晴天の木曽路に秋の風 その2

-阿寺渓谷と妻籠宿-



奈良井から妻籠へ向けて南下していく途中に、景勝地・阿寺渓谷がある。
散策時間があまり無く、そう遠くへは行かれなかったが、阿寺川の流れはエメラルドグリーンで、川底がクリアに見通せるほどに透明度が高い。紅葉の時期に上手くはまると素晴らしい景観だったのでもあろうが、紅葉がなくても美しい川の水の澄み切った流れを見ているだけでかなり満足する。山紫水明。日本は水と緑の美しい国であるのだ、と今更に感じた。

山の上を雲の影がよぎって行く


阿寺渓谷






渓谷の上流へと向う遊歩道











阿寺渓谷には滝もあるし、長い森林の中の遊歩道もある。もっと散策時間があれば奥まで行ってみたかったのだが、集合時間に遅れては一大事なので戻るのに難儀しないところで引き返した。ここらへんが公共の乗り物を利用すると融通のきかないところだけれど、まぁ仕方がない。でも、確かにとても気持ちのよいところで、木曽に泊まりで来たら、半日を阿寺渓谷の散策にあてるのもよさそうだ。周辺が一斉に色づいたら、あのエメラルドグリーンの水の上を赤や朱や橙や黄の葉が色とりどりに彩るかと思うと、かなり壮観だろうねぇなどと思っていたら、あっという間に時間が来た。名残り惜しいが阿寺渓谷をあとにして、妻籠宿へ向った。


妻籠宿の水車

阿寺渓谷からさらに南下して、妻籠宿へ。
ここは全長500mぐらいの宿場町で、奈良井の半分ぐらいらしい。奈良井宿は江戸時代の匂いがしたが、妻籠宿はなんとなく明治の空気を感じた。奈良井ほど長い町ではないので、散策の前に蕎麦を食べようということで、妻籠宿で目に付いた蕎麦屋に入った。いくら時間に追われて動いているからといって、信州まで来て蕎麦を食べずに帰るわけにはいかない。



いかにも農家のおかみさんのような、ごく普通のおばちゃんが1人で切り回しているお店だったが、歯ごたえのあるしゃきっとしたお蕎麦で、濃い目の蕎麦つゆがきりりと絡んで美味しかった。木曽らしく、蕎麦湯も木彫りの器に入ってくる。特に有名店というわけでもなく、なんの変哲もないごく普通のお蕎麦屋さんでも、きりりとした美味しい蕎麦を食べさせてくれる。
さすが蕎麦どころ信州、どこで食べても外れはない。



蕎麦を食べたところで満足して、やおら妻籠宿を散策。
ここは本陣と脇本陣がある宿場町で、脇本陣の方にはしっかりとした蔵などもあり、本陣でない旅館でも、歴史のありそうな風情のある宿があって、素敵な宿場町だった。


脇本陣の蔵


本陣でなくても、なかなかいい感じのお宿があった


観光地の人ずれした感じがなく、昔のままに残された街並みがいい


些か受け狙い的ではあるけれど、宿場町の郵便局という感じではある

奈良井ほど多彩ではなかったが、妻籠でも家々がそれぞれに植物で家を飾っていた。


軒下にへちまをぶら下げているお宅 レンズから外れたところに巨大なへチマがあった






連子格子というのは、花を飾る舞台にふさわしいのかもしれない


夕暮れの迫ってきた妻籠宿

奈良井でも妻籠でも、宿場町ではバスツアーに協賛して、宿場の中でだんごや餅やソフトクリームの味見が出来たのは楽しかったが、甘党でないワタシ達はやはり締めくくりに蕎麦を食べた事で、より深く満足した。

秋は素晴らしい季節だが、日暮れの早いのだけが玉に瑕である。日が翳らないうちに、決められた時間内で最大限に見物し、散策しようと思うと、けっこうせわしないのだけれど、それでも自分たちで車を出してあれこれと廻るよりは、効率よく廻れたと思うし、帰路についたら、ひたすら寝ているうちに新宿に帰りつく。時間の制限はあるけれども、楽な部分は楽ができる。2ついいことはないので、楽を取れば自由度は減るのである。ともあれ、せわしない中でもワインや漆塗りの椀など、買い物はしっかりとしたし、見るべきものはしっかりと見、味わうべきものもしっかりと味わった。

秋が来るのを待ちかねて大好きな信州に出かけ、真っ青な空の下で久々に森林のにおいを嗅ぎ、澄んだ水の流れを見て、古いゆかしい宿場町を散策し、蕎麦も食べて、大満足の小さな旅だった。紅葉にはちょっと早かったけれども、真っ盛りになった時の混雑を思うと、まだまだ緑の美しい山を眺めて、時折ちらっと色づいた葉をみつけて得したような気分になるのも悪くなかったなぁ、とニンマリした。

やっぱり信州というのは、いつ行っても清々しい気分になれる土地であり、ワタシにとっての心のふるさとである。




コメント

  • 2012/10/25 (Thu) 21:40

    kikiさん こんにちは。
    ロシアの私の住む街は、ついにというか、もう、10/23に初雪が降りました。信州の冬も、日本ではそれなり早いのでしょうね。
    学生時代から登山をしていたおかげで信州にはずいぶんお世話になり、その流れで奈良井宿に泊まったり、馬籠、妻籠を歩いたりしましたが、大きな自然に普通に抱かれているせいか、街なみの趣もごく自然に感じられます。それにほんと、お蕎麦がおいしいですね。あの空気と水のせいでしょうか(日本酒があるとまた格別)。信州は大きいし、北・中・南で個性が違うので、何度も訪れたい魅力があります。
    阿寺渓谷は行ったことがないので、今度ぜひ訪れてみたいです。

  • 2012/10/26 (Fri) 08:24
    Re: タイトルなし

    annaさん、こんにちは。
    そちらではもう、初雪が降ったんですね。やっぱり寒いんですね。東京ではようよう秋めいてきたと思ったら、急に寒くなって乾燥が厳しくなり、中間がないのね!という感じではあります。でも、晴れた日には秋晴れの高い空が綺麗です。
    で、信州ですが、登山される方にとって信州というのはとても馴染み深いところですよね。八ヶ岳とか、南北のアルプスとか。ワタシは登山もしないのに信州が好きで、20代の頃からよく行っていますが、木曽は初めてだったので駆け足でしたが、強い印象が残りました。本当に、よくあのままの形で宿場町が残ったと感嘆しますね。しかも、とても自然な感じでそこにあって、見ていて、とてもほっとする光景でした。今回のコースには馬籠が入っていなかったんですが、次回は泊まりがけで行って、今回かけ足で見物したところをじっくりと探訪しようと思います。
    阿寺渓谷、是非、散策されてみてください。今回、もっと時間があったらずっと奥まで歩いていってみたいところでした。annaさんは登山をされていたから、あのぐらいな遊歩道はすいすいと行かれる事でしょうけど、ワタシは途中から疲れ出して、体がなまってるのを実感しました(笑)

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