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「エニグマ」 (ENIGMA)

~最大の謎は女の謎~
2001年 英/独 マイケル・アプテッド監督



戦後30年間も内密にされてきた、第二次大戦中の対独暗号解読に従事する暗号解読者たちの活動を描いたサスペンスということで、ちょっと楽しみにしていた本作。BS2放映を録画しておいて観賞。内容もなかなか面白かったのだけど、味や癖のあるイギリス俳優がワラワラと登場してきて、説明を省いて飛ばしていくような展開にもめげず、なにげに楽しく観賞した。ミック・ジャガーが制作に名を連ね、カメオ出演もしていたというのだけど、う?ん、どこに出てたの?
戦争真っ只中の1943年。英国軍の暗号解読センター「ブレッチリー・パーク」に衝撃が走る。独軍の暗号機「エニグマ」の暗号コードが変更され、暗号が解読できなくなったのだ。英国諜報部は内部にスパイがいるとみて捜査を開始。そんな折、神経を病んで入院していた暗号解読チームの天才、トム(ダグレイ・スコット)が呼び戻されて現場に復帰するが…。



この時代の暗号機のクラシカルな佇まいがまたなかなか良い。その名も「エニグマ」。その改良機は「シャーク」。同じキーでも押すたびに変るというスグレもの。「シャーク」はUボート専用で「エニグマ」より更に多彩で複雑な組合せを作れる暗号機。その暗号を解読したい上層部だが、さしもの天才をもってしても数日のうちに解読するなどという事は出来ない。おりしも大西洋上を連合国側の護送船団が航行中で、暗号コードが変更されて解読不能の現在、Uボートの位置は掴めず、どこで護送船団が襲撃を受けるか分からない。そんな緊迫した現場に復帰した天才・トムだが、頭の中は2週間前から失踪しているというかつての恋人クレアで一杯になっているというありさま。

失恋で神経を病んだ天才学者トム・ジェリコに扮するダグレイ・スコットは、他の作品で何度か見た事はあったのだが、こうまで出ずっぱりの状態で彼をじっくりと観賞したのは初めてだと思う。この役にはピッタリな感じだった。当初はぼやっとしていて、これじゃ使い物にならんだろうという雰囲気なのだが、自分を失恋させた女クレア(サフロン・バロウズ)が失踪し、そこに機密漏洩が絡んでいた事を知るや、ようやく目の焦点が合ってくる。



クレアの失踪の謎を解こうとする彼に協力するのは、失踪したクレアと住いをシェアしていたへスター(ケイト・ウィンスレット)だった。というわけで、ケイト・ウィンスレット登場。黒い丸ぶちのメガネで、おばさんになったハリー・ポッターという感じ。体も妙に太目で、いつにもましてドッカリとおっかさん体型だが、もしかするとこの時は妊娠していたのかもしれない。まぁ、しかし、男をまどわす謎の女クレアに対して、メガネの垢抜けない同僚へスターとしてのキャラは十二分に表現されている。でも、その太目の牝牛のような体つきや、丸いメガネの奥の丸い目は、なにがなしほのぼのとした温かみを感じさせる。9年前なのでまだ若かったのだろうが、ケイト・ウィンスレットは肌が水蜜桃のようで清潔感がある。そして演技が上手いのは折り紙つきだ。昔はそうでもなかったが、ワタシは「愛を読むひと」以来、なんとなくケイト・ウィンスレットには好感を持っている。





対する謎の女クレアを演じるのはサフロン・バロウズという女優さん。そういえば顔は見た事があるなぁ、という感じ。やせぎすでにょろにょろと細長い。一応美人ではあるが、キリンみたいな感じでさして魅力的とも思われないけれども、まぁ、この手の役柄を演じる女優はイギリスでは慢性的に人材不足なので仕方が無い。



失踪したクレアの行方を知ろうと、アメとムチでトムに迫る情報部員ウィグラムにジェレミー・ノーサム。このたびはキザで鼻持ちならないイヤな奴を、常に眉毛を吊上げた状態で余裕たっぷりに演じていた。ヘッドアップ状態で現れる事が多かったので、鼻の大きいのが目だった。



出ているなんて全然思わなかったのに、突如出てきて「あらら」と思ったのはマシュー・マクファーディン。なんと半身に焼けどの跡のあるアイパッチ姿の海軍大尉役で登場。あの低い良い声で海図を指しつつ戦況の説明などしてなかなかカッチョ良かったが、原作を読んでいないと、顔半分と腕にまで施されたケロイドのメイクが大袈裟なように感じられたりもする。でも、マシューは目と声が良いですね。それだけはいつ見ても感心するポイントだ。



そしてちっちゃなクセモノ、トム・ホランダーもしっかり登場。今回は暗号解読センターのリーダーで、天才トムを病院から呼び戻すロギー役で登場。パイプなぞ咥えて、今まで見た中で一番まっとうで知的で紳士的な役だった。




暗号解読にかけては天才的な頭脳を持つトム・ジェリコ(ダグレイ・スコット)だが、女には免疫もなくオクテである。そんな彼の前に暗号解読センターで「独語帳」を担当するクレアが現れる。だが、女はトムを嬉しがらせて泣かせて消えた。トムは、失踪した彼女の部屋を探り、床下に機密文書が隠されているのを探し出すが、何故かクレアとの事を何もかも知っている情報部員ウィグラム(ジェレミー・ノーサム)が彼の元にやってきて、クレアとの関係を詰問する。クレアは一体、何に手を染めていたのか…。そして彼女は生きているのか、それとも、もうこの世に無いのか…。

トムはヘスターの協力を受けつつクレアの失踪を探るうち、情報部によって秘匿された敵側の暗号電文があることに気付く。トムとヘスターは傍受した敵の暗号電文が2ヶ月間保管されているという傍受所に行き、スキをついて情報部が隠した日付の暗号電文を盗み出してくる。

田舎道を車で延々と行って、暗号電文を盗み出し、どこかの納屋で暗号機「エニグマ」にかけて解読を始める2人に迫る追っ手など、なかなかの緊迫感。モタモタしているようでもトムは頭がいいので、咄嗟に肝心なものを意表をつく場所に隠すのが上手い。トムとヘスターは心身症のホームズと女ワトスン君という感じ。頭がいいのに女だからということで事務員でしか採用されずにクサっていたヘスターは、ぶつぶつ言いながらも危険を犯して情報を探る。「探偵のコツがわかった」と目を輝かせるヘスター。頼りになる相棒だ。



やがて、秘匿されたその暗号電文には、ソ連の大虐殺事件が報告されていた事が分かるが、一応、連合国サイドにたっているソ連のマイナス情報は戦略上、公表できないので政府が抑えていたのだった。この隠された情報を探る過程と、護送船団を守るためにUボートの暗号を解読するというミッションがあるので、話はけっこう複雑になっている。結局のところ、新たな暗号の解読は肉を斬らせて骨を断つ式の捨て身のコード取得法でゲットするのだが、かつて自分も洋上でUボートに取り巻かれた事のあるケーヴ大尉(マシュー・マクファーディン)は、トムの提案する捨て身作戦に苦悩の色をにじませる。他に方法がないとはいえ、洋上で生贄にされる船団はたまらない。「鍵」を沢山集めて暗号を解析する作業も、え?なんでそんな事で解析できるの?と素人は思ってしまうが、専門家が何人も集まって文殊の知恵を出すと何か法則性がみつかるものなんでしょね。


懸命に暗号を解析中


突如変更された「シャーク」の暗号コードを読み取る事ができるのか?という縦糸に、失踪した女に絡む謎の解明が横糸になって、ややこしい話がずいずいと進んで行くので、注意深く見ていないと何がなんだか分からなくもなりがち。殊にクライマックスのあたりは拙速と言ってもいいほどに裏切り者を追って話が進んでいくので、アラ、アラ、アラ、アラ、という感じではあるが、暗号解読とかスパイ物などには長い伝統のあるイギリス映画。やはり感想としては面白かった、という事になる。途中からクレアの失踪に絡む男の影が浮上して、当面の謎は解けるのだが、クレアがなぜ体を張ってそんな行動に出ていたのか、彼女の本心はどこにあったのかという事は結局謎のままであり、関わった男の誰にも本気ではなかったように見えるそのキリンのような姿を見ていると、情報部さえも欺いた彼女のしたたかさが物語の核でもあり、それこそが真の「エニグマ(謎)」であるとも言える。だから重要な役であり、もうちょっと魅力のある女優が演じていたらもっと良かったろうに、と思わないでもないのだけど、まぁ、それを言ってもせんかたないので、このへんで。(笑)



※映画とは全然関係ないのだが、昔ロンドンに旅行した時、町のスーパーなどに入ると必ず売っていた缶の生ビールで「エニグマ」というのがあった。TVでも盛んにCMをやっていたので、その頃売り出したビールだったのかもしれない。何缶か買って帰り、ホテルで深夜「エニグマ」を飲みつつ、相棒と翌日の予定についてああだこうだと相談したのだった。「エニグマ」と聞くと、ワタシはなぜかその時にロンドンで見たビールのCMを漠然と思い出すのである。

コメント

  • 2010/11/04 (Thu) 16:48

    kikiさん、知らないうちに「エニグマ」放映されてましたのねん。録画し損ねました。マシューが出ているから昔見ようかな~、と思ったけどなーんかあのアイパッチなんか見たもんだからちょっと意気が下がったままになってましたんですわ。でも他にもトム・ホランダーとか出てていいじゃないですか。私の好きな戦争ものだし。私その主人公の彼知らない気がするなあ。ケイトのおばさんハリー・ポッターには笑った。ハロウィーンかって感じです。

  • 2010/11/04 (Thu) 22:14

    Sophieさん、これご存知だったのねん。ワタシはちっとも知らなかったのだけど、梗概を読んでおもしろそうなんで深夜の放映を一応HDDに予約録画しといたんですわ。けっこう面白かったわ。そして予期せずマシューが出てきて「おや」と思ったわ。アイパッチだけど、なかなかスッキリしてカッチョいい役だったわよん、軍人さんで。相変わらず声としゃべり方が良いのよね、あの人は。ダグレイ・スコット、観たことないかしら。まぁ地味だからねぇ。トム・ホランダー可愛かったわ。ケイトも含めて役者陣の顔が揃ってたし、クラシカルな設定もヨシで、それなりに面白く観ましたわ。

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