万年青年の恍惚と憂鬱 池部良



時折、この人は永遠に死ぬことはないんじゃないか、と思われる人がいる。
80代でも売れっ子爺さんだった頃の笠智衆や、人前に出てはボケ老人を装って面白がっていた森繁久弥、永久に現役で舞台に立ちそうだった杉村春子などなど。池部良も、ワタシ的にはそういう感じのする人の一人だった。みな、死というものが似あわないのみならず、どこかで永遠に元気でいて欲しい、という気持ちもあってそう思っていたのかもしれない。が、有情のもののさだめゆえ、誰しも永遠に生きることはできない。池部良も例外ではなく、ついにあの世に旅立ってしまった。訃報に接して数えてみると、ワタシも「暁の脱走」「白夫人の妖恋」「雪国」「早春」「けものみち」「乾いた花」池部良の出演作品6本のレビューを書いている。我が家は両親共に彼のファンなのだが、ワタシもいつしか影響を受けて池部良が好きになっていたのだろう。というわけで、「My favorite Stars」第8弾は、永遠の万年青年・池部良
池部良は1918年(大正7年)2月、東京府東京市大森(現東京都大田区)に生まれた。父親は風刺漫画家の池部鈞。母は、父の先達で有名な挿絵画家・漫画家である岡本一平の妹・こう。池部良は美青年というよりは好男子という感じの人だが、彼のスマートなルックスのルーツは、母方の岡本家からもたらされたもののようだ。池部良はおじの岡本一平とどこやら面差しが似ている。一平の息子は、言わずと知れた、あのバクハツの岡本太郎だが、太郎は母・かの子の遺伝子だけを色濃く受け継いだのか、一平には全く似ていない。それゆえ、従兄弟でも岡本太郎と池部良はまるっきり似ていない。岩下志麻と河原崎長十郎が従兄妹同志というのと同じぐらいか、それ以上に似ていない。


母方の伯父である岡本一平 ハンサムだった

池部良で特質すべきことは、まずそのスッキリとした名前が本名であるということだ。
「名は体を表す」の言葉通り、まさに体にふさわしい名だと思う。大体、漢字一文字の名前というのはスッキリしていていいものだけど、大正時代に随分とモダンなセンスだな、と思ったら、良と名づけられたのはほんの偶然の産物らしい。当初は祖父の名前・鉤吉(こうきち)を踏襲させられる筈が、父の鈞が役所に届けに行く途中にすっころんだ弾みにその名を忘れた為、鉤吉になりそこねたらしい。池部鉤吉と名づけられてしまったら、イヤでも芸名で仕事をするハメになった事だろう。二枚目が鉤吉じゃねぇ…非常にキビシイ。
ともあれ、池部良は自分が本名で仕事をしていたせいか、芸名をつけずに仕事をしている俳優に親近感を持っていたようだ。三船敏郎や笠智衆なども本名である。本名のまま仕事ができるのは誰が聞いても良いなと感じる名前を持っている、という事でもある。

次に、東京っ子であるという事も彼の持ち味を形作っているような気がする。東京生まれの立教ボーイだ。余談だが、うちの父が子供の頃に住んでいた家は池部良の実家と近いあたりだったらしく、その事をエッセイを読んで知った父は、年齢はかなり違うが、池部良にはひとしおの親近感を持っていた。子供時代を綴ったエッセイの行間からは、戦前の東京っ子に共通な空気感が漂っていて懐かしいのだと言っていた。なんとなく近所の兄さん的な親しみを感じていたのだろう。

そして、大正生まれとしては顔が小さく、脚が長く、体のバランスが非常に今風であることも大きな特質だ。若い頃の池部良が、あの前髪パラリのヘアスタイルで、いま流行のスーツを着て現代のオフィスを歩いたら、間違いなくイケメンの池部君ということで、女子にモテモテだったに違いない。そういう古びなさを持っている人である。


「芸者小夏」で岡田茉莉子と 脚が長くて小顔の池部良


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前にも何度か書いたけれども、池部良はいかにも姿のスッキリとした爽やかな好男子だが、爽やか青年の役よりも、煮え切らないズルい男や、非情なマキャべリストで目的のために女を利用する男や、暗い魚のような目をしたニヒルな男などを演じた時に、格別に光る人だった。中でも特に光っていたのは「二枚目ゆえに女に惚れられて尽くされるが自分からは何もしない男」を演じた時ではないかと思う。そういう点で「雪国」の島村はまさに池部良のための役だった。女の辛い立場やギリギリの心情を分かっていながらも、分かっているがゆえに女に手を差し伸べない。何もしてやらない。ただ、自分が会いたくなった時に年に1~2回訪ねて来るだけなのである。それでも女は、量の多い髪を無造作にかきあげて「やぁ」なんて微笑まれると、ズルい男だと思ってもますます惚れてしまうわけである。そういう、対する女が自縄自縛の罠にはまらざるをえないような男を演じて、池部良ほど自然に雰囲気の出せた人は他にいないだろう。


「雪国」 つれない島村さんと一途な芸者駒子(岸恵子)

また、レビューを書いてはいないが、中央官庁の官僚の汚職を描いた渋谷実の社会派ドラマ「現代人」では、性格俳優的な演技に目覚めたと言われていて、とにかく、いつもの池部良とはまるで違う表情で登場する。目の下にもうっすらとクマのような影をわざとつけていて、目つきが不遜で死んだ魚のような感じ。上司の汚職を知り、それを救う為に手段を選ばない青年役で、従来の池部良のイメージとはかなり異なる役柄だった。本人も役者稼業に開眼した作品と位置づけている。


「現代人」の池部良 いつもとかなり様子が違う

爽やか池部良の作品としては、未見なのだが「芸者小夏」などを観てみたい。若くて可愛かった時期の岡田茉莉子が芸者小夏。多分、池部は小夏が淡く片思いをしている堅気の勤め人を演じているのだろうと思われる。当然のことに、そういうのはそういうのでサラっとはまる。でも、池部良でなくてもいいかもしれない。

そして、二枚目なだけの無力な男、というのもまた池部良のハマリ役で、これの代表作は「白夫人の妖恋」だ。古代中国の説話をベースにした男と女の寓話で、随所に円谷英二の特撮が入るスペクタクル映画でもあった。妖力をもつ白蛇の精に惚れ込まれた、二枚目であるだけが取り得の金も力もない無力な若い男を池部良。白蛇の精に山口淑子。これも追悼特集で放映があったらデジタルリマスターで再度観たい作品。何しろ、この撮影を見学にいった学生時代の我が父は、出番待ちの間には、常に池部と李香蘭がぺったりと寄り添っていたのをしかと見たらしい。恋仲の役を演じていると撮影中はそういうムードになるものなんでしょね。とにかくカラーがキレイなんだ、特撮が凄いんだよ、と散々聞かされて深夜の放映があった折に、夜中に目覚ましで起きて深夜2時ごろからの放映を観たのだが、その頃は劣化したフィルムをどうする処理法もなく、赤茶けてぼやけた映像に興味索然。1時間ぐらい観ていつしか眠ってしまった子供時代の記憶がある。


この写真はモノクロだが、映画は目にも鮮やかなイーストマン・カラーの作品

もうひとつ、無力な二枚目を演じたものに「如何なる星の下に」がある。これは少し前にCS放映で観たのだが、遊び人の父や、それに振り回されるだけの母に代わって経営の思わしくない下町の居酒屋を切り盛りする長女(山本富士子)が、どこにも救いのない日常の唯一の慰めとして思慕をよせる店の常連の男を池部良が演じていた。優しく少し物寂しげで、穏やかな彼と話をしているとささくれた気分が和らぎ、憂き世の憂さを忘れ、やもめの彼との結婚を夢見る長女だったが、彼が愛していたのは奔放なダンサーの三女(大空真弓)の方だった…というわけで、高見順の原作を東宝文芸路線を得意とするコンビ、監督・豊田四郎+脚本家・八住利雄で映画化した作品。出来は悪くなかったが、如何なる星のもとに…というぐらいなので、ヒロインを十重二十重に囲む重い現実と不幸の連続攻撃はあまりにも暗く救いがないので辛気くさ過ぎてレビューを書く気にはなれなかった。

また「けものみち」で共演した池内淳子主演の「花影」は大岡昇平の原作を川島雄三が演出していて、かなり観たいのだが未見の作品。少し前に神保町シアターで上映してくれたのだが、都合が合わずに涙を飲んで見送った。池内淳子も先ごろ亡くなってしまったので、これなども追悼放映していただけると有難いのだけど…。(日本映画専門chさん、ぜひともよろしく!)実在した銀座のクラブの有名ママを描いた文芸風俗映画。池内淳子がマダムで、池部は彼女を巡る男たちの一人として登場するらしい。余談だが、池内淳子が亡くなった時は、「池内淳子」と「けものみち」での当ブログへの検索来訪が大層多かった。池内淳子ってとても人気のある人だったのだな、と改めて感じた。


「花影」(1961年)しっとりしていて色気があって、池内淳子も魅力的な女優だった

軽い作品でいうと、昭和30年代に東宝のドル箱だった森繁の社長シリーズが出世し、お正月興行用に東宝オールスター出演で制作された「サラリーマン忠臣蔵」も豪華な顔ぶれとともになかなか味わいのある作品。池部良はもちろん、浅野内匠頭(あさのたくみのかみ)に当る役を演じている。大石役は森繁。敏ちゃんこと三船敏郎まで駆り出されて、死んだ浅野の友人で大石を脇から助ける桃井という社長役で花を添えている。池部や三船を従えて堂々の主演を張った社長シリーズの森繁。この時期、いかに勢いがあったかが覗われるというものだろう。後半の「続サラリーマン忠臣蔵」と合わせて、前後編で完結の二部作。池部は前半にしか登場しないが、ハンサムな独身貴族で、バーのマダムに惚れられて…というような浅野若社長の役はまさにうってつけで、敏ちゃんとのからみなども双方のファンとしてはもうニヤニヤもののツーショットだった。


見て下さる~この黄金のツーショット 男前揃い踏みである

ちなみに万年青年・池部は敏ちゃんより2つ年長で、デビューは戦前なので敏ちゃんにとっては大先輩。二人とも戦争に駆り出されて苦労したが、大卒の池部は将校で南方戦線、敏ちゃんは一兵卒で中国大陸の戦火にまみれた。映画黄金期に軟派と硬派の代表として東宝を背負って立っていた二人なので、何本か共演作もあるが、何かの撮影後にみんなで風呂に入った時に、敏ちゃんはああ見えて意外に腕や脛などはつるつるで体毛が薄いのに対して、池部良はいかにもつるつるな感じなのに、強烈に脛毛が濃いのでまるで逆だな、と驚いた、と当時の東宝の美術スタッフだった人が書いていた。いかにもなギャップだけれど面白い。

昭和20年代~30年代の半ばまでを二枚目として東宝の看板を張ってきた池部良も、昭和30年代後半あたりから次第に脇に廻るようになる。キャリアの過渡期だが、そんな時期にもたらされたのが1964年(昭和39年)の「乾いた花」だった。この作品は色々な意味で、池部にとってターニングポイントになった作品だろうと思うが(「現代人」ともども、池部良の転機になった作品はなぜか松竹映画である)、誰も想像しなかったキャスティングを思い着くイマジネーションも、映画監督には必要な資質なのだとつくづく思う。篠田正浩の慧眼が冴え渡ったエポックな作品だった。ステレオタイプな役ばかりではなく、イメージにない役を振ってみた時の思いも拠らない化学変化を期待できる冒険心も映画監督には重要なのだ。


小悪魔・加賀まり子と

「乾いた花」は、殺し屋役を池部にした事で映画全体に型にはまった和製暗黒街ものとは異なる空気-フレンチノワールのような空気が漂い、そこに加賀まり子の非現実的な浮遊感が加わって独特のムードを構築している。これや、市川崑の「黒い十人の女」などを観るたびに、この頃の日本映画はクォリティが高くてスタイリッシュだったなぁ、とつくづく思う。今、邦画はやけに入りがいいようだが、本当に観るべき作品など殆ど無い気がする。本当に質の高い作品で興行成績が良い状態になるのが望ましいのだけれど…。

ともあれ、「乾いた花」の成功が昭和40年代の東映任侠映画への出演に繋がっていく。そしてその成功が、脇役としての池部良の壮年~老年のキャリアの元になったと言えるだろう。

池部良は、かなり長いこと日本映画俳優協会代表理事を務めていた。森繁座長よりも映画俳優としてはずっと長いキャリアを誇るベテランだったが、万年青年は常に実年齢より10~15歳は若く見えるため、世間からは重鎮扱いをされなかったと思う。その軽やかさが池部良の身上だが、一方では軽い憂いの元だったかもしれない。戦争から解放されて復員し、30代なかばにさしかかろうとしていた彼に18歳の高校生役がオファーされる。いかになんでも高校生じゃなくせめて先生ぐらいの役がいいと思ったが、原作者のたっての希望だというので仕方無く受けたのが「青い山脈」の高校生役。33歳で高校生を演じられるというのは、凄いのか、ちょっと考えた方がいいのか、微妙な気分になってしまうところだろう。
いつまでも若々しく、年齢概念を飛び越えた軽やかさが映画スター・池部良の真骨頂だが、同時にその特徴が諸刃の刃として彼を悩ませもしたかもしれない。重みや渋みや威厳とは無縁なそのイメージ。若々しいという事は、いつまでたっても若輩者のような印象を持たれてしまうという事でもある。時にはうんと年下の人間から気軽に扱われたりもしてしまう。最大の長所は、同時に最大の欠点にもなりうる事がある。過渡期の池部良を、そんな事が悩ませたかもしれない。

だが、主演への妄執などは持たず、さらっと脇に廻ってアクを出さないというのも、爽やかな東京っ子・池部良の身上だ。壮年期の池部良は山口百恵の赤いシリーズなどに宇津井健の上司役などで出演していたが(ワタシなどはそれで初めて池部良を見たのだと思う)、極めて自然で押し付けがましいところのない様子だった。その後段々に俳優としてよりもエッセイストとしての活動がメインになっていくのだが、飄々とした文体が、またいかにも池部良らしい味わいで、うちの両親などは揃って愛読していた。初期の頃に名編が多いが、途中からはネタが尽きたのか、40過ぎて結婚した、かなり年下の奥さんについてのノロケ話が多くなり、池部良もヤキが廻ったねぇ、と両親と話したりした。大体、配偶者のノロケ話などをぬけぬけ書くというのは×で、本人はよくても読んでいる方はかなり白けるお題である。ブログなどで素人がやっていても吐き気ものだが、プロのエッセイストがそれをやってはダメだと思う。が、結婚生活は円満で、よほど気の合う奥さんだったのだろうとは推察される。万年青年・池部良は長い独身生活を謳歌した末に、お見合いで結婚した。散々女優と浮名を流した果てに、いいとこの若いお嬢さんと中年になってサクっと結婚したわけである。さすがモテ男。C調である。

老境に入ってからの作品では高峰美枝子らと共演したTVドラマの「春を待つ家」(1990年)が印象に残っている。高峰美枝子の他、上原謙や乙羽信子なども出演していた「八月の鯨」の翻案ドラマだった(今や、みな故人になってしまった)。池部良の役はヴィンセント・プライスが演じた亡命ロシア貴族の老人の役どころで、姉妹から惚れられる二枚目役だった。老人といってもこの頃の池部良は、まだまだきちんと池部良であって、72歳ぐらいだったと思うが、例によって60代半ばぐらいな外観で、若い頃の面影も十分に残っていた。


「春を待つ家」での池部良

ワタシにとっての池部良は、そのあたりのイメージで留まっている。それ以降の池部良はさすがの万年青年も年には勝てず、どこから見ても老人になっていった観があるが、悠々自適の老境で、エッセイを書きながら永遠に生き続けそうな錯覚さえ抱かせた。でも、今年になって小林桂樹の訃報を聞いた時にふと胸騒ぎがして、あぁ、こうやっていつか池部良の訃報を聞く日が来るのだろうかな…と思った矢先にそれが現実になってしまった。
遂にこの日が来てしまったのね、とため息が出た。

かくして実体としての池部良は鬼籍に入ったが、その類まれなスクリーン・イメージは、それこそ不滅の輝きと永遠の若さとを今後も保ち続けるだろう。そして、これからますます、池部良は晩年の姿よりも、永遠の万年青年としてのイメージの方が大きくクローズアップされていくのだろうと思われる。池部良の出演作でソフト化されたものは、あまり多くないのだけれど、追悼の意もこめて、ぜひ、一見の価値のある作品はきちんとソフト化していただきたいと思う。

そして最後に、
ただ若々しくて様子がいいだけではなく、いわく言い難いニュアンスを雰囲気で表現することのできた貴重な俳優だった事も、池部良について忘れてはならない特質だと思う。名優というのではないが、ただの二枚目俳優ではなかった。行間を読む文筆家の視線が、役柄の解釈にも生きていたのだと思う。

インテリの東京っ子はそのエッセイのタイトルのように「風まかせの暦」を生きて、風のごとく爽やかに逝った。知的で素敵な俳優であり、男性だったと思う。
池部良のような人も、もう出ないだろう。

コメント

  • 2010/10/17 (Sun) 17:15

    kikiさん、愛情あふれる追悼記事、いろんなエピソード共々かみしめながら読ませていただきました。
    わたしなんぞは邦画ファン歴は非常にまだ浅いので、見てない作品も星の数ほどあり、まだまだ邦画熱も冷めやらず暇があれば色々と見ておりますが、昔の作品ってほんとに面白くて、わたし生れてくる時代間違えた、と思ってしまいます(笑)。
    池部さんのことを初めて知ったのは毎日新聞に書かれていたエッセイで、当時は池部さんのこともまるで知らず、面白い文章を書く人だな、くらいでした。邦画ファンになってやっとあのエッセイの池部さんと俳優池部さんが結びついたという感じです。池部作品はいわゆる代表作も見れておらず(ツタヤにない!)、敏ちゃんがらみで見た「サラリーマン忠臣蔵」とkikiさんレビューのおかげで辿りついた「早春」しか知りません。でもこの二作品だけでも池部さんのハンサムぶりは実感、堪能しました。「乾いた花」のコメントでジョディさんがお書きになってた読売の記事、わたしも拝見したのです。二作しか見ていないので何も論じることはできないとはいえ、篠田監督の池部評、当たってるなあと。池部さんの容姿、体格は当時の日本人としては破格の美しさ、サイズ(背や足の長さなど)だったのではないかと思うんですけど、日本が誇る文芸小説の映画化に当たってその普遍的な主人公として「美しい人」を求めていたんだろうと思うんです。それが池部さんにピッタリとはまったんだろうと思います。醸し出す雰囲気もひとつに定まることなく、「えっ」ていうビックリな配役をしてみたくなるものを持っておられたんではないでしょうか。未読・未見ですが「雪国」の主人公は敏ちゃんではいかがなものか・・・ですもんね。池部さんの守備は幅広かったとおもわれますが、こういった種類の文芸作品にはドンピシャリだったのでしょうね。
    kikiさんは書かれてないけれど、健さんの「昭和残侠伝」はいかがなのでしょう。池部さんのお弔いをしようとDVD借りてみたんですけど、わたしはダメだったです。仁義きってる池部さんが池部さんでなかったです(わたしには)。「乾いた花」をぜひとも見てみたいです。そうそう、日本映画CHで12月に池部作品放送するとか!何やるんでしょうね。kikiさんの見たいレア作品放送されるといいですね。
    (敏ちゃんは腕や脛はツルツルだったんですね、お~!)

  • 2010/10/17 (Sun) 21:40

    ミナリコさん。池部良について何を書こうかしらんと思ったのだけど、書き出すとなんだかんだとけっこう長くなってしまいましたわ。いつものように。昔は、スタッフ側もキャスト側も才能のあるホンモノがひしめいていましたから、今の俳優は質の高い映画監督も少ないし、準備期間をたっぷりと取るような制作システムでもないし、気の毒かもしれませんね。最近の日本映画で昔よりいいのは音質だけです。ほんと、それだけ。年々歳々みすぼらしく、チャチな映画が作られるようになってるなぁ、という感じがしますね。
    池部良の代表作、そちらのツタヤには無いんですね。まぁね…相当大きなツタヤで品揃えがかなり充実していないと、古い邦画のレアなのまで置いてないですからね。「乾いた花」は何かの追悼特集でぜひ、観られるといいですね。モノクロのスタイリッシュな映像と、物憂い表情の池部良が実にマッチしています。池部良ははっとするような二枚目というのではないんだけれど、すらりとして、とにかく映画向きの体型ですよね。そして、不定形な個性というのかな。あまり器用ではないけど柔らかくてある程度幅広くいろいろな役にはまることのできる俳優だったのだろうと思います。ともすれば大根とも言われてしまうような演技だけれど、役を雰囲気で掴んで、その雰囲気を出す人なんだろうな、と思うんですよね。別にあざとい程上手くなくてもいいのよね、そういう表現ができる人はそれで貴重なんですわ。そういう部分も、文芸物の映画化作品に主演するのに向いていたんじゃないかと思うんですね。
    「雪国」の島村さんは敏ちゃんからはかなり遠い役ですね。無法松を池部良が演じる事はできないのと同じく、お互いの持ち味の違いですね。敏ちゃんは色事系の役はダメですわ。照れ屋だし、案山子みたいになっちゃいそう。また、それが敏ちゃんの個性でもありますわね。敏ちゃん、体毛は薄いみたい。そういえば菊千代もなんかも体はつるつるでしたね。顔は熊ヒゲが生えるのにね。
    「昭和残侠伝」について書いていないのは、あの池部良は好きじゃないからです。世間的には評判がいいみたいだけど、よくないでしょう?頬のそげた健と並んで、しも膨れ気味のモニャっとした顔の池部良はあまり冴えた印象じゃないですわね。池部夫人にも非常に評判が悪くて、早くあんなのに出るのはやめてくれ、といつも言われていたそうです(笑)でも、ああいう映画にかつての天下の二枚目が、さして気負わずに脇でサクっと出てしまって、それなりに世間での評判を取るというのも、また池部良のいいところかもしれませんね。それは上原謙などには到底出来ない芸当だし、池部良の柔軟性の証左だと思います。
    日本映画専門chで12月に池部作品を放映しますか。何を放映してくれるのかしらん。楽しみですね。まぁ、まず「雪国」や「暁の脱走」はカタいと思いますよ。あとは「乾いた花」と、ワタシの観たい「暗夜行路」を放映してくれるかどうか、ですね。コメディっぽいのにもけっこう出ているので「足にさわった女」あたりも入るかな。観たい作品について、今からせっせとリクエストでも出しておこうかしらん(笑)

  • 2010/12/29 (Wed) 23:11

    kikiさん、日本映画専門chで放送された池部さん追悼作品で「恋人」「トイレット部長」[青い山脈」を見ました!
    この三本の中では「恋人」がとてもよかったです。ラストはしんみりしてしまいますが、池部さんてこんなにカッコよかったんだ、と驚きでした。スラっとして上背があってジェントルマン風でもあり、しかしやんちゃな様でもあり、それはモテモテだったことだろうなあと。「恋人」で相手の女優さんのスケート靴の紐を結んであげるシーンとか好きだったです、うふふ。
    「青い山脈」はなんだか途中から物語が見るに堪えなくなってきて(池部さんの高校生っぷりはアッパレでしたが)途中寝てしまってました(笑)。しかもあんな終わり方あり~?絶対「続~」を見なくてはならないではないですか!腹立っちゃって、続編も録画してたけど思わず「えい、消去!」と相成りました・・。
    「トイレット部長」、駅に和式トイレを設置するにあたって、ドアを開けてからドア側を向いてしゃがむか壁側を向いてしゃがむかという議論を社員でやっていて、池部さんが社内で実際にやってみるというシーン、笑ってしまいました。こういうお茶目なところを見せられるとたまりませんねえ(笑)。
    「雪国」を近々見てみようと思います。またガラリと違う池部さんが見れそうで楽しみです。
    kikiさん、よいお年を~!!

  • 2010/12/30 (Thu) 00:51

    ミナリコさん。池部氏の追悼特集、ご覧になったんですのねん。ワタシは「トイレット部長」は観ましたよ。ちょっとユーモラスでしたね。そうか。「恋人」悪くなかったんですのね。相手役が地味なんでスルーしちゃいましたわ。また放映するかもですね。「青い山脈」は、どうにもこうにも古臭くてユルくて耐えられないでしょう?ちょっとねぇ。池部良というとどうしてもあれが出てきちゃうんだけど、どうにかならんかって感じもしますわね。「雪国」は手元にあるのが昔録画した劣化気味のVHSだったので、今回は高画質で再捕獲しましたが、前に見たのはカットされたものだったらしく、今回見てみたら知らないシーンがちらほらと入っていて、ほへ~と思いました。「雪国」はけっこう長いですよ。見応えはありますが。
    あ、そうそう。1月に遂に「下町」を放映するみたいですわよ。ミナリコさん、捕獲のチャンスですわよ。1月は池部良の作品も、小品だけど未見のものが1本放映されるようなのでちょっと楽しみです。来年はもっと沢山面白い邦画を観たいですね。 ミナリコさんも、よいお年を!

  • 2014/09/02 (Tue) 08:27
    『花影』はとても好きな映画です

    『花影』は非常に面白い映画で、ビデオで持っています。フィルムセンターでも見ましたが、岡崎宏三のカメラが非常に美しい作品です。

    池部良は、『乾いた花』の時、くさっていたのです。それは東宝現代劇に出て、「台詞が聞こえない」と1週間で降ろされて「池部はもうだめだ」と言われ、代役の井上孝雄が売り出したのです。
    それを救った篠田昌浩は、慧眼だったと思う。それが東映での『唐獅子牡丹』シリーズにつながったのですから。

  • 2014/09/03 (Wed) 23:03

    さすらい日乗さん
    「花影」やはり面白いんですね?そうですか。ビデオをお持ちですか。ワタシも観たいなぁと思っているんですが、なかなかnecoでも日映専CHでも放映しません。困ったもんです。

    「乾いた花」の時に、池部良がクサっていた、というのは割に知られた話、というか、亡くなった後でその話がけっこう有名になったみたいな感じがします。篠田正浩は、ある時期まではとても冴えてましたね。

  • 2015/02/07 (Sat) 13:50

    kikiさん、こんにちは!
    昨年9月に山口淑子が亡くなっても地上波では追悼番組(映画放映)やらないので、スカパーであるかなと期待してたら先月から目白押しって感じで始まったので録画しまくっています。何故に池部良のトピックにこの話題?と思われるでしょう。

    それは、kikiさんのお父様が昔住まわれてた近くに池部良の実家があり、思い入れおありでkikiさんに小さい頃からお話をされていたので、池部良がなんとなく好きになったというくだりにいたく共感したからです。実は母の子どもの頃、山口淑子の家がご近所さんでした。なので私も幼い頃から李香蘭(母達はリィ・シャンランと呼んでた)の事聞きながら育ったので何となく親近感があるのです。山口家の逸話もいろいろ聞いたよ!

    その山口淑子とかの池部良の共演作「白夫人の妖恋」このほどやっと見る事ができました。長い間見るのを待ち望んでいたので感激でした。池部良はこの映画や「早春」や「雪国」なんかの煮え切らない男やつれない男がいいわぁ。私も池部良好きでした。後年の任侠映画は見ていませんが。

    敏ちゃんとの共演作「霧笛」もみたよん。池部の良ちゃんとの「暁の脱走」とは結末違いすぎ。敏ちゃんとのハッピーエンド(たしか「醜聞」もそうだったっけ)にはびっくり。ついつい比べてしまいます。やっぱり山口淑子は敏ちゃんより良ちゃんとの方がお似合いって気がします。「東京の休日」を見るとこれこそ三船敏郎!って思ったんだけどkikiさん怒らないでね(笑)

    母は、山口淑子よりずっと年が下なので直接遊んだりしたことはないそうです。ですが女学校一級上に戦後女優さんになった方がいてよくその方の話も聞きました。奇しくも池部良と「青い山脈」で共演しています。他に「女の園」「張込み」などに出演してます。kikiさん、さてこの女優さんは一体誰でしょう?そうそう「早春」にも出ています。

    最近、昔の日本映画にちょっぴり回帰しています。池部良、山口淑子、高峰秀子、原節子、森雅之、三船敏郎・・・他沢山の良い役者さんたち・・・kikiさんの「日本むかし映画ばなし」をまた期待していますよ☆

  • 2015/02/08 (Sun) 14:06

    ジェーンさん
    お母様が子供の頃に、山口淑子(李香蘭)の家の近くにお住まいだったんですね。そうそう、昔の人は彼女のことをリー・シャンランと中国語読みする人もいるみたいですね。お母様の女学校の一級上にいた女優さんて誰かしら。その3本の映画に共通して出ている女優が思い浮かびませんわ。

    山口淑子の追悼企画は、さすがというか当然というか、日本映画専門chと時代劇専門chがやってくれてますね。ワタシもすかさず録画しましたよ。今回の特集では「上海の女」がワタシ的には一番の収穫でした。敏ちゃんと競演の「霧笛」も一応、録画しましたわ。なんだかなぁ…って感じだったけれども、あんなレアなもの、もうそうそうお目にかからないものね(笑)
    「白夫人の妖恋」ご覧になったんですね?ワタシは、子供の頃に深夜のTV放映を半分ぐらい見たのが最初で、その後ずっとご無沙汰だったのだけど、20年ぐらい前にNHKで放映してくれたのを見たのが二度目、今回が三度目かな。二度目からは色彩もキレイになった状態で見ました。ワタシの父は、学生のころ、あの撮影現場に見学に行ったりしてたので、あの映画にはやたらに思い入れがあって、誇大な宣伝文句を聞かされてきたので実際に見たら、あまりの子供騙しな感じに唖然としちゃったのだけど、昭和30年としては、かなり頑張った特撮でもあったんでしょうね。
    そして確かに、山口淑子には、敏ちゃんよりも池部良の方が似合うと思います。敏ちゃんは共演した女優の中で、誰が印象深いかというと山口淑子だったみたいですが。目が大きくてキレイだった、と答えている晩年のインタビューを読んだ事があります。

    昔の日本映画に回帰されてますのね。昔の日本映画はクオリティ高いですからね。何かで「お!」と思うものを見ると、そこからどっと入っていってしまいますわね。監督もスタッフも俳優も素晴らしいプロが沢山居て、今とは全然違いますしね。

  • 2015/06/07 (Sun) 02:24

    kikiさん

    おひさしぶりです。時のながれに速さに驚いています。もう6月になっちゃった。今年前半のピークは2、3月だったかな。やっと一段落ついてきました。

    そうなんです。山口家の近くに母の実家がありましてね。しばらく前に母達三姉妹でウン十年ぶりに訪ねたところ、実家だった建物は健在で撮ってきた写真をみると「手机」の看板が掛かっていて・・・携帯屋さんになっていたんですね(笑)

    「白夫人の妖恋」日本初のブルーバックの特撮ですし、香港ショウ・ブラザーズとの合作なのでもうちょっと評価されても良いと思いますわぁ。
    「上海に女」私も興味深く観ました。三国連太郎が若くて佐藤浩市とそっくりなのでやっぱり親子だなとへんなとこで感心したり。荒木道子や沢村貞子ほか俳優陣の中国語(上海なのに北京語って?)は巧いのかどうだかわかりませんが違和感はなくとても良かったです。結末は「暁の脱走」と似てるけど。こちらの方がスッキリするのは何故?山口淑子はやっぱり女優より歌姫と呼ぶのがピッタリだとおもいました。

    さて、クイズの女優さんは、戦後十数年ほど脇役で活躍された後、結婚引退されたので多分ご存知ないかもしれませんね。
    ですが、次の幾つかのヒントでわかるかも!?
    1.青い山脈、「変しい変しい」を書いた女学生
    2.女の園、冒頭に出てきて演説をする女子大生
    3.夫は劇作家、お嬢さん二人も女優、姪も元タカラジェンヌ


    最近見た(といってももう数ヶ月前になりますが)印象深い昔の日本映画は原節子と佐野周二の「お嬢さん乾杯」です。
    あの原節子がずっこける場面は日本映画のお宝映像ですね!!拳闘を観戦するシーンも可愛らしくて!このお嬢さんのシチュエーションって久我美子の実際と被るような。戦後すぐの映画は背景の街並みが興味深いですね。







    クイズの答えは山本和子です。双子の姉妹照子と一緒にエノケンの映画にもでています。夫は矢代静一。娘は矢代朝子と毬谷友子。姪はえまおゆう。






  • 2015/06/08 (Mon) 06:21

    ジェーンさん
    早いですよね。もう6月に入って1年の半分が終わってしまいましたねぇ。今年はなんだかいつもに輪をかけて月日が過ぎるのが早い気がしていますわ。

    「白夫人の妖恋」ねぇ。確かにもうちょっと評価されてもいいのかなとも思いますが、金かけた割にはなんだかなぁ、という感じも拭いがたくあるので、まぁ、しょうがないかもですね(笑)

    「上海の女」。もうどんな映画だったか忘れてしまったけれども、かなりレアだし、録画してあるので、また気が向いた時に観てみようと思います。三国連太郎、佐藤浩市と似てますかね。まぁ、似てない事もないけど、若い頃はやっぱり連太郎の方が倅よりずっと二枚目だったのね、とワタシは思うんですわ。目は似てるけど、オヤジさんの方が鼻と唇の形がキレイですね。

    クイズの山本和子さんて、全然知りませんでしたわ。そういう女優さんがいらしたんですね。なるほど。

    「お嬢さん乾杯」ご覧になったんですね。あの頃の原節子はキレイの盛りですね。佐田啓二もちょろっと出ているので、大昔、製品VHSを買った映画です。木下恵介がエルンスト・ルビッチみたいなタッチを狙ったコメディ、という感じですかね。原節子が拳闘を観たあとだったかで「あぁ、お腹が減った…」と言うシーンがあったけど、お嬢様が「お腹が減った」という言い回しをするかなぁ、とちょっと首を傾げました。

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