最後の鑑賞



行ってきました。見納めに。初見者二人と連れ立って。
この二人、一人はRさんといって、予告編で例の水着姿のマッチョぶりにびっくりし、ひたすらそればかりが脳裏に残り、何かといえば「あー、あの筋肉凄いよねー」ばかり言っていた人。もう一人のHちゃんは、絵に描いたようなイケメン好きで、伊藤英明とかベッカムのファン。ダニエルのことは「あー、あのいけてない水着で海から上がってくるシワの多いおじさんでしょ?」とのたまっていた。ふっふっふ。そんなことを言っていられるのも今のうちだよ。たんと言っていなさい。たんと。
シネコンはざらっと6割5分の入り。まあ、一番頃合の客数だ。今回は、4回のうちで、一番センターで、もっともスクリーンの観易い位置だったかもしれない。
ワタシは3人のうちスクリーンに面して左端に座った。これはけっこういいポジション。初見者の反応をなんとなく覗いつつも、自分だけの感興に浸りたいときには浸れるポジショニングである。我ながらナイスだった。ちなみにワタシの左側にはラッキーなことに誰もいなかった。ワタシの右隣はRさん、その向こうに Hちゃんが座を占めた。
そして、「カジノ」が始まった。モノクロシーンから一転して鮮やかなオープニングに入るあたり、二人とも身じろぎもしないでスクリーンを観ている。このオープニングが気に入った、という事だろう。そこから更に畳み掛けるようにマダガスカルのシークエンスに突入。二人がオープニングで結構画面に入っているようだったので、このあたりはワタシもまた手に汗を握りつつ高層アクションを堪能した。
Mに叱られる場面から一転してバハマのグリーンの海が一面に広がり、例のボンドさんが海から上がってくるシーンが来た。筋肉だけをひたすら言っていたRさんがどんな食いつきをしているかと横を覗うと、彼女は更に自分の隣のHちゃんの方を観ていて肝心の画面を見ていない。あれれれ?と思ったらなんとそのシーンの始まる前にHちゃんがニヤっとしつつRさんの横顔を見たので、恥ずかしくなってしまい、Rさんはついにあれだけそのシーンだけを唱えていたのに、肝心の部分を見逃すハメになったらしい。妙なところで純情である。
マイアミ空港の爆破阻止後のニヤリが終わり、手首に発信機を埋め込まれると、森の中を走る列車が見えてきた。ここは二人なんかに気を取られている場合ではない。ワタシの一番大好きなショット、食堂車でメニューが配られてくる前に一人で窓の外を観ているボンドさんが映るシーンである。なんでもないところだけど、この時の横顔がとっても好きなので、ここを見逃してはならないのだ。なんかこの時の横顔は本当に男前でさりげなくていい。十二分にうっとりさせていただいた。このあと勢いよくヴェスパーが歩いてきて二人の丁丁発止のやり取りになる。横の二人がこのやり取りに興味を持っているのがわかる。その後カジノのシーンに移る。彼女たちはやはりルールが分らないらしく、何やってるのかわからないなりに、どうにか読み取ろうとしている気配が感じられた。でも、やっぱり二人が、というかワタシからはすぐ横のRさんしかはっきりとは分らないのだけど、例のシャワールームのシーンになると俄然、一段階、中に入ったな、というのが感じられた。やっぱり女性客にはあのシーンは最強のカードである。うまく考えてある。でも、Rさんはその前の非常階段の死闘後にボンドが洗面台の前で疲労困憊で傷を洗い流すシーンでも息を詰めて見ている気配が感じられた。う?ん。今日もとても辛そうに血を洗っている。お疲れなのね…。でも、また賭博場に戻るのね。ご苦労さま。
と、まあ、こんな調子で、とにかくその後はもう、流れのままに一気呵成に見て、エンドロールに達した。そして、いつも見ると思うことだけど、非常階段の前のシーンで、ボンドはヴェスパーを連れてル・シッフルの部屋の階に行くことはないし(自分だけ行けばいいのだ)、勝負に勝ったあと何故間抜けなフェリックス・レイターはル・シッフルを取り逃がしたのか(このへんは原作もそういう流れで、全く説明もない)とか、最後の金の受け渡しで、ヴェスパーがわざわざ現金を引き出して自分で持っていく必要があるのか、とか、見せ場をこしらえるためにムリにそうした部分の不自然さというのはどうしてもぬぐえない。(お金については拷問の件で支払い先が変更になったので仕方なく、という事もあるだろうけど、この電子マネー時代に、些か古風すぎやしまいか)そしてベニスの廃屋で、ホワイトは一体、いつの間にどこからケースを拾ったのか。あの爺いめ、と、もう、最後なので、一応妙なところへの突っ込みは入れておくことにした。次回はもう少し???の無い設定で脚本を作ってみてほしい。
というわけで、基本的には、ただ黙って見つめてきました。ボンド別れの晴れ姿。DVDでまた逢う日まで、しばしのお別れである。そして同行の二人はどうなったかというと、劇的に変ったのは否定度の高かったHちゃんのほうだった。「かっこよかった、目が凄いきれい」とちょっとうっとり目になり、明日から PCの壁紙をベッカムからダニエルに変更するとのこと。来たよ、来たよ。ダニエル症候群が。Rさんの方も肝心の水着は見逃したものの、顔が童顔だよねー、時折少年みたいな感じでカワイイとのたまっていた。筋肉だけではない事が分ってなによりである。よりファンになってしまったのはHちゃんの方だったようである。否定から入ると、イメージが逆転した時の反動はその分大きいので、最初から筋肉は肯定していたRさんより、インパクトが強かったのかもしれない。このへんが妙味である。ともあれ二人とも「面白かった」と大喜び。ワタシも4度目ともなると3人ぐらいで見にいくのも悪くないなと認識を改めた次第。ダニエル効果で、誰にとってもハッピーな一夜だった。

…ダニエル、今日もまた、ちょっとキレイ目の女子二人がファンの列に加わったよ。ニクいなぁ、この女殺し。

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