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ドン・ドレイパーはどこへ行くのか?  「MAD MEN」 Season4



ワタシは地上波を観ないので今なにを放送しているかなどというのも全く知らないのだけど、そうやって地上波を無視していたら、いつの間にかフジの深夜枠で「MAD MEN」のシーズン4放映が始まっていた。(いつの間に…)気づくのが遅すぎなくて良かったといえばよかったが、知らぬうちに2話ほど見逃してしまった。全く油断も隙もない。 
いやはや、それにしてもドン・ドレイパー。形ばかりの家庭生活が消滅して、彼の漂流を止めるべき何物もなくなった今、もはや制御不可能なところへ漂い出している難破船の観がある。どこへ漂流していくのか、そしてどこへ流れ着くのか、ドン。
シーズン3はこの春にDVDで一気に見たのだが、スターリング・クーパー社は再度の買収にあう事となり、ドンはスターリングおよびクーパーと図り、少数精鋭のメンバーを引き抜いて新会社を設立し、経営者の一人になる。朝鮮戦争を境に、名前を偽り、過去を葬り、中古車屋や毛皮屋で店員をしてきた男が、広告業界に潜り込んで十数年、ついに小さな新会社とはいえ経営者になったわけである。一方で、さんざんないがしろにしてきたとはいえ、社会的信用の源ではあり、一応身の置きどころでもあったであろう家庭をドンは失う。3人も子供をでかしておいてねぇ…。まぁ、この男がそもそも家庭を持とうなんて思ったのが間違いなんだけど。

そして語られない過去や、再三の浮気でドンに不信感を募らせていたベティはついに開かずの引き出しだったドンの机の引き出しの鍵を手に入れ、そこに封じこめられていた彼の過去を知ってしまう。浮気と嘘ですっかり嫌気のさしたベティはドンと離婚し、自分になみならぬ関心を示していた男やもめのヘンリーと再婚する。



ジャニュアリー・ジョーンズ演じるベティは、シーズン1では何か秘密のある夫に不信感が漠然とわく為に、情緒不安定でカウンセリングを受けたりもしていたが、根本的には家事をよくするし、常に綺麗に自分を保ち、パーティなどにドンに伴われてにこやかに現れては夫の仕事をささやかにサポートする「けなげな」美人妻ではあったのだが、シーズン2で夫の浮気を知らされてからは夜叉になってしまい、その恐い性格が段々に表面化してくる。潔癖症でヒステリックで、子供達にやたらに厳しい女になっていくのだ。シーズン1から微妙にそういう気配はあったのだが、ベティは何かというと子供たちをすぐに寝かせようとするか、2階で遊んで来なさい、と追い払うかで冷たいし、何かちょっとでも問題だわ、と思う行動をすると、すぐに子供を平手打ちしたり、物置に閉じ込めたりなどの罰を与えるのだが、その罰の与え方がヒステリックで「うわ~、ちょっとばかり綺麗でも、こんなおっかさんはイカンなぁ」という感じである。



youtubeにも子供に冷たく厳しいベティのシーンを集めた「Ugly Betty」という動画がアップされていて、ちょっと笑ってしまった。でも、実にその通り。ベティはシーズン4で更に「Ugly Betty」度がUPしていて、猛烈にイヤな女になっている。シーズン3まではまだ甘美な描かれ方もしていたし、彼女にも同情すべき点はあるという捉えられ方だったのが、4ではヒステリックにドンや子供に怒るシーンばかりが出てくるような印象だ。常に眉間にシワを寄せ、ドンに電話をかけると高飛車に要求をつきつけるだけである。こんな女に誰がした、という感じではあるけれど…。

ベティをヒス女にしたドンは、女房子供と別れて独身になり、ホテル住いをしつつ、行き当りばったりに女と寝て仕事にだけはエネルギーを注いでいる、という感じである。でもこんな男が家庭を持ってもしょうがないので、いかに実体のない荒んだ生活でも、その方がこの男らしいのであろう。しかし、可哀想なのはこのサーカスの空中ブランコ乗りみたいな親父と、完璧主義でヒステリックな母親の間に生まれてしまった子供たちである。3人目はまだ幼いのでともかく、もの心がついている長女と長男はヒステリーの母と無責任な父の間の谷間に落ちて、寄る辺ない状況である。
ベティもベティだが、ドンも全くしょうがない奴で、そう頻繁にはないだろう子供たちとの面会日に、それをすっかり忘れて女とデートの約束を入れてしまい、会いに来た子供たちをベビーシッターに任せて出かける有様。「仕方ないんだ」とか言って。どこがどう仕方ないんだよ、おとっつぁん。普通の男ならデートになんか行かないだろうが、ドンは普通じゃないのである。 なぜ親になった?お前のような男が…。



親はあっても子は育つ、というが、ドンとベティの子供たちは災難である。殊に娘のサリーは、男前なだけで無責任な父と、厳しく抱擁力のない母の間で自分を見失ってグレかけているのだが、まだ怒られると素直に謝ったりする。今のうちならまだどうにでもなるのだろうが、一体誰が彼女の人生に責任を持つのであろうか。小学生のうちに家庭が崩壊し、心のより所がなくなってしまった子供は可哀想だな、とサリーを見ていて、あらためて思ったりする。あの父親とあの母親ではグレないわけにはいかぬであろう。誰がサリーの叫びを聞くのか。誰もいないのである。

ベティを演じるジャニュアリー・ジョーンズは、素が段々役にシンクロしてきている感じで、美人だからとチヤホヤされたり、眉間にシワを寄せて怒ったり、子供を叩いたりばかりしているベティ役をやっているせいかどうか、ベティ役でブレイクしてからというものは業界ではもっぱらビッチであると評判のようだ。傲慢な勘違い発言や態度があちこちで顰蹙を買っているらしいし、ずっと長男のボビー役を演じてきた子役が「MAD MEN」を卒業するにあたって、自分の後任の子役にジャニュアリーには気をつけろ、ぴりぴりしてるから、と申し送りしたらしい。田舎町出身の娘が下積みから這い上がってついにスポットライトを浴びるところまで来たので、これまで踏んづけられたお返しに、あっちこっち踏み付けて歩きたいのかもしれないが、TVドラマでちょっと目だったぐらいでつけ上がっていると、忽ち足を引っ張られて奈落の底に落ちてしまうに違いない。ジャニュアリー・ジョーンズは女優としてなかなか良いものを持っていると思うので、業界で憎まれて仕事ができない事にならぬよう、用心してもらいたいものである。ベティ・デイヴィスになりたいわけじゃないなら、もうちょっと謙虚にしてることよ、ジャニュアリー。ベティ・デイヴィスへの道は険しくてよ。



そんなわけで、ドンはいよいよこの男本来の掴みどころの無さ加減を発揮し、ベティは鬼母になり、と主役がどんどんイヤな奴になっていく一方で、当初は猪口才な軽薄才子という感じのいけすかない若造だったピートは少し大人になって、かなりマトモになってきた感じだし、自分勝手で無能な若い亭主にため息をつきつつも尽くす赤毛のジョーンは、鬱陶しいホルスタイン体型はそのままだが(ほんとに、一体どうしたわけかしら、あの分厚い胸と尻は…)、少しホロリとさせるような面もシーズン3から出てきている。
白髪のスケベオヤジ、ロジャー・スターリングが横柄で苦労知らずで嫌な奴なのは元からだし、日本趣味のバートラムはシーズン4になって少し影が薄くなった。ドンにいいように使われつつも、野心だけは人一倍のペギーも相変わらずであるが、いずれ昇りつめたドンが転落したら、さっとその後釜に座るのではなかろうか、という気がする。






ドラマを見ていて、どうもなぁ、と思うのはドンがひねり出すキャッチやコンセプトがドラマでそう設定しているほどには素晴らしくない事で、素晴らしい才能を持つ画家や詩人などをドラマや映画の主人公として登場させた場合に、架空の人物だったらその作品も「創作」して、観客に示さなくてはなくてはならないわけだが、それが何だかどうにもさっぱり素晴らしくない、というのはよくある事だ。「MAD MEN」におけるドンのクリエイティビティにも、そういう困った感じが何となく漂っている。なにそれ?全然よくないじゃん、と思ってドンのプレゼンを聞いていると、顧客が「いいね、それで行こう」なんて言ったりする。そういう設定でストーリーを転がしていけばいいんだからイケてなくてもいいわけだが、なんだかなぁ…という感じも、毎度しなくはない。

気になるドンの行く末であるが、あのイミシンなオープニングが暗示しているように、ドンは広告業界を昇りつめたあとで、一挙に転落するんじゃないか、とワタシは予想している。ドンの生き方は破滅型である。太く短く生きるのよ、である。周到に、ぬかりなく、用心しながら昇って、上の方でバランスを取りつつ安泰に老後を暮らすタイプではない。そしてこのドラマは、こういう男とその周辺人物を通して、キレイゴトではない人間の複雑さ、人生の複雑さを描こうとしているのだと思う。シーズン4ではドンの人生にまた新たな局面が訪れるらしいので、深夜放送を録画しつつ、そのハチャメチャな難破船人生を見物していこうと思う。



ところで、このフジの深夜放送は二ヶ国語放送である。ワタシは深夜なんだから字幕放送にしてくれればいいのにと思うのだがそうはいかないらしい。できればマルチ言語録画したいのだが、HDDの内蔵チューナーから直の録画ではムリだと分ったので別のチューナーを介して録画してみることにした。来週こそはきっと成功させねば、と話の行く末よりもそっちが気懸かりだったりして…。

コメント

  • 2011/09/24 (Sat) 23:29

    kikiさん、お久しぶりです。
    シーズン2の方は飛ばし飛ばし観ていましたけど、ようやく
    シーズン1も今月7から昨日までAXNの連続放送で観ました。
    フジではもうシーズン4が深夜放送で始まっていたんですね。

    ドンみたいな男、実際にもいるんでしょうね。出会った人のほとんどを魅了し、能力も高い。でも自分のことしか考えない。演技性人格障害の典型例ではないでしょうか?本当に家庭を持つべきではない人物でしょうね。妻子が可哀想すぎます。ベティはだんだん嫌な女になって行くけど、もはや心を病んでしまってますからねえ…。

    ドンの未来ですが、やはりあのオープニングはイミシンですよね。シーズン5まではあるんですよね。どうなって行くのでしょう。

    • ようちゃん #-
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    • 編集
  • 2011/09/25 (Sun) 09:16

    ようちゃん、お久しぶり~。
    シーズン1,2を通しで観られましたのねん。最初からずっと観ると面白いでしょ?やっぱり。連続ドラマは途中からみても興が乗らないものね。AXNでシーズン3を放映するのは来年の1月ぐらいからのようですわ。お楽しみに。

    ドンみたいな過去を引き摺っている男はそうそう居ないだろうけど、二枚目で仕事が出来て既婚だけど遊び人で、家を一歩出たら好き放題やっている、という男は沢山いるでしょうね。でも、ドンの根っこのなさぶりは、やはり生い立ちに起因するのかもしれないな、と。シーズン5で終わりなのかどうか分らないですが、あまり長く引っ張らないで「おぉ!」というラストを持って来て欲しいかな、と。いずれにしても背景の時代が70年代に入る前に終わるんじゃないかという気がしてますが。

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