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「バンド・オブ・ブラザース」(BAND OF BROTHERS)

-のちにブレイクする英国俳優があれこれと-
2001年 米/英 HBO/BBC



日本での初放映はWOWOWだったこの戦争ドラマ。「ROME」などに先駆けて、アメリカのHBOと英国BBCがタッグを組んで制作した大予算投入のミニ・シリーズである。これが日本で初放映される少し前にWOWOWを解約していた事もあり、今年まで未見だった。何せワタシはスピ・アレルギーがある上に、特に好きな俳優が出ているわけでもない戦争ものの群像劇を観たい気分でもなかった、というのもある。でも、今振り返ってみると、ジェームズ・マカヴォイ、マイケル・ファスベンダー、トム・ハーディ等、そののちにブレイクしたUKの若手俳優がちょい役であちこちに出ていて、意外に「バンド・オブ・ブラザース組」って多いのである。彼らがどこにどんな風に出てくるのかをチェックするという興味もあって、イマジカの一挙放映を録画してみた。
それにしても、メインで折々顔が映る兵士を演じている俳優よりも、どこに出ているのかよく分らないか、または1回だけ出演してあっという間に戦死して消えてしまうアメリカ兵の役で、昨今ブレイク中のUK俳優があれこれと出ている。ジェームズ・マカヴォイに、マイケル・ファスベンダー、トム・ハーディにアンドリュー・スコットまで、「え?あなたもバンド・オブ・ブラザース組なの?」というほど、昨今ブレイクしているUKの俳優がこれに出演しているのだ。しかもチョイ役のアメリカ兵士で。ワタシは主にファスベンダー目当てで観始めたのだが、彼は全10話中7話に出演しているとクレジットされているのに、一体どこに出ているのか、ちらりとも映らない回も多く、はっきり出ていると分かったのは1話目と8~10話目ぐらいだった。折角さほどシワもない時期なのに、ハンサムマン、あまり映っていない。残念。上記の4人のうちでもっとも地味で目立たないチョイ役だった。


右端がミヒャエル こんな感じでセリフを言っている俳優の背後にたまに映っている事が多い

アンドリュー・スコットは2話目に登場。その回だけの出演で、童顔が初々しい、別の中隊の通信兵役。Dディにパラシュートで降下したら自分の中隊とはぐれてしまい、ウインターズと出くわして途中までE中隊にくっついていくのだが、E中隊で作戦が始まり、所属が別なのでそのメンバーには加えて貰えずに残ったら撃たれて命を落とす。くるくるとした目の純粋そうな若手兵士の役である。モリアーティにはまだ遠い。


ボクも一緒に連れてってくれよう

マカヴォイ先生は戦死者多数で人数の減ったE中隊に配属された補充兵として4話目に登場。まずは軍服で兵舎で仲間と談笑するシーンに現れる。アップにもなるし、かなり目立つ。古参兵に意地悪くからかわれたりする若い補充兵役で、お前の手柄でとった徽章でもないのに外せ、と嫌がらせを言われて連隊の徽章を軍服から外す。小柄な紅顔の美少年。妙に赤い唇は相変わらず。いかにも古株にいびられそうなタイプである。彼もこの回のみでお亡くなりになってしまう。残念。


マカヴォイ先生は第4話のみ 何かまだ子供コドモしている

お目当てファスベンダーの役名はクリステンセン。名前からすると北欧系ということだろうか。初回から出ている割には本当に映らない。初回こそ2回ほどアップになるので、「あ、いたいた」と思うのだけど、中盤の回などは出ているはずでも、さっぱり見つけられなかった。「クリステンセンを探せ」というゲームも出来そうなぐらいである。8回以降の終盤になってようやく、画面の中に映っているのを発見できる確率が少し増えた。


教官にいびられたり…

レクリエーションの映画を観つつも、うつろな顔で座っていたり…

トム・ハーディは出てきた途端に分った。初登場のシーンからオーストリアの娘とベッドでハッスルしている。さすが「ハンサム・ボブ」。トム・ハーディは9話目と最終話にしか出ていないが、出番は少しでもファスベンダーなどよりずっと目立っていた気がする。まだ本当に若いし、肌がキレイで美少年という雰囲気もある。


いきなりベッドシーンで登場

ちらっと映っただけでも目立つし、目立つように撮られている

ミヒャエルとトムが一緒の画面に映っているシーン

また、第5話目には、トム・ハンクスの息子、コリン・ハンクスが士官学校出のヒヨコ士官役で登場。もう本当に坊ちゃん坊ちゃんしている。可愛い息子の出る回はトム・ハンクスが監督している。コリン・ハンクス、実はけっこう低い声だが、ボーイソプラノで歌でも歌い出しそうな顔をしている。少年合唱団系である。



群像劇ではあるが、出ずっぱりの主役級である有能な指揮官ウィンターズを演じるダミアン・ルイスは「フォーサイト家」というミニ・シリーズで以前観た事があった。赤毛で男前でもないし、「フォーサイト家」では嫌な奴を演じていたのであまり良いイメージはなかったのだけど、本作では、真面目で部下思いの有能な指揮官で非常においしい儲け役だったと思うし、それをとても誠実に演じていて、人の良さそうな雰囲気が出ており、随分「フォーサイト家」とはイメージが違うのね、さすが俳優、と思った。ダミアン・ルイスは映画向きではないのか、TVミニ・シリーズ専門職で、その後もずっとTVシリーズで活躍しているようだ。


赤毛のダミアン

彼以外の主要な兵士役を演じた俳優たちは、現在これというような目立つ存在になっている俳優は居ない気がする。むしろ目立たない役を演じていたUKの若手俳優が続々とその後ブレイクしているのが面白い。これが制作された当時、殆ど無名の若手俳優ばかりを起用したのは実話ベースの群像劇で実在の人物が登場するので、スター俳優などを出してその俳優のイメージやスター・オーラなどで、リアルな名も無き兵士たちの物語、その生死の境を共に越えた戦友という「兄弟の絆」が虚構に見えては困る、というのが一番の理由だったのだろう。戦闘シーンともども、俳優たちの存在感にもリアルな臨場感が求められたわけである。それに、ロケや大がかりな野外セットで制作費が莫大にかかるところから、出演者のギャラを抑えるという意図もあったかもしれない。



戦闘シーンなどのリアルさは、「プライベート・ライアン」級のを(あの映画史上に残る上陸作戦のシーンを除き)毎回繰り広げているという感じで、兵士たちは、何度も尻や肩を撃たれたり、雪の中で野営していて凍傷になりかかったり、たこつぼ(塹壕)に入って安全だと思っていたら、そこに迫撃砲を喰らって一瞬にして命を失ったりする。2年間の訓練時代から一緒にやってきた仲間に目の前で死なれる事が続いて深い精神的ダメージを受け、前線での戦闘に耐えられなくなってしまう兵士や、薬品も医療器具も不足な中、日々の戦闘で負傷者は日常茶飯に発生し、そのたびに「衛生兵!」と呼ばれて砲火の中を走って応急手当に行き、血まみれの同僚の傷に包帯を巻く衛生兵の徒労感がテーマの回もある。衛生兵には代わりがいないので、お前は残れ、と言われて仲間と一緒に行動する事ができないジレンマもある。野営しながら虚脱したように木の根元に座りこむ姿などを観ていると、いつ果てるとも知れない戦闘の日々に、毎日毎日命の危険に晒されて仲間が死んだり傷を負ったりするのを目の当たりにしながら、ロクな手当ても出来なかったら、徒労感は募るばかりに違いない。精神のバランスを常に保っているのはさぞ難しい事だろうと思う。

また、ウィンターズが昇進したためにE中隊に新たな指揮官が来たりするが、無能で臆病で指揮官の資質がなく、兵士は戦場のただ中で路頭に迷うハメになったりする。兵士達には、敵国の兵士以外にも、無能な指揮官という厄介な敵もいる。この出来損ないの味方の方が時には敵よりずっと厄介だ。愚かな指示で、あるいは何も指示が出せずに、部隊を壊滅に追い込みかねない。どんな愚かな命令だろうと軍隊というところでは上官の命令には逆らえないために、兵士たちは時に致命的な危機に晒されたりもする。どう考えても間違っている、という指示にも従わなくてはならない。命が懸かっているときに、これは辛い。


パラシュート部隊 無事に目的地に着地するだけでも一苦労、その後は敵の包囲のただ中を進む

パラシュート部隊のE中隊の面々は実戦に就くまでの2年間、鬼の教官ソベルに山の中のキャンプでしごかれる。このソベルはシゴキの教官としては優秀かもしれないが、実際の戦闘訓練や降下訓練になるとビビり、方向音痴の上に、模擬演習でさえも戦場で的確な判断が出来ないという資質の無さを露呈する。訓練教官として優秀でも、実際の指揮官として有能とは限らないのである。下士官達は連盟で嘆願書を出し、ソベルが指揮官なら戦場へは行かない、と造反する。下士官は皆、降格処分を受けるが、中隊の癌を排除することには成功する。これも実際にあった事なのだろう。アホと分かっている指揮官の下で誰も戦場になど行きたくない。無能な指揮官の命令で混乱すると、助かる局面でもあたら犬死という事にもなってしまうのである。確かにそんなのは冗談じゃない。笑えない。命がけでも未然に排除しなくてはならないだろう。

終盤、ヨーロッパの国々をドイツに向って進みつつも敵軍を排除しつつ進む連合軍。段々と勝利が見えてきて、戦地で死ぬ事はないとみなが暗黙のうちに思い始めた頃、E中隊は悲惨なユダヤ人収容所を発見し、解放する。それまでそんなものが存在することを知らなかった米兵が、初めて絶滅収容所の存在を知った時の驚きはいかばかりであったろうか。この世の地獄のような阿鼻叫喚の有様をただ茫然と見つめるE中隊の面々…。生き残った人々に食糧を供給するが、飢え乾いた人間が一挙に飲食すると死ぬ、というので、また収容所に戻して食事量を管理する事になる。



それをドイツ語でユダヤ人に伝えるユダヤ系兵士リーブゴッドの苦渋。(このユダヤ系の兵士を演じている俳優は当初ジェシー・アイゼンバーグかと思ったが違う人だった。ジェシーよりは年上のようだが、でも何となく似ている)


ジェシー・アイゼンバーグかと思ったら違ったユダヤ系アメリカ兵を演じる俳優 
そして、背後にセリフもなくミヒャエル ドイツ語しゃべれるのに…

収容所の存在を知らなかった村人は連合軍に命じられて収容所で死んだユダヤ人の遺体を埋葬させられる。遣り切れない思いでその様子を見つめるE中隊の兵士。そんな彼らにヒットラーが自殺したというニュースがもたらされる。「3年前に自殺してくれてりゃな」と誰かがいい「全くだ。でも奴はしなかった」とぽつりと答えるニクソン大尉。ドイツはイメージよりもいい国で、ドイツ人は悪人じゃないと感じていた、という元兵士の老人たちの語りも耳に残る。田舎町でも文化度は高く、爆撃された瓦礫だらけの街の広場に音楽家達が集まって、ヴァイオリンだけで静々とベートーヴェンを奏でる。瓦礫になっても奥深くヨーロッパである。



ヨーロッパ戦線を戦い抜き、ドイツの降伏を受けて、オーストリアの山の山頂にそそり立つヒットラー自慢の要塞「イーグルズ・ネスト」を占領するE中隊。アルプスの素晴らしい眺めを一望する要塞の眺めに感嘆する兵士たち。ドイツ降伏後は結局オーストリアで待機しているうちに日本も降伏して彼らの戦争は終わるのだが、野営し、苦しい戦いを経たあとで、最後は山と湖に囲まれた風光明媚なところでノンビリしたのだね、とちょっと微笑ましい気分にもなった。


眺望抜群のイーグルズ・ネスト


終戦まで、暫しの休息

また、「兄弟の絆("Band of Brothers")」という言葉は、ドイツ降伏ののちに、部下を率いて投降したドイツ軍将校が自分の部下たちにかける言葉の中に出てくるのも良い。ヘンリー5世の言葉でもあるようだが、戦友が兄弟のように生涯の絆を分かち合うようになるというのはさもありなんと思う。共に戦い、共に苦難を潜りぬけた戦友は、親や実の兄弟にも分らない何かを共有しているのだろう。肉親の親兄弟とはまた別なところで深い絆が生まれるのだ。生まれないわけもない。
戦争が終わって国に帰ればごく普通の穏やかな社会人である彼ら。しかし、戦場ではそんな普通の男である彼らが時には伝説的なまでに肝の座った勇敢な行動を取ったり、いかなる時にも判断を誤らない部下思いの有能な指揮官だったり、どんな過酷な状況にもじっと耐え忍ぶ辛抱強さがあったりする。誰でも状況によってヒーローになり、スーパーマンにもなり、また悪魔にもなりうる。戦争という状況が彼らをそうさせるわけだが、戦争が終われば彼らは自然に普通の男に戻るのだ。しかし、戦場で否応なしに沢山の人間を殺して、自分も撃たれ、仲間も殺されたりしながら、どうにか生延びて故国に帰り、再び平和な景色や人々を眺めた時、彼らの胸に去来するのはどんな思いだろうか。戦争という体験を経たあとでは、景色が違って見えたりはしなかったろうか。



当初は無名時代のご贔屓UK俳優をチェックしよう、というミーハーな理由でぽつぽつと録画しておいたものを観始めた10話のドラマだが、実話ベースのしっかりとした作りで、登場人物もみな実在の兵士であり、冒頭に登場する、お爺さんになった実物の元兵士たちの回想も興味深かった。彼らの姿を見、語りを聞いていると、よくぞ生きてお帰りに…と感慨深い。また、特に驕る事もなく、淡々と自分の経験した戦争、戦場、戦友を語る様子に感じるのは、なすべき事を成し遂げた、という誇りである。そして彼らは、若くして戦場で散った戦友を永久に忘れないのだ。何十年がたとうとも、常に昨日の事のように脳裏に甦るのだろう。
いつの時代も、どこの国の話でも、最前線に行かされる兵隊さん達の苦難は変わらないのだろうな、としみじみ思う。そして、あんな戦闘の日々を潜って生きて故国に帰れるか、異国で骨になってしまうかは、本当に運だけだろうと思う。雨あられのように弾が放たれて、それが当ってしまうか、どうにか当らずに走りぬけられるかなんて、全く運しかないだろう。敵に手榴弾を投げ込まれて、それが爆発してしまうか、不発弾で助かるかも運しかない。そして、そんな無名兵士たちの苦難と犠牲の上に一時的な平和や安定が築かれても、それが恒久的に続く事はないのが人の世の因果なさだめである。
毎度、戦争映画やドキュメンタリーを観るたびに思うのだが、これだけ何度も繰り返して、戦争がいかに悲劇で愚かな事か、兵隊が戦地でいかに理不尽な苦難に満ちた日々を送るか、戦時の一般庶民がいかに辛酸を舐めるか、戦争が人をどう変えてしまうのか、戦争が人に何を強いるのか、を描いても、現実の世界で戦争は一向になくならない事に徒労感も覚える。

それはそれとして、「バンド・オブ・ブラザース」は、世評通りに出来のいいドラマだったので、録画しておいて正解だった。ただ、これは第二次世界大戦ものでもヨーロッパ戦線なのでまだ客観的に観ていられたが、スピとトムハンが再度コンビを組んで放った第2弾「ザ・パシフィック」は太平洋戦線が舞台である。ということは我が日本との戦争を描くドラマなわけなので、7月からイマジカで放映されるらしいが、日本的には負け戦だし、ワタクシも日本人のはしくれとして、どうも観るのは気が重いゆえ、太平洋ものはちょっとパスかなぁ、という気分ではある。

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