが登場しただけでも素敵な事だったと思いますわ。

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