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「ロイヤル・ペインズ-救命医ハンク-」(Royal Pains)

-新旧ないまぜキャストが興味深い-
2009年~ 米 USAネットワーク



異色医者ドラマとして「Dr.HOUSE」の対抗馬と言われているこのシリーズ。現在WOWOWでシーズン3が放送されているらしいが、ワタシはビデオ・オンデマンドでシーズン1を観た。このドラマの存在をさっぱり知らなかったし、他に観たいものがない時になんとなく観てみたら、意外に面白かった。

主役の医師ハンクを演じるのはマーク・フォイアスタインという俳優。「イン・ハー・シューズ」という映画を見た人は、トニ・コレット演じる姉と結婚するユダヤ系の弁護士役で印象が残っていると思う。ワタシも当初は気づかなかったが、どこかで見たような…と思ってチェックしたら、やはりあの、こなれた寿司の注文をする弁護士の彼だった。奥目で特にハンサムでもないし、小柄だし、短足ガニ股だし、遠目にはちょっとお猿っぽいマーク・フォイアスタインだが、一見地味で、どこがどうという事もないのに見ていると何となく好ましいという気にさせられるフシギな俳優だ。鼻の形や、全体の雰囲気が、いかにもNY出身のユダヤ系アメリカ人という雰囲気である。



このハンクはマンハッタンの大病院のERで働く腕利きの医師だったが、非番の日にバスケ中に倒れた黒人の若者の方が重症だったために手当てを優先し、同時に担ぎ込まれた病院の理事長の心臓発作もケアはしたものの完全に落ち着くまで注意を払わなかった。その後、予期せぬ事が起きて理事長は急死。病院を首になり、遺族の圧力で再就職できなくなってしまう。医者の妻になりたいだけの婚約者はハンクから去り、山のような借金だけが残り、失意のハンクは部屋に引き籠もってTVだけが友達の生活に入るが、ナンチャッテ会計士の弟エヴァンが、そんな兄を引きずり出す。弟が兄を連れていったのはNY郊外のロングアイランドはハンプトンズという高級別荘地にある富豪の邸宅でのパーティだった。そのパーティで倒れたモデルの女性を素早く救護したハンクの腕はあっという間にハンプトンズの富豪の間に広まる。パーティを主催した謎の大富豪ボリスは、広大な自邸の中のバンガローを提供するから、お抱え医者「コンシェルジュ・ドクター」にならないか?と提案する。当初は金持ち専属の医者など願い下げだと思っていたハンクだが、24時間の間に何人かの人を救い、金持ちを看つつも、生活にゆとりのない人を無償で治療できるという可能性も見出し、ハンプトンズにとどまることに決める。あまり頼りにならないおちゃらけ者だが、兄思いではある弟エヴァンが会計係、インド系美人のディヴィヤを助手として、ハンクの電話1本でどこにでも駆け付ける医療サービスが始まる。


ハンク(左)と謎の大富豪ボリス

ハンクを自邸内のバンガローに住まわせる謎の大富豪ボリス・キュースタ・フォン・ユルゲンス=ラテニッツを演じるのはキャンベル・スコット。ロマンス・グレイの謎の大富豪役にハマっていて、ちょっと素敵である。暫く気づかなかったが、この人は「シェルタリング・スカイ」(1990)で見た事があった。その時はまだ若くて髪もダークブラウンだったが、何か薄っぺらくて弱々しく、ちんまりとハンサムではあるものの魅力に乏しいというイメージだった。ボリス役で久々に観てみたら、うすっぺらかった体には少しだけ厚みが出てちょうどいい感じになり、グレイヘアがいい具合に落ち着きを与えて、素敵な大人の男になっていた。気難しく、深刻な悩みを抱え、なかなか人を信用しないが、これと見込んだらさりげなくバックアップもしてくれる謎の大富豪ボリス役は、なかなか美味しい儲け役だが、キャンベル・スコットは適役だと思う。若い頃だけ美しくて、なんだかなぁという中年になる人は多いが、若い頃はさほど魅力がなくても50代に入っていい具合に魅力的になる人もいる。うまい年の取り方をしているんだな、と思う。キャンベル・スコットは確実に年を取ってからの方が魅力的になった俳優だろうと思う。年を取るのも悪い事ばかりではない。いい年の取り方ができるかどうかが問題なのだ。


キャンベル・スコット 若い頃

近影 確実に男振りが良くなってますね

もう一人、興味深い出演者にアンドリュー・マッカーシーがいる。暫く前から映画ではお目にかからないものの、ドラマにはコンスタントに出演しているらしく、中堅どころの手堅い俳優になっている様子。若い頃の甘さは消えているが、ちんまりと整った顔や雰囲気などは年を取ったが基本的にはあまり変わっていない。ただ、年齢を重ねた事で顔にやや険が出てきたためか、クールな実業家とか、心に問題を抱えた富豪とかの役がハマるようになっている。「ホワイトカラー」では裏のある非情な実業家の役でちょっと出ていたが、この「ロイヤル・ペインズ」ではハンプトンズの富豪の一人で血友病の息子を持つ実業家の役。息子が不治の難病である事に苦しみ、アル中&ヤク中にひそかになっていたという設定で、たまにしか出ないが、それなりに存在感はある。若い頃は甘っちょろくて、ただのアイスクリームのようなハンサムマンだったが(この人も含めて80年代ブラットパック・スターというのはワタシ的には一人も興味を引かれなかった)、顔に険が出た事で、内面的に陰翳のある役を演じられるようになったという印象である。



このマッカーシーの血友病の息子タッカーを演じるエズラ・ミラーは、昨今ちょっと気になる若手俳優で、日本でも6月封切りの「少年は残酷な弓を射る」で、ティルダ・スウィントン演じる母親を精神的に追い込む魔少年的な息子の役がかなりハマっていそうである。この映画も封切りが待たれる。この子は黒髪で目元などがアジア系のようでもあり、ロシアや東欧などのスラヴ系のニオイもちょっとするような感じで、独特の風貌が極めて印象的だ。(どこの血が混ざっているのか、いろいろと複雑に混ざっていそうである)このドラマでは、16歳という若さで、既に精神的にはかなり老成していて、自分の病気についてもよく知っており、諦めと同時に、いざという時にはちゃんと対処もできる冷静さを持つ少年を演じている。富豪で多忙で精神的に弱い父親よりも大人な部分がありつつ、16歳らしい父恋の気持ちもふんだんに持っている息子をさらりと演じていて、それなりに良い。


「ロイヤル・ペインズ」での血友病の息子


「少年は残酷な弓を射る」

医者を主役に持ってきたドラマは色々ある。群像劇ではあの「ER」に端を発する、狭い病院のERの中でひしめくウジャウジャとした相関図と(男も女も同僚と次々に寝すぎである)、患者や病気をめぐる命のドラマがゴッタ煮になって展開する形式が、その後いくつも作られたけれども、そういうゴタゴタ相関図ものは、「ER」だけでお腹いっぱいになったので、「グレイズ・アナトミー」も観なければ、その他のものも観ていない。

これは「ER」から暫く連綿と続いた、そういう狭いところでグチャグチャと絡まる相関図系の医療ドラマから脱却し、大都会のERをふとした悪運から首になってしまった医師が、郊外の風光明媚な別荘地に活路を見出し、そこで新しい形の医療サービスを行う、という新基軸を打ち出したという事で少し風通しが良くなった印象がある。大都会の近くの海辺でも、西海岸ではなく、東海岸というところもポイントが高い。西海岸というと、どうしてもおちゃらけた雰囲気にならざるを得ないと思うけれども(偏見かしら)、東海岸というとイメージが違う。ロングアイランドというのがまた、ね。気候はのどかで景色はいいし、ハンプトンズは海岸ぞいに大富豪の大邸宅が広大な敷地を連ねている保養地である。「グレート・ギャッツビー」の舞台になったエリアでもあろうし、あの「運命の逆転」の舞台になったエリアでもあるだろう。
そこには、およそ金で買えるものならば、どんなものでも思いのままに買える金持ちが住んでいる。ただ、金持ちといえども金の力だけではどうにもならない事もある。難病や、根深い心の病などだ。通常ではうかがい知れない大富豪の邸宅や生活と、それぞれの家でのそれぞれの問題、それら一切を束の間忘れる美しい海岸の景色などが、極めて良心的で誠実な医者であるハンクの人柄とともに、このドラマの大きなポイントであるのかもしれない。


風光明媚な全米屈指の保養地という舞台設定がミソ

広大な敷地の中の大富豪の邸宅

また、謎の大富豪というのはアメリカによく似合う存在だ。謎の大富豪を生み出しやすい国柄という事もあるだろうが、土地が広い事もあって、広大な敷地の中に、使われない部屋が全体の7割以上を占めそうな広大な屋敷を構えているような金持ちというのは居るものなのである。アメリカの金持ちは桁外れにお金を持っているなぁという印象は、まだまだ健在であるようだ。また、金があればプライバシーを買える。だから大富豪になればなるほど、身辺は謎めいて来る。誰にも知られずに何でもできるからだ。このドラマを観ていると、金持ちってこんなにも病院に行きたがらないものなのかと呆れるほどに、みな病院をいやがる。管理され、統制されて、自由がきかないし、プライバシーも守れないからだろうけれども、刑務所にでも入れられるかのように、病院?う~、ぷるぷるぷる、という感じなのが可笑しい。

ハンプトンズでの謎の大富豪の筆頭は、ハンクをお抱え医者として雇っているヨーロッパ貴族の末裔であるボリスだろう。「謎の大富豪」って、何となくロマンティックでミステリアスで興味深い。アメリカの謎の大富豪No.1はハワード・ヒューズであろうが、度重なる飛行機事故での痛みどめの麻薬に中毒し、生来の不潔恐怖症やら、秘密主義、対人恐怖症などの様々な強迫性障害がどんどん嵩じて、晩年には側近のあやつり人形になり、到底、大富豪とは思われない痩せさらばえた栄養失調の体で病死したヒューズの人生を知ると、どんなにお金があっても心身共に健康でないと結局は惨めに生涯を終える事になってしまうわけで、お金だけあってもね…という事になるわけである。だから、健康不安を抱える富豪にとっては、ハンクのような、誠実で秘密を守ってくれるお抱え医者は貴重な存在になるのだろう。

物凄く面白いというわけでもないけれども、なかなか面白い医療ドラマ。ハンプトンズの景色も折々目の保養になる。だが、あまり長くダラダラとシーズンを続けると弛んできそうな気配もあるので、程良きところで幕引きをした方がいいような気がする。特にこれといって観たいものはないけど、何か観たいな、という時にはお薦めかもしれない。

コメント

  • 2012/04/30 (Mon) 13:02

    kikiさんも見ていたんですのね、ロイヤル・ペインズ。私はWOWOWでひょんなときに見始めてシーズン1で結構ハマり、シーズン2も見て今またシーズン3を放映中なので思い出した時に録画してみています。思い出した時なので、結構話を飛ばしていたりするんですけど、それなりについていってます。
    主人公を演じるマーク・フォイアスタインわりに好きです。「イン・ハー・シューズ」でも好感度の高い役柄を演じてましたよね。背も低いし、レスリングをやってたというだけあって確かにガニマタちっくなんだけど、そこはかとない人の良さみたいなものが出てる感じで。ハンプシャーの家を見るのも楽しいし、兄弟の父親の話や、ボリスの話から恋の話などうまく適当に織り込んで飽きさせずに見せてると思います。
    ボリスのキャンベル・スコットは、昔「シングルズ」という映画を見て知ったんですが、それからずーっとご無沙汰だったので、人に言われるまで全く気付きませんでしたよ。あの頃とうって変わってグレーヘアーの似合う大人の男性になって、一昔前ならジェレミーアイアンズが演じてたような感じの雰囲気かなと思ったり。
    他の医療ドラマに比べると落ち着いた感じの話が多くて、ほっと一息つけるドラマなところがわりに気に入ってます~

  • 2012/04/30 (Mon) 22:14

    Sophieさん
    見ていた、というか、ついこの前見てみた、という感じなんですけどね(笑) これは、毎回の話自体は一話完結だから、飛ばしても差し支えなさそうですわね。ベースとして流れている親子や兄弟の関係、彼女との関係、ボリスの状況などが、その合間あいまに描かれるという感じかな。マーク・フォイアスタイン、地味だけど感じのいい俳優ですよね。ワタシも好きですわ。このハンクなんかは彼の個性がよく活かされていてハマリ役という感じ。基本的にいい人系のキャラがしっくり来る人なのね。目が知的な感じがします。医者や弁護士や学校の先生が似合うタイプ。 で、キャンベル・スコット、「シングルズ」ってのもありましたね。ワタシは未見だけど。90年代前半は、なんかこう、植物的なアスパラ君という感じもしたのだけど、いつの間にかいい具合にシブイ大人の男になってますね。人間、年取って良くなる方が得かもね。ジェレミー・アイアンズが本格的に老齢に入ってきたら、彼がやってたような役が廻って行くかもしれませんわね。今ならジェレミーよりもキャンベル・スコットの方が素敵かも。
    そして、ハンプトンズ。古くは「麗しのサブリナ」なんかのララビー家のお屋敷もこのへんじゃないかと思うわけですが、舞台設定が上手かったですね。ビバリーヒルズほど俗っぽくないというか。広壮な邸宅が海に面して広大な敷地の中に建っている俯瞰ショットを眺めているのも、なかなか楽しいですわ。

  • 2012/05/06 (Sun) 10:27

    ロイヤル・ペインズ見てみたくなりました! マーク・フォイアスタインはやはり『イン・ハー・シューズ』で初めて見て、知的だけど、ほんわかした雰囲気でいい感じの俳優だなあと思っていました。SATCにもミランダの相手役で出ていたそうですが、全然覚えがない…マークのお父さんは息子がSATCに出た時、「通っている教会のラビが見てしまうぞ」と言ったとか。。。ロイヤル・ペインズのお医者様役はラビも、お父様も納得でしょう。
    アンドリュー・マッカーシーも頑張っていますねー。ブラッドパックのスターはなんとなく、一発屋的な雰囲気があったけど、地道にやっていたんだなあと感心しました!

  • 2012/05/06 (Sun) 23:15

    Makiさん
    WOWOWに加入されていたら、現在はシーズン3を放映中のようですわ。一応DVDも出ているようなので、1や2はツタヤで半額の日にでも一気借りして観る、というのもアリかもしれませんね。マーク・フォイアスタイン、なんとなく感じいいですよね。やっぱり目元ですかしらね。優しくて知的でユーモアがあって明るい、という目元。「イン・ハー・シューズ」での役は儲け役だったんじゃないかしらん。ハンクよりも、あの弁護士役の彼の方が好きかもですわ。
    ブラットパック系ではアンドリュー・マッカーシー以外にロブ・ロウも地道にTVで頑張ってますね。あまり老けもせずに。
    そして「ロイヤル・ペインズ」、ワタシはシーズン1しか観ていないんですが、シーズン2,3もそれなりに面白いみたいですよ。

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