クラシック衣装の似合う人、似合わない人



18世紀~19世紀初頭の男性の衣装というのは、とにかくハイカラー。襟が高いんですね。おまけに首にボウタイというのか、襟飾りを巻いているので首が長くないと見ているだけで息苦しくなってしまう。その上窮屈そうな上着を着て、足元はパチパチのパンツにブーツなどを履いているので、足が細くて長くないと、これまた見ていて暑苦しい。要するに、とても着る人を選ぶ、厳しい衣装ってことですわね。俳優さんも似合う似合わないに関らず、この時代の役を貰ったら頑張ってこの衣装を着なくっちゃなりませんが、やはり似合う人と似合わない人がいる。と、いうわけで、思いつくままに18~19世紀の衣装をつけた俳優たちの姿について、あれこれマナ板にあげちゃおう、というのが今日のお題。
激しく着る人のプロポーションや持ち味を選ぶ衣装が18~19世紀の欧州の衣装なら、誰が着ても男振りが2~3割はアップすること受け合いなのはアラブのシークの衣装だと思いますのね。この衣装を着た姿で最も有名なのはロレンスのP.オトゥール。でも国籍を問わず、身長を問わず、ある程度なら体型も問わず、どんな男性でも確実にあの衣装を着ただけで、元の姿よりはカッコよく見えるだろうと思います。シークの衣装は男性に優しい衣装ってことになるかもしれませんわね。長い衣を翻して、腰に装飾的な半月刀を下げて歩いたら、そこらのおっちゃんでもちょっと見られるようになるかも。


この衣装なら、きっとオトゥールじゃなくても、ある程度カッコよく見えるはず

それに反して、18~19世紀の欧州の衣装は厳しい。現代劇ではイケメンで通っていても、この衣装を着たら冴えなくなっちゃったり、意外な体型の欠点が白日の元に曝されたりと、まさにイケメン俳優には踏み絵のごとき残酷な衣装なんざますわね。うっかり地雷を踏んじゃった人、余計に魅力が輝きを増した人、悲喜こもごもの品定め、そろそろ始めましょうかね。

まず似合っちゃってる人。

この筆頭はやはり、ワタシ的には「高慢と偏見」のコリン・ファースを挙げます。イチオシ。とにかくもう、スラーっとして、あんなにも人を選ぶ衣装を事もなげに着こなしている俳優は他に居なかろうと思われる似合いっぷり。胸元ぐらいまでならいい感じの人もいるのだけど、遠目に引いて全身を映した時にも鶴のように端然とした立ち姿を誇るのはコリン・ファースがダントツでしょう。いつ見てもウットリ。コリンもこの時がやはり生涯最高のハンサムマンぶりじゃなかろうかと思うのだけど、いや?もう、いつ見ても何回見ても美しいでざます。










次に、コリンとほぼ同率首位ぐらいな似合い度を示すのが、「ニューヨークの恋人」のヒュー・ジャックマン。お話は思いっきり荒唐無稽なロマコメで、昔の人がいきなりあんなにさっくりと電化生活に馴染むかよぅ!などと突っ込み出せばキリはないものの、ロマコメの女王だったメグ・ライアンが最後の輝きを見せた作品で、その相手役としてジャックマンは長身で、上品で、クラシカルな衣装が似合って、実にハマッた公爵っぷりでした。




ドタバタしててもスマートなのだ

上記の二人に共通しているのはとにもかくにも長身で、手足と首が長く、立ち姿が思うさまスラリとしていること。18~19世紀の衣装を着こなすには、なにはさておき、それが必須条件なわけですね。そういう点では映画としては好きではないものの、「オペラ座の怪人」のジェラルド・バトラーも着こなしはバッチリ。彼はこの手の衣装の似合う体型。(痩せてる時限定で)顔が小さく、首もある程度長いので高い襟もOKだし、とにかく脚が長いゆえ、長いマントを翻して歩く姿などもサマになっていた感じ。(でも歌はちょっと…)



その他、「エマ」や「理想の結婚」などで見たジェレミー・ノーサムもこの時代の衣装が似合う俳優。この人も貴族を演じてハマるタイプですね。その他、直接そういう衣装を着ている役を見たわけではないけれど、体型や雰囲気的にクライヴ・オーウェンやジェレミー・アイアンズやピーター・オトゥールも似合うでしょうね。間違いなく。



オトゥールまで行くと昔の俳優についてもちょこっと触れぬわけにはいきません。オードリーと共演した「戦争と平和」のメル・ファーラーも似合ってたし、「赤と黒」のジェラール・フィリップも当然、クラシカルなハイカラーが似合ってますね。ジェラール・フィリップが似合わないわけないものね。ついでながら書くと「高慢と偏見」のコリン・ファースはどことなくジェラール・フィリップ風味も漂ってる気がしてるんですのね、ワタシ。ジェラール・フィリップは欧州的貴公子型美男のある種の規範でしょうかしらんね。



でもジェラール・フィリップと顔立ちが一番似ているのは、実はユアン・マクレガーじゃなかろうかというのがワタシの見解(痩せてダークヘアの時限定で)。それとは関係ないだろうけど、ユアンも昔TVドラマで「赤と黒」のジュリアン・ソレルを演じてもいるのだけど、う?む。

…というわけで、ここからは残念な人々について。

ではまず、前振りをしたのでユアンから。うーむ、似合いません。身長と首の長さが足りない。「エマ」でモロにこの時代の衣装で現れるユアンを見たのだけど、なんか冴えなかったなぁ。背丈も首も短めなのに、髪だけは長いんだもの。余計にモッサリして見えた。ユアン、背は高くないのに顔が大きいのよね…残念。



お次は何度も書いているけれど、「いつか晴れた日に」のヒュー・グラント。他の映画ではそんな風に感じなかったけれども意外に首が短いらしい。だから、この時代の衣装を着せられてしまうと非常にモッサリとしていて冴えない事夥しい。ラクダみたいにボヤーっとしている。そういう役でもあったので、あまりパリっと見えないように衣装も着付けていたのだろうか、なんて思っちゃうぐらいにイケてなかった。…残念。



「ジェイン・オースティン 秘められた恋」のジェームズ・マカヴォイも似合わなかったなぁ。彼の場合はとにかく体型が貧弱で、決定的に身長が足りないという感じ。演技的には役にハマっていて、表現力では申し分なかったのだけど、あ?残念ながら体格がついてこなかった。演技力だけではカバーできない事があるのね…と改めて感じたのでした。…残念。



最後に、部分的にはまずまずだけれどトータルではやはり残念組に入るかな、というのが「プライドと偏見」のマシュー・マクファーディン。この人は上半身だけ見ていると首も長いし、この時代の衣装を着こなしているように見えるのだが、引きで全身が映ってしまうと残念な感じになるんですねぇ。背は高いのだが、ノソーっとでっかくてフランケン風味が入ってくる上に、脚が太い。なんだかノッソリとして優美な立ち姿、というノリじゃないので、やっぱり残念組。マシューが一番カッコよく見えたのは「MI-5」のエージェント役の時じゃないかしらん。顔も体も痩せて引き締まっている感じだし、ドラマの内容も緊迫感があったせいか、2割増しぐらいにいい感じに見えたような…気のせい?


アップだとよさげなのだが…

引きで撮られると、あ?ららら残念

というわけで、背が高ければいいというもんでもないのだけれど、でも首と背丈は絶対に必要というこの衣装。ワタシのご贔屓のジェイキーなどは間違いなく残念組でしょね。というのも、彼は身長や脚の長さは申し分ないのだけど、どういうものか首が異様に太くて短かめ。あの衣装着たら首が廻らないし、襟飾りの中にアゴの先が埋没して、いつも肩が盛り上がってるような猫背の人みたいな感じになりそう。ダニエル・クレイグも似合わないでしょうね。なんかモッサリしてしまいそう。

というわけで今回は、イケメンでも似合うとは限らない、着る人を選ぶ厳しい男性の衣装について、でした。

コメント

  • 2010/12/27 (Mon) 13:17

    こんにちは。

    私はその昔、フィギュアスケートの国際大会を見に行き、ロシア男子選手の貴族風衣装のあまりのハマりぶりにビックリ仰天した覚えがあります。「絵のような姿」とは正にこのことか、と。
    服は人を選びますね。特に貴族の服は。
    (間違っても織田信長の末裔なんぞに着せちゃいけません。どう見ても遣欧少年使節ですから。)

    こうしてみると、同じ西洋人(という括りも何ですが)でもこれだけ“似合う・似合わない”があるのに、鹿鳴館なんて何て無謀で浅はかな考えだったんだろうと思いますねぇ。

    最近、手当たり次第いろんなジャンルに挑戦しているJakeですが、そういえば「文芸モノ」は未経験ですね。
    良くも悪くも明るいアメリカン・ボーイの地が透けて見えるJakeがあの衣装を着たら……あらら学芸会っぽくなりそう(苦笑)

  • 2010/12/27 (Mon) 22:33

    xiangさん、そういえば王子系のフィギュアスケーターもこの手の衣装が似合いそうですね。ロシアとかおフランスとかのキレイな男子ですね。そして、あ~遣欧少年使節。確かに。まさにそんな感じ。

    この衣装はほんと、似合えばいいけど似合わないとな~んかぷぷっという感じになっちゃって辛い衣装なんですよね。欧米人なら似合うってもんじゃないんですのよね。

    ジェイクは、一概にコスプレ系は全面的にダメってことはないと思うんですが、時代にもよりましょうね。古代ローマのトーガとか、チューダー朝の衣装なんかだったら、案外似合うかも。でも18,9世紀の衣装はやめといた方がいいような気がしますね。実に余計なお世話だけど。ふほ。

  • 2010/12/28 (Tue) 01:27

    確かに!クラシカルな衣装って、背が高くてそれなりに肩幅のある人じゃないと似合いませんよね。ジェームズ・マカヴォイは本当に残念でした・・・。
    クラシカルな衣装・・・現代だと誰が似合いますかね。あ、ルパート・フレンドとかは似合ってたような気がします。あとはジョナサン・リース・マイヤーズとかガイ・ピアースとかジム・カヴィーゼルとか、クリスチャン・ベールが似合うんじゃないかなあ。・・・すみません、私の趣味です(笑)。
    ちなみに、古代ローマの服装なら、チャールトン・ヘストンの右に出る者はいないと思います!あの時の彼の身体は完璧でした。なんたって、私は彼の背中に惚れたんですから(笑)。

  • 2010/12/28 (Tue) 07:19

    mayumiさん。18~9世紀の衣装を着こなすには身長と首の長さと小顔というのは必須条件だと思うんですわ。それからするとジョナサン・リース・マイヤーズはちっと微妙かな、という感じ。体型がユアンと同じようなバランスでしょ?ヘンリー8世時代の衣装は似合うけど、今回のお題の衣装は微妙な気配がします。衣装も年代によってけっこう違いますよね。クリスチャン・ベイルは体型や雰囲気的に18~9世紀似合いそうですね。ガイ・ピアースも無難に着こなしそうです。
    あはは。古代ローマはチャールトン・ヘストンが確かに一番似合ってる感じですね。そうか、背中に惚れましたか。大胸筋とか肩のラインじゃなくて背中ってのが深いですねぇ。ふふふ。

  • 2010/12/29 (Wed) 03:35

    ああ、確かにジョナサン・リース・マイヤーズはヘンリー8世のイメージでしたわ。そうか。ちょっとなで肩ですかね。
    で、「赤と黒」で思い出したのですが、イタリア人俳優のキム・ロッシ・スチュアートなんて、クラシカルな衣装似合うんじゃないでしょうか。TV版の「赤と黒」でジュリアン・ソレルを演じた時、似合ってたような気がします。美形ですし。以前NHK-BSで観たきりで、もう一度観たいな~と思って何気なく検索したら、DVDが発売されてました!嬉しくなってアマゾンで即購入しちゃいました(笑)。

  • 2010/12/29 (Wed) 09:47

    画面のジェームズ・マカヴォイ,思わず「残念」と頭をよぎったのを思い出して、笑ってしまいました。<ジョナサン・リース・マイヤーズはちっと微妙かな、という感じ。ヘンリー8世時代の衣装は似合うけど>これも慧眼。いつも楽しく読ませてもらってます。クラシカルな衣装では、私の一押しは、ダニエル・デイ・ルイスです。

  • 2010/12/30 (Thu) 00:37

    mayumiさん。J.R.マイヤーズはなで型だしあまり背も高くないし、顔も大きめな感じですよね。でもヘンリー8世のチューダー朝の衣装は似合ってますね。あ~、その最近のTVドラマの「赤と黒」、確か以前LaLaTVで放映してたのだけど、留守録を忘れて見られず終いでした。そうそう、かなりイケメンの俳優がソレル役でしたね。確かに彼も似合いそうですわ。DVD買っちゃったんですのか。素早い。ワタシはまたどこかで放映されるのを待つともなしに待つとしますわ。

  • 2010/12/30 (Thu) 00:40

    mizuさん。マカヴォイは、あと15cm身長があると色んな事がまた、だいぶ違ったんでしょうけどね。挑戦できる役の幅ももっと広がっただろうし。そして、あ~、そうそう。そうでしたわ。ダニエル・デイ・ルイスがいたんでしたね。はいはい。もう随分久しくキレイな姿を見ていないのでスッコロリンと忘れておりましたわ。そうだそうだ。確かに、間違い無く彼もこの手の衣装が似合う俳優の最右翼ですわね。もう一度エレガントな姿を映画で観たいものですね。

  • 2011/01/10 (Mon) 18:44

    随分ごぶさたしてました、うふ、一応残念組でもマシュー入っているのですね。あの人はスレンダーじゃないからねえ、がっちり体型してるからどうしてももっさりしちゃうんですよね。まあ私はそんな事は全然気にはならないんですけど。MI-5の時は役柄もあって一番人気があったでしょうね。まだ多少細いし。ロビンフッドでもあんないけすかない役で出てるし、演技は上手いからもっと色々良い映画に出て欲しいなと思うのですが、なかなかねえ。英国TVでは活躍してるみたいだけどいかんせん日本にはなかなか入って来ぬゆえ。

  • 2011/01/11 (Tue) 07:10

    Sophieさん。コメントはお久ぶりですわねん。
    何故かうちのブログには折々マシュー・マクファーディンで検索してくる人がいるので、一応残念組ででもマシューも入れておこうかと。(笑)「ロビン・フッド」で嫌な役やってるの?知らなんだわ。マシューはなんでTVにばかり出てあまり映画に熱心じゃないのかしらね。不思議。ところで、あなたが貸してくれたあのBBCドラマ、お正月休みにざっくりと観ましたわよん。男前で財産もあるのに、大した事ない娘に猛烈に振られるシーンはどこかで見た事あるような…って感じだったけれど、それなりに面白かったですわ。あなた、あのシーンで掴まれちゃったんじゃないのぉ?でも、あなたの新しいご贔屓さん。ハンサムだけどちょっと顔に険というか嫌味がない?ワタシはあの人だったらマシューの方が好感度高いかなぁ、とか思ったんでした。ふほ。

  • 2011/01/15 (Sat) 19:08

    kikiさん見たのね、あれを。印象としてはJane Austen meets Dickensみたいな話だけど、主役はまあおいといても、脇役の人々がよくって好きだったのよね。あの超マザコンママとかね。あのシーンでは私掴まれておりませんことよ。リチャードは顔に険は確かにあるけど役柄もあると思う。他のではわりにぽわっとした感じのもあるから。
    ま、マシューももちろん好きなので色々とチェックしてますわ。

  • 2011/01/16 (Sun) 09:25

    Sophieさん。そうね~。モロにJane Austen meets Dickensって感じの作品だったけど、いかにもあなたがお好きそうな雰囲気だと思いつつ拝見しました事よん。ああいうのは何か波乱が絡むのがお約束だけど、今回は戦争の代わりに労働争議とかが絡んでるのね。結末はもうお約束の力技のハッピーエンディングで(笑)リチャードさんはあのドラマでは印象が暗めだけど、確かにハンサムマンだとは思います。マシューの方が顔に愛嬌があるかな。リチャードさんはシェイクスピア役者でいらっしゃるのねん。またもなかなか映画に出ない人だわね(笑)

  • 2014/11/04 (Tue) 16:07

    面白かったです、手厳しさ満載で。
    クラシック衣装の似合う人、似合わない人の女優バージョンもやってください。

  • 2014/11/05 (Wed) 21:19

    女優バージョンですか。18世紀とか19世紀の衣装が似合わない女優として、ミッシェル・ファイファーを速攻思い出しましたわ。あとはまだ浮かんでこないのだけど(笑)

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