「ホワイトカラー」シーズン1(WHITE COLLAR)

-天才詐欺師と愛妻家-
2009~2010年 米 Fox Television Studios他



これまで、時折ちょこっと観る程度で、最初から見た事がなかったので、AXNミステリーでシーズン1~3まで3週連続で一挙放送するとやたら宣伝していた為、ひとまず「ホワイトカラー」シーズン1を録画しておいて、ボツボツと観賞。ふむふむ。確かに面白い。AXNミステリーではやたらに「超絶イケメン」という事でマット・ボマーを前面に押し出しているが、このドラマはマット・ボマーだけでなり立っているわけではない。むしろ、彼が演じるニールを捕まえ、コンサルタントとして仕事の相棒にするバーク捜査官を演じるティム・ディケイが居てこそのマット・ボマーなのである。二人のコンビネーションが魅力の源泉なのだ。
シーズン1の1話目(パイロット版)が始まった時点で、天才詐欺師ニール・キャフリー(マット・ボマー)は既に捕まって収監中の身である。あともう少しで刑期満了だというのに、彼は脱獄を企てる。彼を捕まえたFBIの腕利き特別捜査官ピーター・バークは要請を受けて脱獄した彼を捕らえるが、その際、今追っている事件のヒントになる事を教えるから一週間後に面会に来てくれ、とニールが申し出る。ニールのヒントから事件の手がかりを得たバークは、約束通り1週間後に刑務所に面会に行く。そこで、自分をコンサルタントに使ってくれないか、とニールが提案する。

それまで、ワタシは途中から何話か見ただけだったので、収監中の囚人を娑婆に出して詐欺事件などの解決のためにコンサルとして使うという事は、バーク捜査官の方から言い出したのだろうと思っていたのだが、そうではなかったのだった。ニールは自分で天才という割にはバークには行動を読まれて捕まってしまうのだが、最初にどういう経緯で捕まってしまったのかは語られない。これは、ニールが間抜けというよりもバーク捜査官がキレ者である、という事なのだと思う。



犯罪者がFBIのコンサルタントになるなんて荒唐無稽な気もするが、実際にもあることのようだ。レオナルド・ディカプリオ主演で映画になった「キャッチミー・イフ・ユー・キャン」の主人公である実在の天才詐欺師も、のちにFBIのアドバイザーになったりしている。まぁ、ニール・キャフリーというキャラはこのあたりからもヒントを得て作られたものかもしれない。

マット・ボマー演じる知的犯罪を専門とする詐欺師ニールは、さわやかなハンサムマンで、愛嬌もあるし、青い目も印象的だし、ドラマの誘蛾灯として申し分ない存在ではある。彼はこのドラマでトレードマークのように似合わない帽子を被っているのだが、最初から見ていると、この帽子を何故被るようになったのかが分かって、ふぅん、と思うわけである。でも似合わないんだけど。



彼がバークによって刑務所から足首にGPS付きの枷をはめられて娑婆に出て、最初は安宿をあてがわれるものの、我慢できずに、ふとした事から知りあったリッチな黒人の未亡人ジューンと意気投合し、マンハッタンのただ中の、彼女のしゃれた家のペントハウスに下宿させてもらう事になるという流れも、実に滑らかに軽やかにジャズをバックに描写される。ニールというキャラクターの魅力もよく出ている。あのタウンハウスは確かに素敵である。
そして、ニューヨークというのは、昔も今もジャズの似合う街である。



一方、ちょっと目を離すと何をしでかすか分らないニールを、リスクを負って娑婆に出し、FBIに奉仕することで刑期を務めさせる事に決めたバーク捜査官は、ニールが何故、突如、刑期満了を棒に振って脱獄したのかを把握している。のみならず、バークはとにかく頭の回転が速く、何も見逃さない注意力の持ち主である。そんなキレ者なのだが、あまりそういう風には見えず、ぱっと見には真面目なサラリーマン風のピーター・バーク捜査官。オーソドックスなダークスーツを好み、仕事はできるが、非常な愛妻家でもある。「ホワイトカラー」を見ていると、段々とこのバーク捜査官の好感度が上がってくるのである。演じるティム・ディケイは190cm近い長身で、誠実そうな明るい風貌の持ち主。高校時代は野球とバスケに明け暮れたスポーツマンだったらしい。だからかどうか、Yシャツ姿になると肩幅があって大胸筋もしっかりついているのが分る。ワタシの感じでは、背を伸ばしたジャック・レモンという感じもするティム・ディケイ。口元がワンちゃんぽいのもなんとなく可愛い。彼が、潜入捜査で関った女性に好意をもたれ、マッサージをしてくれと言われて誘惑に負けないように踏ん張りつつも、女性の体を背後からマッサージするシーンなど、ニヤニヤしてしまう。


見ているとどんどん好きになるナイスマン、ティム・ディケイ

バーク捜査官の賢妻エリザベスを演じるのは、ウチワのように顔の輪郭が幅広いティファニー・ティーセン。このエリザベスは、自己主張の強い、何かといえば夫の都合を顧みずに自分の都合を言いたて、夫は仕事で頑張っているというのに、殆ど家に居なくて放っておかれて寂しいだの、浮気をしてやるだのとウジャウジャ甘ったれた我儘を言う女が多い(感じのする)アメリカの女性としては、実に出色の賢妻である。夫の仕事をよく理解し、けして愚痴や不満や嫌味を言わない。賢い上にチャーミングで明るい。夫が忙しくて帰らない日があっても、夜遅い日が多くても、夕食を家で食べるつもりが食べられなくなっても、優しくほがらかに夫を励まし、ディナーが無駄になるじゃない!なんて事は金輪際言わず、折角作った夕食をふいにしないために、愛犬に食べさせるなどユーモアもたっぷりと持っている。まぁ、犬に人間の食事を与えるのがいいのかどうかは別として。



バークとエリザベスが仲のいい夫婦である、という感じをティム・ディケイとティファニー・ティーセンが上手く出していて、非常に自然に仲のいい夫婦の空気感が出ているのが良い。この夫にしてこの妻あり、という感じが微笑ましい。なかなか家でゆっくりしていられないバーク捜査官は、朝、妻と会話しながら朝食のテーブルを囲むのが1日でもっともお気に入りの時間なのである。いや~、ごちそうさま。

というわけで、ひょんな事から追う側と追われる側が二人三脚で事件の解決に励む、という奇妙な協力体制がスタートし、ニールはそれまでの知見を駆使して、バークの仕事を助ける。助けつつも、彼が娑婆に出て動き回れる状況を確保した本当の理由は、失踪したガールフレンド、ケイトを探し出す、という目的の為である。バークも勿論、それを察知している。だから、ケイトの行方がつかめそうだったり、失踪した理由が分りそうだとなると、ニールが挙動不信になり、自分を欺いてでも勝手な行動に走るだろう事を予測している。バークはニールという詐欺師の若造を何となく好ましく思っている。頭もいいし、信用してもいい奴だとは思っているが、どこかで信用しきれない。信用したいがしきれない。それがバークとニールの関係性である。


ハートウォーミングでもありつつ、スリリングでもある関係のバークとニール

ニールにしても、バーク捜査官を人としていい奴だと思っている。信頼に足る人間だと思っているのだが、いざとなるとバークを裏切る行動を取る事もあるのがニールという男である。なんたって詐欺師なんだから。そんな正直一本槍じゃないのである。



ドラマは二人のそういう関係性を軸に、毎回起こってくる事件と、その裏側でジワジワと進行するケイト失踪事件とが縦糸と横糸になって進むのである。ワタシはそれまで、シーズン3をたまに観たりしていたのだけれど、どのシリーズも最初のシーズンというのがやはり一番面白いのではないだろうか。「ホワイトカラー」もシーズン3よりはシーズン1の方がやはり面白いように感じる。ニールのユーモラスな相棒モジーが初登場する回も、ははは、という感じだったし、シリーズを貫く大きな流れと別に、毎回の事件やその顛末についても、それなりに面白くてあとを引く。

ワタシはシーズン2を全く見ていないので、ケイトの結末はシーズン3で何となく知っているのだが、どうしてそうなったのかはシーズン2を見てのお楽しみという感じだろうな、と思っている。まだシーズン1も全部は観ていないのだけれど、「ホワイトカラー」は確かに世評通り、面白い事は間違いない。

シーズン4は全米で今年の7月から9月にかけて放映されたようだが、クオリティは落ちていなさそうだ。ニールは結局、バークにまた捕まっちゃったのだろうけれども、どういう経緯で捕まってどうやって元の鞘に収まったのか、ちょっと興味がある。ふふふ。というわけで、ワタシ的には、マット・ボマーのニールよりも、主にピーター・バーク捜査官へのほのかな愛が目覚めた「ホワイトカラー」シーズン1観賞だった。

コメント

  • 2012/10/20 (Sat) 09:16

    折角のお申し出ですが、あれは今でも気に入って使っている物なので手放す予定はありません。今となっては容易に手に入らないものですので余計に…。ご希望に添えなくてすみませんが、諦めずに探していればそのうちに出物があるかもしれませんね。

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