「マリオネット・ゲーム」 (BUTTERFLY ON A WHEEL)

~キツイお仕置き~
2007年 カナダ/英 マイク・バーカー監督



ジェラルド・バトラーピアース・ブロスナン共演の未公開サスペンスをDVDにて観賞。
僅か3年前だというのにジェラルド・バトラーがスマートで若い。ピアース・ブロスナンも従来のイメージとは異なる役で登場。殆ど期待せずに観てみたら、意外に面白かった。
ジェラルド・バトラーが登場する最初のカットで、その若いのに驚いた。そして久々に「やっぱりなかなかいい男だったのね」と思った。この人は「300」のメガヒットでスターダムに乗ってから、急速に老けた気がする。少し前からアラフォーぐらいでオッサン化が進みすぎだわねと思っていたが、2007年まではまだこんなにスッキリしていたのである。名声がオヤジ化を促進するというのは初めて見た気もするけれど、そういう顕れ方もあるのかもしれない。


やけに若く感じるジェラルド・バトラー


2010年現在 僅か3年程度で老けすぎである


妻とかわいい娘と共にシカゴに住むやり手広告マンのニール・ランドール(ジェラルド・バトラー)は仕事も絶好調で昇進は確実。何もかもが満たされていた。そんなある日、娘をベビーシッターに預けて外出した夫婦の車の後部座席に、見知らぬ男(ピアース・ブロスナン)が乗り込んでいた。男は銃を突き付け、言う事を聞かないとベビーシッターに電話して娘を殺させる、と言う。夫婦は否応なしに男の理不尽な要求に翻弄されることになるが…。


娘のソフィー 子供のくせに妙に色気があったりして…

ジェリー演じるニールが、かなり調子こいているなというのは冒頭の数分で分るようになっている。仕事面では連戦連勝。得意満面なので同僚の妬みも買っていそうだし、仕事関係で知らぬうちに憎まれてもいるだろう、という気配が出ている。秘書の女性も間違いなくつまみ食いしているに違いない。人生の全ての局面でバラ色のC調を謳歌するニール。

だが、そんな彼の人生に突如顕れる禍々しい破壊者。その男トム・ライアン(ピアース・ブロスナン)は、ただただ、ニールの順調過ぎる人生を壊滅させる事だけが望みであるかのように、サディスティックにニールを苛む。


トムに操られて、いいように翻弄されるニール夫婦

ピアース・ブロスナン、無精髭を生やした、根深い恨みに衝き動かされる男を案外ハマリ役で演じている。とにかくジェリー演じるニールをいたぶるサマがネチネチとドSでいながら、どんな場合でもさしてシリアスにならないとぼけたような顔つきのために、余計に不気味な雰囲気が出ている。



細身で若いジェリーは得意の絶頂から奈落の底に落とされ、脅され、小突かれ、走り回らされ、預金の全てを焼かれた挙句に、高所恐怖症だというのに高い時計搭の上に立たされて半べそをかかされたりと、いいようにいたぶられまくる。時計搭の上で顔面蒼白になって油汗をかいている様子は、あながちメイクのせいばかりでもなさそうに見えた。


高いところで泣きの涙 さんざん吠え面をかかされるニール

夫婦を揃って右往左往させ、精神的なストレスを与えまくるトム(ブロスナン)が何故そんな行動に出たかが分ると些か拍子抜けはするものの、仕事も下半身も調子こきまくりのニール(バトラー)にはいい薬なんじゃないの?などと思っていると、本当のオチはまだその先にあるのであった…。

というわけで、けっこう主要キャストが3人とも役にハマっているし、95分と短くテンポよく、二段底のオチもなかなか面白かった。ジェリー演じる、全てに昇り調子でいい気になっている広告マンは、何ごとも口先三寸で丸め込んで世の中を渡っていけると思っているような、世の中をナメた、軽佻浮薄かつうすっぺらで傲慢なキャラが冒頭からちちらと顔を覗かせており、まるきり善人の被害者というわけではないな、という雰囲気をうまくジェリーが出していたと思う。こういうモテて仕事も出来て、でも誠実さが足りないかもね、というような男は、ルックス的にもキャラ的にもタイプキャストかもしれない。妻を演じたマリア・ベロも、ちょっとシワっぽいけどそれなりに色気もあってまずまずだった。


絶好調で失意の同僚を軽くいなす それにしてもまだ若かったなぁ ジェリー

さるにても、男前で男盛りで仕事が出来て、金廻りも良い男には、払い除けても女が寄ってくるもの。
木仏金仏でない限り、女房ひとりに誠実でいるわけにはいきますまい。人も羨む亭主を持ったら、そっちの方は覚悟が必要。ましてや、そんなにモテもせず、仕事もできず、金廻りが良くなくても浮気したくてたまらない亭主は世の中にゴマンといる。有事の際にどう対処するのかは、妻の腕のみせどころ、というところか。


*****
未公開という事や、サスペンスの度合いや作品のトーンなどが、なんとなくクライヴ・オーウェンの「すべてはその朝始まった」を想起させる。小粒だけれども案外面白かったし、「300」以降公開されたジェラルド・バトラーの出演作の中では面白い方だと思う。
最も信頼すべき相手が最もおそろしい敵になる。物質的には何も失わずして、精神的には全てを失ってしまう事にもなりかねない。人を踏みつけにしっぱなしで罷り通ると思っていると痛い目に遭わされるわけである。

いやいやいや。しかし、その後ニールはどうするんだろうかな?
好事魔多し。何ごともチョロイと思っている時ほどご用心、である。

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