映画のお気に入りキャラたち 女性キャラ編



それでは、男性編に引き続き、女性編と参りましょう。
マーゴ・テネンバウム(グウィネス・パルトロー) 「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」



ワタシは女優はビッチな方が面白いと思っているので、グウィネスもキライではない。彼女の出演した映画を幾つか観た中で、演じたキャラとして一番魅力的だな、と思ったのがこのマーゴ・テネンバウム。劇作家であるマーゴのキャラ造形には、女流作家だか劇作家だかで、ヒントにした人物がいるらしいのだが、ワタシは本作のレビューにも書いたけれども、グウィネスのマーゴの何がいいかというと、ガルボ風味の現代版という感じがするところがいたく気に入っている。とにかくいつも憂鬱な顔をして、人に言わない秘密があり、ムッツリしているのに男出入りは激しく、服装や髪型が独特のセンスで貫かれているマーゴ。痩せ型で長身でボブヘアで無表情で憂鬱そうなところがちょっとガルボ風味。



ボーダーの半袖ワンピースになぜか毛皮のコート、でっかいバーキンのバッグを下げたマーゴは、ストレートボブで髪の片側をチープなピンで留めている。ワタシも髪が顔に垂れてきてうるさい時、たまにぱっちん留めで髪の片側を留めたりするのだが、この行為について「マーゴ(・テネンバウム)する」と名づけている。マーゴすると、顔が忽ちムッツリしてきて、バスルームに閉じこもって煙草を吸いたくなってくる(ウソ)。何はともあれ、マーゴ・テネンバウムはグウィネスがこれまで演じた中で一番魅力的な人物像だとワタシは思う。どうせ大した事は考えていないのだろうが、黙っているので妙に謎めいて見えるところも良い。
 

アリソン(ゾーイー・デシャネル) 「イエスマン」



ゾーイー・デシャネルを初めて観たのが「イエスマン」。走りながら風景写真を撮る、という妙な会を主催し、マイナー路線の売れないバンドを趣味でやっているアート系の不思議ちゃんアリソンは、とにかくキュート。ジム・キャリー演じる主人公じゃなくたって、こんな彼女ができたら嬉しくなっちゃうよねぇ、という感じである。ジム・キャリーとのコンビネーションもバッチリで、スクリーンの中だけとはいえ、微笑ましいカップルぶりが見ていて楽しかった。いまどき流行らなさそうな重い前髪のボリューミーなロングヘアに、服装センスもどことなく60年代風なアリソン。キュートではあるがけっこう独特である。アリソンのキャラにはかなりの部分でゾーイー自身が投影されているような気配もする。とにかく「活き活きしていてとてもキュートな僕の彼女」って感じがナイスだった。


スージー・ダイヤモンド(ミッシェル・ファイアー) 「恋のゆくえ/ファビュラス・ベイカー・ボーイズ」



ミッシェル・ファイファーの本領は間違っても貴婦人役などではなく、水商売の女や、愛人や娼婦を演じている時にもっとも個性が輝くように思うのだが(最近はヒステリックな役や、魔女系のキャラが多くなったかな)、彼女の良さが理想的な形で出たキャラが、このスージー役だったのではないかと思う。今は俳優も女優も、大抵の人は歌もプロはだしに歌えれば、ダンスも上手い。みんな芸達者であるが、80~90年代は歌が上手い女優や俳優はそう多くなかった気がする。ミッシェル・ファイファーの歌は、さして声量もなく、一種の雰囲気ヴォーカルなのだが、歌い出すと場の空気を掴む感じはさすがの一言。



パーティ・コンパニオンをしながら30になった女の、過去に散々傷ついてきた雰囲気(生まれ変わったような気になっても、一夜明けたらいつものスージーだったわ…)もよく出ていたし、同じような匂いを嗅いだピアノ引きのベイカー弟とは似たもの同志ゆえに上手くいかないという感じもよく出ていた。お互い、気ままに生きてきて、それなりに傷ついてきただけに一歩を踏み出せず、素直になれずに互いを失ってしまう、そのもどかしさ。でもここでは男の方がずっと幼稚で臆病であり、彼女の方が素直になろうとしているのに、男が妙な意地を張ってそれに応じないで後悔するハメになってしまうのである。物別れをしてからのち、未練げに訪ねてきたベイカー弟に対するスージーのクールさが良い。終わった事はもう振り返らない。前進あるのみである。いつだって、男より女の方がオトナで強いのである。金もないくせに、どうせ吸うならベストのものがいいわ、と高い洋モクを吸う勝ち気なスージーの脆さと強さが忘れがたい。


アレックス・ゴーラン(ヴェラ・ファーミガ) 「マイレージ、マイライフ」



これほど気持ちよく、オットナ~な雰囲気を匂わせた女性キャラというのは、そうそう存在しない。久々に「お、カッコいいな」と思って目を細めつつ眺めたキャラ。家を外にしてあちこち飛びまわる男性ビジネスマンが外でやっているような事を女性としてそのままやっているアレックス。アレックスの「遊びのつもり」の独身ブリッコに完全に引っ掛かってマジになってしまうライアン(ジョージ・クルーニー)は、まるで既婚者と知らずに相手にのぼせ上がる中年独身女性状態で、ラスト間近のガッチョーン!なオチは気の毒とも何とも言いようがない。当初は笑いつつ見ていた色々な状況や風刺や皮肉が、笑えないものに変っていく本作の中で、ヴェラの演じたアレックスのキャラは、そのビタースィートなオトナっぷりが、ひときわ鮮やかな印象を放っていた。


リサ(メグ・ライアン) 「キスへのプレリュード」



太る前の、二枚目時代のアレック・ボールドウィンが夫役でメグと共演しており、顔合わせはやや珍しいものの、映画自体は面白くもなんともないコメディ。でも、ワタシはこの作品のメグ・ライアン演じるリサはけっこう気に入っている。映画も二人が出会って結婚するまではそこそこ面白かった。リサは不眠症で、眠れないので深夜までバーテンをやっている女の子。ブロンドのロングヘアを波打たせたメグは、黒いハイネック&ノースリーブのワンピースを着て、首から鎖につけた部屋のキーを無造作にぶら下げ、可愛い顔をしてなにげにエキセントリックでエッチで情緒不安定なキャラ。リサはメグ流の不思議ちゃんキャラで、彼女の着ていた衣装ともども何となく好きだった。


マサコ(もたいまさこ) 「かもめ食堂」



メインのサチエ(小林聡美)よりも、この映画ではもたいまさこのマサコの方が味わい深かった。佇まいが妙に端然としているところも好ましいキャラ。両親の看護に人生の十数年を捧げて、やっと解放された時にはもうけっこういい年になっていた、という感じのマサコさん。一人になってフィンランドに来てみたものの、空港でスーツケースが出て来ず、ずっと「わたくしの荷物は~」と探し続けているのだが、ある時、ずっとひきずってきた荷物の何がそんなに必要なのか~と自然に思うようになる。このマサコのように知らぬうちにずっと持ち歩いている不要な荷物に気づいていない人はけっこう多そうだ。きっと、ワタシも気づかずに何かをずっと持ち歩いているのだろうな、と、この映画を観た時に思ったりした。

以上、何となく気に入っている映画の中の女性キャラについて、あれこれ語ってみました。

コメント

  • 2011/02/17 (Thu) 19:31

    kikiさん
    マサコ、最高です。あと、ベラもいいわ。この二人。まったく違うタイプの女性なんだけど、粋なところがいい。(クルーニーは気の毒だったけど)kikiさんの好みってほんとに面白いざます。

  • 2011/02/18 (Fri) 09:49

    ふうさん。この中で、未見でご存知ないのだとしたら「恋のゆくえ」は是非ご覧になってみてください。お薦めですよん。映画としても非常によく出来てます。ほろ苦いけど、主人公は30代前半から半ばなのでまだどことなく甘みもあります。
    この中でワタシが一番気に入っているのはグウィネスのマーゴ・テネンバウムです。「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」は映画としてはかなり好き嫌いの分かれるシロモノだと思うし、マーゴもそういうキャラだと思いますので、お薦めはしませんけれどね(笑)

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