「コバート・アフェア シーズン2」(Covert Affairs Season2)

-逢いたくなった時に、君はここにいない-
2011年 米 Open 4 Business Productions制作



さて。今年前半は「Sherlock」Series2で明けて、その後も海外ドラマで面白いものが沢山あったので、帯録画しておいて時間がある時にまとめて観る、という感じだった。中でも楽しく観たのは「ボルジア 欲望の系譜」および「HOMELAND」、そして「コバート・アフェア」シーズン2だった。どれも最終回まで放映が終わって一段落。なかんずく「HOMELAND」のシーズン1は、実に見応えがあった。これはそのうちレビューを書くつもりだけれど内容がヘビーなので先送りして、今回は「コバート・アフェア」シーズン2の後半エピソードについて。
シーズン2では、ずっと隠してきたスパイ稼業を遂に姉に知られる事になるアニー。まぁ、ひとつ屋根の下で暮らしていて、いつまで隠し通せるものでもないが、姉とはやはり葛藤が生まれ、家族に危険が及ばないように家を出てくれ、と言われたアニーは姉の元を出る。まぁ、大体姉の家にいつまでも住む、という事自体がムリがあったとは思うのだけど。急な出張のたびにいつもウソをつかねばならないし、スミソニアンに娘たちのクラスが課外授業で行く事になったから相手をして、なんて姉から唐突に言われて困ったり、なんだかんだと苦労は絶えないわけである。それでもアニーは姉の家庭に寄り添っていることのぬくもりが捨てがたく、なんとか姉に理解してもらおうとするが、姉は暫く距離をおこうとする。(結局戻る事になるのだろうけど…)



このシリーズでは職場の同僚以外で、準レギュラーともいうべき同業者の男性がアニーと関ってくるのだが、中でも制作サイドがお気に入りらしいキャラに、FBIのロサビ捜査官(ノーム・ジェンキンス)および、モサドの諜報員エイアル・ラヴィン(オデッド・フェール)が居る。FBIのロサビ捜査官は、最初に出くわした際には高級娼婦だと思っていたアニーが、次にはスミソニアンの職員になり、結局はCIAの諜報員だと分かってからも、なんとなく彼女に好意的に接していたが、仕事で再三彼を騙し、嘘をついたアニーについには愛想を尽かす。また、イスラエルのモサドであるエイアルは、毎回ドラマティックなエピソードで登場し、随分、制作サイドに愛されているキャラだなぁと思うが、まぁ視聴者受けもいいのかもしれない。シリーズ1では1回の登場だったが、シリーズ2では2エピソードの出演で、いずれもドラマティックなエピソードでやたらに儲け役である。


モサドのエイアル

殊に2回目のエピソード#13「A Girl Like You」(邦題:流れに身を任せて)は、常にゆとりのある大人の男風味のエイアルが、その自信満々、余裕綽々の百戦錬磨な顔の裏側にずっと背負ってきた過去の傷-喪われた家族について-が明らかになる。医学部に在籍して医者を目指していたのに諜報員になった理由がこのエピソードで明かされる。私怨を晴らすために仇と相討ちになる気だと見抜いたアニーは、色仕掛けで彼の行動を阻むが…というわけで、このエピソードでは互いに惹かれつつも、常に国と任務を背負って接触してきたアニーとエイアルの間にちょっとしたラブ・シーンがある。アニーの妨害にも関らずエイアルは結局、敵と対峙する。クライマックスのビルの屋上での死闘などエイアルの見せ場が多く、やたらに美味しい役だなぁ、という感じ。エイアルを演じるオデッド・フェールは、受け口でそんなにまでいい男かというとそうでもないのだが、まぁ、憎めない愛嬌もあるし、男盛りの色気もあるし、まずまずというところだろうか。このエピソードで、アニーはFBIのロサビ捜査官に「二度と君に頼み事はしない」と愛想を尽かされてしまう。


頭からFBIを相手にしない上司の方針のせいで、ロサビ捜査官に愛想をつかされるアニー

また#15の「What's the Frequency, Kenneth?」(邦題:スパイの資格)も面白かった。自称MI6の諜報員ケネスに協力者にならないかとスカウトされたアニーは、その狙いを探るために上司に報告してから、承諾する。「おいおい、マネーペニー、MI6からの報酬は没収だぞ」とオギーにからかい半分の忠告を受けつつ、アニーはケネスの指示の元に動き始める。やたらにスパイの心得や、スパイとしての薀蓄を垂れるケネスだが、実は諜報員に昇格したい「掃除屋」と呼ばれる下っ端の使い走り要員だった。手柄を立てて諜報員に昇格しようと自分の推測でアルカイダの手先を追って動いていたのだった。美術修復員でもあるテロリストを探るうち、アニーの方が本物のスパイである事がわかるシーンなど、くすっと笑える。結局、ケネスの読みは正解で、アニーの助けもあって手柄を立てた彼は諜報員に昇格できる事になる。「ここまで来るのに死ぬほど努力したよ。…そこまでの価値はあるかな?」と尋ねられ、「ええ」とすぐには答えられないアニー。諜報員になりたい、元不良のケネスを演じるトニー・カランがそれらしい雰囲気が出ていて良かった。彼が演じるケネスは「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」のリッキー・ターのような汚れ仕事専門要員だったのであろう。やっと諜報員に昇格しても、エリート諜報員の中に入って、叩き上げのケネスはささいな失敗ですぐに降格させられる可能性も大だし、今後もなかなか大変そうではある。



そして、#16で、アニーは遂に、任務中に、姉を守るため敵を撃ち殺してしまう。初めて人を殺して動揺が隠せないアニーは、任務を終えて戻るとオギーの元へ行く。カウンセラーに話すといい、というオギーに、あなたに話したいの、とある意味、気持ちを告白するアニーだが、彼は愛する女を追ってアフリカに行くとアニーに告げるのだった。いつも背後からしっかりとアニーを支えてきてくれたオギーだが、モテモテの割に、どんな女性とも長続きしなかった彼は、#12で遂に本命の彼女が出現する。戦死した戦友の妹に会った彼は、彼女と恋に落ちるのだ。が、彼女はじきに使命感に燃えて平和部隊に入り、アフリカに旅立つ予定だった。オギーは彼女との時間をかけがえないものに感じる。


オギーの本命彼女 う~む、なかなかです

頼れる同僚から特別な相手として意識し始めた途端に、オギーは遠い人になってしまった。アニーに愛車を譲り、恋人に逢いにアフリカに行くというオギー。アニーはオギーから譲られた車でどこまでも走っていく…。



まぁ、常にキュートなオギーはシーズン1からキャラは変わっていないが、シーズン2で複雑な陰翳を見せ始めたのは浅黒いプリンス、ジェイ・ウィルコックス(センディル・ラママーシー)である。ダーティな噂もテンコモリのCIAの大立者ヘンリー・ウィルコックスを父に持つサラブレッドのジェイだが、その父のアクの強いキャラや、本人の強烈な上昇志向が邪魔をしてなかなか目立つ成功を掴めない。あまりに功を焦り過ぎる性格が災いして、機密部長のアーサーや、その妻でアニーの上司のジョーンとことごとにぶつかるジェイ。功を焦ったばかりに彼は幾度か窮地に追い込まれるが、そのつど、得体のしれない政治力や勝負強さや太々しさを発揮してしぶとく組織の中枢に生き残る。蛙の子は蛙、怪物の子は怪物というわけである。



そしてこの怪物は、生き残るために自分の父親さえ平然と売るマキャべリストぶりを発揮するに至る。遂に、怪物度に於いて父を越えたわけであろうか。嫌っていた父の手法を取り入れてまでも、頂点を目指そうと決意するジェイ。周囲の色メガネや偏見を相手にせず、常に白い歯を出して爽やかに微笑んでいたシーズン1のジェイから、シーズン2のジェイは変貌を遂げつつある過程をみせる。シーズン1ではジェイというキャラの方向性について、まだハッキリと定まっていなかった観があるのだが、シーズン2で、ジェイは親の七光りを受け、親のダーティな部分はさほど近寄せないプリンスから、ひたすらな上昇志向をあらわにし、その怪物性を徐々に現し始めた、という感じである。今後、ジェイの進め!トップへ!という野望はどういう局面を迎えるのか。何か突っ走るだけ突っ走って手痛い挫折または転落を味わいそうな気配ふんぷんであるけれども、野望の男ジェイの今後も要チェックである。


キャラに複雑な陰翳が出てきたジェイ

また、シーズン2でも、アニーは任務で世界各地に出張する。パリ、ベネツィア、ブリュッセル、ベルリン、ストックホルム…。彼女の背後に映る世界の都市の風景を眺めるのも楽しみのひとつである。スパイは世界を股にかけるものだものね。
そして、毎度おなじみのアニーのハイヒールであるが、けっこう全速力で走って追いつ追われつするというのに、アニーはいつも猛烈なハイヒールを履いている。15~17cmはゆうにあるやつを。パイパー・ペラーボも、なんだか歩きにくそうに歩いているように見える。かなりのハイヒールだから、女優だってずっとあれを履いているのは大変だろうと思う。現実問題、あんなヒール履いて走れたもんじゃないでしょうに。なんでアニーはあんな強烈なハイヒールを履いているのだろう。フシギである。アニーは靴フェチらしく、姉の家から出るハメになった時も、なにはともあれ、何足か入れられる収納ケースに靴を入れて持って行くシーンがあったが、どれもこれも猛烈にヒールが高い靴ばかりだった。まぁ、ピンヒールの先端なんて、いざという時は確かに兇器になるけれどね。この設定だけはどうも不自然だと毎回思う。もう少しヒールが低くても綺麗な靴は沢山あるでしょうに。あんなの履いて走って転んだら、転び方によっては足首の骨を折るよねぇ。


常にこのような靴を履いて頑張っている あまりこういうのばかり履いていると足の指が変形するぞよ

というわけで、シーズン2は終了。シーズン3はUSではこの7月から放映開始で現在も放映中だと思うが、いつユニバーサルchで観られるのか、ちょっと楽しみではある。まぁ、なんのかのといってもオギーは結局、アニーの背後に戻ってくるのであろうし、最終的にはアニーとオギーは結ばれる事になるんじゃないかしらんねぇ、とは思うのだけど。それはまだ先のお話、ですかしらね。ふほ。
シーズン2も楽しめた「コバート・アフェア」。シーズン3も更なるアニーの活躍(タフな女ではあるが、アニーは可愛げがあるのが身上だ)と、アニーとオギーとの関係性、そして野望の階段を登るジェイの様子など、登場人物の動向はなかなか興味深い。またもどこかで登場するであろうモサドのエイアルのエピソードも楽しみだ。この暮れあたりに日本でも観られたらありがたい。ユニバーサルチャンネルさん、頑張ってね。



余談だが、最近「Sherlock」検索訪問に負けず劣らず多いのが、「ロイヤルペインズ シーズン3」での検索訪問。でも、ワタシは現在WOWOWを契約していないので、シーズン3は未見である。ゆえに感想はまだ書けませんの。あしからず。そのうちにシーズン3を観たら書きますので、気長にお待ちください(笑)

コメント

  • 2012/09/02 (Sun) 22:35

    そうなんですよ!
    私もkikiさんと同じく、エイアルの口許が気になっているんです。
    無精髭はまあ仕方ないとして、受け口がね…二枚目に見えない。
    ただ、主人公と本気の恋愛対象になり得ない外国人というポジションは、制作側には都合がいいのでしょうね。 でも、顔がな。。ベンといい、エイアルといい、男臭い無精髭であまり二枚目ではないことが、ヒロインのお相手役の条件なんでしょうか。
    オーギーとは、視聴率がガタ落ちしし始めるまで、空気感で引っ張るんじゃないでしょうか(笑)
    ストーリーとしては、エイアル登場の会はロマンチックで、気に入っているのですが。 特にシーズン1で、隠れ家なのに料理を作ってしまうところが。
    ケビンといえば、MI5でも登場人物たちがオックスフォード出だとか会話に出てきて「へェ〜」と思っていたのですが、よく見れば米英ともにエリート出身で固めているんですね。
    外務官僚の一種だと思えば、そういうものなのかもしれませんね。
    ケビンはこれから、大変でしょね。。
    Homelandとても評価が高いようですが、私の環境ではまだ見ることが出来ないので、ブログアップを楽しみにしていますね!

  • 2012/09/02 (Sun) 23:00

    ココさん やはりエイアルの受け口、気になっておられました?鼻も下向きでなんだかねぇ。ちょっと愛嬌はあるけれども、あまり好きな顔立ちじゃないなぁ、と。いわゆるユダヤ顔なのかしらん、なんて。でも、あの俳優がちょっと人気があるのか、制作側に受けがいいのか、やたらにエイアル役は美味しいですよね。折角ドラマチックなストーリーに使うんだったら、もっと男前の俳優使えば良かったのにね(笑)
    あー。そうですね。オーギー。引っ張るでしょうね、先の先まで。終わり近くまで。なんだかんだと波乱万丈にね。
    やはり諜報員ていうのはエリートなんですわよね。エリートたちの中でも熾烈な足の引っ張り合いがありそうだのに、ましてや叩き上げとなるとね。周囲からの風当たりもきつそうだし、諜報員として長続きするかどうか微妙そうですが、ケネスもまた出てきそうな気がしますね。

    「HOMELAND」は非常に面白いです。物凄く脚本がよく出来ているし、演技陣も実力者ぞろい。ワタシはクレア・デインズがあんなに芝居のできる人だとは今まで全く知りませんでしたが、いやはや、驚きました。本当に上手いというか、鬼気迫ってました。ゴールデングローブの主演女優賞も当然だな、と。「HOMELAND」はそのうちDVDが出るのだろうとは思いますが、かなり長いドラマで出演者は7年縛りらしいです。シーズン1からこのテンションだと先々どうなっていくのか本当に分かりませんが、最近はTVドラマが実に凄いですね。内容も深いし、クオリティも高い。お金も掛かってるし、大したものだと思います。「HOMELAND」はそのうちに書きますので、お楽しみに。

  • 2012/09/25 (Tue) 10:48

    外見からは想像も出来ないけれど筋肉質の良い身体を持つオーギーと非の打ち所が無いほどハンサムなジェイは素敵だけれど、CIAに入るきっかけになった彼(べン)とモサドの諜報員は全く素敵には見えないんですけれど・・・アニーが好きになるお相手なのだからそれなりに魅力があるのでしょうね?私的には???ですが。
    BSで数回は見られたのですが、今は全く私の環境では見られなくなってしまったので寂しいです。特にアニーの女性上司のいかにもアメリカンな服装(いつもノースリーブ)が大好きなのに・・・

  • 2012/09/25 (Tue) 22:29

    Rikoさん 
    そうそう。最初の男とモサドの男はどうもねぇ…。やけにモテる設定になってるからイカンのね。そんなこた無いでしょう、という感じになっちゃって(笑)モサドの方はキャラ設定は悪くないですよ。あの俳優の顔がイマイチなだけでね。別にビデオ屋の廻し者じゃないですが「コバートアフェア」はDVDが出てるので半額の日にでもまとめ借りをしてみる、という手もありですわよん。

  • 2012/11/18 (Sun) 18:19
    season 3

    my favorite character is killed in the beginning of the season 3. お気に入りキャラだったのに、残念。

  • 2012/11/18 (Sun) 21:47

    あら、そうなんですね。もしや、あのキャラが? …それはガックリ。

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