「コバート・アフェア」はけっこう面白い (Covert Affairs)

-板胸ヒロインが世界を駆ける-
2010年~ 米 Open 4 Business Productions制作



昨年、ユニバーサルchでシーズン1の放映が始まった時には余り食指が動かなかったのだけど(現在シーズン2放映中)、昨今ビデオ・オンデマンドにシーズン1が入ってきたので見てみたら案外面白かった。スパイ物でも「MI-5」ほど暗くて辛くて疲れる雰囲気ではなく(あれは出来はいいけど何かもう展開が辛すぎて疲れるのだ)、けれども、やっぱりスパイってのは色々としんどい事もあって大変ですよ、というのをスピーディな展開の中にくたびれない程度に上手く盛り込んでいる。ヒロインのアニーが職場や仕事で関る男性スパイに男前の登場率が高かったりするのも良い。それにしても主演のパイパー・ペラーボは今どきめずらしいような板胸のヒロイン。女優という女優が天然にせよ人口的にせよ、うっとうしくプリプリと胸を突き出している昨今にあっては、その身軽そうな板胸っぷりはいっそ清々しいとも言える。まぁ、あのぐらい板胸じゃないと胸が邪魔でそうそう全速力で走ったりはできないだろうけれど…。
ヒロイン、アニーは新人としてはちょっと年嵩な28歳。演じるパイパー・ペラーボは30代半ばで「新人」を演じる年でもないが、それなりには一応、新人アニーという雰囲気も出している。目が大きく、鼻が低めで唇が厚く大きいのは今どきのはやりの顔といえようか。美人すぎないし、嫌味もなく、女性からの顰蹙を買わないタイプである。パイパー・ペラーボはスチール写真の映りが良い。実際にドラマなどで動いている彼女よりもスチール写真で見た方がクールないい女に見える。パイパー演じるアニーは常にシャツの胸元をかなり開けて着ているが、それが出来るのも板胸の貧乳ならではで、巨乳ちゃんが第3ボタンまで開けてシャツを着て歩いたら公然ワイセツ罪になってしまうかもしれない。ペラーボという珍しい苗字はポルトガルのものらしい。南欧と北欧の混血。パイパーという名前は昔の女優パイパー・ローリーからとられたのだそうな。




さて。
6ヶ国語に堪能で身体能力も高いアニーだが、CIA局員を目指した動機には、旅先で知り合い、夢中にさせてふいに去った謎の男への屈託した思いがあった…というわけで、東南アジア旅行中にアニーが出会った元CIAの男ベンを演じる俳優はかなりステキングであって欲しいところだが、これが残念ながらさっぱりイケてない。平凡な印象のクセ毛の男だが、どこかで見たような…と思ったら、「バンド・オブ・ブラザース」で、ハーバード在学中に応召して戦地に来たインテリ兵士を演じていたアイオン・ベイリーという俳優だった。かなり地味である。そんなドラマティックな役に似合うようなタイプではない。平凡な男が似合う俳優ゆえに、これはミスキャストであろう。もうちょっとステキングな人居なかったのかしらん…。


謎の男ベンではあるが…

さして出番もないからいいのだが、アニーの傍に影のように沿っていてピンチになると人知れず助けに来るという、孤独な一匹狼で謎の多い男ベンを演じるには致命的に魅力不足である。折角おいしい役なのに、演じる俳優に魅力がなさ過ぎるというのは物悲しい。というわけで、やはりミスキャストが祟ったか段々にベンは影が薄くなっていくのだが、それにはアニーの同僚にキュートな盲目のオーギーや、見ている方が気恥ずかしくなるほどの端正な二枚目ジェイがレギュラーとして登場している事も無縁ではない。



オーギーを演じるクリストファー・ゴーラムは「アグリー・ベティ」シリーズなどにも出ていたドラマ俳優でアメリカン・ドラマが好きな人にはお馴染みの俳優かもしれないが、ワタシはこれで初めて見た。ルックスはキュートの一言で、1974年生まれで実生活では3人の子持ちらしいが、「青年」の雰囲気をキープしている。目線や表情などで、いかにも自然に盲目らしい雰囲気を醸し出す演技力も申し分ない。彼が演じるオーギーことオーギュスト・アンダーソンは元CIA軍情報部特殊部隊隊員で、イラクでの任務中に爆弾を受けて失明。以降は国内機密部にあって技術運用部を仕切っている。盲目でも女性にモテモテで、優しく賢くユーモアがあり、しかも一見植物さん系かと見せかけて脱ぐとバッチリと鍛えた見事な体を持っている。あら、あなたもそうだったのね。これはとにかく最近の潮流である。シャツレスでも絵にならないと俳優稼業は務まらないのだ。


一見細身だが、脱いだら凄い、というのは今や基本である 俳優も楽じゃない

もう一人の魅惑の同僚ジェイ・ウィルコックスを演じるのはインド系アメリカ人の俳優、センディル・ラママーシー。「HEROES」にも出ていたらしいが、ワタシは未見なので、やはり彼も今回がお初。色は黒いが、それだけに歯列の白さが眼にしみる。とにかく彫りが深くて各パーツの形が正しく、睫、眉毛が濃く、非常に端正な顔立ちをしている。そのきっちりとした端正さは昔のジョン・ローンなどに通じるものがあるかもしれない。肌の黒さはアフリカンとあまり変わらないインド人だが、アーリア系ゆえに鼻や唇の形や、彫りの深さがアフリカンとは異なる。


見ている方が気恥ずかしくなるほどに端正なハンサムマン センディル・ラママーシー

昨今、アメリカのドラマに登場する有色人種のキャラとしては、極東アジア人種の流行が去り、インド人を登場させるのが流行りのような気がする。「女検死医ジョーダン」にはジョーダンの同僚としてインド人のバグが登場していたし、「ロイヤル・ペインズ」にも、ハンクの助手としてインド系の美人ディヴィヤ(レシュマ・シェッティ)がレギュラーで登場しているが、「コバート・アフェア」には見ている方が気恥ずかしくなるほどのハンサムマン、センディル・ラママーシーが元CIA機密部長の父と、インド人の母との間に生まれたエリート諜報員ジェイとして登場している。前述のオーギー役のクリストファー・ゴーラムと同年で、実生活では2人の子持ちである。この端正なラママーシーが演じるジェイは「CIAロイヤルティ」と呼ばれる由緒正しいエリートで、現機密部長であるアーサー・キャンベルの指示を受け、アーサーの妻ジョーンが仕切るDPD(国内防衛部)に、ある目的をもって配属されてきたのである。それはアニーに接近し、独立して機密任務で動いているベン・マーサーの動向をさぐるというものだった。ベン・マーサーはスリランカで出会ったアニーの「忘れられない男」であるが、これが前述の通り、さっぱりイケてない俳優が演じているので、さっさとこんな男は忘れて前に進みなさい。周囲にはいい男が一杯いるじゃないの、と思ってしまうわけである。


この、真っ向微塵な正しい美男ぶりはどことなくジョン・ローンを思い出させる

CIAは機密保持のために職場恋愛を奨励しているということで、アニーのボスであるDPD部長ジョーンと、7Fのエリート組、機密部長のアーサーは夫婦である。ジョーンはつねにボディコン、ノースリーヴのワンピースを着た40女(多分)で、夫アーサーの浮気を疑い、同僚に夫の携帯の盗聴を依頼するなど、公私混同、職権濫用のアホな部分もあるけれども、当初はどんだけ嫉妬深くてメス臭くてヒスっぽい女なのよ、と思っていたジョーンだが、回が進むうちに徐々にキャラ設定が修正されてきて、判断が早く、部下思いで、割にいいボスである、という雰囲気になってきている。


嫉妬深い妻と隠し事の多い夫 めおとスパイも楽じゃない

ジョーンの夫、アーサーを演じるのは「あなたが寝てる間に」で、事故に遭って昏睡状態の間に、ビル・プルマン演じる弟にサンドラ・ブロックを取られる兄を演じていたピーター・ギャラガー。ちょっと見ない間に些か年を食った感じではあるけれども、役にはハマっている。この人はどことなくサンダーバードの人形系のルックスである。アーサーはアニーが密かに屈託し続けているベンの上司で、アンダーカバーで勝手に動き回るベンと接触する為にアニーを採用したという裏の事情もある。アーサーは、CIA内に秘密の情報網を持つらしい女性TVレポーターの「すっぱ抜き」報道に苦慮している。

というわけで、ヒロイン・アニーを取り巻く人間関係はなかなか興味深い。当然ながら彼女は任務で海外出張も多いので、表向きはスミソニアン博物館の展示物調達員という事になっている。アニーは結婚して二人の子持ちである姉の住まいの離れに住んで、そこから車でCIAに通勤している。アニーは姉と非常に仲が良いが、もちろんスパイである事は隠している。CIA的にも身分を明かしてはならない事になっている。だから、姉に、万一の時には娘たちの後見人になって欲しいと頼まれても即答できずに悩んだりもする。


よく見ると顔が大きく、板胸で、意外に脚の太いパイパー・ペラーボだが、好感度の高いヒロインだ

アニーが任務で協力しあう他国の諜報員も、それぞれに味わい深い。ワケアリのMI6のベテラン諜報員エリオットは、それこそジョン・ル・カレなどの古いスパイ小説を愛読し、「古いスパイ小説は人間を描く事にポイントを置いている、人生をね」と言う。「小説に描かれている通りだよ。スパイ稼業をしていると、普通の生活や家族を犠牲にせざるをえないんだ」と言う彼に、「そこまでの価値がこの仕事にあるの?」とアニーが尋ねると、「分らない。家族を持った事がないからな」とMI6は答える。なかなか印象深いシーンだ。



また、モサドの腕利き諜報員エイアルは、シーズン1と2にそれぞれ1回ずつ登場。彼が登場する回はスリリングであり、ロマンティックでもあり、このエイアル役はなかなか美味しい役である。演じるのはラオデッド・フェールという俳優で、「ハムナプトラ」などに出ているらしいが、ワタシはこれで初めて見た。シャープな悪役なども可能なタイプだが、兵士やスパイなどもハマる役者である。CIAでは家族に自分の身分も仕事も何ひとつ明かす事はできないが、モサドでは家族の誰かに話していい事になっているとエイアルは言う。だから妻には何でも話していたが、その重さに耐えかねたのか、妻とは離婚に至ってしまった。アニーとはチューリッヒの空港でジュラルミンのケースに入った情報を交換するという任務で初めて関る。単純な任務の筈がCIA側から情報漏れがあり妨害工作が入る。アニーはエイアルと互いに牽制しあいつつも、どうにか任務を終えて帰国する。常に余裕を失わず、油断もせず、あり合わせの材料であっという間に料理を作り、家族や血縁の者を愛し、プロ意識が高く、強力な祖国愛を抱いているエイアルに、アニーはちょっと心を惹かれる。エイアルの方も満更でもないが、お互いに背後には自分の祖国を背負っているスパイ同志、軽々しく厄介な関係に落ちるわけにはいかない。このエイアルは、シーズン2でもちょっとロマンティックな状況で登場し、再びアニーと協力しあって任務を終えたあと、余韻を残しつつもさっとアニーの前から去って行く。このエイアルが登場するエピソードは、シーズン毎に必ず1話入ってくるのではないかと思われる。



このシリーズは、例の「ジェイソン・ボーン」三部作を手がけたダグ・リーマンがエグゼクティヴ・プロデューサーを務めている事もあって、展開はスリリングでスピーディで無駄がない。スパイの世界でいかにもありそうな事が盛り込まれているし、ヒロインはお色気も無い事はないが、前述した通り板胸で、陸上選手のように全速力で走るスポーツウーマンであり、可愛く愛嬌もあるがサッパリしている。同じスパイ物でも「MI-5」はあまりにリアルにスパイの辛い面だけを描きすぎて、見ている方も何か暗いしんどい気分になってしまうのだが、これはアメリカ製なので、適度に娯楽性も盛り込んで、ロマンティックな要素も混ぜ、それなりに楽しみつつも、新人アニーが段々にスパイ稼業になじんでいく様子を見物できるわけである。

何といっても、彼女の仕事はタフでハードであるとはいえ、あちこち異国を飛びまわれるし、職場にもいい男がいるが、任務に出た先でも割に良い男が現れたりして、なかなかの役得っぷりである。彼女はどこに仕事に出かけても、常に頼れるアンカーのように本部に居て彼女を支えてくれる先輩であり、相棒であるオーギーと連絡を取り合っている。オーギーは盲目だけれども、CIAの生き字引で、点字キーボードと音声認識機能付きドキュメントリーダーを駆使してPCを使いこなし、アニーに、的確な指示を与え、必要な情報を繰り出し、港のように常にそこに居て、困った時にはアドバイスをくれる貴重な存在なのである。


やっぱりオーギーがベストじゃないの~?

アニーは、オーギーとは100%友達だ、と言っているが、オーギーの存在はだんだんに彼女の中で大きくなっていくのだろうと思われる。キュートで賢く、頼りになるし、元特殊部隊の兵士だから、一見植物系でも実はマッチョで身体能力も高いし、体も鍛えて6パックの腹筋である。文句のつけどころがない。素晴らしい。誰よりも彼女を理解しているオーギーは、まさにかけがえのない相棒である。職場にこんな相棒が居たら、どんなに困難な仕事でも楽しくなっちゃうだろうと思う。おまけに、仕事がらみか私情も混ざっているのか、さりげなくアニーに接近してくるCIAロイヤルティのハンサムマン、ジェイもいる。何故CIAロイヤルティかというと、彼の父である前機密部長のヘンリー・ウィルコックスは、CIA内で”あのウィルコックス”と呼ばれる毀誉褒貶の激しい伝説的な人物である上に、本人も能力の高いエリートで、現機密部長アーサーの部下だったという経歴や、その端正なマスクから、皮肉まじにり特権階級扱いをされたりするわけである。オーギーはジェイに対抗意識を持っていて、時折嫌味を言ったりするが、ジェイは白い歯を閃かせて爽やかに笑い、それをかわす。

現実には、深い理解と愛情で支えてくれるオーギーのような知的でキュートで頼りになる同僚も、ジェイのようなまっこうから見るのが憚られるような気分になるような二枚目エリートも、なかなか職場には居ないものである。また、一般女性は、仕事がらみとはいえ、そうそう世界の各地に出張できたりもしない。何冊もパスポートを持って、偽装用の身分と名前で行動したりも出来ない。アニーは新人のCIA諜報員という特殊な職業設定ゆえに、オフィスにいる時には普通の新人OLとあまり変わらないようなランチの買い出しだの珈琲淹れだのにコキ使われたりしつつも、任務に入ると非日常のスパイの世界に足を踏み入れるわけで、そこには命の危険もあるし、哀しい事や、悔しい事、恐ろしい事も人一倍、経験する。が、アニーが異国で窮地に陥ると、上司のジョーンは何とか助け出そうと手を打ってくれ、相棒オーギーは情報を集めたり、何かと有効な手配をしてくれ、ジェイは実際に現地に飛んで彼女を救出に向ったりする。一人の新人諜報員を助けるために、そこまで大騒ぎ?と思わない事もないけれども、それが何となく見ていて心地良いからフシギである。そして、ジェイのようなハンサムマンが一生懸命助けに来てくれるんだったら、ワタシだったらわざと窮地に陥っちゃうけどねぇ、ふふふ、などと思ったりするわけである。このドラマはアメリカでも女性に人気が高いそうだけれども、それはこういう諸々の、現実にはなかなか普通の女性の身辺には起こり得ない状況を上手く設定して、程良くスリリングに、程よくロマンティックに見せているからという事があるだろう。オフィスにあってはOL的な部分も持ちつつも、普通のOLとは違う世界に生きるアニーと彼女を取り巻く状況に、リアルな世界のちょっと先にある彩り豊かに味付けされたドラマティックなスパイの世界を楽しめるというわけで一粒で二度美味しいわけである。



現在、ユニバーサル・チャンネルでシーズン2を適宜放映中だが、7話目はオーギーがクローズアップされる回のようなので、ちょっと楽しみである。オーギーを演じるクリストファー・ゴーラムは、一見、物静かなオタク系男子という雰囲気もあるが、声が割に落ち着いているのと、知的で穏やかな雰囲気があり、笑顔がキュートで、しかも脱ぐと凄い。派手じゃないけれども、なかなか魅力のある俳優なので、今後も要チェックでいこうと思っている。インド系王子ルックスのExtremely Handsome Man センデル・ラママーシーもなかなか目の保養なので合わせてチェックしたい。「コバート・アフェア」はレンタルDVDも出ているので、ご興味のある方はおついでの折にでも。

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「コバート・アフェア シーズン2」

コメント

  • 2013/06/18 (Tue) 23:18

    まだシーズン1の4話までしか見てませんが、このドラマ中々面白いです。
    パイパー・ペラーボさんは綺麗なんだけど猫背で姿勢が悪いのが気になります。
    姿勢が悪い事に気が付いてからは、動きがゴリラっぽいと思ってしまう事が度々ありw
    kikiさんの文中でスタイルがあまり良くない事を指摘されてますが、ゴリラっぽく見える事があるのはそれも関係あるのかも。

  • 2013/06/19 (Wed) 22:24
    Re: タイトルなし

    kurukuruさん
    そういえばパイパー・ペラーボは猫背気味で、時々ゴリラっぽいかもしれませんね。額によく3本皺が寄るのも気にはなりますが、完璧でないところに良さがあるというか、困り顔をしている事が多い気がするんだけど、そこに不思議な愛嬌があるというか、なんとなく好ましい女優だなと思っています。

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