なかなか観られない映画たち

色々な作品が高画質で労せずして観られるようになった昨今だけれど、それでもなかなか観られない作品というものも、ちらほらと存在してますね。ワタシには、数年前から折に触れて観たいと思っているのだけど、未ソフト化作品だったり、一度はソフト化されたものの廃盤になっていたりして、昨今なかなか観賞できない映画が数本ありますのね。それらは、前に観た事はあるのだけど現在なかなか観られないものと、一度も観た事がない上に未ソフト化(または廃盤)なので観られない、という作品に分かれてまして。
まず、もう一度観たいのだけど現在なかなか観られない作品として以下の2本。

1本目はアラン・ドロンの「サムライ」(LE SAMOURAI 1967年)



これは子供の頃に幾度かTV放映されたのを観ているのだけど、2年前にふと思い出して観ようと思ったら、レンタルビデオ屋に在庫がない。セル物も出ていない。やけに吊り上がった値段で中古のDVDが売り出されていたりするのだけど、そんなもの買う気がしない。多分、そのうちデジタルリマスターでDVDが再発売になるのだろうとは思うのだけど、今のところ発売の気配はない。おまけに各映画チャンネルでもなかなか放映してくれない。どうしてなの~待ってるんだけどワタクシ…というわけで現在ワタシの中で、サクっと観賞することができない作品の筆頭になっちゃってます。ドロンは寡黙で孤独な鳩を飼う殺し屋。もういかにもなハマリ役。オルガンのテーマ曲も脳裏に刻み込まれている。映画全体の色調やトーンとドロンの持ち味がよく合っていて、彼が演じる殺し屋の住む部屋の壁の色など、些細なところをやけに覚えていたりする。でも、この殺し屋のどこが「サムライ」なのか昔観た時にはあまりピンとこなかったので、それを確認するためにも再見したいところ。フランソワ・ペリエも出ているし、あぁ、もう一度観たい。どうか観せてちょうだい。DVD再発売プリーズ。


2本目はオーストラリア映画の「わが青春の輝き」(MY BRILLIANT CAREER 1979年)

主演はジュディ・デイヴィスで、19世紀末のオーストラリアを舞台に小説家志望のヒロインの青春を生き生きと描いて瑞々しい余韻が残る作品。おばさんになってからは顔も怖くなり、怖い女の役が増えてしまったジュディ・デイヴィスだけど、うら若い頃はハツラツとしてそれなりに可愛く、軸をぶれさせずに自分の道を歩いていく19世紀の女性を好演していた。


ジュディ・デイヴィス

彼女の初恋の相手役はサム・ニールで、これも適役だったと思う。物凄く昔にTVの洋画深夜枠で放映されたのを一度観たきりで、その後全く観る機会がない作品。ビデオも一度出たようだけれども、現在大手レンタルビデオチェーンには殆どどこにも置いてない。作品的にはマイナーなのでDVDが発売される可能性も薄く、そのうち映画チャンネルで放映されるのを待つともなしに待っているしかないのだけど、う~ん、いつになるやら…。これも是非、もう一度観たい気持ちしきり。テーマ曲として使われていたシューマンの「見知らぬ国」(子供の情景)のメロディが、映画の雰囲気にとても合っていた。


次に存在は知っているが一度も観たことがなく、現在観られない作品として以下の3本。

「愛情の決算」(1956年 東宝)



佐分利信の監督主演による戦争が絡んだメロドラマ(戦争未亡人をめぐる三角関係)なのだが、それだけならいかにも詰まらなさそうな映画だと思うでしょうが、なんとね、これは原節子と佐分利信と敏ちゃんこと三船敏郎が三角関係に陥っちゃうという映画なのだ。敏ちゃんはバッチリと男前盛り。原 節ちゃんもまだまだ綺麗です。佐分利信は自身が監督もしているので寝取られ男の役。節ちゃんをめぐる闘いに勝利するのは敏ちゃんなのだ。ジャコーン!あの照れ屋の敏ちゃんが人妻に恋する男の役だなんて、一体どんな顔で演じているんだか観たくて観たくて堪らない。だけどなかなか観られない。


スチール写真においてすら、既に照れくさくて困っている様子が窺える敏ちゃん

未ソフト化なので、名画座での上映か、頼みの綱の日本映画専門チャンネルでの放映を首を長くして待っているのだけど、けっこうレアなのか、なかなか蔵から出てきませんのね。早くDVD化してちょうだいな、東宝さん。よろしくお願いしたわよ。


次に一度観てみたいと思っているのが「暗夜行路」(1959年 東宝)



池部良の時任謙作に山本富士子の直子というキャスティングに加えて、脚本・八住利雄、監督・豊田四郎という東宝文芸ものの金看板コンビがタッグを組んでいる作品ということで非常に興味があるざます。その裏には、志賀直哉に心酔、私淑していた小津安二郎が「暗夜行路」の映画化について「天に唾する行為だな。ものを知らない奴には勝てん」と言ったとかいうエピソードを何かで読んだので、豊田×八住の「暗夜行路」はどんな仕上がりなのか余計に見たくなったという事が幾分ありますかね。現在、未ソフト化という事が出来の程を表しているのかどうか分らないけれども、東宝は自社のクラシックスのソフト化をちゃっちゃとやらない会社なので、それだけで成否をはかるわけにはいかない。俺でさえ手を出さないのに…というニュアンスの窺える小津の言葉に一矢報いることはできているのかどうなのか、なんとはなしに興味深い。


最後は上記の作品たちほど観たい!という気持ちは強くないが、観られるものなら一度観てみたいかもね、という作品で「ドリアン・グレイ/美しき肖像」(IL DIO CHIAMATO DORIAN 1970年)



美しい盛りの時期のヘルムート・バーガーがタイトルロールを演じている。多分、本作の価値はそこにしかないと思われる。出来もユルそうな気配濃厚で、映画としてはさほどのもんじゃないんでしょうが、とにかく1970年のヘルムート・バーガー主演ならドリアン・グレイを企画してもムリはあるまい、お気持ち察してよ、という感じではある。そして、ワタシの興味も若いブロンドのヘルムート・バーガーをドリアン・グレイという枠の中で観てみたいという一点に尽きる。きっとそれ以上でもそれ以下でもない作品ではあろうけれど、これも未ソフト化なのか、廃盤なのか現在はDVDなどで観賞できない。そのうち何かの弾みで放映されることもあろうかと思うので、その時はすかさず捕獲しなくっちゃ、と思っておりますが…なんか忘れちゃいそう。ヘルムート・バーガーというと、やはり巨匠ヴィスコンティと組んだ一連の作品で人々に記憶されるのだろうけれど、ワタシは「ゴッドファーザーPart~」でスダレ満月ヘアでバチカンの銀行家を演じていた姿があまりに衝撃的だったので、ヘルムート・バーガーというと、なぜかそっちの歳月無残系の姿が脳裏に浮かんでくるようになってしまっていて、ちょっとトホホ。この悪しき条件反射を覆すためにも、ドリアン・グレイでイメージのお色直しをしたいところである。

というわけで、今回は時折ふと思いだしては観たいと思いつつ、なかなか観られない映画たち についてでした。

コメント

  • 2010/09/03 (Fri) 00:31

    わかるわかる、ありますよね。そういう作品。
    ちなみに私、「サムライ」はVIDEOで持ってます。ヤフオクで落としました。でもDVDが再発されたら是非ほしいですねえ・・・。
    私が是非観たい映画はゲイリー・クーパーの「七日間の休暇」と「或る日曜の午後」。クーパーが素晴らしくカッコイイ時期の作品で、評価も高いのですが、ソフト化されず・・・。フィルムが残ってるかどうかも怪しいもんです。
    あとはジェームズ・スチュワートの「第七天国」!オリジナルのサイレント版はDVDを持っていて、大好きな作品なのですが、このリメイクをジミーが演じたとなれば、是非とも観てみたい!これも望み薄ですがね・・・。

  • 2010/09/04 (Sat) 00:05

    mayumiさん。これだけソフトや有料チャンネルが充実してもまだ観られないものってあるもんですわね。そのクーパーの作品2本はタイトルを知りませんでしたわ。でもなにぶん昔だけにフィルムが失われている可能性もありますね。「第七天国」というとミッチー・ゲイナーの出るやつですか?よく淀長さんが話をしていた作品だったような。
    いずれにしてもなかなか観られないと余計に見たくなっちゃって、頭の中であれこれ自分で拵えちゃいますね。で、実際に観て、違うじゃないのよ!なんてね。いずれにしても「サムライ」だけでも観たいなぁ。BS2とかで放映しないですかねぇ。

  • 2010/09/04 (Sat) 23:32

    おっほ♪ 久々の登場ヘルムート・バーガーに思わず目が釘付け(笑) 
    「ドリアン・グレイ~」は私も未だにお目にかかれず、是非一度見てみたい一本です。
    作品の出来はともかく、ヘルムートを拝めるだけで満足できそうな映画のようですよね。
    同時期の「雨のエトランゼ」はTVの深夜放送でただ一度見たきりだけど、これも彼の魅力でもってるようなもので内容はそれほど・・・。でもこれ録画しとくんだったな~と後で激しく後悔!(放送に気づいたのが遅くて途中からの鑑賞だったもので)。まだ二十代、一番綺麗な頃だったわけで。ヴィスコンティとはまた違った二流映画の彼もまた魅力的だなと思います。ともあれ彼の美しさは「魔性」ですよね~。
    そうそう、「ゴッドファーザーⅢ」では、実はハゲヅラだった、とどこかの記事で読みましたけど・・・?

    「サムライ」何故だかちゃんと観てないのだわ。そうですか、出回ってないのかぁ~残念。ドロン絡みで前にUPされた「世にも怪奇な物語り」もなかなかレンタルではないんですよねぇ。初見からン0年(?)私の場合、これが一番観たい映画かも。
    先日はNHKハイビジョンでドロン特集やってましたね。「地下室のメロディー」録り損ねてしまって~(悲)
    やっぱりBS、CSに期待するしかなさそう。そういえば、ビデオ・DVD・レンタルがなかった昔は名画座でした。ヘルムートの映画は名画座で観たのが何本かありますね。名画座って今ではどれくらい残ってるんでしょうかねぇ。







    先日のNHKハイビジョンのドロン特集は「

  • 2010/09/05 (Sun) 10:06

    ジョディさん。
    ドリアン・グレイ物は、それこそハイティーンだった頃にTV放映で一度観たことがあるような記憶がうっすらとあるんですが、それがH.バーガー主演のものだったのか、それ以外のものだったのかも記憶が定かじゃないんですわ。だから結局見てないんでしょうね。覚えてないのだし。これはスチール写真を見るに、現代版に置き換えられた設定のようですが、まぁなんであれ、H.バーガーのドリアンは一度は見ておきたいシロモノではありますわね。そうそう、「ゴッドファーザーPartⅢ」で彼が演じた銀行家のモデルになった実在の人物がああいうスダレ満月ヘアだったので、それに準拠して禿げヅラを被って演じたみたいですが、それにしてもH.バーガーがなんでそんな役を?と思わないでもないです。封切り時に映画館で観た時も最初は分りませんでしたよ。エンドロールを観て、出ていたと知って、どこに出てたかな、とツラツラ思い出して、え!あれなの!?げげ~!って感じでした。

    「世にも怪奇な物語」まだご覧になれてませんのね~。そうか。WOWOWではなかなか放映しませんが、他の欧州系の作品を多く流すチャンネルとか、単館系をよく流すようなチャンネルでこの前ガシガシ流れてましたよ。シブ蔦にはDVD1本だけあるんだけど、ジョディさんちの方には無いかなぁ。(都内ではシブ蔦に無ければほぼどこにも無いとみて差し支えないって感じです)DISCUSのお試しを利用してみるという手もありかも。でも「サムライ」は、現在「世にも~」よりももっと観賞困難です。「怪奇な~」は思いだしてすぐに見ることができたのだけど、「サムライ」はもう2年越しに待っているけどなかなかチャンスが巡って来ません。激レアな事もあって、余計に、とっても観たいですね。「地下室のメロディ」はDVDが再発売されて間もないので、BSでも放映しやすかったのかも。「サムライ」も早いとこDVD再発売して欲しいです。

    名画座ですが、都内にはちらほらとありますよ。邦画のクラシックス系はそういうシアターの何かの特集で観られる事も多いです。でも「サムライ」は手元に持ってたいのでDVDか、または有料チャンネルによる放映を待つしかなさそうです。

  • 2010/09/06 (Mon) 01:20

    そうそう。「第七天国」はミッチー・ゲイナーが出てるやつです。
    メロドラマなんですけどね。非常にピュアで、ラストの「私があなたの目になります」というセリフで号泣。あと、セットがものすごく綺麗です。サイレントだし、1927年ぐらいの作品なのですが、完成度は高いと思います。

  • 2010/09/06 (Mon) 07:03

    「第七天国」はメロドラマなんですね。ジミー・スチュワートが出たリメイク版はサイレントじゃないけどソフトがないってことかな。
    メロドラマの出来のいい奴は、気持ちよく泣ける場合もあるのでワタシも好きです。ワタシは「心の旅路」が好きでたま~に観て気持ちよく涙しますわ(笑)

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