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「江戸東京たてもの園」でデ・ラランデ邸を見学



旅費が割高で観光地がどこも混雑を極める春の連休は、遠出をしないで、関東近郊に遊びにいくか、都内の穴場を散策するというのがワタシの習慣。人に揉まれるのも、通常より料金が割高になるのも御免蒙るワタクシとしては、都内が空くこの時期は東京散歩に好都合なんですわね。で、昨今は西東京に何となく引っ張られている気配のワタクシ。東京の西の郊外は武蔵野の面影を残す緑豊かな土地で、とにもかくにも長閑で広々としております。深大寺も今年その良さに目覚めたお気に入りのスポットだけど、前から気になっていた場所がもうひとつ。それは小金井市にある「江戸東京たてもの園」。随分前に解体されてここに運ばれたまま修復されずに長いことお蔵入りになっていた信濃町の洋館「デ・ラランデ邸」が、ようやく復元・展示されたというので、東京散歩と建物探訪を兼ねて「江戸東京たてもの園」に行ってみました。

「江戸東京たてもの園」は両国にある「江戸東京博物館」の分館で、歴史的建造物を移築し、復元・保存・展示するという目的により1995年に開園した文化遺産建築の屋外博物館。江戸時代から明治、大正、昭和初期までの建築(個人の住宅および商家など)がここに移築され、きれいに復元されて、幸福な余生を送っている場所、とでもいいましょうか。建築好きのワタクシ。ここには前から興味があったのだけど、行くならデ・ラランデ邸が復元されてからにしようと思っていた。そして、それが復元され、公開されたので、見物に行ってみたというわけ。1階にカフェが設置されるなど、一番新しい復元建築であるデ・ラランデ邸は今、この施設の目玉展示物ということになるのかもしれませんわね。

なんでこの建物が気になっているのかについては旧前田侯爵邸」および洋館見学についての雑感という記事を読んでもらえばお分かりになると思いますが、要は、これは三島由紀夫が「鏡子の家」という小説の中でヒロイン鏡子の住む屋敷のモデルにしたという、信濃町の高台にあった古い洋館なんですわね。明治時代に、デ・ラランデさんというドイツ人建築家が元は平屋の洋館だった屋敷を三階建てに改装して住んでいたので、「デ・ラランデ邸」と呼ばれているわけです。この建物が現存するなら信濃町に見物に行くかな、と思って調べたら、とっくに解体されてしまっていて、たてもの園で復元予定だけれども予算がなくてお蔵入りになっているという事を2年前に知ったのでした。それがついに復元・展示されたので、それは見物に行かなくっちゃね、と思ったわけです。

JR中央線の快速で東小金井下車。昨今はやりの街巡りのための小型コミュニティバスが小金井市にも巡っていて、100円で江戸東京たてもの園まで運んでくれます。このコミュニティバスというのは、けっこうあっちこっちで見かけますが、便利です。観光客にも地元の人にもいい足になっていて、基点から終点まで100円では恐縮するほどの距離を運んでもらっちゃう場合もあります。大抵は循環でコースが設定されているので、暫く風景を眺めつつ、ぐるぐる廻っているというのもよいかもですわね。

バス停から10分弱歩くけれども、コース取りの都合もあるんだろうし、まぁ、運賃が安いからね。テクテクと散歩がてらバス停から歩いて小金井公園の一角にある「江戸東京たてもの園」へ。移築・復元にはそれなりにコストもかかっているんだろうけれど、入園料は一般400円。内部の飲食店も値段はけっこうリーズナブルで、トイレなどの施設もきれいでした。小金井公園というのは名前しか聞いた事はなかったんだけど、かなり広大な公園ですわね。そのほんの一角を使用している「江戸東京たてもの園」だってそこそこの広さの敷地があるというのに、小金井公園全体はその何倍もあるわけだものね。日本は狭い、東京は過密だ、というけれども、新宿から快速で僅か20分。玉川上水のほとりに広大な緑の広がる小金井市のような郊外住宅地もある。郊外だけでなく、都心部にだってけっこう緑は多い。東京にも憩いの緑は沢山あるんざます。まぁ、もっといえば八丈島だって東京だからね。自然もあるのですわね。


とにかく、緑が豊富なたてもの園内

さて。たてもの園内に入ったワタシは一散に、西ゾーンにある「デ・ラランデ邸」へと足を向けました。おお。広めの敷地を取った一角に、臙脂色の屋根が目を惹く「デ・ラランデ邸」が見えてきました。1階に設置されたカフェ「武蔵野茶房」は邸内のみならず庭のテラスでもお茶を楽しめるところ。でもまぁ、カフェはいいから、ひとまず内部の見物だ、と靴を脱いで邸内に入ってみました。入ってすぐの応接間か広間だった場所がカフェになっているせいで、そこ以外にはあまり広い部屋はない印象。


信濃町の高台にあった「デ・ラランデ邸」


玄関ポーチ


玄関ホールの照明 しっくいの彫刻がナイス

しかも、こういう昔の邸宅にありがちなのは、修復して建物だけはきれいに甦っているのだけど、部屋という部屋に殆ど家具がなくて、殊に2階はガランとした空の部屋に照明だけシャンデリアがぶら下がっているというパターンで、それがちょっと残念な感じ。まぁ、デ・ラランデさんの後に何人も持ち主が代わっているし、家財道具まで屋敷にくっつけて残すというのはなかなか難しいのではあろうけれど(展示できる状態の家具でなければ展示できないしね)、でも何もない部屋というのも味気ないものでございます。「鏡子の家」という小説で読んだイメージでは、邸内はもっと広いという感触を持っていたのだけれど、案外こぢんまりとしていたかな。公開されているのが3階建ての2階部分まで、という事もあるのかどうか…。


カフェになっている広間




ワタシが行った時にはちょうど昼下がりの一服どきで、カフェはけっこう賑わっていたので、空いててすぐに入れるならと思っていたけれども、待ってまで入らなくてもいいか、とやめておく事にしました。それより、隣にある「三井八郎右衛門邸」が気になっちゃってね。これは、港区麻布にあったという三井さんのお屋敷で、立派な調度品が割に残されていたりして、なかなか素敵な邸宅でした。こういう昔のお屋敷を見学していてひときわ興味を惹くのは、台所とか、お風呂とかトイレなどの、生活に密着した場所ですわね。調度品の整った応接間や居間などとはまた別に、当時のリアルな生活の空気が漂ってきて、とても面白い。


「三井八郎右衛門邸」



引き戸にも鮮やかな彩色で鳥の図があれこれと

応接間 家具調度がいい感じです

さすが三井さんのお屋敷だぁ



白い台所 当時としては最先端だったんでしょね

三井家ゆかりのものでは、3月の終わりに「三井家のおひなさま」という展示を日本橋の三井ビル本館ミュージアムで見てきました。さすが三井家の物だけあって、奥ゆかしい顔つきの雛人形が、あれこれと並んでました。私見だけど、雛人形って明治時代のものが一番、顔や雰囲気が良いような気がしますわね。享保とかの人形って古すぎて何かコワイしね…。


閑話休題。
住宅では、店舗兼住宅の「常盤台写真館」や、赤坂にあった「高橋是清邸」の主屋部分が移築・保存されたものなどもなかなかでした。縁側にめぐらされたガラスの引き戸のガラスがみな当時のガラスがちゃんと嵌っていて、外の景色が少し歪んで見えるのなども良い感じでしたね。


ガラス戸がとても印象的だった高橋是清邸


是清邸の廊下


モダンな店舗兼住宅の常盤台写真館

流し 奥の左手が風呂場

お風呂 かなり小さな浴槽だった

でも、本当に面白かったのは東ゾーンにある商家や銭湯、居酒屋などを移築して下町の雰囲気を再現しているエリアだったかな。商家の建物は看板建築の良いものを移築保存している感じ。(看板建築というのは、建築探偵・藤森照信氏の命名した建築様式で、関東大震災後の店舗建築で用いられたもの。凹凸のない看板のような平坦な表面に、自由な意匠表現が試みられていることが特徴)何か大正末期か昭和初期の街に束の間、紛れ込んだような雰囲気を味わえました。文具屋さんとか居酒屋さんとか醤油屋さんとか、内部まできちんと復元してあって見ていて楽しかったざます。そういう意味では、下町ゾーンは内部の商品まできちんと当時のものが置かれてあって、外のガワだけ復元、という感じではなかったので、それも見ていて楽しかったところでしょうね。


レトロムード漂う看板建築たち





店内もきちんと再現されている



都電もありました そういえば都電復活構想ってどうなったのかな…

たてもの園は、緑の多い敷地の中に、移築された建物が配置され、建物の中に入って窓から外をみると、どこも緑が気持ちよさそうにそよいでいる光景が目に入ってきますのね。こういう施設を作るなら、やはり広い緑の敷地が確保できる東京の西の郊外しかあり得なかったわねぇ、とつくづく実感。
まぁ、一度来て一渡り見物すれば、暫くは来なくてもいい感じだけれども、何年かして、またふいに散策がてら訪ねてみたい場所ではありますね。


園内の藤棚 とにもかくにも滴る緑

既に解体または改築されてしまって、ここに移築・保存できなかった素敵な建物のあれこれを脳裏に思い浮かべ、あぁ、あれも保存できたら良かった、これも保存できたら良かった、と思わないわけではなかったけれど(例えば、旧目黒雅叙園とか、蜂須賀侯爵邸など)、全てをフォローする事は不可能だものね。辛くもここに移築・保存されたものがあっただけでも多としなくてはなりますまいね。

コメント

  • 2013/05/01 (Wed) 13:35

    kikiさん、こんにちは。

    ロシアの5月前半も、今日のメーデーを皮切りに今週来週と連休があります。まあ、日本の騒がしい休みとは違ってのんびりしたもんです。ほんと日本のゴールデンウィークって、海外も含め遠出する気がしませんね。

    江戸たてもの園、だいぶ以前に2回ほど訪れたことがありますが、まだ復元されずにいた建物があったんですね。私は東京下町育ちなので、銭湯や文具屋、雑貨屋といった街並みと店内が、生まれるずっと前のものなのに何か懐かしい気持ちよさがあって好きでした。お屋敷では是清邸のガラス、今はもうこういうものはなかなか作れないというようなことを聞いた覚えがあります。
    以前は小金井公園の桜の季節に行ったのですが、季節毎の花も様々に咲くようですね。赤い屋根のデ・ラランデ邸を見に、またいつか、久々に訪れてみたい気がしました。

  • 2013/05/01 (Wed) 20:39

    ちょっと足を伸ばせばいくらでも目の保養になるものがあって、東京っていいですね。うらやましい~。

    長い年月に耐えうる立派な建造物それを取り巻く庭園を所有できた資産家、名家が多いですものね。
    和風の建物も素晴らしいのですが、こういう洋館もやっぱり素敵ですね。

    大金持ちの生活って、最近興味があります。執事のいる生活とか。執事小説は数年前に『日の名残り』を読んだだけですが、他にもいろいろ読みたいです。

    • ようちゃん #-
    • URL
    • 編集
  • 2013/05/01 (Wed) 22:06

    annaさん こんばんは。
    ロシアにも5月前半に連休があるんですね?ほほぉ。まぁ、いい季節ですからね。祝日などを設定したくなるんでしょうね。日本はGWといえば出かけなきゃ損!旅に行かないなんて!みたいな風潮が未だにありますが、実際に遠くに行く人はさほど居ないんじゃないかと思いますね。近いところにちょこっと行く程度の人が割に多いと思います。
    桜の季節にたてもの園に行かれたんですね?桜はかなり沢山植わっていそうだし、玉川上水の土手沿いにも桜並木がありますね。あのへんは特に見物に出かけなくても桜の多いところだから、特に花見に行かないけど桜には事欠かない、と小金井に住んでいる知人が言ってました(笑)
    高橋是清邸は、ガラス戸が1階も2階もかなりの数で、あれを割らずに運んできたのは大変だったでしょうね。2階の擦りガラスも実にきれいでした。ああいうガラス、最近は本当に見かけないですね。もう作れないという感じはひしひしとしますね。
    デ・ラランデ邸、白い柵で囲ってあって、かなり広めに敷地を取って移築してあるんですよ。なかなかいい雰囲気でした。もっと人が居ない時にのんびりとカフェでお茶を飲むのも良さそうです。今度、帰国されたらぜひデ・ラランデ邸を見物に行かれてください。

  • 2013/05/01 (Wed) 22:15

    ようちゃん。
    目の保養になるもの、か。そうですね。そう言われれば確かにそうかもしれませぬわ。
    都心部ではなかなか岩崎さんち(三菱財閥)ぐらいしか、元々の敷地に建物をそのまま残しておくような事はできませんが、残しておきたい建築を、郊外の公園に移築して、保存・展示するというのは、日本にしてはなかなかのプロジェクトだと思います。
    洋館見物はけっこう楽しいですよ。家具がしっかりと残っていると尚いいのだけど、どこもそれはなかなか、ね…。でも、機会ある限り、見学できるものは見に行こうと思っています。本当は熱海の陽和洞(旧岩崎小弥太別邸)が一般公開されると凄く嬉しいんですけどね。陽和洞あたりは、執事や家政婦やコックが必要な大邸宅です。熱海の山をひとつまるまる買って別荘建ててるんだものね。昔の財閥はスケールが違いますわ。

  • 2013/05/25 (Sat) 10:06

    こんにちは。
    同じ多摩地区なのですが、
    残念ながらこちらへは行ったことがありません(笑)
    東京天文台もなかなかいいですヨ
    別世界に紛れこんだ気持ちを体験できます(笑)。

  • 2013/05/26 (Sun) 18:51
    Re: タイトルなし

    henryさん
    そういえば、東京天文台も多摩地区にあるんでしたっけね。
    別世界に紛れ込んだような気持ち、ですか。そそられますねぇ。
    多摩地区は緑が多くて、広々しているから、何か施設を作るには
    もってこいの場所ですね。

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