「ポケベルが鳴らなくて」

~幸薄い小娘と情けないオヤジ~
1993年 日本TV制作



この前の懐かしの90年代ドラマ記事からは洩れてしまったのだけど(これは80年代末だと思い込んでいたが90年代初頭のドラマだった)、緒形拳のファンだったワタシは、これも本放送時に一応観ていたのだった。日テレプラスで放映していたのを見かけて本当に久々の観賞。本放送以来だから17年振りか。うっひゃ~!…って1つ前のおふくろ様なんかその比じゃない古さだものね。なんだか知らないけど日テレ系の懐かしドラマの記事が続きますが、今回は「ポケベルが鳴らなくて」。
とにもかくにも、これが放送された当時は、女性誌や世間の女性たちから強烈な裕木奈江バッシングが巻き起こっていたのを思い出す。これだけが原因というわけではなく、その前から徐々に世間の片隅で裕木奈江に対して「なんとなくむかつく」という感情を抱いていた女性たちは存在したのだろうが(例えば「北の国から」の92年のスペシャルでトロ子というトロい娘を演じるなど)、その潜在していたバッシングが、これで一挙に沸点まで到達してしまったのだな、という観はある。きょとんとした間抜けな顔で平和な家庭をぶち壊す疫病神、ということか~事務所の非力さとか、何か裏があってマスコミを巻き込んで意図的に仕組まれ煽り立てられたバッシングのようにも思えるが、とにかくあの頃の裕木奈江バッシングはただ事ならぬ騒ぎだった。彼女はまさにこの騒ぎで、一時期、女優として抹殺されたような形になったと思う。メディアの暴力である。


幸薄い娘、という感じが全体からにじみ出ていた

ワタシはといえば、裕木奈江に関しては特に是でも非でもなかった。好きでもないが嫌いでもなく、どちらかといえば、あまりに猛烈な世間のバッシングに、こりゃ集団いじめじゃないの~可哀相に、そこまでする必要はないでしょうに、と思っていた。彼女にむかつくという女性が、どこにむかつくのかは何となく察しもついたが、ワタシは特に気にならなかったので、何もそこまで…という感想だった。そんな騒動があったせいかどうか、これまでにソフト化もされていないし、CSにも初登場とのこと。長く尾を引いたもんですわね。



何はともあれ、この頃の緒形拳はドラマでも超売れっ子で、前年にはTBSの「愛はどうだ」に出演している。88年のNHKドラマ「とっておきの青春」、92年の「愛はどうだ」そして93年の「ポケベルが鳴らなくて」は拳さんのこの時期のドラマとして、記憶に残っている3本だ。その間にはNHKの大河とか、映画などがあれこれ挟まっている。この頃、キリン一番搾りのCMにもずっと出ていた(あのCMシリーズはとても好きだった)。とにかくこの時期の緒形拳は好ましいオヤジだったのである。ワタシが未見で、一度観たい緒形拳のドラマとしては山田太一脚本の「タクシー・サンバ」があるのだが、今のところまだ見かけない。そのうちチャンスがあるだろうと思っているのだけど…。

今回、超久々に観て、緒形拳の同僚かつ友人の役で先ごろ亡くなった谷啓が出ていたのに気付いた。ガチョーン!さっぱり記憶に残ってなかったのだけど、そうか、谷啓、細かく色々と出演されていたのねん。「せいちゃん」「かんちゃん」と呼び合う熟年のオヤジ友達の感じがなんとなく可愛い。
そして、緒形拳の妻に阿木燿子、娘に坂井真紀(若い!)など、すっかり忘れていた脇なども、そうだったそうだった、などと思い出した。この頃、阿木燿子って何故か女優として妙に売れていたのだが、一過性のブームだったのだろうか。映画やドラマによく出ていたっけ。また高橋克典のドラマデビュー作でもあるらしく、まだ若くて脂ぎってない高橋克典がやけにさっぱりした顔で登場していた。





何歳の年の差があろうと、何かでピピっと惹かれあってしまうと、そんな事は本当に全く関係ないものらしい。ワタシ自身は+-6歳程度の年齢差しか経験がないのだが、ワタシの年若の友人で数年前に、奥さんや子供と別居中の15歳年上の男性と恋愛してしまった人がいて、傍からみていると不釣合いだし、相手の男性も身奇麗でオシャレではあったのだがやはりオッサンだし、どこが良いのかワタシの目からはさっぱり分からなかったのだが、ふたりは一時期彼女の部屋で一緒に住んで、彼女は恋愛にどっぷりと浸っていた。だが、子供に関するイベントがあるとそちらが最優先になり、そのたび相手が奥さんのいる家に戻ってしまう事が辛くて、常にそれで口論する事になった。奥さんに未練はないが、子供は可愛くてしょうがないので、子供が成人するまでは正式に離婚しないという相手をずっと中途半端な状態で待つ事ができずに結局別れる事になったのだが、あんなに一緒にいて違和感の無かった人はいない、とてもリラックスできたし、キライなところがひとつもなかった、と今だに言っている。彼女はどちらかといえば好きキライの激しい方で、気に入らない男には非常にキビシいタイプだけに、本当に相性のいい人は大事にしたいと言う気持ちは強かったと思うけれど…。
男女の相性というのは実に摩訶不思議なものだ。
このドラマでも、会社では責任ある立場で、大きな息子と娘のいる緒形拳のオヤジは徹底的に情け無く、メンタリティはまるで子供で、29歳も年下の女の方がずっと大人で潔いキャラに描かれている。でも、現実にもそんなもんなんだろうねぇ、という感じはする。

携帯が世の中に登場する前夜、ほんの短い間世の中に出回ったポケットベル。今回、日テレプラスの放映を観て、秋元康の企画だと知った。全くあざといな、この男は。でも、裕木奈江バッシングなどもあってかなり取り沙汰された割には視聴率はイマイチだったらしい。康、ちょっと目算外れか(笑) でも脚本は緒形拳とよく組んで仕事をしていた遠藤察男が担当している。
この頃のポケベル会社、東京テレメッセージのCMなどを漠然と覚えているけれど、あの会社、いまどうしたのだろうか。ともあれ、ポケベルって言葉にモロに時代色を感じる。

そして、ドラマの中で元気そうな緒形拳の姿を観ると、まだ存命で活躍しててもいいのに亡くなってしまったのはやはり少し早かったなぁ、残念だわ…と改めて思ったのだった。

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