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「シャーロック・ホームズ」 (SHERLOCK HOLMES)

~新感覚武闘派ホームズはアリか、ナシか~
2009年 米 ガイ・リッチー監督



昨年、ガイ・リッチーの新作が「シャーロック・ホームズ」で、そのタイトル・ロールをロバート・ダウニーJrが演じるというニュースを聞いた時に、あまりの違和感に「あらら、それはどういうホームズ??」と思ったのだけど、それだけに仕上がりはいかがなものか些か興味があったので劇場へ。「ハート・ロッカー」はレディースデーでも男女比は半々に近かったが、このたびは殆ど女性一色のシアター模様だった。

冒頭、スピーディな展開やスリリングなカメラ・ワークと19世紀ロンドンの陰鬱な風景を再現した映像にも引き込まれて、お、これは!と思い、新感覚武闘派ホームズも悪くはないかな、と思って展開を眺めていたのだけど、途中からなんとなくお話が冗長になってきて気分がダレ始め、持って廻ったセリフも、ウジャウジャとした設定もなんとなくけうとく思えてきて、やはり30分ぐらい余分じゃないだろうか…などと思いつつ中盤で映画から気持ちが離れたままで観賞終了。
やはりロバート・ダウニーJrをどうしてもホームズとは思えなかったし、あまつさえイギリス人にも見えなかったので、ガイ・リッチーの提示する「ニュー・ホームズ像」にはワタクシ終始馴染めないままだった。
頭がカタくてごめんなさいね。

それまで、人々の心の中に強固にこびりついてきたホームズのイメージとは真逆のダウニーJrを使ったのも、既成概念を撃ち壊そうという試みの現れに他ならないのだと思うのだけど、やはりどうあってもダウニーJrをシャーロック・ホームズとして見ることは難しい気がする。別に、痩せてひょろ長い、鷲のような顔つきの、神経質そうなタイプに固執しているわけではなく、新しいホームズ像が魅力的であればそれに越した事はないと思うのだけど、このホームズにはどうもノレなかった。ダウニーJrはニュー・ポワロとかの方が似合うかもしれない。ともあれ、ワトソン君よりちっこいホームズなんてやはり有り得ないんじゃないかしらん。


ホームズって言われちゃうと、やはりどうも…

従来のホームズイメージを踏襲するなら、適役のブラックウッド卿を演じるマーク・ストロングの方がよほどそれっぽいルックスだ。ホームズ役者はドラキュラをやってもハマるような人が定番だが、この作品でのマーク・ストロングもいつ黒マントで覆った口元からくわぁっと口を開いて長い牙を出すかしらん、と思えるようなドラキュラ・ルックスでうっとりと自分に酔いながら敵役を演じていた。ガイ・リッチーはこのマーク・ストロングをとても信頼しているらしく、この先もずっとガイ・リッチー映画にはなんらかの役でマーク・ストロングが登場しそうな気配である。


従来のホームズ・イメージならこの人の方がそれっぽい マーク・ストロング

だがしかし、トレーラーを観た時からこれはハマってそうだと思ったワトソン君のジュード・ロウは良かった。彼一人だけとても良かった。彼とても従来のワトソン君とは幾らか異なる人物像を演じていたのだけど、これはしっくり来てました。一人で儲けちゃったんじゃない~という印象もある。実際問題、ジュードがワトソン君で出ていなかったら、この映画はちょっとキツかったなぁという気もしなくもない。映像はとても凝っていて、どこがオープンセットで、どこからがVFXだか繋ぎ目が分からない自然な仕上がりで19世紀のどんよりとしたロンドンのありようが描き出されていたし、架橋工事中のロンドンブリッジなんてものも登場させてお話にもちゃんと絡ませて観客サービスも忘れない。色調も見事に19世紀ロンドン的なトーンでまとめられていて映像は見事だった。


一人だけとても良い感じだったジュード・ロウ ジュードの一人勝ち映画とも言えるか

その19世紀ロンドン的映像の、濃い陰翳のなかに、黒魔術だの秘密結社だのと19世紀的なファクターがおどろおどろしいムードで展開されていく。オカルティックなものを提示しつつ、それを明快に科学と理屈で解明していくのも、いかにも産業革命の時代のイギリスらしい。ということはシャーロック・ホームズ物らしいわけで、お話などは確かにそれらしいのだが、う~む、やはり肉付けとバランスですかね。
妙におどろおどろしい陰惨極まる映像と、他愛ない笑いのシーンなどのバランスがあまりよくない気がした。

まぁ、結局のところ、ダウニーJrのホームズにノレた人はOKだろうし、ワタシのようにどうにもノレなかったという人には、う~む、な印象の作品という事になるのかもしれない。ダウニーJrに当初感じていた違和感がどう変わっていくのかに興味があったのだが、結局ワタシ的には違和感アリアリのまま終わってしまった。二人出ている女優のいずれも華のない地味な女優で、画面に出て来てもちっとも楽しくないしねぇ。別にジュードのファンというわけではないけれど、ジュードが出ててくれてほんと良かったわ~という気がした。


登場する女優にどうも華がない感じ

その他、あらら~と思った出演者としてはブラックウッド卿の父親を演じたジェームズ・フォックスでしょうか。
どうも顔立ちがそうかなぁとは思ったのだけど、暫く観ないうちにあまりにお年を召されて、かつ、弛んでしまったのでまぁ…ちょっと観ないうちにこんな事になってしまわれたのね…とその老化ぶりに驚いた。「日の名残り」の時にはロマンスグレイの素敵なおじさま風だったのだが、少し見ない間にすてきもないお爺様になってしまっていた。

ロバート・ダウニーJrはシャーロック・ホームズよりも「アイアンマン」の方がやはり似合っている。「アイアンマン2」のトレーラーを予告編タイムに観たが、なかなか面白そうなので、今のところ封切られたら行く気は大有り。で、この「シャーロック・ホームズ」も宿敵モリアーティ教授を黒幕のようにちらりと登場させて続編アリだよ、という空気をチラつかせてはいたが、このホームズ物はもう観なくていいですわ、ワタシ。
1本観れば沢山でございます。はい。申し訳なし。

コメント

  • 2010/03/23 (Tue) 23:20

    私は、まあ、それなりに楽しめましたが、女優はホント、華が無かったですね。結構良い役なのに全く記憶に残らない・・・二人が二人とも何だかなぁ、って感じ。

  • 2010/03/24 (Wed) 07:21

    Rikoさんは楽しめましたのねん。ワタシも楽しめなかったわけでもないけど、う~む、という感じの方が強いかな。良かったのは映像だけかも。ところで、二人の女優のうち、レイチェル・マクアダムスは最近売り出し中の女優だし、他の映画ではちょっといい感じに見える時もあるのだけど、この映画ではなんだかイケてませんでしたね~。

  • 2010/04/08 (Thu) 13:43

    きのう、ふと急に映画が見たくなり、本作はずっと楽しみにしていた作品ではありましたが、kikiさん評を読むにつけ、どうでもいっかな、という気分になってましたが、痛快な映画が見たい!と思って他にめぼしいものもなかったので、出かけてみました。

    映像、音楽はよかったですね。申し分なしでした。
    でもなんだかストーリー展開が大仰で騒々しく感じ始め、疲れてきました・・・
    ホームズファンには皆思い入れがあるでしょうから、のれなかったらこれは辛いですね。
    わたしはロバート・ダウニーJrのホームズは案外いいなと思いました。J.ロウもよかったし、もう少し重厚感の割合を含めた感じにしてあげるとよかったのでは、とも思うけど、それだとこのキャスティングの意味がないのかな。でももうちょっと違う演出にすることも出来たんじゃないかな~と生意気発言。もうちょい本格謎解き部分もあるとよかったな~。

    小学校高学年のとき、図書館に足繁く通っては、ポプラ社から出てる「怪盗ルパン」「シャーロック・ホームズ」「明智小五郎」のいずれかに皆はまっていた記憶があります。わたしは断然ルパン派でした。
    kikiさんはまりませんでした?
    高校生くらいになるとホームズの本格推理に傾倒しましたかね。
    そして社会人になって江戸川乱歩の淫微な世界を覗き見てどよよ~んとした後味を楽しんでおります(笑)。

    ホームズは多くの皆さんがそうではないかと思うんですけど、NHKで放送していた英グラナダテレビ版ジェレミー・ブレットのホームズがまさにイメージぴったりで愛しているファンが多いように思います。
    わたしもその口ですけど、それでもR.D Jrのそれは案外アリだなと思いました。
    ていうか、もう別物の視点ですけどね。

    モリアーティ教授の存在をほのめかしていたので、続編作られそうですね。でもわたしもkikiさん同様、二作目はもういいかな。路線が変わると検討するかな。でも変わんないでしょうね。

  • 2010/04/08 (Thu) 22:25

    ミナリコさん、ダウニーJrのホームズはアリ、でしたのねん。ふふふ。ワタシが何をほざいていようとも、直感的に観たい!と思われたものはどんどん観に行かれてくださいまし。
    さて、この映画ですが、ダウニーJrはそれなりには頑張ってたかもだけど、パロディというのでもなく、まるっきり別物、という感じですわね。ご他聞に洩れず、ワタシもグラナダTVのホームズシリーズが白眉だと思っているので、やはりそれ以外はどうもねぇ…。あのジェレミー・ブレットのホームズ像は強力ですわ。あの人の前にホームズなく、あの人の後にもホームズなしですね。完璧だったもの。ああいう決定版が出来てしまっていると、今回みたいにまるっきり壊して別物にするしかなくなるんでしょうね。でもそうまでして新たに作る必要があるのかな、とも思えてしまってね。これは1回でけっこう。次はもう見なくてもいいやって感じでしょ?やっぱり。映像と音楽と、ワタシ的にはワトソン君はアリだったのですけれどね。(笑)

    あ~、ポプラ社のシリーズね。はいはい。子供の頃はアルセーヌ・ルパンにはまってましたよ。「813の謎」とかね。日本人はけっこうルパン好きですよね。だもんでルパン三世なんて出来ちゃって。ワタシがホームズを最初に読んだのはいつだったか覚えてないのだけど、「まだらの紐」や「4つの署名」は小学生の頃かな。その後グラナダTVのシリーズを見て、ちょっと興味が湧いて何冊か読んだりもしていますね。
    江戸川乱歩はキテますわね。「屋根裏の散歩者」とかね。キテますね。ふふふ。

  • 2010/04/08 (Thu) 23:29

    乱歩はキテるんですね。キテるのかあ。

    先日、ベネチア映画祭で寺島しのぶが主演女優賞獲った作品が「キャタピラー」というタイトルで、乱歩原作だと聞きました。
    乱歩短編集はその昔読んだけど、そんなタイトルのあったかなあ、はて・・・と思い、英和辞典で「
    caterpillar」を調べると、「芋虫」!あ、なんかそんな題名の作品あったなあと、持ってた短編集を繰ると20頁ほどの小品「芋虫」がありました。
    さっぱり内容を忘れていたので再読すると、なんちゅう世界観、でも嫌いじゃないかも・・・とあまりおおっぴらに言えないような後ろめたさのようなものを感じました(笑)。

    「キャタピラー」、監督も気になるし(昔ピンク映画を撮っていた若松監督ですよね。いや、ピンク映画が気になるのではなく・・・って分かってますよね)、でも寺島しのぶが想像以上に熱演してそうで恐くて、見たいような見たくないような、ってそんな心境です。

    (ホームズからまるっきり逸れてしまいました。ごめんください。)

  • 2010/04/08 (Thu) 23:48

    ミナリコさん。
    寺島しのぶって、なんかすがれたような独特の空気感があるから、そういう隠微系の作品には持ってこいな個性がありますね。彼女にとっては、本当に母親にさっぱり似てなくて良かったのかも。却って独自の道が開けましたよね。

    江戸川乱歩はそんなにあれこれ読んだわけじゃないけれども、エログロにSMに、とにかく後ろ暗い世界が闇の中に広がっている、という感じですよね。夢野久作の方がキテる、という人もいますが、まぁどっちもどっちじゃないかと…。(笑)「押し絵と旅する男」なんかも映画化されてたと思うけれど、とにかく、もう、キテるんですよ。乱歩は(笑)蔵の中で書いていた、という逸話は有名ですが、薄暗い土蔵の中でさぞかし筆が進んだことだろうなぁ、なんて想像しますね。

    「芋虫」。 気になるなら、やはりご覧になってみるべきでは?

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