「70th Golden Globe Awards」授賞式の感想



AXNで放映される時には、もう結果が分かってしまっているのでドキドキ感もないし、今回は小旅行に出ていて、戻ってから「あ、そうだった。留守録しといたんだっけ」とおもむろに思い出して見たので、何やらタイムラグ感があるけれども、「第70回ゴールデン・グローブ賞授賞式」について一応、さっくりと感想を。


映画の部はともかくも、ドラマの部は殆どノミネートされる作品が毎回同じで、各カテゴリでノミネートされる俳優、女優の名前も毎回同じような感じの顔ぶれになる。ドラマ部門の助演女優賞には「ダウントン・アビー」でマギー・スミスが必ずノミネートされ、ご本人は今回も欠席し、そして受賞した。毎回同じような顔ぶれになるのは、向うのドラマが当ると何年にもわたってシーズンを重ねていくからで、常連ドラマのどれかが終了して新しい候補が入ってこないと、顔ぶれはなかなか変わらない。ドラマ部門の主演男女優賞は、今回も「HOMELAND」のコンビが受賞した。「HOMELAND」はシーズン2も出来が良さそうだから楽しみではあるけれども、毎回、ノミネートされるものの絶対に主演男優賞は貰えない「MAD MEN」のジョン・ハムの人の良さそうな笑顔が気の毒にも見えた。



同じように、ドラマのミニ・シリーズのカテゴリでは、エミー同様、「Sherlock」でバッチ君がノミネートされていたが、やはりノミネートされただけに終わった(受賞は「ハットフィールド&マッコイ」のケヴィン・コスナー)。バッチ君としてはガツガツせずに、その場の雰囲気を楽しむ為にも出席しているのだろうけれど、受賞させる気がないなら呼ばなければいいに、とも思う。わざわざUKから呼びよせておいて肩透かし、というのをもう何回もやられているような…。


毎度、呼ばれるだけのバッチ君

こういうセレモニーでは、ノミネート作品の紹介や、各カテゴリでノミネートされた人を紹介し、受賞者を読み上げるプレゼンターなどで、多彩な顔ぶれが見られるのも楽しいが、今回は「リンカーン」の作品紹介で、第42代の大統領だったビル・クリントンが登場。会場はスタンディング・オベイションで元大統領を迎えた。クリントンは少し痩せて物静かになり、少し爺さんぽくなっていたが、出てくると会場がわーっと湧く存在感の明るさのようなものは健在で、仕事にまい進する妻の陰に隠れて相変わらず女の尻を追い回しているのかどうかは知らないが、その登場で会場が盛り上がった事だけは確かだった。司会者が「ワァオ、ヒラリーのダンナさまよ!」と笑いを取っていたが、確かに今はヒラリーのダンナ、という方が通りがいいかもしれない。


ヒラリー・クリントンの夫 参上

多彩なプレゼンターが登場したが、不思議なボケ加減で笑いを誘った映画のミュージカル・コメディ部門・主演女優賞のプレゼンター・コンビ、ウィル・フェレルとクリステン・ワイグは、絶妙なボケ加減でトゲトゲしない笑いを醸し出して印象に残った。要はノミネートされた女優たちが出演している候補作を自分たちは1本も観ていない、という事をギャグにしているのだけれども、苛々させないボケの匙加減がなかなかで、司会者コンビが下品な攻撃型のギャグを繰り出す中で、そのモワリとした笑いは新鮮な感じがした。


ユルボケな空気感が笑いを誘ったウィル・フェレルとクリステン・ワイグ

また、外国語映画賞のプレゼンターとして、往年のアクションスター・コンビ、スタローンとシュワちゃんが登場。お前は何年アメリカにいるんだ、いつまでたっても英語が上達せずに!とスタローンがシュワちゃんに突っ込んでいた。シュワちゃんは、アメリカのアグネス・チャン状態らしい(笑)二人とも思うサマ顔面が雪崩を起こしていて、今後どこまでナダレていくのか、という感じではあったが、微笑ましくもあった。


顔面なだれ兄弟

主題歌賞は「スカイフォール」でアデル。アデルはもうちょっとほっそりして綺麗なイメージがあったのだが、出産後という事もあり、かなりのドスコイ体型の上になにやらお下品でちょっと驚いた。スピーチをする彼女を見ていて、何となく森公美子を思いだしてしまった。そのワイワイガサガサとした感じのアデルのスピーチを会場から、ふん!というバカにした顔つきで見ていたのが、私生活をネタに曲を書いて過去のボーイフレンド達に顰蹙を買いながら大金を稼ぐ、タチの悪い田舎の小娘、テイラー・スウィフト。小さな目を必死に目化粧で誤魔化してはいるが、やはり小さいものは小さい。そして、いくら誤魔化しても曲がった根性は顔に出る。この勘違い小娘についてチッチッチ!な気分だったのはワタシだけではなかったようで、司会コンビの片割れが「テイラー・スウィフトに一言。マイケル・J・フォックスの息子に近づかないで!」と言った時には、おー、よく言ったじゃない。もっと言ってやんなさい、と思った。その瞬間のテイラーの顔をカメラが抜かなかったのは残念だったが、どんな顔をしていたかは想像がつく気もする。ははは。確かにちっとは1人で頭を冷やせばいいだろう。


モリクミ状態のアデル


私生活をネタに商売しすぎ

今回のセレモニーでの一番の目玉は、やはりジョディ・フォスターの「セシル・B・デミル賞」受賞ではないかと思う。ジョディ・フォスター。そんなベテランや重鎮が貰う賞を貰うようなお年頃、そしてポジションになったという事か。まだちょっと若いような気もするけれども、3歳からスタートしている彼女の芸歴は半端じゃない長さ。そのキャリアと実績を思えば妥当な受賞なのだろう。


印象に残るスピーチをした、堂々たるジョディ・フォスター

当初はありがちな感じで受賞のスピーチを始めたジョディだったが、途中で、これまで発表しなかった事を公にします、などと言って、私は独身です、などとはぐらかしてから、やんわりと自分の同性愛傾向をカミングアウトした。その後、彼女を長らく支えてきたスタッフを讃え、長い間のパートナーだった相手に感謝し、おっとりと育っていそうな二人の息子たちに、全てはあなたたちへの贈り物だと思ってちょうだい、と愛情を伝え、そして認知症で何も分らないだろうけど、愛してるわ、と母親に3回繰り返して伝えた。「3回繰り返すことで、私の言葉が母の魂に入り込んで、いい人生を送れたと感じられますように。そして、いつか旅立つ時も、あなたが最高の母親だったことを忘れないで」というジョディの、母へのメッセージには、会場のあちこちで涙を拭う女優たちの姿が見られた。


ジョディの息子たち 素直そうでおっとりした感じだ

さらにジョディは、女優としては第一線を退くつもりである事を仄めかしたが、映画を作る事をやめるわけではなく、今後は監督やプロデューサーとして映画作りに携わって行くのであろう事を示唆した。「私はもう舞台には上がらないかもしれない。それが変化というものよ」という言葉は、3歳の時から、生き馬の目を抜く業界を第一線で泳ぎ抜いてきた彼女の中の羅針盤がそう告げているのだろうな、と思った。人生には段階があり、どこかでシフトをチェンジして進んでいかなくてはならないのだ。ジョディの映画出演作をあれこれと繋げた紹介ムービーの出来はあまりよくなかったけれども(デミル賞の紹介ムービーは、毎回あまり出来がよくない)、ジョディのスピーチは、さすがに満場が真剣に聞きいるような、聞かせるに足る何かがあった。


長い芸歴 ジョディが最も美しかったのはティーン時代ではないかと思う

ジョディにデミル賞を渡したのは仲良しだというロバート・ダウニーJr。彼女のテーブルには、やはり仲良しだという中年問題児のメル・ギブソンが座っていた。どちらとも本当に仲が良さそうで、どちらも何かあってダメダメになった時には、ジョディに喝を入れられたくて甘ったれたりしてるんだろうねぇ、という感じがした。


恭しくジョディにトロフィーを渡すダウニーJr


ジョディにつき従うメル・ギブソン

今回、映画のドラマ部門でノミネートされた作品の中で、興味があるのはタランティーノの「ジャンゴ 繋がれざる者」とキャサリン・ビグロウの「ゼロ・ダーク・サーティ」だろうか。スピの「リンカーン」は出来もいいのだろうし、スチールを見ただけでもダニエル・デイ=ルイスはハマリ役だろう事は分るが、どんな映画か見なくても想像がつく。だから観なくてもいい。「ライフ・オブ・パイ」は、アン・リー監督作品とはいえ、さっぱり食指が動かない。「アルゴ」は、ベン・アフレックがスピを抑えて監督賞を獲ったし、作品賞も獲ったけれども、今はあまり観たい気分ではないかなぁ、という感じ。

映画のドラマ部門の主演男優賞は「リンカーン」のダニエル・デイ=ルイス。久々にメインストリームに戻ってきた、という感じである。やはり俳優業は自分に向いているという結論に達したのでもあろうか。主演女優賞はジェシカ・チャスティン(「ゼロ・ダーク・サーティ」)だった。ミュージカル・コメディ部門の主演男優賞はヒュー・ジャックマン。妥当でしょうね。頑張ったし、適役でもあったし。「レ・ミゼラブル」からは助演女優賞にアン・ハサウェイ。ピクシー・カットのショートヘアにスレンダーな白いドレスでキュートだったが、スピーチは舞い上がっていて、バクバクしている感じが伝わってきた。







また映画のドラマ部門、助演男優賞は「ジャンゴ 繋がれざる者」からクリストフ・ヴァルツが受賞。この映画、かなり面白そうだとワタシは期待しております。何よりもレオ・デカプーが悪役をやっているのが良い。オッサンになってから人相が悪くなったので、苦悩する主人公などはあまり収まりがよくなくなってきている感じのするデカプー。「ジャンゴ」では、トレーラーを見る限りでは悪そうな奴隷商人を楽しそうに演じていて、低予算映画に出ていた若い頃の演技派としての閃きみたいなものを久々に出しているような感じがした。脚本賞を獲ったタラちゃんも素直に嬉しそうだったし、出演者も監督もノリノリなムードで、面白そうだ。


「ジャンゴ 繋がれざる者」

会場には、ダニエル・クレイグも居たが、もっぱらアデルの応援と女房のノミネートに付き合っての出席だった模様。レイチェル・ワイズはノミネートのみに終わったが、ダニエル・クレイグと結婚してから、以前よりは綺麗になった事は確かなようだ。



「レ・ミゼラブル」の作品紹介でキャサリン・ゼタ=ジョーンズがステージに現れたが、どっかりしたマダム体型がすっかり定着した感じである。もう二度とスレンダーボディには戻らないのかもしれない。
今回、女優たちの中で美貌が目立っていたのはエミリー・ブラントだろうか。ジェシカ・アルバやアン・ハサウェイは可愛い感じ。ワタシは地味だけどナオミ・ワッツやエイミー・アダムスなどもけっこう好きだ。二人とも、仕事も乗っていて私生活も幸せなのか、ホワホワとしていて綺麗だった。


キツい雰囲気が薄らいで、美貌の盛りを迎えたようなエミリー・ブラント


どこか似ているエイミー・アダムスとナオミ・ワッツ

さて、今回で70回目にもなった「ゴールデン・グローブ賞」。司会は、前回、前々回と司会を担当して物議を醸したリッキー・ジャーベイスから替わって、サタデーナイト・ライブ出身のヤサグレ女二人(ティナ・フェイとエイミー・ポーラー)が担当。リッキーほどアクは強くないものの、二人はそこそこの毒舌をかまして会場を湧かせていた。まぁ、司会にはある程度の毒も必要だとは思うけれども、妙に品がないのは見ていてなんだかなぁ、という気もする。適度に毒と花のある、もうちょっとソフィスティケイトされた司会者はいないものだろうか。ショービズの本場のアメリカでも、これはなかなか難しい、人材難なポジションであるようだ。



というわけで、「第70回ゴールデン・グローブ賞授賞式」の録画を見ながら、思い着いた事をとりとめもなく書いてみました。

コメント

  • 2013/01/25 (Fri) 23:48

    G・G賞は、ジョディ・フォスターのカミングアウトと、アデルを冷ややかな目で見るテイラー・スウィフトが印象的でしたね。
    アデルは確かに品性に欠ける壇上でのスピーチだったから、007スカイフォール観てた時もアデルの容姿は微塵だに想像せず、ただ美声だけを聴くことがいかに大変だったか。苦笑

    ジョディは息子たちと一緒でしたね。
    今、現地週刊誌では父親は誰的な話題で盛り上がってますよね。
    同じテーブルに座ってたオージー男は息子たちとどんな気持ちで座ってたんだろうって思いました。

  • 2013/01/26 (Sat) 09:54
    Re: タイトルなし

    今回はジョディが主役、という感じでしたね。でもジョジクル・ファミリーが仲間うちだけで目配せを交わして盛り上がっているような前回よりは良かったかな、と思います。何か鼻につきますわ、ジョジクルと仲間たちって。ワタシは一匹狼を愛するたちなので。徒党を組むやつはどうもね…。
    それにしてもアデルは縦横にでかくてワサワサしてましたね。まぁ、無邪気という感じかな。歌はムーディなのにね。
    ジョディの息子たちの父親というのは確か同じ人ですよね。息子たちは顔がそっくりだし。そういうのに登録している優秀な大学生とかじゃなかったでしたっけ。当時、そんなニュースを読んだ記憶が…。ともあれ、とてもきちんとした素直な子供たちですれてなさそうなところがいいですね。随分、気をつけて育てたんだろうな、と思いました。でも身近にメルのおっさんとかがいると悪影響じゃないのかしらん(笑)さすがジョディは太っ腹ですね。

  • 2013/02/26 (Tue) 10:43

    kikiさん、二日連続で失礼します(笑)
    「ジャンゴ」でクリストフ・ヴァルツがオスカーを受賞しましたね。タラと相性いいのかな〜。レオもこれを機にもっとキャラの幅を広げたらいいのに、なんて。これ面白そうですよね。ロシアに戻る前に観れそうなので楽しみです。
    「リンカーン」のデイ=ルイスの主演男優賞は鉄板だったようですね。迫真のなりきり演技なんだろうとは思いますが、特に彼が好きなわけでもないので映画には食指が動かず...。以前付き合いでアンソニー・ホプキンスの「ニクソン」を観てあまりに退屈だったので(ホプキンスは好きなんですけど)、米大統領ものだからというわけではないのですが、なんかもうわかっちゃってる感があるというか、歴史の勉強気分になっちゃうというか。
    他に何か面白そうなのはあるかしらん、と探索中です。

  • 2013/02/26 (Tue) 22:12

    annaさん こんばんは。

    ゴールデン・グローブをみればアカデミー賞のなりゆきも大抵想像がつくし、いまWOWOWに加入していないので、半月後ぐらいにBSプレミアムで放映されるダイジェストを観ればいいや、と怠慢を決め込んでますが、一応主要な賞はどうなったかだけはチェックしてますわ。クリストフ・ヴァルツ、かなり乗ってそうですね。この映画は娯楽映画としてよく出来ていそうだし、無条件に面白そうなニオイがぷんぷんするので、とても楽しみです。
    「リンカーン」はねぇ…。予告編みただけで想像できるものね。見なくても分っちゃう。あからさまな賞狙いって感じもするし。はいはい、わかりました、という感じになっちゃいますわね。ワタシが「ジャンゴ」以外で面白そうだと思っているのは「ザ・マスター」ですね。期待できる出来のような気がします。日本では3月後半の公開なので、annaさんが日本におられる間には間に合わないかも…ですね。

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