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「法医学捜査班 silent witness」

-信念を貫きつつも、時に切なく、時にほろにがく-
1996年~ 英 BBC



1996年から16年にわたって続いている長寿番組。ワタシがちゃんと見始めたのは今年からで、日本では、最初の主役アマンダ・バートンがサム・ライアン教授役で出ていたSeason1から現在「最新シリーズ」と銘打ってSeason11か12をAXNミステリーで放映中であるが、本国では今年(2012年)Season15が放映されており、来年はSeason16が作られようかという長い長いシリーズである。地味なドラマだし、日本ではNHK-BSででも放映しない限りはDVDも出ないかもしれないが、BBCが作っているのでクオリティは確かである。法医学者のドラマはアメリカでは「女検死医ジョーダン」などがあり、ドイツにも「ドイツ科学捜査チーム」というドラマがあるが、ワタシはやはりBBCのこれが一番面白いように思う。ハリー・カニンガムを演じるトム・ウォードがちょっと好み、という事はあるにしても。
サム・ライアン(アマンダ・バートン)の下では小僧っ子扱いだったハリー・カニンガム(トム・ウォード)も、サムが去り、その後任の法医学部教授に同僚のレオ・ダルトン(ウィリアム・ガミナラ)が昇格してからは、中堅の法医学者というポジションになる。サムの跡目を巡っては、レオではなく、若いけれどもハリーという可能性もあったのだが、サムの推薦でレオ・ダルトンに決まる。レオとハリーの関係性はいつも良好であるとは言いきれないが、時に意見が食い違う事があっても互いに法医学者として相手の能力には敬意を持っている。

ハリーは末はトップだ、と言われている才能溢れる法医学者で、生意気でクールでやや毒舌家でもあるが、直感的な閃きがあり、実は熱血家である。トム・ウォードの風貌と役柄がピッタリと合っている。他の役でも見てみたいと思っているのだけど、全然違うタイプの役というのはあまり演じていないんじゃないだろうか、という気もする。



サム・ライアンが去り、教授に昇格して暫くののち、レオ・ダルトンの人生に悲劇が襲いかかってくる。レオは妻と娘を残してロンドンに単身赴任しているのだが、留守宅を守る妻と娘はカフェで憩っている時に、店に車が突っ込んできて亡くなってしまう。近親者の検死はできないので、ハリーに検死を依頼するレオ。ハリーは出来る限り冷静に検死をするが、不慮の事故で妻と娘を同時に喪ったレオは半狂乱になり、妻と娘は何故死ななければならなかったのかを知ろうとする。そして、単身赴任で死者の検死に来る日も来る日も没頭しているうちに、妻と娘にふいに死なれてしまった事で、自責の念にひそかに苛まれるようになる。


奇禍により、突如家族を喪ったレオ・ダルトン

ワタシは当初、ハリーを演じるトム・ウォードが好きでこのシリーズを見始めたのだが、教授になってからのレオ・ダルトン(ウィリアム・ガミナラ)の淡い哀愁をまとった、初老のちょっとくたびれた哀しそうな姿に何やら惻隠の情を催してしまったのか、時間ができると妻と娘の墓に詣でて花を供え、今は亡き娘の幻と会話するレオが何か気の毒で、「幸せになってね、レオ」と思いながら見るようになってしまった。その後も、レオがメインのエピソードでは、子供が犠牲者になるものが割にあって(ソマリア移民の黒人少年ギャング達の抗争で犠牲になる黒人の兄弟のエピソードとか、臓器売買用にアフリカから連れてこられた少年の死体を扱うエピソードとか)、しかも、何か遣り切れない結末のものが多く、見終るといつも「レオ…、徒労だったのね…」と思ってしまったりして、レオにはいつもうっすらと物悲しい気配がまつわっていたのだけれど、妻と娘を亡くして3年たって、漸く同年代の女性の犯罪学者と心を通わせたりできるようになり、良かったわねぇ、と目を細めた。

サムが抜けて、レオとハリーだけになったチームに、ニキ・アレクサンダーが加わって、再び男二人、女一人の三人体制になる。ニキを演じるのはエミリア・フォックス。一見、かわいいようにも見えるが、眉毛が薄く、額にすぐに三本シワが寄って、ちょっと微妙な感じの顔ではある。エミリア・フォックスは「プライドと偏見」でマシュー・マクファーディン演じるダーシーさんの妹を演じていた。ヒヨコみたいな女の子だな、という印象だった。



ニキは、父親との間に確執を抱えつつも、法医学者として頑張っている。彼女は、白骨化した遺体の顔を石膏イメージで復元させたりする、顔面復元術を得意とする優秀な法医学者である。そんなニキは、ちょうど年頃的にもつりあうので、ハリーと良い仲になるのかと思いきや、ただの同僚の時期が長く続き、微妙に接近したかと思うとまた距離があき、という感じで、なにやらハッキリしない関係が続いている。最新シリーズではどういう事になっているのか分らないが、現在AXNミステリーで放映しているシリーズでは、互いに相手がなんとなく気になるけどさっぱり進展しない、という状況のようである。二人の関係はシリーズの最後まで引っ張る気かもしれない。最後っていつだ?ニキがひからびちゃうぞ。引っ張りすぎにご用心である。



ハリーやレオはロンドン大学の法医学部に籍を置いている学者である。学生を教えるかたわら、警察からの要請で被害者の遺体の検死をする。法医学はウシロムキで辛気臭いというイメージが強いため、医学生に人気がなく、なかなかなり手がない。レオ達は、根気よく後継者を育てる努力をしつつ、日々の仕事(検死)に懸命に取り組んでいるわけである。ドラマを見ていても、確かになかなかしんどい仕事だなぁと思う。殺人事件が起きれば夜中でも電話一本で起されて、眠い目をこすりつつ車を運転して事件現場に向わなくてはならない。警察は入れかわり立ちかわり検死室に出入りする。事件の起きた場所によって管轄が異なり、担当刑事も変わる。エピソードごとにいろんな刑事が登場する。嫌味で問題の多い刑事にあたると不愉快な思いをしながら死因の特定を急がされたりもするし、一方、努力家で仕事熱心な刑事が担当だと、法医学者も親近感を持ったりするが、そういう刑事に限って不慮の事故で命を落としたり、不治の病で亡くなったりする。

検死をした法医学者の報告書で、被疑者が有罪になることもあれば、無罪になることもある。ささやかな事柄を見落とすと、それが大きく響いたりするのだ。生きている人間の病を治すのも大変だが、死者の死因を特定し、死亡時間を正確に割り出すことが刑事事件の解決に密接な繋がりを持つ法医学者というのは、死者を扱っていても重い責任を負っているわけである。
法医学者になる人というのは(というか、医者になる人は、という感じかもしれないけれど)、物のなりたちがどうなっているのかに子供の頃から興味がある人らしい。このドラマの中でも、ニキとハリーが、子供の頃、いろいろなものを解体してはまた組み立てていた、という話をしあったりする。ハリーは実はパイロットになりたかったのだけど、視力が落ちたので諦めて医者になった事が分かるエピソードもある。ハリーとニキが航空ショーを見に行った帰り、目の前でヘリコプターが墜落し、ハリーは、亡くなったヘリのパイロットが空軍にいる自分の友達ではないかと危惧するが…というお話である。



検死をし、現場検証の場で色々作業をしていて、法医学者がたまに事件に巻き込まれたり、襲われたりする事もある。そういうケースでは大抵、ニキが痛い目に遭ったりする事が多い。法医学者は楽じゃない。

エピソードは前後編の2回で1話完結。毎回、密度の濃いドラマが展開しているが、シリーズやエピソード担当の脚本家によって、多少、テイストや出来にバラつきはあるような気がする。何人かで担当しているのではあろうけれども、こういうドラマの脚本を書くのは大変だろう事は想像に難くない。検死に関する事も絶えず勉強していなくてはならぬだろうし、事件の行方とともに、イギリスの社会問題を滲ませたり、主役の法医学者達の人生を滲ませたり、さまざまな人間関係を絡ませたりして話を織り成していくんだから、骨の折れる仕事だと思う。
そして毎回、様々な理由や死に方で亡くなる被害者の遺体というのも、ただ検死台の上に横たわっている時には俳優が演じているが、検死解剖中の体などは、いかにも本物らしく俳優に似せたボディが毎回作られるわけで、これにかかる労力だって大変なものだろうと思われるわけである。また、検死のシーンはさりげなくリアルなのが昨今の流行りなので、内臓だの、首のところからお腹をまっすぐに切って、内臓がめくり出されている様子だの、胃の内容物を絞りだしている様子だのが、お馴染みのように出てくる。もうけっこう馴れたけれども、検死のシーンは、やはりあまり気持ちのいいものではない。

でも、色々な事に悩んだり、怒ったりしつつも、自分の仕事に誠意と誇りを持って真摯に取り組む法医学者たちのドラマとして、さすがにBBCが長年制作し続けているだけに、どのシーズンのエピソードもそれぞれに見応えがあるし、時にほろにがく、時に遣り切れなさを滲ませて描かれる事の多いエピソードの中に、ラストでほっこりするエピソードもたまに盛り込まれ、労多くして報われる事の少なさそうな法医学者たちに、たまに小さないい事があると、見ているこちらも少し救われたような気分になったりする。

今のところ、日本版のDVD、BDは出ていないと思われるので、これを視聴するにはAXNミステリーを視聴するか、UKからソフトを取り寄せるしかないと思うのだけれど、ご興味があって、AXNミステリーを視聴できる方は、是非一度ご覧になってみていただきたいドラマだと思う。

コメント

  • 2012/10/28 (Sun) 22:47

    私も途中からこのドラマを見ています。トム・ウォードいいですよねー。
    ちょっと甘さを取ったデイビィッド・テナントぽいなと思います。(顔、少し似ていませんか?)
    英語版のwikiをみてたら、今年のシーズンでハリーは退場するみたいですね。
    どのように落とし前つけて退場するのか、興味があります。
    ミス・マープルや今年のドクタ・フーのクリスマススペシャル(これはまだ未放映)に出てるみたいなので、どんな感じなのかチェックしてみようかと思ってます。

    昔のハリーの画像見ると、この方は今が一番かっこいいような気がします。
    できれば日本で見れる映画やドラマに出てもらいたいですけどね。

    このドラマはkikiさんのブログを読んで見始めました。来月はMI-5やるようなので、楽しみにしています。ブログも期待してますよ!

    • こんのすけ #-
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    • 編集
  • 2012/10/29 (Mon) 07:07

    こんのすけさん 「Silent witness」ご覧になりましたのね。トム・ウォード、時々頑固爺さんみたいな顔になりますが、なかなかいいですよね。デイヴィッド・テナントほどヘチョヘチョではないと思いますが、おっしゃる事は分ります。造作としては類型的な顔かもしれませんね。でもトムの方が好みですが(笑)確かにトムは若い頃より今の方がずっと良くなっていると思います。で、ハリーは今年のシーズンでついにロンドン大学を去るんですか。これまで何度も引き抜きの話があったりしてそのたびに迷いつつ残ってきたのだけど、遂に決断するという感じなのかな。彼の代わりの新メンバーによって、この長寿番組も更に続くか、そこそこで終わってしまうか決まっていくような気がしますね。トムが今年のドクター・フーのクリスマススペシャルに出るというのはBBCのサイトに出てましたね。でも、ワタシはどうも「ドクター・フー」の面白味があまり分らず…。少し観てみましたが荒唐無稽すぎてダメでした。なんで人気があるのか理解できず退散(笑)
    ともあれ、今後トム・ウォードがどんなドラマに出ていくのか興味深々です。確かに彼の出るドラマがもっと日本で放映されて欲しいですね。

    そして、おー、「MI-5」ファイナルシーズンが来月から放映ですね。何かこう、悲嘆と憂愁に満ち満ちてそうですが、どういうエンディングを迎えるのか、ここまで来たら見届けなくてはね。

  • 2013/01/25 (Fri) 07:13

    こんにちは、突然すみません。
    イギリスからです。
    こっちでは新シリーズが始まってあまりにも脚本がうまいのでだれが書いてんだろうとググってたらこのページに。
    トム・ウォードの去り方はスリリングでショッキングで見ものです。彼が去った後の新シリーズは何を楽しみに見れば。。と思ったのですが役者の見場に頼らず話のつくり方そのものに磨きがかかり、さらにググッと引き込まれてます。ぜひお楽しみに。
    トム・ウォードは別のBBCの推理物のDeath In Paradiseというドラマでゲスト出演してましたよ。

    ではでは。

    • イギリスから。 #-
    • URL
    • 編集
  • 2013/01/26 (Sat) 09:48

    こんにちは。
    UKでは新シーズンが始まったんですね?トム・ウォード演じるカニンガム医師がどういう形で去っていったのか興味深いですが、日本でそのへんが放映されるのは来年かさ来年になるのではなかろうかと思われます。
    でも、彼が去ったあとのシーズンが更にクオリティが高くなっているというのは良かったですね。魅力的な新キャラとかは登場してないのかな。ともあれ、そのへんも含めて日本での放映を楽しみに待つといたしますわ。
    トム・ウォードはあちこちのドラマにゲスト出演しているようですね。彼が主演の新しいドラマ・シリーズなどは出来ないのかしらん。 ところで、ドラマの脚本家などを知りたい時には、IMDbでチェックできますよ。

  • 2015/12/23 (Wed) 03:04
    沈黙の目撃者

    こんにちは

    silent witness見てます
    サムライアンがひかれるシーンには思わず笑ってしまいました
    もちろん
    作り物だとわかっているから
    笑えるのですが
    主人公をここまで突き放してボロボロにしてしまうシリーズはにほんでは人気が出ないと思います

    • silent witness #JalddpaA
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  • 2015/12/24 (Thu) 08:26
    Re: 沈黙の目撃者

    そうですね。ここに出てくる検視医たちは、みな苦悩を抱えていて、けっこう痛い目に遭ったりしますね。
    日本で海外ドラマが放映される場合によくあることなんですが、途中までシリーズが順調に放映されてきて、次のシーズンが放映されるまでに異様に間があいたり、いつ放映されるのか分からなかったりすることが多いですね。これも、次がどうなってるんだろう?と時折思うんだけど、いつ次が放映されるのかサッパリです。

  • 2015/12/25 (Fri) 23:49
    沈黙の目撃者

    私は
    順番を無視してみているのですが
    イギリスでは
    黒人
    インド人
    ユダヤ人
    などの人種問題

    養子問題
    が出てきますね

    今見ている書いてはニキアレグザンダーさんのお父さんが出てくるので
    ボーンズの真似かと思いました
    ハリーカニンガム博士とニキアレグザンダーが
    キスしているシーンは
    本人同士
    嫌だろうなあと思いました
    このsilent witnessは
    日本では
    ホワイトラボとして
    パクられていると思います
    私は一番最初に見た
    天才外科医の女が
    飲酒をして部下の中国人の医師が別の糸で縫ったのを見落とすお話が強く印象に残っています
    ハリーカニンガムとニキアレグザンダーの関係がよくわからなかったし
    天才外科医の女の部下がアジア人の女でにせ医師という話も興味深かったです

    • 沈黙の目撃者 #JalddpaA
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  • 2015/12/31 (Thu) 10:27
    Re: 沈黙の目撃者

    なるほど。

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