「無法松の一生」

~男の純情~
1958年 東宝 稲垣 浩監督



これは戦前の1943年に、稲垣 浩監督が、かの坂東妻三郎の松五郎で撮った「無法松の一生」の戦後のセルフ・リメイク版である。戦前版はバンツマが無法松か無法松がバンツマか、というぐらいに有名なバンツマの当り役なのだが、軍国主義真っ只中の戦前のこととて「帝国軍人の未亡人に車引きフゼイが懸想するとは何事か!」というわけで、殊に後半を検閲でズタズタに切られてしまった。稲垣監督は無念でならなかったのだろう。戦後になり、三船敏郎という好素材を得て、戦前のまま伊丹万作(伊丹十三の父)の脚本を使い、カラーフィルムで執念のリメイクを果たしたのが本作。その執念がベネチア映画祭のグランプリという勲章まで引き寄せた。手元にはまだ異様に単価が高い頃に買った製品版VHSがあるのだけど、昨今、日本映画専門チャンネルの三船敏郎特集で久々に本作を見かけたので、ふと、敏ちゃんファンとしては「無法松」についてもちょっと書いておかなくては、という気になった。


「小倉名物、袴に鼻緒、命知らずの松五郎とはわしのこっちゃ!」

むかーし、TVの邦画枠で放映されたバンツマの「無法松の一生」も一応録画して手元に持っているワタシ。戦後の三船版で全てのシーンを観ると、あぁ、このシーン、バンツマだったらどういう感じだったんだろうなぁ、とけして観ることのできないバンツマ主演のカット前の「完全版」について思いを馳せてしまう。一世一代といってもいい当たり役だけに、セリフ廻しや動作の端に至るまで、松っつぁんの人柄がかもしだすなんとも言えない味わいは、やはりバンツマの方がしみだすおでんダシのように効いているが、もはや伝説とも化した巨大なバンツマの影に逆らわず、かといって真似もせず、敏ちゃんは彼なりの柄で豪放な名物男の純情一代記を演じている。三船敏郎の登場で恩恵を受けたのは黒澤 明だけではないのだ。敏ちゃんという素材なくして稲垣監督執念のリメイクは果たされなかっただろう。ちなみに「無法松の一生」はこれまでに4回映画化されており、他の2本はあの三國連太郎版と勝新太郎版である。三國は濃厚にミスキャストの気配がするし、勝新は型にはまりすぎて通俗的になっていそうな気がする。いずれも特に観る気にはなれない。


バンツマこと坂東妻三郎の無法松と吉岡のぼんぼんを演じた少年時代の長門裕之

戦前のバンツマ版でバンツマ以外に特筆すべきはヒロイン・吉岡大尉の未亡人良子(よしこ)を演じた女優、園井恵子である。奥ゆかしく上品、かつ、たおやかで儚げで「明治の佳人」という風情が漂い、松五郎憧れの未亡人役にピッタリだった。あまつさえ、この作品を撮った2年後、園井恵子は広島で被爆して亡くなる。まさに美人薄命の喩え通りで、バンツマ版でのたおやかな姿を見るにつけ、何かしんみりとした感慨が湧いてしまう。


吉岡大尉の未亡人役はやはりこの人をおいて他にない園井恵子

ちなみにバンツマ版で吉岡大尉のぼんぼんを演じているのは子役時代の長門裕之。
子供の頃から長門裕之顔である。
このように松五郎も未亡人も鉄壁のキャストを配していた戦前版ゆえ、これに比肩するリメイク版を作るというのは大変な事だったと思う。前述した通り、それでも三船敏郎の松五郎は戦後としては最高のキャスティングで、リメイクするなら彼以外の一体誰で~という感じだ。味わいはバンツマの方が上だけれども、敏ちゃんの松五郎ももちろん悪くない。悪かろうはずもない。

問題は未亡人役が高峰秀子であるということ。高峰秀子は名女優であるし、演技力があるのでしっとりとした雰囲気は出ているがいかんせん容姿は地味で平凡だ。演技力だけではカバーしきれない役もある。吉岡大尉の未亡人役には神々しさのようなものが足りない。一人の男が生涯胸に秘める面影のひとであるからには観客にそれを納得させられなくてはならない。1958年(昭和33年)東宝の制作となれば、未亡人役には原節子をもってくるのが至当というものではあるまいか。


高峰秀子の未亡人 うまいが地味で華がない


ワタシがキャスティングディレクターなら万難を排しても吉岡未亡人役は原節子にしたと思う

この年、原節子は3本の映画に出演していて、そのうち1本は「大番」である。「大番」は獅子文六の原作による株屋のギューちゃんの一代記で、彼が生涯の憧れを抱く地元の令嬢可奈子さん役を原節子が演じている。同じマドンナの役だったら、原節子には「無法松の一生」で敏ちゃんを相手に未亡人役を演じて欲しかった。この未亡人役がなぜ原節子でなかったのか、理由は分からない。スケジュールが合わなかったのか、監督が高峰秀子を望んだのか…。けれど、リメイク版を観ていて、あぁこれを原節子が演じていたらなぁ…と肝のシーンで毎回思ってしまうのはワタシだけだろうか。戦前版の園井恵子に匹敵する雰囲気を醸し出すことができたのは、やはり原節子以外にいなかったと思うのだけど…。う~ん、残念。

ともあれ、戦前版と戦後版を双方見ると、同じ脚本で撮っているのであれこれと味わい深い。若かった松五郎が芝居小屋で大騒ぎを起こして、それを地元の侠客の親分がなだめるシーンがあるが、戦前版ではこの人格者の親分を月形龍之介が、戦後版では笠智衆が演じている。共にいい感じである。名物男・松五郎の人柄が気に入って家に招く吉岡大尉役を戦後版では芥川比呂志が演じていて、出演シーンは短いが忘れ難い。


登場して間もなく肺を患ってこの世を去ってしまう吉岡大尉役の芥川比呂志(戦後版)

また、クライマックスの祇園太鼓の「暴れ打ち」のシーンをバンツマと三船で見比べてみるのも一興である。これも味わいはバンツマのものだが、三船の太鼓打ちには迫力と気迫がある。運動神経が良く、器用だった人だけに太鼓も巧い。上半身をもろ肌脱ぎになって胴に真っ白な晒しを巻き、筋肉質の腕で力強く叩く太鼓は無法松の雄たけびであるから、やぐらも揺れる程のパワーで叩き付ける迫力はクライマックスの名に恥じない名シーンだと思う。


“空に響いたあの音は 度胸千両の暴れ打ち”の暴れ太鼓を打つ三船敏郎

また、カットされた戦前版には無いシーンとして、大尉なきあと再婚を勧めに来た実家の兄の申し出を断った未亡人が、兄夫婦が帰った無人の座敷をもの思いに浸りながらよぎり、亡き夫の遺影の前で力無く座り、うな垂れる姿を、庭で作業をしていた松五郎がなすすべもなく見守るシーン、松五郎がよく行く赤提灯で日本酒「富久娘」のポスターを見て、脳裏に未亡人の面影がよぎり、店のオヤジ(左卜全!)にポスターを貰って帰るシーン、暴れ打ちの後の祇園祭の花火の夜、吉岡邸を訪れた松五郎が、年齢を重ねても美しい未亡人の姿にずっと抑えてきた気持ちが一瞬表に迸ってしまい、自分を恥じて「俺の心は汚い、奥さんにすまん!」と血の叫びを発するシーン等である。なかんずく、花火の夜の激白は映画の肝であるから、ここをカットされては稲垣監督としてはどうしてもリメイクしないでは収まらなかったのだろう。いずれも松五郎の豪放の影の純粋さと繊細さが表れているシーンでもあり、そういう点からも三船はまさにうってつけのキャスティングだったと言えるだろう。
そしてバンツマはどんな風にこの松五郎の抑えきれない想いを演じていたのか、カットされ、喪われたフィルムが惜しまれる。


松五郎が貰って帰る「富久娘」のポスター 昔の日本酒のポスターっていいものが多い

ワタシは、兄嫁にさんざん嫌味を言われつつ、再婚を勧めに来た兄夫婦の申し出を断った未亡人が一人座敷を歩き、鴨居にかけられた夫の遺影の前で佇むと、目に涙を浮かべながらそこで静かに座り、声もなく一人泣くシーンがとても好きだ。それを庭から見つめつつ、自分にはどうすることもできない未亡人の傷心に心をいためる松五郎のありようともども、忘れ難いシーンである。このシーンがいいのは、無論、稲垣演出とそれを見事に表現した高峰秀子の演技力、それに情感を盛り上げる團伊玖磨の音楽あってこそなのだが、ワタシは毎度、あぁこのシーンを原節子で見たかったなぁ、とどうしても思ってしまうのを禁じえない。高峰秀子には申し訳ないけれど、こればかりはどうしようもない。役者にはそれぞれに適役というものがあるのだ。


良子は静かに座敷を横切り、夫の遺影の前に座って涙ぐむ


松五郎が未亡人良子に寄せる想いには、幼くして喪った産みの母への尽きせぬ思慕が根底にある。貧しい家で継母に邪険にされて育った松五郎は、良子のような母の真綿のごとき愛情に包まれて育つぼんぼん敏雄に対して羨望と憧憬の混ざった愛着がある。はからずも吉岡大尉が早世した事により、父親の代理のような形で一家の春秋に折節加わるうちに、自らが味わえなかった理想の家庭の幻想を束の間夢見る松五郎。あるときは息子の立場になって良子のような母の慈愛を感じ、時には良子のような妻を持つ自分を淡く、無意識のうちに夢想する。良子が再婚話に乗ってあっさりと再婚してしまうような女だったら松五郎の夢も醒めたかもしれないが、亡き夫に操を立て、一人息子のために後家を通すという未亡人は、ますます松五郎の目に理想の女性としての光輝が増すのである。しかし、戦前の日本には埋められない階級の溝があった。華冑屋敷に住まう帝国軍人の遺族と車引きでは、本来ならまともに口をきくこともできない身分の差があった。それは明治時代だけの話ではなく、昭和も戦前まではそんな空気があったのだろう。だからこそ、今観るとどこが問題~と思うようなシーンも検閲で切られてしまったのだ。


節目節目に入る車輪の動きや勢いのカットで松五郎の年齢や体力が分る

余談だが、15年ほど前、実家の近くの古本屋をひやかしていたら、大学生らしい男の子が店のおばさんに「岩下俊作の『富島松五郎伝』は無いですか~」と聞いているのを耳にした。店のおばさんは「ないですねぇ…どうもそのへんの本というのはあまり出てこないんですよね」と返事をしていた。『富島松五郎伝』は「無法松の一生」の原作本である。そんなレアなものを捜しているハタチそこそこの男の子なんて珍しいなと思ったので、なんとなく無いと言われてガックリしている様子をみてそのままにするのもどうかと思われ、「原作本は持ってないけど、映画化された作品なら戦前版も戦後版も持っているから良ければ貸してあげましょうか」と声をかけた。ワタシにしては珍しいお節介だけれど、なんだか無法松の原作を読みたいなんてレアな趣味の若者にはシンパシーが湧いてしまったのかもしれない。それに今ほどあちこちにレンタルビデオ店があるという時代でもなかった。彼は観てみたいけど申し訳ないですから…と遠慮していたが、店のおばさんの、「良ければ私が責任をもってお預かりして仲介しますから、折角のご好意だしお借りしてみたらどうですか~」との口添えもあり、ワタシは名前も知らない若者に新旧双方の「無法松の一生」を貸す事になった。2週間ほどたって古本屋に行くとおばさんが返却されてきたVHSを渡してくれた。VHSの入った袋の中には礼状が添えられていて「お陰さまで思いがけず新旧両方の「無法松の一生」を観られてとてもラッキーでした。ありがとうございました」とあり「バンツマ版と三船版では、僕はやはりバンツマ版が良かったと思います」とも書き添えられてあった。

話はそれだけなのだが、一般的にはなんだかんだ言ってもやはりバンツマ版だよ、という意見が大勢を占めるだろうとも思うのだけど、ワタシは三船の熱演も努力賞ものとしてバンツマの名演とはまた別のいい味を出していると思うし、松五郎らしい雰囲気も出ていると思う。
三船敏郎は主に昭和30年代の日本映画を背負って立っていた男性スターNo.1だった。色々な監督に請われて八面六臂で大活躍した彼の代表作はけして黒澤作品ばかりではないのだ。そして、戦前に切られた作品を完全に再現してやる!しかもカラーで!と決意し、それをやり遂げた稲垣 浩の物作りとしての執念にも敬意を表したいと思う。

コメント

  • 2010/01/21 (Thu) 14:00

    こんにちは。いつも的確なご筆致、楽しく拝読しております。
    この文字量と頻度でお仕事もこなされているとは敬服の至りです。
    どうぞお体に気をつけて、今後もご活躍ください。

    さて無法松
    私も大好きで
    板妻版、三船版どちらも何回か見ております
    無法ぶりは最初の芝居小屋でにんにく煮るくらいで
    愛らしいおじさんでしたよね。

    吉岡夫人=高峰秀子は、確かに地味でした。
    美しいし素晴らしい演技だけど、林きむ子、柳原白蓮みたいな
    明治上流美人の「高嶺の花」感が足りないんですよね。
    うーん、鋭い! もやもやをうまく言い当ててくださって感謝です。

    どちらか忘れましたが(シナリオは同じだから両方?)
    前半、松五郎が吉岡のボンを構ってだかなんだかで
    車のお客さんが遠くでほったらかしにされてるシーンがおかしかったです。
    (チャップリンの映画みたいな、プンプン!みたいなクラシックな怒りのパフォーマンス)

    三船版で、車輪が止まったとき、
    子供心にも、あ、死んじゃったんだ…とわかって涙が出ました。
    板妻版で、松が夢を見ながら過去の絶好調で太鼓叩くシーンなど走馬灯のように思い浮かべるラスト(確か)も、死の予感がしましたが。
    暗喩の効果をこの映画で初めて知ったかもしれません。

    つまらないことを長々とすみません。
    ではでは。

    • 五郎島金時 #-
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  • 2010/01/21 (Thu) 22:12

    五郎島金時さん。いつもご覧いただいてありがとうございます。長文コメント歓迎ですのでどんどんどうぞ。ワタシの記事もどうも毎度長文になってしまう傾向がありましてね。本当に書きたい事について書く時には言いたい事がいっぱいあるもので、短くまとめるってことができないんですね。推敲しながらじっくり書いているんじゃなくて、頭に浮かんだ事を書き流している状態なのでやっていけるのかもしれません。いずれにしても趣味ゆえ楽しんでやっております。
    そうそう、松っつぁんは健気で純粋なおじさんですよね。暴れん坊というのは若い頃だけで、吉岡の奥さんに出会ってからはすっかり品行方正になっちゃって(笑) で、吉岡未亡人については、まさにそれです。高峰秀子では「高嶺の花」度がなさすぎるんですね。品もしっとり感も一応あるんだけど畏れ多い感じがしない。林きむ子、柳原白蓮みたいなというのは言いえて妙ですね。ついでに九条武子も付け加えておきましょうかしら。それと、客を放り出してぼんぼんの凧糸をほぐそうとするシーンは新旧双方にあります。客が全く同じ動きをしている感じです。あの動きは無声映画の味わいですね。車輪の回転の速度が松五郎の年代を表して、その回転につれて思い出が走馬灯のように巡るシーンは、戦前版は日本のモンタージュの走りと言われたんでしたっけね。ここもきっちりと新旧同じように作ってますね。そして車輪が止まった時に…。赤貧環境でついに独り身のまま死んでも、好きな人にずっと尽くして嬉しかったんだから、それなりに幸せだったという事になるのかもしれませんね。生涯にわたる夢を見た、ということで。

  • 2010/01/24 (Sun) 00:13

    シークレット・コメントさん。どうもどうも。初コメントありがとうございます。いつも書きたいように書いているだけのワタシの文章もお褒めいただいて嬉しいです。そうですか。南仏で黒澤特集を観られたとは素敵な観賞体験ですね。異国の地では、またひとしお敏ちゃんの姿も瞼にしみそうです。さて「妻の心」と「下町」。ワタシも映画好きが嵩じてCS(現在は光TV)を導入してあれこれと映画を観まくっておりますが、ツタヤで捜したりミニシアターで上映してくれるのを待っているだけではなかなか観られない作品も観られてかなり重宝しています。「妻の心」は割に成瀬特集などでミニシアターにもかかるし、VHSならレンタルもありますが、「下町」はかなりレアなのでそうそう見る事はできない作品ですよね。何かの機会にご覧になれるといいですが…。
    そうそう、今、神保町シアターで高峰秀子特集やってますね。ワタシは既に観た作品が多いので、今回は見送ろうかと思っているんですが、「妻の心」も「無法松の一生」もラインナップされてますね。そしてなんと!「妻の心」を観賞するために上京されるとのこと。ワタシの記事がきっかけで、とはとても光栄で嬉しいお言葉ですが、反面、責任も重大ですね…(冷や汗)。「妻の心」は出ずっぱりの主演という作品じゃないので敏ちゃんの出演シーンもそう多くないですが、期待しすぎずに男前の敏ちゃんをさらっと観賞されてください。いずれにしても初観賞が劇場で、というのはベストですよね。神保町シアターはこぢんまりしてますが、綺麗で椅子も快適だし、音響もいいですよ。銀行員の敏ちゃんとハッピーなご対面になることをお祈りしています。

  • 2010/01/24 (Sun) 00:37

    kikiさん、「無法松の一生」というと、私は幼少の頃見たTVドラマを思い出だすんですよ。
    確か連続物で、演じてたのは悪役・脇役で鳴らした南原宏治。吉岡未亡人役ははて誰だったかと調べたら何と南田洋子でした。無法松の吉岡親子への献身、未亡人への思慕というものが子ども心にも何となくわかって、もの哀しいけれど面白いドラマだったと記憶してます。

    さて映画の方はというと、伝説のバンツマも三船版もどちらも観てなくて・・・じゃあと私も日本映画専門チャンネルで観てみました! 正直な感想はね、いい映画でした~。仰るように豪放だけれど繊細で純情な松五郎を三船敏郎は見事に演じてましたね。見てて結構涙腺に来ましたわ、ふふ。そして(この発言はkikiさん怒るかもですが)彼の決して器用な演技派ではないところが、この役に合っていたのかなとも思うんです。暴れ太鼓を打つシーンはもう圧巻でしたね~。ほれぼれしましたぁ~♪
    kikiさんの”敏ちゃん熱”がこちらにうつりそう(笑)
    それにしてもデコちゃんに厳しいですね~。たしかに原節子だったら完璧でしょう。
    飯田蝶子、上田吉二郎、左ト全、懐かしい顔があちこちに・・・。それから芥川比呂志の若くて素敵なこと!(演技も巧かったですね)。私はもっと後に出たテレビドラマでの初老の頃しか見たことがなかったので。
    バンツマ版はわからないけれど、とにかくこれは名作でしょう。


  • 2010/01/24 (Sun) 01:34

    ジョディさん。そんな連続TVドラマがあったとは知りませんでした。それにしても南原宏治とは!「無法」な感じを強調しようとしたのかな(笑)未亡人が南田洋子というのはデコのラインを踏襲してる感じですね。そして、ジョディさんも敏ちゃんの「無法松」観られましたのねん。そうなんですよ。なかなかいいでしょ?隅々まで再現された明治という時代(松がぼんを助けるのが日露戦争の祝勝ムードで提灯行列が賑やかだった時期なんですよね。またぼんぼんが歌う「青葉の笛」という唱歌はうちの父が子供の頃も学校で習ったそうで、明治と戦前の昭和は地続きだなぁとつくづく思います)の空気や背景などもいい感じです。お、涙腺に来ましたか。ワタシは涙までは出ないのだけど、成長したぼんが「ぼんぼんと呼ばれるのを嫌がっているから吉岡さんとでも呼んでください」と未亡人に言われて「まるきり他人さまのようじゃのう…」と寂しそうに呟くシーンで毎回きゅ~んとしてしまいますわ。敏ちゃんは不器用な俳優だとけっこう言われてますよね。だから別に怒りませんわよん。でも、彼が不器用なのはセリフ廻しなどであって、普通の俳優にはなかなか出来ない事をさらっとやってしまったりする身体能力の高さや、達筆だったり、裁縫もできたりするという手先の器用さなどが一方にありましてね。「高倉 健の不器用さ」とはまた趣が異なるんですのよね。デコに厳しいですか?他の映画ではさすがデコ!と思う作品もあれこれあるんですが、これはVHSで最初に観たときに「なんでデコなの?」と首を捻った印象がいまだに変わりません。バンツマ版を先にTVで観ていて、三船版があると知った時に絶対に未亡人は原節子だな、と勝手に一人合点していたら、デコだったので…あれ!?って感じで。悪くはないけど、やっぱり地味ですわ。脇役陣も顔ぶれが揃ってますよね。有馬一郎がオイッチニーの薬屋さんでちょこっと出てきて、ワタシはそういう行商の人がいたのを「無法松」を観て初めて知りましたわ。そうそう。芥川比呂志、良いんですよね、やっぱり。バンツマ版もそのうちに同チャンネルで放映するかもしれませんので、その時はすかさずチェックしてみてください。

  • 2010/01/24 (Sun) 22:34

    三船さんの身体能力…
    殺陣シーンは当然として
    筆頭は隠し砦の乗馬でしょうか。
    酔いどれ天使のダンス(チャールストン?クイックステップ?)も色っぽかったですね。

    • 五郎島金時 #-
    • URL
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  • 2010/01/25 (Mon) 00:06

    五郎島金時さん。そうそう、筆頭は「隠し砦の三悪人」での両手に刀を持って馬で疾走するシーンですよね。全くあんな事は誰にでもできる技じゃありません。凄く努力もしたんでしょうけど、本当に大したものだと思います。

  • 2012/11/06 (Tue) 14:53
    女優・園井恵子

    初めまして、UENOと申します。園井恵子の検索で貴兄のブログに辿り着きました。「無法松の一生」の批評、楽しく拝読させて頂きました。適切な批評に頷きながら、吉岡夫人役・園井恵子の描写には「正にその通り」と心で呟いていました。
    最近では、テレビチャンネルも増え専門で放映することもあり、阪妻・三船の無法松を何度か観ています。共にいい俳優ですね。
    園井恵子さんが岩手出身ということは、最近岩手町在住の親戚が運営するHPで知りました。

    来年が生誕100年だそうで、地元岩手町では企画があるとか。
    それにしても仰るとおりです。このような典型的な日本美人の女優さん、もう現れないでしょうね。
    無法松を演じられるような男優も出てこないかもしれません。
    いい映画です。

    話は変わりますが、コメントで「隠し砦の三悪人」について触れていましたが、三船の身体能力は高いと思います。真壁六郎太・田所兵衛の槍での決闘場面が圧巻でした。殺陣をつけたのが剣術家の杉野嘉男氏、迫力があるわです。

    最後にお願いですがリンクをさせて頂ければと考えております。
    よろしくお願いします。

  • 2012/11/06 (Tue) 23:51

    UENOさん、初めまして。
    「貴兄」と書いていただきましたが、ワタシはUENOさんからご覧になるとかなり若輩者で、しかも男性ではないので、小娘という感じになるかもしれません。(笑)自分が生まれるずっと前の古い映画などが好きな人間でして、殊に邦画は古いものしか観ないといってもいいかもしれません。バンツマ版の「無法松の一生」は、昨今TVで流れる機会が多いみたいですね。暫く三船版がよく放映されていたので、今度はバンツマ版という感じでしょうか。

    園井恵子さんは岩手のご出身なんですね。なるほど、言われてみると北国の美女という感じもありますね。園井恵子さん型の美人というのは、日本から絶滅してしまったかもしれません。しっとりとして品が良く、嫋々とした風情のある着物美人なんて、もうどこを探しても居ないかもしれませんね。そして、無法松を「なんちゃって感」なく演じられる俳優も、もう日本では絶滅危惧種かもしれません。既に絶滅してしまったかも…。

    そして、三船敏郎は身体能力も高いし、顔も日本人としてインターナショナルにハンサムで通るいい顔をしているし、稀有な才能、稀有な俳優だったと思います。あんな人はもうこの先の日本には出ないでしょう。

    リンクの件ですが、社長さん(UENOさん?)のブログの方にリンクを張ってくださる、という事でしょうか。それでしたら、どうぞよろしくお願いいたします。(御社のページの方ではないですよね。URLをクリックしたらいきなり会社のページが現れてちょっと驚きました(笑))

  • 2012/11/07 (Wed) 13:18

    KiKiさん、ご快諾有難うございました。
    早速、『阪妻の「無法松の一生」を観て』のページにリンクさせて頂きました。
    批評文の筆致から男性と思い込んでしまい失礼しました。
    他に得た印象、使われる言葉(漢字)、語彙の豊富さから同世代かそれ以上の年配の方を想像していました。
    「ワタシ」の語を使っていることから気付くべきでした。

    若輩者で小娘とは信じられません。
    古い邦画のファン、これも驚きです。
    でも、そう言われてみると映像技術の進歩で古い映画も見られるようになっている時代、そのようなファンがいてもおかしくありませんね。

    小生、子供の頃映画館通いの映画ファンでした。
    ある場所が、神保町、神楽坂でした。
    この頃、そろそろテレビ放送が始まる時期ですが映画黄金期、男優・女優が「スター」と輝きを持っていた時代です。

    よく観た映画は東映の時代劇、若手では中村錦之助、東千代之介、伏見扇太郎、大谷友右衛門等、ベテランでは片岡千恵蔵、市川歌右衛門、月形龍之介、大友柳太郎等が活躍していた頃です。日活、松竹、東宝、新東宝も観ています。強い印象がある映画は「ゴジラの逆襲」です。
    子供でしたからゴジラに恐怖感を抱きました。

    そして三船敏郎という映画俳優を知ったのは「隠し砦の三悪人」からではないでしょうか。雪姫役・上原美佐が一般公募で採用された事など、新聞記事を読んで知ったと記憶しています。
    それ以降、高校生の頃になるとリバイバル映画が流行り三船主演の映画を観るようになりました。「野良犬」「酔いどれ天使」「七人の侍」などなど。
    池袋の映画館で観た「七人の侍」は英語の字幕スーパー付きでした。
    これを観て黒澤・三船ファンとなり、「用心棒」「椿三十郎」「天国と地獄」「赤ひげ」・・・を観てきました。

    「天国と地獄」が公開されたのは高1の時、確かテスト期間中でしたが観に行きました。ある時教室に入ってきた体育教師が観た奴居るかと聞いたので挙手するとテスト期間中に行くとはと叱られました。勉強もしないで映画を観に行ったことに。
    先生も聞くくらいですから観ていたのでしょう。
    煙突から出る煙の色が「カラー」に変わる演出が印象に残っています。

    黒澤明監督の殺陣も凄かったですね。
    斬る擬音が効果を上げ迫力満点、三船の速い動きも加わり斬り合いのシーンは今までと違い圧倒されました。
    「椿三十郎」のラストシーン本当に驚きました。
    血しぶきが噴き出るあのシーンです。

    この時期、映画を観る場所池袋、銀座有楽町となって洋画もよく観ました。
    ひとつあげれば「ウエストサイド物語」かな。ジョージ・チャキリスが格好よかったです。
    三船敏郎は国際俳優として外国の映画にも出演するようになり外国人が知っている日本人NO1でしょうね。

    貴女が熱烈なファンになるのも頷けます。
    これからも様々な情報を発信し続けてください。

    失礼しました。


  • 2012/11/07 (Wed) 22:25

    uenoさん こんばんは。
    当ブログの、どの記事から最初に読むかにもよるとは思いますが、自分でも、古い日本映画の記事などを書いているときに、これを読む人はワタシを一体何歳だと思うのだろうな、と時折思ったりします(笑) 男性に間違われた事はこれまでに無かったと思いますが、それはそれで面白いな、と思いました。若輩者というのは、あくまでもuenoさんからワタシをご覧になった場合に、ということですが、ワタシが古い映画について子供の頃から興味があり、昔のスターについてもやたら知っているのは、映画好きな両親の影響大だと思います。とにかく、子供の頃からなつメロや古い映画の大好きな子供でした。新しいものを受け入れないという事はありませんが、日本映画に関しては最近のものはあまりに質が低すぎて昔の映画しか楽しめません。

    uenoさんは、お子さんの頃から映画館で映画をご覧になってきたのですね。ちょうど、日本映画の黄金期に中学、高校時代を過ごされたご様子で、よい時期に映画館通いをされたのだろうな、と推察いたします。

    ワタシは三船敏郎の映画では、やはり「用心棒」が一番好きですが(次に「隠し砦の三悪人」)、侍ものばかりではなく、現代劇でスーツを着て普通のサラリーマンを演じていたりする姿も、穏やかで常識的な男性を演じる様子がすがすがしくて、けっこう好きです。もちろん「無法松の一生」も落としてはなりませんね。

    今は、昔の名作がデジタル化されて、非常に鮮明な映像で家にいながらにして見ることの出来る便利な時代で、そういう時代の恩恵はたっぷりと受けているな、と思います。

    uenoさんの「無法松」記事へのリンク、ありがとうございました。
    これからも、沢山の映画を楽しまれてください。

  • 2015/06/24 (Wed) 09:57
    三船敏郎、ハリウッド殿堂入り。

    kikiさん、
    久しぶりにコメントします。
    三船敏郎・敏ちゃんがハリウッド殿堂入りをしますね。
    当然の事と思っていますが、やはり世界のミフネです。
    このニュースを聞いて思い出したのが「太平洋の地獄」でした。
    リー・マービンと共演し、二人っきりの南海の孤島で争いながら、生きるために助け合う物語でしたね。撮影時、監督からある場面で「泣く」ことを要求されたことに対し、日本の軍人は泣かないと突っぱねたとか!?
    実際、陸軍の軍人、彼の気概を感じます。
    中学、高校生時代に観たミフネの映画は感動と共に記憶に残っています。
    真壁六郎太、桑畑三十郎、椿三十郎の役で見せた殺陣は今でも忘れられません。
    何せ、剣豪に憧れた世代です。
    やはり、時代劇のミフネが好きです。
    リー・マービンを最初に観たのはテレビ映画です。
    保安官役をしていたと思いますが、この映画を見て有名な俳優と知りました。
    個性的な俳優として印象にあります。
    そんな事から、この二人が演じた「太平洋の地獄」を思い出したのでしょう。
    kikiさん、大好きな敏ちゃんの殿堂入りおめでとうございます。

  • 2015/06/24 (Wed) 21:24

    uenoさん こんばんは。お久しぶりです。
    そして、嬉しいニュースをありがとうございます。
    敏ちゃんが遂にハリウッド殿堂入りですねぇ。
    おめでとうございます、と言っていただいて、ワタシがありがとうございます、とお答えするのもおこがましい限りですが、ファンの一人として、素直に今回の殿堂入りは嬉しゅうございます。はい。「砲艦サンパブロ」のマコ岩松氏や、ゴジラよりも後、というのが些か微妙ではありますが、この際、それは脇に置いておいて、敏ちゃんおめでとう!という気持ちで喜びませんとね。uenoさんは「太平洋の地獄」を思い出されましたか。その日本の軍人は泣かない、と泣く芝居を突っぱねたという話はどこかで読んだ事があります。世界のミフネになってからは、日本代表、という心持ちで機会あるごとに大和魂をアピールしていた感じですね。当時は今よりも日本に対して誤解や偏見が多かったから、余計に気合いが入ったのかもしれませんね。何はともあれ、さすが敏ちゃん!です。

  • 2015/07/16 (Thu) 17:23

    kikiさん、またコメントさせて頂きます。
    「無法松の一生」三國連太郎、勝新太郎と演じていますが、ちょっと思い出したのですが、確か南原宏治も演じていたと思います。テレビ映画だったかな?。阪妻の「無法松の一生」の松五郎役は男優として演じてみたいと思わせるのでしょうね。「忠臣蔵」の大石内蔵助役みたいに!


  • 2015/07/16 (Thu) 22:39

    uenoさん こんばんは。
    南原宏治の「無法松の一生」は噂は聞いた事があるんです。未亡人は南田洋子が演じていたとか。で、どこかケーブルのチャンネルで帯放送していたらしいのも番組表で見かけたりしたんですが、何せ昼間の放映だったりして、録画してみる、という感じでもないので、見逃しちゃってます。気付いた時にはもう最終回だったりして。なかなかタイミングが合いません。
    でも、南原宏治は似合っている気がしますね。案外、阪妻のフィーリングに一番近かったりして…(笑)

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