「シティ・スリッカーズ」 (CITY SLICKERS)

~少年ジェイクとジャック・パランス
1991年 米 ロン・アンダーウッド監督



90年代初頭に一度観たきり、すっからりんと忘れていた映画だけど、映画チャンネルで放映していたのを捕獲しておいて年末に観賞。
都会で仕事に不満を感じ、ストレスを溜め込んだサラリーマンが西部の牛追いツアーに参加することで自分を取り戻すという話で、テーマについては今更どうこうはないのだが、これは何といってもビリー・クリスタルの息子役で当時10歳ぐらいのジェイク・ジレンホール(本人がジレンホールだ、と言っているようなので当ブログでも今後はジレンホールでいきます)が出ているのと、岩を刻んだような風貌で西部の男の生き残りとして味わい深く登場するジャック・パランスに尽きる映画だと思う。
主人公のミッチ(ビリー・クリスタル)はラジオ局の営業マン。自分でも仕事に疑問を感じているところへもってきて、息子のダニエル(ジェイク)がオヤジの職業をいやがっているので、余計に凹む毎日だ。息子のクラスの父親参観で、自分の仕事を話して聞かせる時も、子供相手に愚痴めいたペシミスティックな事しか言えない始末。とほほである。

というわけで、パパの仕事がカッコよくないと思っているので、「潜水艦の館長です」なんてクラスにウソを紹介する息子を演じるジェイキーは歯列矯正前なのか、大きな2本の前歯の間に隙間がある。多分、日頃やっている事をカメラの前でそのままやってごらん、とか言われて、ホームパーティに集まった大人達の前で、肩の骨をゴキゴキならしたり、変顔をしたりして得意満面なシーンもあったりするが、素は何かといえばふざけてばかりいるというお茶目なジェイキーの子供時代が髣髴とする。





そして、このスイた前歯のボクちゃんは確かに面差しはジェイキーの子供時代に違いないという感じではあるのだが、可愛い事は可愛いけれどもちと微妙な雰囲気もある。この子供時代のルックスから推察して、ジェイクには今のようになる場合と、あまり背も伸びず、童顔100%のトム・ハルス(「アマデウス」のモーツァルト役)のような感じの大人になった可能性も否めないかも、とワタシはふと思った。


伸び悩むとトム・ハルス(右)みたいな感じになった、かも(笑)

思春期というのはひとつの大きな峠で、幼少時にいくら可愛くても、ここをスーッと越していかれないと あれ~という方向に行ってしまいがちである。子供の頃は可愛かったのに、こんな事になっちゃったの~という例は枚挙にいとまがない。ジェイクは思春期にいい方向に転がったのだろう。子供時代のジェイキーを見ていると、イケメン系に育つか、ファニーフェイス系に育つかは五分五分だったかもねぇ、と思えたりする。ま、もちろん可愛いんですけれどね。

でも、ジェイクのファンになるまで、この映画に彼が出ていたことなど全く気づかなかったし、そもそも子供が出ていたことすらサッパリ覚えていなかった。
いまでもどちらかといえばソフトでトーンは高めのジェイクの声だが、子供時代はそれこそ非常にキュートなハイトーンのソプラノの声で、顔より声が可愛いわ、とニンマリしたワタクシ。1991年にはスイた前歯の子供だったボクも、いまや立派な30男。
歳月は流れる。


うまく育ってよかったね!

そして、ミッチの中年仲間にブルーノ・カービイとダニエル・スターン。ブルーノ・カービイ「ハリーとサリー(When Harry met Sally)」にも出ていたのでビリー・クリスタルとコンビの印象が強い。でも、「ゴッドファーザーPart~」で若き日のクレメンザを演じていたのはごく最近気づいた。長生きしそうに見えたのに、57歳で白血病により亡くなってしまった。彼は、本作では女好きで何事にも一言多い奴をとぼけた顔で演じている。


左からダニエル・スターン、ビリー・クリスタルブルーノ・カービイ

また、80年代に「スーパーガール」をやっていたヘレン・スレイターが紅一点で出ていた事も、今回、再見するまですっかり忘れていた。ヘレン・スレイターってクセのないアイドル顔で一応美人なのだが、キレイだというだけで無個性。無味無臭で面白くもなんともないという感じである。日本で言うと沢口靖子みたいな感じといえばいいだろうかしらん。洋の東西を問わず、こういう無害・無個性なちんまりした美人女優というのは存在するものなのだなぁと改めて思った。



そして、常に唇の端に煙草を挟んだ状態のマルボロ・カントリーの男、カーリーに扮してジャック・パランスが出てくると、もう出てくるだけで何だか嬉しい。とても嬉しい。それにやっぱりカッコいい。岩を刻んだような顔、歯の隙間から押し出すような低い声。赤いスカーフが粋だよ、爺さん。ヤワな都会のヘナチョコ野郎どものすっとこどっこいな悪あがきを眺めて、「City Folk」と地を這う声で一言のたまう。声と顔と台詞がバッチリとハマっている。もっと長く出ているのかと思っていたら、案外アッサリと彼の出番は終わってしまうのだが、出てくるシーンは全て強く印象に残る美味しい儲け役で、その年のアカデミー助演男優賞をかっさらい、話題になった。当時、有名なあの「シェーン」の敵役がまだ生きていて現役で俳優をやっていたという事にかなり驚いた事を思い出す。



ともあれ、この牧童頭カーリーのシーンでは、商売女は何人も知っているが恋をしたのは一度だけだ、とミッチに話すシーンが特に良い。
テキサスの畑で若い娘が働いていた。夕陽を背にシルエットになった姿が美しかった。あまりに美しかったので何も言わずにそのまま立ち去った、と。
恋を感じたのに立ち去るなんて人生の宝を失ったんだ、と言うミッチに、カウボーイの生き方は違うんだ。俺たちは滅び行く種族だからな、とカーリーは言う。 いいですね。



傍からはどう見えようと、自分が好んで選んだ道だし、この仕事が好きで堪らないという感じが淡々とした表情と台詞廻しの中によくにじんでいた。



人生の秘訣は、たったひとつだ。それが何かは自分で考えろ、と言うカーリーを見ながら、人里離れた荒野で、純粋に朴訥に自分のスタイルを崩さずに生きて来たような達人的老人に、目の前で人差し指をぴっと立てられて「人生の秘訣はひとつだ」なんてちょっと言われてみたいもんだねぇ、とか思ってしまうのは、やっぱりワタシがヤワなCity Folkだからに他なるまい。

コメント

  • 2011/01/13 (Thu) 12:54

    kikiさん

    この映画のジャックパランス、大好きです。渋いし、かっこいい。
    老俳優で素敵~と思ったのはこの人が最初だったかもしれません。
    アカデミー賞で(だったかしら?)腕立て伏せを披露してさらに喝采を浴びましたね。滅び行く種族のカウボーイの悲哀と誇り、最後も見事でした。奇しくもブロークバックマウンテンでジェイクはカウボーイを演じましたが。私もこの映画のジェイクはまったく覚えてませんでした。ロケットボーイズの時もいい子という印象だけで。年を重ねていくごとにますます良くなる俳優であるよう、頼むよ、ジェイク!

  • 2011/01/13 (Thu) 22:18

    ふうさん。ジャック・パランス、いいですよね。老人になってから再度注目された俳優の皮切りだったような気もします。腕立て伏せを披露したって話ですが、ワタシはそういうエピソードを読んだ事があるだけで、実際に映像は見た事がないんですよ。でも、いかにもやりそうな感じです。ふふふ。
    で、この映画の頃のジェイクは可愛いようなそうでもないような、ちょっと微妙な感じですね。彼は「大人になって良くなった組」だろうと思います。子供の頃だけ最高に可愛いよりも、息が長いから大人になってからいい感じになった方が得かもしれませぬ。

  • 2011/01/14 (Fri) 13:07

    あぁぁぁっ、トム・ハルス!!(笑)(笑)
    Jakeったら危機一髪だったんですね。

    そういえば以前のインタビューでは「自分はclass clownだった」と言ってましたが、10代のJakeはきっとイタズラなひょうきん者だったんでしょうねぇ。

    「LAOD」公開されるんですね。でもあっという間に終わりそうな予感が…。実は私、まだスクリーンでJakeのお姿を見たことがないというファンの末席にもいられないような状態なので、今度は見逃さないようにしなくっちゃ!!

  • 2011/01/14 (Fri) 23:33

    xiangさん、成長過程でちょっと間違うと、あれ?という方向に行っていた可能性も大ですよね。トム・ハルス系に育っちゃう芽もけっこう有ったかなって気がします。ジェイクは10代の頃ばかりでなく、今に至るも何かといえばご陽気におちゃらけている人みたいですわよ。素は。
    「LAOD」公開予定だと「スクリーン」には出てました。(しかもアン・ハサウェイの新作という紹介で(笑))でも公開日は未定っぽいですね。そして、あっという間に終了しそう。Don't miss it!ですわね。

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