Sherlock 「The Hounds of Baskerville」

-荒地と魔犬と友情と-



さてさて。ワタシはSeries2のラインナップを知った時から、1話目の「A Scandal in Belgravia」と3話目の「The Reichenbach Fall」がとても楽しみだった。「The Hounds of Baskerville」については原作の「The Hound of the Baskervilles(バスカヴィル家の犬)」にもあまり興味がなかったので、つけたし、というような気分だった。それゆえ、あまりちゃんと聞き取りもせず、ざっくりと流して見たまま、DVDが来ても「女」と「滝」にばかり夢中になって「犬」についてはなおざりにしていた。「女」と「滝」をじっくりと堪能してから、やっと「犬」もちゃんと見てみようかという気分になった。
…オミソレしていた。「犬」は「犬」で見所満載なエピソードだった。
冒頭、興味を惹く仕事がない事に苛立って殆ど狂人に近い状態のシャーロックをなだめつつも、ワトソン君は落ち着いて新聞を読んでいる。事件が”切れた”時のシャーロックの異常な苛々や落ち着きのなさに、いちいち反応していたら、到底一緒に暮らす事などできない。ちょこっと顔を出したハドソンさんにもヒステリー気味に八つ当たりをするシャーロック。ハドソンさんはショックを受けて下に降りていってしまう。

「今のは一体なんなんだ?」とさすがに呆れるワトソンに
「君にはわからんさ」とシャーロックは膝を抱える。
そこでシャーロックはワトソン君の穏やかで常にバランスの取れた精神状態を羨み、自分のはコントロール不可能だと早口でぼやき、「事件が欲しい!!!」と絶叫する。



常に、誰にも解けなさそうな謎、彼の探究心と好奇心を思うさま満足させてくれるような事件を欲しているシャーロック。そういう事に没頭していないと、彼は自分の脳から分泌される過激な苛々成分を抑える事が困難なのだろう。「厄介な事件」はシャーロックにとっての麻薬なのである。そして、シャーロックを満足させるような事件は大抵、モリアーティによって提供されるのだ。シャーロックはモリアーティの存在を潜在恐怖のように感じ始めているが、一方で、モリアーティが提供するスリルなしに生きて行く事も難しくなりつつある。なんという複雑微妙な関係性か。そしてこの「The Hounds of Baskerville」は、珍しくモリアーティの絡まない事件である。これまでの殆どの事件の背後にはモリアーティが居たのだが、今回はレアケースであるといえる。

今回のクライアント、ヘンリー・ナイト(このエピソードでは「バスカーヴィル」というのは依頼人の姓ではなく、陸軍の極秘研究施設を含む基地の名称になっている)を演じるラッセル・トヴィがかなりの適役で、恐怖の魔犬の妄想に悩まされ、ノイローゼ寸前の若者の弱々しい感じ、不安に苛まれている感じをよく出していた。


常にムンクの「叫び」状態のヘンリー

ヘンリーが依頼に来るシークェンスで面白いのは、愛煙家らしいヘンリーに喫煙を強要したシャーロックが、一服つけたヘンリーの副流煙を中腰になって激しく吸い込むシーンである。これにはもう大笑い。でも、ちょっとあさましくてよ、シャーロック。
呆れるワトソン、唖然とするヘンリーに委細構わず、ふたたび吐きだされたタバコの煙を、またも中腰になって吸い込むシャーロック。受動喫煙するほど飢えていたとは…。そんなにタバコが恋しいなら禁煙はやめた方がいっそ体にいいわよ、シャーロック。ムリはいけません、ムリは。(笑)


いじましいというか、あさましいというか…でも何度見ても笑えます

20年前に父が魔犬に襲われた窪地で、昨夜、巨大なハウンド犬(a gigantic hound)の足跡を見た、というヘンリーの一言で俄然、事件を引き受ける気になったシャーロックだが、つむじ曲がりなので、当初は、自分は他の事件を抱えていてロンドンを動けないからワトソンを行かせる、と言う。が、その舌の根も乾かぬうちに一転して自分も行く、と言い出す。
「20年もの失踪? 巨大な怪物犬? こんなものを逃すわけにいくもんか!」
行かないと言ったり行くと言ったり全くややこしく気ぜわしい男である。が、この部分は、そもそも原作の「バスカーヴィル家の犬」では、ホームズは事件を抱えていてロンドンを離れられなかったので、代理としてワトソンがダートムーアに赴くという設定になっているため、そこに一応の目配りをしているのであろう。

かくしてデヴォンに着いたシャーロックとワトソンはランドローバーに乗って、不穏な雲の渦巻く、荒涼とした土地を走る。運転するのはシャーロック。ワトソン君は常に助手席である。これはマーティン・フリーマンが運転免許を持っていないかららしい。いまどき珍しい。




荒涼として神秘的なダートムーア

以前シャーロックがガメておいたマイクロフトのIDカードで陸軍基地のゲートを入ったあと、研究施設の前で二人を遮るように出てきたセキュリティ担当のライオンズ伍長が「一体、何の調査ですか?」とくい下がるのを、ワトソンが横合いから軍人としての身分証を出して「第5ノーサンバランド・フィージリア連隊のジョン・ワトソン大尉だ。施設を全て見せてもらいたい。これは命令だ」と軍人としてキメの一言を繰り出し、警戒厳重な研究施設に足を踏み入れることになる。中に入ったシャーロックが、「ナイスだったな」と言うと「権力を振りかざしたわけじゃないぜ」とワトソン。「楽しんでるだろ?」とシャーロック。「まぁね」とワトソン。



ここで、フランクランド博士や、動物を使った遺伝子実験を行っているらしいステイプルトン博士らに会う(行方不明のウサギを巡るステイプルトン博士とのやりとりもちょっと面白い)。マイクロフトが自分のおイタに気づいたのを知ったシャーロックは速やかに施設を出ようとするが、堅物のバリモア少佐に阻まれる。身分詐称で吊るし上げを喰らいそうになった時、意外な人物が助け舟を出す。なぜか二人を庇ってくれたのはフランクランド博士である。
「やぁやぁマイクロフト、久しぶりだな。前に会ったのはブリュッセルのWHO議会だったかな?」
しれっとして「ウィーンのです」と答えるシャーロック。
妙にフレンドリーなフランクランド博士だが、シャーロックの質問には何も答えない。
だが、彼のお陰で、どうにか研究施設の外に出たシャーロックとワトソンはホっと一息。


妙に馴れ馴れしいフランクランド博士

「で? まさか行方不明のウサギの為に、ここに来たわけじゃないよな?」とワトソンが言うと、シャーロックはコートの襟をシャッと立てる。
「おいおい、この場でそれはよそうぜ」とワトソン。
「何をだ?」とシャーロック。
ここからのワトソンのセリフが面白いのだけど、ニュアンスは分かっても、うまい訳文が浮かんでこない。
「君はミステリアスでいたいんだ。その頬骨と襟を立てたコートでカッコ良く見える事を意識してるだろ?」というような感じだろうと思うのだけど、どうでしょうかしらん。


 
「してない」というシャーロックに、
「いや、してるさ」とワトソン。

なんだかんだで、ワトソン君もけっこうシャーロックを観察していて、折々嫌味やツッコミを入れてからかったりするようになっているわけである。元軍人という自分のアイデンティティも適宜うまく利用している。ワトソン君もなかなか隅におけないのだ。

その後ようやくヘンリーの屋敷に行き、夜、窪地に行ってみようと提案するシャーロック。浮かぬ顔のヘンリーだが、シャーロックはゴキゲンである。そして、その夜、三人は懐中電灯を持って荒地に向かう。途中、不思議なモールス信号を見たワトソンはそれを解読していて少し遅れ(このモールスと思しき信号のオチも笑える)、ヘンリーとシャーロックが並んで窪地へ歩いていく。道中、シャーロックがフランクランド博士に会った話をする。フランクランド博士はヘンリーの父の友人だったのだ。
「博士がバスカーヴィルで働いていることは、君のお父さん的には問題じゃなかったのかな?」と訊くシャーロックに、
「友達は友達さ。そうじゃないかい?君とジョンだってそうだろ?」とヘンリーは答える。
「僕らがなんだ?」
「ジョンはかなりまっすぐな男だけど、君は…」
「……………」

「まぁ、博士と父の間では、仕事の話はしないってことになってたんだよ」

と話をしているうちに、くだんの窪地に辿り着いた二人。そこで、ヘンリーのみならずシャーロックまでも伝説の魔犬を見てしまう。全身が石炭のように黒い毛に覆われた、赤い目の、巨大なハウンド犬を。



宿に戻っても自分が見たものを信じられず、恐怖感が抜けずに苛立つシャーロックは、その異様な様子を心配するワトソン(「なぜ僕の言うことに耳を貸さない?僕は友達じゃないか」)に、「僕には友達なんかいない」と言ってしまう。 
あ~あ、シャーロック。 ただ一人の大事な友達を怒らせちゃって。
それにしても、冷や汗をかき、怯えて手の震えが止まらないシャーロックなんてなかなか見られるものではないので、このシーンも必見だ。そんなに怯えていても、自分がどこも悪くない証拠に、お得意の観察力披露トークを一席ぶったりするのだけれど(笑)



異様な恐怖やリアクションは彼が平常な状態ではなく、あるドラッグのようなものの作用を受けていたからなのだが、翌日、薬の抜けたシャーロックが、怒らせてしまったワトソンと仲直りしようと、それこそ彼としてはありえないほどに、一生懸命に謝意を表明するシーンが微笑ましい。人並みになってきてるじゃない、うふふ、などと思うわけである。

「今朝の君はファニーだな」(W)
「少し氷を溶かした方がいいかと思ってね」(S)
「似合わないぜ。そっけない方が君らしい」(W)

どんどん歩いて行くワトソンを引きとめたシャーロックは、これまで常に自分の見たものを信じ、自分の感覚を信じてきたが、昨日に限っては自分の見たものが信じられない、と言う。信じてもいないものをどうして見てしまったんだ、どうしてだ!と言うシャーロックに、ふぅん、そうか、せいぜい探求しろよ、とワトソン君はつれない。立ち去りかけるワトソンに、シャーロックは言う。
「友達なんてものはいない、と昨夜僕は言ったが、…一人だけいる」


懸命な顔のシャーロック 誰かとの関係を修復するために、こんなに真剣になった事はなかったに違いない

「…そうか」とワトソン。

それでも、尚、くるりと向きを変えてワトソン君は立ち去ろうとするのだけど、これはもう、こんな機会はそうそうないから、ちょっと懲らしめてやれ、という感じじゃないだろうか。尚も追ってくるのは想定済みなのだ。



何事か閃いたシャーロックは「ジョン!」と呼びかけながら走って追ってきて、超特の形容詞でワトソンを褒め讃える。「いいからもう。ちょっとやり過ぎだよ」と呆れるが悪い気持ちはしないワトソン。だが、シャーロックの発言は段々といつもの調子になってくる。
「天才でない人間には、他にそれを刺激する驚くべき才能があるものなんだ」
「おいおい、君は僕に謝っていたんだろ?続けろよ。途中でやめるな」

レストラン兼宿屋の前で二人が会話していると、レジの脇にはレストレードが妙に日焼けした顔で立っている。ここらで表記を訂正しようと思うのだけど、日本では昔からレストレードと表記されている警部の苗字だが、「Sherlock」で聞いていると、レストラードと発音されている。おまけに彼はグレッグという名前であることも今回判明する。(笑)
「やぁ、私も休暇でね」という警部に、「休暇で来た?どう見たって休暇から戻ったばかりだという顔色じゃないか。兄貴に頼まれて僕を見張りに来ただろう?おまけにグレッグなんて名乗って」というシャーロックに、「グレッグは彼の名前だよ」とワトソン。5年以上も付き合いがありながらレストラードのファーストネームを知らなかったというのもシャーロックらしい。ワトソンと警部はいつの間にかファーストネームで呼び合う仲になっているというのに…。


ちょっとジョジクルが入っている?レストラード警部 こんがりと日焼けしている

そのベジタリアン・レストランで調べたい事があるから、とレストラードに仕事を頼むワトソン。その後、「なんだかんだ言っても、彼はあなたが来た事を喜んでるんですよ。ひそかにね」と言うワトソンに「そうかね。…私が思うに、彼は馴染みの顔に雁首を並べていてほしいのさ。…発揮したいんだよ、奴の、その…」とレストラードは言い澱む。「アスペルガーっぷりを、でしょ?」と補足するワトソン。警部役のルパート・グレイヴスも、兄役のマーク・ゲイティス同様、視聴者受けがいいのか出番が増えた気がする。今回は3本のエピソードにまんべんなく登場している。



対人関係に猛烈に難があっても、ある分野に突出した才能を閃かす人間には独特な魅力があるし、人はそういう人間には惹きつけられざるを得ない。遠巻きの好奇心とある種の敬意と…。実際、近くにいたらかなり頭に来るだろうし、ゲンナリもするだろうけれども、ひとたび輝かしい能力が発揮されると、そんな事は一掃されてしまうのだ。天才がかならずしもアスペルガー障害の持ち主とは限らないが、変人の天才=アスペルガー障害というイメージも根強くなってきている気がする。

人に幻覚と恐怖を齎すドラッグのようなものは、ヘンリー邸の砂糖に混入されているのではないかと睨むシャーロックは、ワトソンにその砂糖入りの珈琲を飲ませてある実験をする。これは推論が正しいかどうかの実験であるとともに、ワトソンへのちょっとした報復と、自分が味わった恐怖がどういうものかを彼にも体験して欲しかった、という要素も含んでいると思う。暗闇のラボの中で魔犬の幻影に怯え切ったワトソンのデスパレートな様子も必見。また、シャーロックが「マインド・パレス」と自ら呼ぶところの記憶の整理・検索術を駆使して、ある結論を導き出すシーンも必見である。(必見シーンばかりだけれど、実際そうなのだ)


恐慌状態を来たすワトソン


マインド・パレス中のシャーロック

結局、ヘンリーの砂糖からはドラッグは検出されず、幻覚と恐怖を生む物質は別なものだったのだが、シャーロックは最後の土壇場までそれには気づかなかった。事件が解決した後で、ワトソンは「ラボで僕に何が起きたんだ?」と訊く。「君が僕をラボに閉じ込めたんだな?」
「必要だったんだ。実験だよ」というシャーロックに、「実験だって!?こっちは死ぬほど怖かったんだぞ!」とワトソン。「結局、砂糖じゃなかったよな。君は間違ってたわけだ。そうだろ?」と幾度か念を押すように言うワトソンに「…まぁ、少しはね」と認めるシャーロック。ふふふ。



本エピソードは、ワトソン君の存在が、いかにシャーロックの中で欠かせない大きなものになっているかという事がよく分かって、観終ると何となく温かい気持ちになる。(でもそのまま終わらずに、不吉なモリアーティの影がラストによぎるのだけど…)


*****
シャーロックはワトソンと出会った事で、無味乾燥で無機的で人間味に乏しかった人生が彩りを帯び始め、人間的な感情にも目覚め始め、周囲の人間との関係も少しずつ温かみを増すようになる。ワトソンはシャーロックと出会った事で、何も起きないと思っていた自分の人生を様々な刺激的な事がよぎっていくようになり、新たな人間関係も増え、自分に文才があることも発見した。出会った事で、お互いにそれまでの自分から少しずつ成長し、世界が広がっているのだ。1つの出会いが人生を変える(良くも悪くも)ということ、そして、人生を変えるような出会いをもたらすのは運命の人なのだということ(運命の人は恋愛対象とは限らない)。
そういう、普遍的だけれども永遠のテーマが、様々な事件の背後で紡がれているのも、この秀作ドラマの妙味なのだと思う。

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コメント

  • 2012/02/05 (Sun) 15:31

    いままた用事の合間を縫って2回目「犬」見てるところなのですが、息詰まる展開のほか2編にくらべ、癒される~~。副流煙吸い込むところ、爆笑。モールス信号のオチも笑えます(シリーズ1最終話、爆弾巻き付けられて出てきたワトソンがまばたきで「SOS」のモールス信号発してるっていうんですが、本当でしょうかね)。シリーズが3編以上あったら、ほかはこんな感じに作ったかもしれないですよね。「犬」の二人はなんだかかわゆくて好きです。ワトソンに会う前のシャーロックだったら、人に嫌われても全然意に介しなかったでしょうが、ワトスンだけは、自分から離れてほしくないのがよくわかり、微笑ましいです。だから「滝」の遺言で嘘でもああ言わなくてははならなかったのは辛かったでしょうね~~(しかも超プライド高いのに・・)。本気に聞こえてほしいための嘘涙かなとも思ってましたが、本当の涙かも、ですね。kikiさんがお書きになってるように、この二人は性別を超えた、soul mate ですね。にしても、なんだかんだ言って、シャーロック、結構いろんな人に愛されてますよねえ。
     あと、しつこいですが、「女」のラスト、救出は夢想じゃなくて本当と受け取って、ラストにがっかり、って人たくさんいるみたいですね・・いくらシャーロックでもワトソンに内緒でカラチまで行ってテロリストに潜入ってあり得な~い・・・spooksか?それほど荒唐無稽な展開にするドラマじゃないですよね。でも間接的にモリアーティがテロリストを利用して彼女を消したのかも、とも思ったりしてます。

  • 2012/02/05 (Sun) 22:50

    rosarindさん
    この2話目は、チェンジオブペース的に重い話の間に挟まれて、それなりにいい味を出してますね。シリーズが3話以上あったら、確かに中間はこういうテイストの話で繋いでいったでしょうね。毎回もうちょっとエピソードがあるといいのに、と思いますが、このクォリティで3話以上作るというのは無理なんでしょね、きっと。今だって一杯いっぱいっぽいし(笑)
    爆弾ジャケットを着たワトソン君の瞼のモールス信号というのはありそうな話でもありますね。でも、どうかな(笑)

    そして、3話目のラストは本当に衝撃ですね。シャーロックの涙も確かにマジ涙っぽいような…。その後暫く会えないのは確かだし、場合によっては一生会えないままかもしれないわけだから、感情が籠もってしまったのかも。ワトソン君が自転車につっころばされている間に体のすり替えが行われたのかな、と思ったリしてますが…。
    「女」のラストですが、あのクライマックスのシーンで、シャーロックがアイリーンという人間を徹底的に読み切ってパスワードを入力し、ロックを解除してしまったあと、兄に携帯を渡しながら「彼女を捕らえてもいいし、放してもいい。同じ事だ。いわゆる、あの『プロテクション』なしには長く生延びる事はできないだろう」と言いますね。携帯のロックが解除され、その手元から極秘情報が離れてしまったら、彼女の命は風前の灯火である事をシャーロックはこの時点で既に予見してたわけですね。つまり、自らの手で彼女に引導を渡す事になったわけです。アイリーンも「あなたの言った通りよ」とそれを認めてましたね。シャーロックにどう伝えるべきか、と兄とワトソンは話し合い、ワトソンも結局、事実を告げるにしのびなくて証人保護プログラムの話を持ち出すわけですが、シャーロックは2ヶ月前に彼女から別れのメッセージが来た時に、彼女がその時を迎えたのだという事を既に察していたんだと思います。モリアーティの線も捨てがたくありますが、モリアーティが手を下さなくても、遅かれ早かれそういう事になったのかな、と。
    ただ、最近ちょっと引っ掛かっているのは、「彼女がカラチで最期を迎えた事は徹底的に調査したので間違いない。私を欺くなどシャーロックでなければ出来ないだろう。彼がその場に居たとは思えない」というマイクロフトのセリフですね。このセリフが入っているので、却ってそういう可能性も示唆しているのかしらん、と思えてきたりして。結局のところ、シャーロックは自ら彼女に引導を渡す事になったので、やはり助けてやったのだろうかな、という線も微妙に、細くだけれど残っているような気もするんですね。う~ん、そこまでするかしらん、という感じもあるけれど。実際そうだったとしたら、あんなナンチャッテな状態で逃げ切れるとは思えないしね…。だから制作サイドのスタンスとしては明らかな答えを出さずに、好きな結末をチョイスしてください、という事じゃないかしらん、と、やはり思うんですよ。含みを持たせて、ね。

  • 2012/02/07 (Tue) 01:05

    またまた「女」の話で引っ張ってすみません。そうそう、マイクロフトのあの台詞引っかかりますよね。でも私の考えはお兄ちゃんと同じ、「シャーロックなら私を騙せたろうが彼がそこにいたとは思えない」。だって~~シャーロックが出国したらいくらなんでもマイクロフトは情報網で察知するでしょうし、ワトソンのブログにもシャーロックがしばらく留守したような記述もないし・・あの後しばらくして彼女からの最後のメール→同時期カラチで身元不明の白人女性の処刑遺体発見報道があった?(たぶん)→シャーロックピンと来る→2ヶ月後マイクロフト来たが弟と直接会わず&ワトソン沈痛な表情→シャーロック確信、しかし自分が救出する妄想をつい思い浮かべ、「自分らしくない」と自嘲の笑い・・と解釈しときます。実際救出となるとラストで一気にドラマがクォリティ低くなっちゃうような。もし次のシリーズでアイリーン再登場なんてなったら、ショックだわあ。でも制作サイドとしては、後味良くするためにも(シャーロックが命綱奪ったようなものですから)救われる結末もチョイスできる余地を残したんでしょうね。そして、「犬」の件のジョンのブログで、アイリーン・アドラーの経験がシャーロックを人間らしくしたのかも?なんていうような一節がありました・・・だんだん確実に人間らしくなってきてますよね。ただ、二人の中の人、ベネディクトもマーティンも超多忙になって少し容貌老けたかも・・・

  • 2012/02/07 (Tue) 07:53

    rosarindさん
    何度でもどうぞ。お気になさらず(笑)
    ワタシも、基本的にはアイリーンはあそこで露と消えたのであって、生延びているとは思いません。でも、あのままbeheadedという情報だけで終わってしまうとあまりにも救いがないし後味も悪いので、ああいうファンタジーを付け加えて少し甘やかな印象にしてあるのだろうと思います。でも、シャーロックのラストの顔は、そういう事があったと知っていたにしては些か軽やかすぎるようにも思うので、制作サイドの意図として、死んだという印象だけが残るようには敢てしなかったのだろう、とも思います。ただ、いずれだったにしても些か過剰であることは否めず、彼女が処刑された場合には、増上慢で人騒がせにしても、死に追いやる程の罪を侵したとも思えない彼女に対してシャーロックは些か過酷だった気もするし、一方で、万一、彼女の死を(カラチまで行かずに)偽装して逃がしたとしても何だかあまりに不自然です。ただ、冒頭のプールサイドでは彼女の電話に救われたのであって、シャーロックは彼女に借りがあったとも言えます(その事を彼は知らなかったとしても)
    作戦をオジャンにした借りを兄にきっちりと返したように、アイリーンにも借りを返した、という事も微かにありえなくはないかな、と。ただ、いずれだったにせよ、ただひとつ確かな事、そしてこのエピソードのポイントは、シャーロックにあれほどまでに深いインパクトを与えた女・アイリーンと彼は、もう二度と会う事はない、という点なのだと思います。彼女の生死に関わらず、ね。だから次のシリーズで再登場などということは(回想以外では)絶対に無いでしょう。これは断言しちゃいますわ。 ご安心を。(笑)

  • 2012/02/07 (Tue) 18:44

    こんにちは。
    ひょっとして、おせっかいか、自分、空気読めてないのかと思いつつなのですが、やっぱり来てしまいました。(笑)
    余計なお世話だったら、ごめんなさい。

    “スキャンダル”のラスト、ベーカー街の自室で笑みを浮かべるホームズは、BBCのドラマについてあれこれ書いてあるサイトによれば、やはりカラチでのアイリーン救出劇を回想しているようですよ。

    また、アイリーンがカラチでホームズに救出されたことについて、脚本・プロジューサーのモファットは、「ホームズを救出に来させたということは、アイリーンの勝ちと受け止められる」というような発言をしています。もっともこれは、放送終了後にGuardian紙に掲載されたコラム(原作でホームズを完全に出し抜いた、あのアイリーン・アドラーが、モファット版ではホームズに対して少女のように恋をし、最終的に命を救いに来てもらっているわけで、(他にもセクシャリティのことなどいろいろあるのですけど)これを、脚本家の男尊女卑的発想が反映されているのではないか。フェミニズムの観点からいうと、原作の時代より女性の立場が後退して描かれている云々)に対する反論です。このコラムの影響か、今回アイリーンの描かれ方とフェミニズムについて、あれこれ書かれている記事やブログなど結構ありますよ。

    私はモファット版アイリーン・アドラーの外見はかなり好きですし、最初の70分間ぐらいは違和感なく見ていたのですが、ラストシーンでのホームズの優越感溢れる笑みに少しムッとし(ホームズは優越感に浸っていたわけじゃないかもしれないですが)、アイリーンの携帯をワトスンから受け取ったとき画面に延々映し出されるアイリーンのメッセージの女々しさには、ちょっと待てよと軽い怒りさえ覚えました。(笑)
    考えてみれば、彼女の命綱だったパスワードが「SHER-LOCKED」ですもんねぇ。「I AM SHERLOCKED」だって。(レズボの女王様が、ヘテロの奴隷になっちゃったみたいなものではありますまいか!)

    シャーロックにジェンダー問題を持ってくるのもナンセンスだとは思うのですが、何よりも、バッチ君には原作と同じ結末を演じて欲しかった気がします。彼女との関係に対して、もっと複雑な感情が湧くはずのそっちが見たかったなぁ、などと思ったりして。


    ご参考まで
    Http://bbc-sherlock.wikia.com/wiki/A_Scandal_in_Belgravia
    Http://www.guardian.co.uk/tv-and-radio/2012/jan/20/steven-moffat-sherlock-doctor-who?INTCMP=ILCNETTXT3487

  • 2012/02/07 (Tue) 22:00

    pataさん こんばんは。
    空気読めない、なんて事は全くありませんよ。お気になさらず、コメントしたい事があればいつでも、どんどん書いてください。

    そうですかー。モファット自身がそう言っちゃってるんですね。ふぅん。あれはマジだったのか。…ちょっとナンチャッテが過ぎる気もしますけど、ライターがそう言っているなら、ああいう形で助けたんでしょうねぇ。ふ~ん。 参考としてリンクしていただいたサイトのあらすじの末尾にしっかりと、別の場所に逃がした、と書いてありますねぇ。あららららら…。

    男尊女卑的発想ねぇ…。いつでもそういう具合にヒステリックに飛躍した議論にして大騒ぎする手合いというのはいるものですが、あまり大上段に振りかぶった議論になると興ざめでもありますね。別にそこまでの事はないでしょうよ、とも思いますけど、まぁ、ともあれ、あんな形で救出したというのは、このシリーズのファンには些か不本意なラストではありますね。折角、九分九厘まで非常に高いクオリティで来ていたのに、最後の最後にミソつけちゃったのねぇモファットさん、という感じではあります。が、あのまま見殺しにするというのもいささか後味が悪過ぎるので、ワタシ的にはああいうナンチャッテ~な形での救出じゃなければ、シャーロックがちょっと機知を働かせて、彼女を別の人間として生き延びさせた、みたいな事でもいいかなとは思うんですけどね。彼女には冒頭の部分でお互い意識せずにですけど、借りがあるわけでもありますから。ワタシ的には、救出の描かれ方が問題だなと思うわけですね。あれはちょっとバカバカしすぎやしないかしらん。あんなもんで逃げられるわけないでしょうよ、と思ってしまいます。妄想としか思われませんわ。(笑)シャーロックがわざわざカラチまで行くというのも大袈裟すぎるしねぇ。(ロンドンからかなり遠いし)ロンドンを動かずして奇想天外な方法で彼女を逃がした、という結末にすれば、それはそれで良かったかもしれないのになぁというのは今のワタシの感想です。ワタシとしては、シャーロックは彼女への冒頭の借りを返したのだ、と思う事にしますわ。ラストの笑みは、「あの女め…」という感じの微笑みじゃないかと思うんですよね。勝ち誇っているというよりも、彼女と自分だけしか知らない事実について、うっすらと満足の笑みが浮かんじゃっているというか。  まぁ、アイリーンは自分でゲイだと言ってますが、多分にバイでしょうね。
    モファットとゲイティスは今のダニエル・クレイグ版の007にも影響を受けていて、007が冷戦後の現代を舞台に活躍するならホームズだって現代に、という事でこのシリーズが生まれたわけでもあるようですが(Bond Airはちょっとしたオマージュでしょうかしらね)、だったら、「カジノ・ロワイヤル」のように謎の女の死でラストを締めくくった方がよっぽど物語のグレードは高くなるのにねぇ。 う~ん、画龍点睛を欠く結末でしたねぇ。

  • 2012/02/08 (Wed) 01:29

    またまた登場してすみません(笑)うわああ、そうなんですか~~。そうであれば私はまったくkikiさんと同じ感想で、最後の最後に脚本に傷がついたなあと思います。う~~んファミリー向けの感じ?このドラマのクールで粋なイメージがちょっとねえ。DVDのコメンタリーでいろいろ話してるみたいですけど、聞き取れませんっ。kikiさんお聞きになりましたか?でも救ったんだったら彼女の形見といえるカメラフォンあんなに欲しがるかなあ・・彼女のメールしんみり読み直すかなあ・・(←しつこい)。また、あのパスワードは頓智ぽくて、アイリーンがシャーロックに本当に惚れちゃったから、というよりこの一風変わった青年に(脈が乱れる程度には)心引かれて思わずパスワードにしちゃったような印象です。これが命に関わる大失敗で、シャーロックに暴かれて涙した、だって恐ろしい結末が自分を待ち受けているだろうから。シャーロックはずいぶん過酷だったけど、国家を揺るがしかねない企みをした(しかもモリアーティと組んでた)彼女をそこで断ち切ったんじゃないかなあ(「僕は天使の側かもしれないけど僕自身は天使じゃない」と『滝」で言ってるし)。でも自分と互角に丁々発止し得た、忘れ得ぬ女性ではあるんですよね。原作のように、さわやかに鮮やかに自分の力でシャーロックの前から去ってほしかったですねえ。

  • 2012/02/08 (Wed) 08:18

    rosarindさん
    と、いう事らしいですわ。
    コメンタリーは最初の数秒聞いてみたけど、いいや、と思ってやめました。よほど気合が入っていないと聞き取るのも骨ですしね(笑)聞いたとしてもところどころ聞き取れずに虫くいになっちゃいそうだし。
    シャーロックが彼女の携帯を手元に置く事にこだわったのは、生延びさせたとしても、やはり、今後二度と会う事はないからじゃないでしょうかしらん。それに、あれほどシャーロックを翻弄した女など後にも先にも出ることはないだろうし、その女を象徴する品であるわけですしね。それに、原作の「写真」に匹敵するアイテムといえば、やはりあの携帯にしくはないだろうし。
    まぁ、ワタシも、アイリーンが本気で惚れたからというよりは、確かにシャーロックに対しては並ならぬ興味があって関心も持っていたので、持ち前の遊び心も手伝ってあのパスワードにしたんだろうと思います。暖炉の傍で接近した際に、脈拍が上昇し、瞳孔が拡大するほど興奮状態にあったとしてもね。シャーロックの方だってあの時は心底、平静だったかどうか怪しいもんだし(笑)ともあれ、221Bの下のカフェで兄とワトソンが会話するあたりまではパーフェクトな展開でしたね。
    そして、実際はそうじゃなかったけれども、アイリーンのアイデンティティを活かしたラストにするなら、シャーロックもダモゼルのように助けに馳せ参じたりはせず、テロリストに捉えられて死んだと思っていたアイリーンから、ある日、忘れた頃にシャーロックに短いメールが届く。自分が(なんらかの方法で自力で)生き延びた事を知らせる謎のようなメッセージが…。死んだと思っていた女から、どっこい生きていたという知らせが届いて、シャーロックが、「あの女め…("What a woman !"的なニュアンスで)」と微かに微笑む、という方がそれらしくて良かったんじゃないかなぁと思います。ラストを、やはり、あの「Ah」で締めくくれる事でもあるし、ね。

  • 2012/02/08 (Wed) 14:52

    第2話も楽しく見ましたよ~って書こうと思ったらホント!Scandals in Belgraviaの結末で大変なことになってるわ。とりあえずそれは後にしておいて、なんだかホッとする場面やら笑える場面が要所要所にあって面白かったです。タバコのシーンもねえ、可笑しいです。
    私的にはコーヒーを珍しくワトソンにつくって渡すところで、thank youとお礼を言われてちょっと本当にうれしくて微笑みながらも目の動きが何をか企んでいるのが上手で、こちらもフフフと笑ってしまいました。ほんと段々と人間っぽくなってきてるのね、あのマインドパレスは私にはちょっとやり過ぎ感がありましたけど。まあいいわ。
    確かにkikiさんの言うとおり、育ちの良さそうな感じは否めませんね、カンバーバッチくん。思うけどやはりそういう育ちの方は、あんまり市井なキャラクターはやらないですもんね。
    ちなみにあの口元は私の日本人の女友達にそっくりであんまり見たことのない口元だったから同じ人がいるんだなと驚きました。

    1話の結末についてはわたしもカラチで救ったってのはないと思ってるんです。やっぱあれはシャーロックが頭の中で妄想して「なーんてね」の笑い(って言葉は正しくないんだけど)でしょう。
    ちなみに私はまだ「滝」を見てませんのでガーディアン紙の記事は読めないんですが、もう一つのwikiaはあれを編集した人がそう書いただけであってあれが結末ですよ、と言っているわけではないのでは?と私は思ったんですけれど。

  • 2012/02/09 (Thu) 00:52

    Sophieさん
    そうなんですわ。これ、かなり楽しいエピソードなのよね。1話目と3話目の間に挟まっていて、いい息抜きになるというか。よく考えてますね、ラインナップも。あの副流煙吸い込みシーン、ほんと可笑しいよね。見るたびにどうしても笑ってしまいます。次の煙が吹きだされるまでソワソワして待ってる感じにも大受け。そうね。一度も珈琲など作った事のないシャーロックが珈琲を淹れるシーンもイタズラっぽくてかわいかったですね。砂糖が入っているのをワトソンが嫌がると、シャーロックはしゅ~んとしたフリをしますね。謝罪が受け入れられないんだ…って感じで。で、ワトソンが気を使って「いや、美味しいよ、ありがとう」と言うんですが、この後彼はヒドイ目に…。まぁ結局砂糖じゃないのだけれどね。
    バッチ君はいい人の役をやると、本当にぽわーっとした善人という感じになるんだろうし、シャーロックとかP・グィラムとかクセのあるキャラをやるとそれがまた映えるのね。そして、あなたって、誰かしらのどこかの部分とかが、友達や知人にどことなく似てる、とかいうの多いわねぇ。いつもそういう事が一言添えられている感じが。(笑)

    1話の結末については、なんだかんだで盛り上がってますが、あのナンチャッテな救出劇がアリってのはやめて欲しい感じしきりなのだけれどね。でも処刑されてチョン!でも、どうも後味よろしくないしね。もうちょっと上手い着地が出来なかったものかしらん、と思うわ。Guardianの方はあまりに記事が長いので読んでなかったのだけど、ざっくり読んだところでは、モファットへのインタビュー記事の中で、Jane Clare Jones というコラムニストが今回のアイリーンの描かれ方は1891年よりも女性の立場を後退させた、と書いた事への反論の部分でそのへんの事を語っているのだけど、取あえずラストでの救出を否定してはいませんね。その事についての解釈でコラムニストに反論しているけれども。…まぁいいや。ライターの意図はどうであれ、ワタシの最初の印象では、あれは好きに解釈してくれというラストだと思ったので、自分の好きなように解釈しておくと致しますわ。 ふほほ。

  • 2012/02/09 (Thu) 01:47

    また登場、すみません。「犬」の解決部分で、「timing!」とジョンにたしなめられてピンク色のときみたいに「not good? 」と聞き返すとこ(あの人でなしの笑いが素敵)とか、飼い主が犬を殺してなかったことは「sentiment?」と聞くとこなんか、面白かったです。シャーロック、人間修行中。

  • 2012/02/09 (Thu) 08:05

    rosarindさん いつでもどうぞ。
    そうそう。一度は退屈だとはねつけようとした事件ですが、非常に面白かったわけで満足したんですね。ラストの「sentiment?」もキュートでした。一応は察しているわけですね。(笑)コーチ・ワトソンに指導を受ける場面では、「滝」の冒頭の、いろいろな事件を解決して、そのたびに感謝のプレゼントをマスコミの前で受け取るハメになる時に、箱を振ってみて、タイピンだ。僕はタイピンはしないのに、とか、カフスボタンだ、僕のシャツはボタン付きなのに、と迷惑そうなシャーロックにワトソンが横合いから、いいから有難うって言っとけとか、ほらカメラマンに写真撮らせなきゃ、とか常に社会人としてのマナーに乏しい相棒を誘導するのも面白いです。
    「人間修行中」 確かにその通りですね。言い得て妙 です。(笑)

  • 2012/02/18 (Sat) 10:38

    はじめまして。とても楽しく読ませて頂いております。周囲にSherlockの話ができる人間がおらず、皆様方の「The Woman」ラストについての興味深い議論につられ、ついお邪魔いたしました。

    私も最初に見た時は、あのシーンはもとより救出自体も、シャーロックの空想上の出来事だと思っておりました。しかし何度か見直してみて、いまは何らかの姑息な遠隔操作で、彼女の脱出を助けたのだろうと考えています。

    アイリーンは「The damsel in distress」のヒロイン・パワーでシャーロックに骨を折らせ、「sentiment」の清算と意趣返しも兼ねた勝ち点をゲット。そしてシャーロックは(バカだとは思いつつも)一度ぐらいは「正義の海賊」をやってみたくて手助け。そのへんのモヤモヤがあるものだから、つい「おとぎ話な救出劇=いわばイメージ画像」を自動生成してしまい、おのれのバカさ加減を自嘲。でもやっぱり少々爽快な気持ちにもなっている。というような解釈をしています。

    マイクロフトはアドラー女史の死を伝えに来たわけではなく、背景をすべて承知の上で「もう手を出すなよ」と弟のロマンチシズムに釘を刺しに訪れたものの、自分が説教すると弟は反発して逆効果になりがち。そこでジョンにメッセージを託したのではないでしょうか。

    いずれにせよ、未完成な部分があるのはホームズ物語の大きな魅力。あえてどうとでもとれるシナリオにして、議論の種をまいてくれるのは、ホームズファンの制作者ならではの真骨頂だと思っています。長文失礼いたしました。また新しい記事を楽しみにしています。

  • 2012/02/19 (Sun) 11:07

    Helvetica さん 初めまして。
    楽しんでくださってありがとうございます。自分がハマっているものについて、あれこれと色んな方と語れるというのもブログをやっている楽しみのひとつです。今回、一番語り甲斐があったのは、あの1話目のラストでしたね。ワタシも何度か見直して、あのラストのシャーロックの「ふっ」という笑いが妙に軽やかなので、そんな死に方をした彼女についての表情としてはどうも妙だし、助けたとしてもカラチまで行ってあんな事で助けたとも思われないので、何か別な方法で逃げ道を用意してやったのだろうという事で、一応自分の中では落ち着いたところでした。カラチまで助けに行くのもシャーロックらしくないけれども、そのままだと確実に死ぬと分かっているものを見殺しにするというのもシャーロックらしくないですしね。彼は一応、天使の側だから(笑) ただ、あんなナンチャッテな方法ではないにしても、シャーロックが助けたのだという事を示唆するために、あの映像は差し挟まれたんでしょうね。彼が自分の脳内でああいう形でそのことをイメージ化してみて、ふふん、というのもありかもしれませんね。いずれにしても、ワトソンにアイリーンがいみじくも言ったように、やはり彼女は"Special"な存在だったという事でしょうかしらん。
    ただ、今回Helveticaさんのご意見で斬新なのは、兄も全てを知っていて、これ以上関らぬように釘を刺しに訪れた、という点ですね。ほお~ぉ、面白い。兄も気づいていたかなぁ。どのへんでそう思われました?"But initially he wanted to be a pirate"のところかな。あのあと、兄はちょっと不思議な表情を浮かべますね。確かに、兄は弟のようにいざという時に素早く行動はしないけれども、観察力、推理力は弟を凌ぐ、というのが原作の設定でもありますから、表面上は騙されてやった、のかもしれませんが、あのシークェンスのマイクロフトの表情を見ると、割に疲れたような、彼女の死を知った時の弟の心理状態を心配するような様子がにじんでいたように見えるので(普段は吸わないタバコを吸ったりして)、ワタシ的にはマイクロフトはそこまで先刻ご承知ってことはなかったのではないかな、という印象です。それゆえに、兄も彼女が実は生きている事を気づいていず、それは彼女と自分だけの秘密である事をある意味確認できたのもあって、シャーロックはラストで「ふっ」と照れくさと快心がないまぜになったような笑みを浮かべたのではないかしらん、と。いずれにしても、兄も、弟があの女に二度と逢う事はないだろう(逢ってはならない)と思っているし、弟も、もう彼女と逢う事はないので彼女の携帯を手元に置いたのだとは思います。そこがこの話のポイントだと思われますしね。また逢うような事があったらそれこそ全て台無しってもんですわね。
    まぁ、どれが正解という事もなく、あからさまにこうだ、と提示されてもいないので、きっとこうしてあれこれ語り合って貰うのがモファットの意図したところでしょうから、受け取る側が、あれこれと想像して楽しめばいいんだと思います。 また何か書きたい事を思いついたらSherlock記事を書きますので、ご意見、ご感想など楽しみにしています。

  • 2012/04/16 (Mon) 23:10

    はじめまして。kikiさん。
    とってもおもしろいブログで感心いたしております。『Sherlock』series2のUK版DVDは大分前に手元にきてたんですが、仕事にかまけてずーっと見れなくて、つい先日一気見しました。
    個人的には、1話目がよかったですね。
    私は、頭が単純にできてるんで、アイリーンは素直に死んだものと解釈しました。あのラストのメールの着信音とシャーロックの姿は、アイリーンが自分の見た(聞いた)幻影(幻聴)と気付き、まさに自分が「I am SHERLOCKED 」なのだと改めて自覚しつつ微笑んで死んでいったのだと・・・。シャーロックの最後の微笑みも、彼女の死を確信し、彼女との記憶を追想しつつ、まさに彼女こそ彼にとっての「The Woman」だったのだと(つまり、彼にとって女ってミステリアスな存在だから)思っての笑みだと思ったんだけどなーーー。
    ま、どうとっても可能っていっちゃ、可能なんだけど、マイクロフトのシャーロックへの配慮からして、アイリーンは死んだって思いたいな・・。このシリーズで気に入ってるのが、シャーロックに次いで、あのお兄ちゃんだから・・・。(笑)いやぁ、いい味だしてるもの・・・。シャーッロクを子ども扱いして見下したり、逆にプライドを傷つけられて嫉妬してみたり・・・。1話では、ハドソンさんにタメ口をきいて、シャーロックとワトソン君の二人に同時に叱られるトコがかわいかったです。飛行機の機内のシーンもよかったですね・・。私もあのマイクロフトの「I'm sorry.」はなかなか絶妙な台詞だと思いましたね。私的には、「お前がこれほどあの女に心を揺すぶられるとは思わなかった。」ってな具合かなって推測しました。つまり、純情なシャーロックを傷つけて悪かったというニュアンスなのかな・・と。ま、ちょっとそうすると、お兄ちゃん、いい人っぽいですが。でも、彼女の死を弟に直接言えず、悩んだ挙句ワトソン君にそれとなく告げてほしいと仄めかしてるあたり、なかなか屈折した愛を感じました。

  • 2012/04/17 (Tue) 00:10

    fragil eggさん はじめまして。
    面白さに感心していただきましたか。どうもどうも。(笑)
    Series2では、ドラマティックさでは3話目の「滝」もかなりのものなのだけど、1話目の「女」はドラマ性に加えてロマンティックという要素もあるのでね。やはりこれがSeries2のベストかもしれませんね。そして、エピソードとしての完成度を求めるならアイリーンは死んだ方が話としては鉄壁だし、そうだろうと思いたいところですが、どうも制作サイドとしてはやっぱりシャーロックが助けちゃった、という線のようですね。1話目のコメンタリーを聞くと、あの処刑シーンの背後で、モファットや彼の奥さんのスー、バッチ君、ララ・パルヴァーらが「マイクロフトは、シャーロックがあの場にいたとは思えない、と言ったけど、いちゃったのよね~」みたいな感じで談笑してます。だから、ラストはかなりナンチャッテ臭が漂うけれども、一応、あれはアリ、という事なわけだな、と。でも、ドラマの中で実際にあった事だとハッキリと提示されているわけでもないので、ここはもう視聴者が自分の好むように解釈したらいいんだろうと思いますね。
    シャーロックとワトソン君にマイクロフトがたしなめられるシーン、勢いに押されてマイクロフトがハドソンさんに謝らざるを得ない空気になったりして、ふふふ、と思いますね。そのあとでシャーロックがすぐにハドソンさんにさりげなく、「そっちも余計な事言わないの」という感じで注意をする部分も含めてふふふ、という感じです。兄はSeries1の「Pink」で登場した時から一貫して彼なりのやり方で弟を心配してますが、弟はうるさがって、兄の心配を受け付けないですね。シャーロックが兄に対して、ああも、まるで貸しがあるかのように常に強気なのは、やはり過去に何か、兄は弟に対して負い目を持つような事をやってしまったのかしらん、とか勘ぐりたくなったりしてね。そういう兄の愛をいいことに、シャーロックは確信犯でキカン坊の駄々っ子を決め込んでいるわけで、実に、兄に甘えてますね。自覚してるのかしてないのか。(笑) そのへんの兄弟の関係性の描かれ方も、ふふふ、という感じで、何かとふふふ、とほくそえんでしまう部分の多いドラマです。

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