「Dr.HOUSE」(HOUSE M.D.) Season1、2

-ひねくれ医者罷り通る-
2004年~ FOX




これは、FOXチャンネルでずっと流れていたのだけれど、シーズンの途中だったりしたので見ないまま打ちすぎていた。でも、とにかく色々なTV Awardに常連でノミネートされているし、医療ドラマ界のシャーロック・ホームズ物である、とか、アメリカ版ブラック・ジャックという意見もあって、一度見てみよかしらんと思っていたら、ビデオ・オンデマンドにSeason1が入ってきたので、観賞してみた。
主演のDr.ハウスを演じるヒュー・ローリーは、ワタシ的にはアン・リー監督の「いつか晴れた日に」(Sense and Sensibility)で初めて見た。見るからに好みでなさそうな騒々しい妻にウンザリしつつも一応子供を一人は作って結婚生活を継続しているという無愛想な少壮政治家の役だった。ヒュー・ローリーはイートン校からケンブリッジに進んだエリートで、ケンブリッジでエマ・トンプソンと知りあい、ともに劇団を結成したりしたらしい。「いつか晴れた日に」に出演したのはエマ・トンプソン繋がりであろうか。



閑話休題。
「Dr.HOUSE」は天才的な診断能力を持つひねくれ者の医者である。片脚が悪く、杖をついて歩いている。これは腿に血栓が出来た際、誤診により処置が遅れ、腿の筋肉を大幅に失ったからで、彼はその後遺症による痛みを恒常的に抱えつつ、痛み止めを胃腸薬のように無造作に飲みながら仕事をこなしている。(あんなに飲んでたら中毒になるだろうねぇ、と思っていたら、やはりのちには中毒になるらしい。ならない方がフシギだ)脚の痛みでヒネクレ者になったのか、元々ヒネクレ者だったのが、脚を悪くして更にヒネクレたのかどっちだろうと思っていたら、元カノの弁護士ステイシー(セーラ・ウォード)によると、脚を悪くする前からああいう性格だったらしい。変なところが我儘な子供のままのような、かなり扱いにくいオッサンである。ハウスは、ニュージャージー州プリンストン・プレインズボロ教育病院で解析医療部門を率いる診断専門の医師である。(日本ではキャッチとしてブラック・ジャックに喩えられる事もあるようだけれど、ハウスは外科医ではないし、診断が専門の、正規の免許を持った医師である。おまけにBJとはかなりキャラも違う)
原因不明の症状や、難病で運び込まれた患者の病巣や、症状の原因を、あたかも名探偵が事件を推理するように推理し、対処方法を策定する。部下たちがあれこれと出してくる病名を理由をあげて「違う」と却下するハウス。結局は彼が正しい事が多いわけだが、途中までは間違っている事もあるし、結局は患者を救えない事も、ままある。

このシリーズの特徴は、それまで元気だった人が急にバタっと倒れたり血を吐いたりして、突如、重篤な症状に陥り、ハウスのいる病院に運び込まれ、その原因は、大抵「ええ~~!?そんな事が原因で、こんなエライ目に遭っちゃうの?大変じゃない」と愕然とするような事が多いという事である。そんな事でふいに重篤な症状に陥るなら、日々、元気に過ごせているのは奇跡としかいいようがない、とも感じる。滅多にない症状や、普通では治療困難な難病、または色々な病気が複合していて、一朝一石には解決しないようなケースが多い。だから、ハウスが率いる診断専門のチームが、その患者の症状は何に由来するものかを突き止める事になるわけである。ハウスとその部下たちが、患者の症状から推定される病気を挙げていき、一番可能性が高いと思われる症状に対して治療を行うが、それで治ったかと思うと、病気が複合していたりして、一瞬良くなっても悪化し、別の要因を探るために患者は検査の為の手術をされたり、何度もスキャンや、非常に痛い腰椎穿刺をされたりする。医療的拷問である。
ハウスは、部下を使って患者の住む部屋を探らせたりしながら、症状の起きた原因を特定する。能力はあるが、外来の診療を嫌ってサボるので、女性病院長のカディは薬局に痛み止めを出すのを差し止めさせ、強制的にハウスに外来を診させたりもする。



カディは病院長としては些か服装がセクシーすぎる、もっと言うと露出しすぎの傾向があり、常に胸元はかなり強調され、ギリギリまで露出されているという感じである。何のためにそんな服装をしているのか、誰を挑発したいのか不明だが、病院長としては些か胸ぐりが大きすぎ、体にフィットしすぎな服を着ている、という気もする。何のための、どこに向けてのアピールなのか、カディ。



また、ハウスが精神的に最も依存しているのは、同僚の癌専門医、ジェームズ・ウィルソン( ロバート・ショーン・レナード)で、ハウスはウィルソンの私生活に立ち入り、マイペースで身勝手な甘えをぶつけ、借りなくてもいい金をわざわざ借りたりして、彼がどの程度自分に対して友情があるかを計ったりする。イヤな奴である。ウィルソンは温厚で真面目な雰囲気の医師ではあるが、恋愛至上主義者なのか、とにかく、常に身辺に恋愛沙汰がないとダメらしく、寂しがりやなのか女好きなのか、その双方なのか、とにかくSeason6までの間に二度結婚して二度とも離婚しているようだ。家庭生活には不向きなのに家庭を求めずにはいられない矛盾した男である。ウィルソンを演じるのは微妙に寄り目っぽいロバート・ショーン・レナード。ワタシはこれ以外では見た事がない。いかにも主人公のお友達といったタイプである。ハウスのやりたい放題な我儘をぶつくさ言いつつも受け入れるウィルソンの様子は、シャーロックとワトソン君の関係性に近いが、なにぶん、シャーロックの方がまだ若いだけに我儘を言っても可愛げがある。ハウスの方はもういい加減いい年のオッサンなので、見ていて、なんでそんなにいつまでもガキンチョなのよ。そろそろオトナにならないと、ガキのまま爺さんになっちゃうよ、と言いたくなってしまう。いい年をしていつまでも子供で我儘なのは困ったもんである。



ハウスは偏屈な人嫌いなのかと思ったら、ヒネクレているだけである。人嫌いを装った人間好きである。寂しがりやでもあるかもしれない。友達のウィルソンは言うに及ばず、部下の私生活にも立ち入るし、なんだかんだと余計な事までよくチェックしているし、すぐにあれこれとちょっかいを出す。他人に興味深々である。このオヤジ、カワイげがあるのか、ウザイのか…。

ハウスの部下で一番優秀なのは、ワルガキだったが更正して医者になった黒人のフォアマン(オマー・エップス)らしい。何かといえば元ワルの過去をあげつらわれながらも、ハウスに師事して仕事にいそしんでいる。一時、ハウスが降格処分になり、3週間の期限付きでフォアマンが上司になった時には一瞬にして増長し、ハウスや同僚に威張るなど浅薄なところも見せたが、すぐにボスであることの責任の重さを思い知らされて元に戻る。他の部下には、女医のアリソン(ジェニファー・モリソン)、そしてお坊ちゃん育ちのチェイス(ジェシー・スペンサー)がいる。女医のアリソンは瀕死の癌患者と結婚したことのある女で、哀れなもの、損なわれたものに惹かれる傾向がある。彼女はひねくれハウスへの思慕を隠さず、本人にも想いを告げるが、ハウスに、君は不完全なものを愛する傾向がある。俺を好きだと思うのも、俺の脚が悪いからだ、と喝破される。ハウスはアリソンについてどうしようか迷うのだが、結局はその想いを退ける。それは年齢が違い過ぎるとか、アリソンの特殊な恋愛傾向以外に、ハウス自身、他に気持ちがあったからではないかと思われる。Season1の時点ではそうあからさまになってはいないが、ハウスは院長のカディに気があるのである。
3番手の部下、チェイスはアリソンにずっと関心があるのだが、アリソンがハウスに振られても、なかなか彼女に積極的に出る事ができずにいる(のちに結婚するが敢なく離婚に至る)。実際にはかなり毒のある性格だが、患者の前では誠実で感じのいい医師であるチェイス。演じているのは王子系ルックスのジェシー・スペンサーという俳優。ワタシはこれで初めて見た。他にも出ているのかもしれないが知らない。ハンサムではあるがさして個性がないので、生き残れるかどうかは未知数という感じである。



Season2で、既に人妻になっているかつての恋人ステイシーが、夫の病気を治してほしいとハウスの前に現れ、ハウスは焼けぼっくいに火がついてステイシーとヨリを戻すが、結局は彼女に別れを告げる。それは彼女の夫が彼女に激しく執着していたので身を引いた、という事もあるかもしれないが、どこかでカディに対する気持ちが芽生えていたからという事もあるのではなかろうか。元カノのステイシーを演じているセーラ・ウォードはややガルボ風味の美人女優で、最初に見たのはハリソン・フォードの「逃亡者」だった。冒頭で殺されてしまう、キンブル医師の妻を演じていた。長身で鼻の高いブルネットのノーブルな美人で、知的なムードが良かった。冒頭にしか出て来ないのだが、この美人の奥さんはけっこう印象が強くて、あんなに愛していた美人の奥さんを殺された上に、その嫌疑をかけられたんじゃ、たまったもんじゃないわよね…といやが上にもキンブルに同情したくなる感じだった。その後は「デイ・アフター・トゥモロウ」で、ジェイキー演じる高校生のママを演じていたのを見た。美人で知的な雰囲気の女性、というのがハマリ役の女優である。しかし、この「Dr HOUSE」でのセーラ・ウォードは、さしもの美人も少し顔に険が出て、高飛車で、身勝手で、いつもキイキイと怒っていて、ハウスが自分に気がある事について絶対の自信を持っているような態度がなんだかちょっとウザイ女でもあった。Season2を盛り上げるために投入されたキャラであろうか。



ところで、ハウスを演じるヒュー・ローリーを見ていると、どことなく2006年のドラマ「結婚できない男」の阿部 寛を思い出すのはワタシだけだろうか。長身で長い顔に、ぎょろっとした目元など、ルックスも似ている。「結婚できない男」の阿部 寛も、仕事では独自の才能を人に認められてはいるが、いい年をして意地っ張りで子供みたいに我儘な部分など、かなりハウスっぽかった。また、割にちゃんとした家で何不自由なく育っているのに、なんとなく捻くれている様子なのも共通している。Season2では、ハウスの両親が登場する回があり、軍人の父と、かつては美しかっただろう母という組合せで、予想された通りの両親だった。母を演じていたのは、女政治家とか、有力者の妻役などが多いダイアン・ベイカーという女優で、ワタシはこの人を「羊たちの沈黙」で、誘拐される女子大生の母である女性政治家役で始めて見た。ハウスの母が出てくるなら、この人が出てきそうな気がしていたが、やはり出てきた。



最初の3人の部下たちは、Season4に入るとメンバーが入れ替わる。フォアマンだけがハウスの元に残り、他の二人はハウスの元を離れて病院内の別の部門で医師として働く事になり、ハウスの元には新しい部下が入る。このドラマの面白味は、部下たちのキャラやアンサンブルも大きく関ってくる。そういう意味でも、Season1~3の、フォアマン、アリソン、チェイスの3人の部下たちは、それぞれアンサンブルも良かったし、それぞれのハウスとの距離感や関り方、また、お互いの関係性など、なかなか面白く出来ていた。でも、ずっとそのままではマンネリで話も作れなくなる。ゆえに、しかるべく時期がたって、部下は入れ替えがあるわけだが、次の部下には、ハゲたオッサンのタウブやら、難病を抱えたビアンの美人女医、13番(オリヴィア・ワイルド)などが新たに加わる。部下に1人は美人の女医が居ないと視覚的にもキツイので、美人がいるのはいいのだが、短命が宿命づけられているビアンの13番などは、何かもう設定が突飛すぎるというか、行き過ぎているような感じもして、人気のドラマも、あまり長く続くとね…という気分にもなる。


オリヴィア・ワイルドの”サーティーン”

今のところワタシは、Season1を全話、Season2を半分まで。Season3、4は未見で、Season5を数話とSeason6を半分ほど見たのだが、現時点での印象は、このシリーズは前半のSeason3までが特に面白かったのではないかという感じがする。Season5は些か質が落ちていたような印象で、Season6になって持ち直した感がある。主にエピソードのクオリティを下げない為に、今年USで放映されたSeason8で終了になったらしいが、長いドラマ・シリーズというのは、長く続けるほどマンネリ化し、惰性に陥り、長く続けるために余計な設定を入れたりして、面白くなくなったりする傾向が強い。だから、評判を得て軌道に乗ったあとは、いつ幕を引くのか、の判断がプロデューサーの責任として大きいと思う。Season8で打ち止めにしたのは賢明な判断だったという気がするが、遅きに失したのではないかという気もしなくもない。ダラダラと長く続けてもさしていい事はないのである。今のところ日本ではSeason6までしか放映されていないと思うけれど、師走からSeason7がFOXで放映されるようなので、どうなっていくのか、ひとまず観てみようと思う。

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する