復権なるか、日の丸飛行隊



夏も冬も始まる直前まではどうでもよくって、「あれ?今年だったっけ?」なんていうぐらいに興味薄なオリンピックだけれど、いざ始まると何となく気になるもんですね。本日の東京は(今日に限らずここ数日はずっとだけれど)非常に寒くて天候も悪いので、こんな日は暖かいおうちの中でワインでもちびちびやりつつ、開会式でも眺めているのが平和でよろしいかもしれません。明日はお出かけ日和、今日はおこもり日和。
さて、今年はバンクーバーがどうした事かやけに生暖かくって雪などおぼつかないというありさまらしいけれど、競技会場のあたりは大丈夫そうだということ。でも大丈夫じゃなくたって、この際バンクーバーはどんな手段を使っても大丈夫にするしかないでしょうね。雪がなくっちゃ話にならぬものね。

で、開会式はというと、先住民をとてもリスペクトしようとしている、というコンセプトはよく伝わってきましたが演出的には「まぁ、普通」という印象でしたかね。悪くいえばあまりに垢抜けないので途中で見るのをやめちゃった。冬季五輪ではアルベールビルの演出がダントツにハイセンスで印象的で美しく、お?、さすがにおフランス!と思った事を非常によく覚えています。そんなに色々と観ているわけじゃないけれど、冬の五輪の開会式ではアルベールビルがピカイチだったという記憶が強烈に残っているワタクシなんですのよね。
あれ、もう一度観たいなぁ。

さてさて、競技についてはというと。
ワタシは五輪においては夏の競技も冬の競技も、ど素人には真似さえもできないという超絶的な競技を観る方が好きですね。だから球技などを延々と見るというのは退屈でダメ。もちろん観ているうちにそれなりに面白くはなるのだけれど、そもそも観ようという気があまり起きて来ない。

そんなわけなので、夏の競技では体操、冬の競技ではノルディックのジャンプが、“始まったら見る”種目。一応フィギュアもうっすらと気にはなっているけれど(真央ちゃん、頑張れ!)最近ちゃんと観てないので素敵系男子がいるのかどうなのかもよく分かっていなかったりして。でも、真央ちゃんには是非とも女王になってもらいたいもんです。困難が多そうだけれどね。



さて、冬のスキー競技ではアルペンよりもノルディックの方がいい感じの日本だけれど、中でもスキー・ジャンプというのは、いにしえの札幌の日の丸飛行隊以来のお家芸ですわね。日本ジャンプ陣については、とりわけ鮮やかだった1998年・長野の記憶はまだワタシの脳裏にも残っていて、スキー・ジャンプと聞くと、原田のお涙頂戴逆転劇とともに、冬空を背景にペパーミントグリーンのジャンプスーツでフィッシャーの板をV字に開いて悠々と滑空していた船木和喜の姿が思い出されます。あの時の船木は絶好調。ワールドカップ首位のゴールドゼッケンのただ中で迎えた長野オリンピックゆえ、世界一といわれた飛形もあいまって、どこまででも飛んで行けそうな空気をまとってました。日本のスキー・ジャンパーがなんとなくヤンキー臭のするアンチャン達で、バイクをブイブイいわせる代わりにジャンプのスリルに病み付いているという感じなのだな、というのも長野の時に何となく分りました。(そういう人ばかりでもないだろうけれど、そういう人も多いのね、みたいな)あの船木の剃り込み眉毛とか豚の尻尾みたいな一筋の短い三つ編みにはヤンヤン臭がぷんぷん。ワタシはヤンキー臭ほど嫌いなものはないので地上の船木にはゲンナリ。おまけに虚ろな目をしてロクにしゃべれもしないし、寒さ負けで肌も汚いし。しかし、そんなヤンキーがジャンプ台から滑空する姿は優雅で美しくさえありました。このギャップが面白かった。ラージヒルで個人の金メダル。長野の後もワールドカップで転戦を続けてその年はW杯年間総合2位で幕。船木にとって人生最良の年だったでしょう。日本ジャンプ陣にとっても五輪初の団体金メダル。式典も会場もなんだか冴えなかった長野だけれど、地元開催の花はきちんと咲いたわけです。


「世界の翼」だった頃の船木和喜

でも日本の優位が保たれる状態などそのままにしておいてくれるわけもなく、その後打ち出されたあからさまな日本封じの為のルール改正に次ぐルール改正で概ね2000年を境として、船木を筆頭とする日本勢はすっかり翼をもがれてバランスを崩し、空中で空気をしっかりと踏まえて長く長く滑空していく感覚を取り戻す事ができなくなってしまったわけですね。このジャンプのルール改正にはあの荻原健司も足を取られて飛距離を伸ばせなくなり、複合の必勝パターンも崩れちゃった。(不思議な事に、キング・オブ・スキーと讃えられた兄よりも、ついにその兄を一度も凌駕することのなかった弟・次晴が長野以降、達者なしゃべりでマスコミで名を売り、すっかりスポーツ・コメンテーターに。W杯はともかく五輪は長野にしか出ていず、それも6位入賞だったわりには、ワンチャンスでその後のポジションを得た要領のいい弟である。兄はいまや政治家に。大丈夫か、健司)

随分前だけれど、あるスポーツバラエティ番組で、まだジャンプの第一人者だった頃の船木を、そのかみの落ちぶれたジャンプの天才・ニッカネンが訪れ、船木の励ましによって10数年ぶりに板を履いて低めのところからジャンプ台を滑り降りてみるという企画があり、絵に描いたような転落人生を送っていたニッカネンが、顔だけはまだ昔の王子サマ風の面影を残しているのが妙に物悲しく、船木もかつての憧れの英雄が目の前でへりくだるのを見てとまどったような表情を浮かべていたけれど、その後、船木自らが失墜したイカロスとなってしまうとは、なんともねぇ。(まぁ、彼の場合ニッカネンのように借金まみれで離婚だの殺人未遂だのと人生の泥沼にハマったわけではなく、競技者として揮わなくなってしまっただけなのだけど…)勝負の世界は非情なもんでございます。

 不屈の飛び屋 葛西紀明

結局、ルール改正によって翼を焼かれた船木は、失墜したまま翼を取り戻せないでいるようだけれど、あの長野から12年を経て、もうダメかと思っていた日の丸飛行隊が復活してきた兆しじゃありませんか。しかも長野の時には後輩の船木の影で鳴かず飛ばずだった葛西が、いまや同年代の選手が皆、現役を退いてコーチなどになる中、ヤンキー・ジャンパー仲間の岡部とともに気を吐いております。葛西は悔しかったと思いますね。実力はありながらいつも五輪では力が出せずに雌伏して来た葛西にとって、幾つになろうと飛べるうちは挑戦しないじゃいられなかったんでしょうね。どこの国の選手も世代交替して若い人が多い中、葛西・岡部の日本のオッサンコンビは異色だけれど、それもド性骨の座ったヤンキー魂の飛び屋の意気地ってものなんでしょう。
今回をはずしたらさすがにもう後がないだろうし、葛西には特に有終の美を飾ってほしいもんでございます。
いじめのようなルール改正を乗り越え、なかなか進まない世代交替というお家事情も改善されてきて、長い低空飛行時代に終止符を打ち、再び日の丸飛行隊の栄光なるか! 静かに期待しましょう。

コメント

  • 2010/02/15 (Mon) 00:20

    kikiさん、ジャンプお詳しい!(意外!?) 
    たしかに長野の時はドラマチックでしたね。
    そうそう、札幌の日の丸飛行隊もしっかりとこの目に焼きついてますよ、大感動でしたわ~。
    「虹と雪のバラード」もなつかしい。
    今日のノーマルヒルはふるわなかったけど、ラージヒルで意地を見せて頑張ってほしいですね。

    わたしが今回一番楽しみにしてるのはフィギアスケート。もちろん真央VSヨナに加え鈴木明子の活躍(フリーのウエスト・サイドのノリノリのはじけっぷりったら!)も期待しちゃう女子だけど、それ以上に男子の激戦が見もの! 高橋大輔が4回転ジャンプにこだわらず芸術性、演技面でベストを出せばメダルは付いてくる、と思うのですがね~。船木のギャップ・・・わかるわ! 高橋も顔は濃すぎるし髭もなんだかねぇ、と私の好みではないんだけど、ひとたびリンクに上がればしなやかにセクシーに何とも魅力的かつ力強いスケーティングをしますからねぇ。ジャンプのジュベール(彼が一等ハンサムかも)、ランビエール(この人も芸術派・要チェック)ライサチェックにウィアー他  あ、それから復活プルシェンコも(4回転は確実だけど、演技構成面ではどうなんだろう?ちょっと面白みに欠けるかな・・・ってハハ)。
    それぞれ魅力ある選手ですよね、プレッシャーに負けず最高の演技をして感動させて欲しい!

  • 2010/02/15 (Mon) 07:32

    ジョディさん。ジャンプのノーマルヒルはダメだったようですね。日本ジャンプ陣はまだメダルに手が届くところにまでは復活してなさそうですが、最悪の時期は脱したと思いますわ。詳しいわけではないですが、長野の前後はけっこうジャンプには興味を持ってたんですよ。だって普通の人には絶対に出来ないでしょ。想像もできない世界だなぁと思ったら興味が湧いちゃって。意外でした?ふふふ。
    フィギュアは一番人気の種目でしょうね。殊に女性はこの種目しか興味ないって人も多いような。ジョディさんもお詳しいですねぇ。高橋大輔ってワタシはどうも…。安藤美姫と似たニオイがします。なんか安手な水商売臭がぷんぷんというか…。ジュベールというのはチラっと観たことあるかも。ここ数年、あまりフィギュアには関心がなくなってしまったワタシではございますが、五輪中にはちょろちょろっと観てみようかなと思ってはいます。

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