「マンマ・ミーア!」

~なんたってダンシング・クイーンですよ~
2008年 米/英 フィリダ・ロイド監督



六本木のTOHOシネマズで映画を観る時には、いつもネットで席を押さえておくのだけど、今日は夕方になるまで、何を観ようか気持ちが固まらなかった。それゆえ、席の手配をしないでいたが18時近くなってやっと「マンマ・ミーア!」な気分だわ、とチケット状況をみたらなんと「残席僅か」のマークが!いかに世間でヒットしていると言われている映画でも、「残席僅か」マークって滅多に出ない。この分ではチケットカウンターに着くころにはソールドアウト必至だな、と思ったので、ヒルズはやめて開始時間が少し遅い有楽町マリオンの日劇に向かった。結果ビンゴで、席は確保したが、あの広い日劇1が満員の大盛況。あれだけの広さの劇場が満員の状態というのは随分久々に観たかもしれない。「マンマ・ミーア!」恐るべし。

で、冒頭から月夜の海に「♪アイ・ハヴ・ア・ドリーム」であっという間に観客を引っ張る。娘役の女優はトレーラーで見た時に、なんだか顔がイマイチだなぁと思っていたが、ミュージカルは顔よりも歌声イノチ。納得のクリスタルヴォイスで、映画が始まった途端に気持ちよく乗れた。

このミュージカル、有名なのでタイトルだけは知っていたけれど、無論観た事はなく、メリルと聞いてどうしようかと思ったのだが、何と言っても昔から大好きな「ダンシング・クイーン」を歌い踊るシーンをトレーラーで観てしまい、しかもあまりにも目立たないながら、コリン・ファースも出ている事が判明したので、その2つに引っ張られてメリルの魔女顔もモノカワ、劇場へ。

結果、確かにメリルの魔女顔はお話のムードにはちとシリアスで合っていないのだけど、この人はさすがの演技派だけあって、歌もちゃんとモノにしている。大女優たるもの、歌も芝居のうちなのよってわけで、高音が意外なほどきれいでよく通る歌声だった。ダンスの方もまぁまぁ頑張っていてオバサン大女優の底力に恐れ入らせていただいた。



ワタシは舞台を観ていないので比較はできないのだけど、演出家が同じなので舞台そのままの映画化らしい。キレイな海とギリシャの島で実写化してみました、という事なんだろうけど、いいんじゃないですか?映画だからって格別違う演出なんかしなくても。アバのお馴染みのナンバーをストーリーに一部こじつけっぽくも混ぜ込んでいるので「マネー、マネー、マネー」を歌いだした時にはぷぷ、と笑ってしまったが、軽やかでノリのいい曲や耳に馴染んだメロディの数々は聴いていてとても気持ちが良かった。

ギリシャの小島でボロホテルを経営するドナ(メリル)と、昔、交渉のあった3人の男たち。彼らはドナの娘ソフィーが結婚するにあたり、招待状を受け取る。20年前に別れたドナからの招待状に男どもは仕事を休んでギリシャの小島に駆けつけるが…、というわけで、その3人の男たちにピアース・ブロスナン、ステラン・スカルスガルド、そしてコリンが扮している。コリンは例によって絵に描いたようなエリートでスノッブなジョンブル、という感じで登場するのだが、段々に人のいい純な少年みたいな部分も出てきてヨットの上でギターをつまびいて歌う「アワ・ラスト・サマー」の軽やかな歌声に暫しウットリした。声だけなら18歳の若者のような瑞々しさ。さらっと歌っているがコリンったら、やっぱり歌も上手いのだった。途中、ブロスナンやスカルスガルドもちょろっと歌うが、これはもう断然コリンの歌声が冴えている。
少しオッサン度を増し、肉付きもよくなっていたコリンだが、途中まではその白いYシャツ姿をうふふふん、コリン、と思いつつ眺めていたのに、終盤からラストにかけて「オットドッコイ、そう来たか!」な展開で、ラストのステージ姿は目に痛いばかり。他人事ながら気恥ずかしく、コリンのポテリ気味のお腹を眺めつつ、こんな姿を人目に晒していいのか、となにやら気を揉んでしまった。「太ったオジサン」になるのはまだ早い。もうちっとダイエットしなさい!オッサンになったといえば、ピアース・ブロスナンの老けっぷりもかなりのもので、あまり興味のない俳優なので出演作品も殆ど観た事はないのだけど、脳裏にあったイメージよりもかなり老いが来ていたのでほへ?と思った。ちょっと観ない間に急激に老ける人というのがいるけど、ブロスナンもその口のようだ。壮年というよりも、老年に差し掛かった気配のする顔つきだった。あまり上手くないのに3曲も歌っていたが、「ホエン・オール・イズ・セッド・アンド・ダン」は歌自体が良かったので、締めくくりにふさわしく、なかなか聴かせてくれた。色々な経験をして、ある程度生きてきたから分かる事もある。急がないでゆっくりと行こうじゃないか、という歌詞が、この映画の中でもっともストーリーにはまっていた部分だったと思う。むろんのこと、結婚や恋愛は小娘や小倅だけの特権ではないのだ。



ストーリーは他愛もなく、最初から分かっているようなもので、コリン扮するハリーのサプライズがご愛嬌というところだけれど、モッサリしたジャガ芋みたいな冒険家(ステラン・スカルスガルド)を独身主義だったドナの旧友が追い掛け回すなどユーモラスなシーンもある。(あ?あ、スゴイのに掴まっちゃった)ステラン氏は「ゴヤ」でお目にかかって以来二度目のおめもじ。モッサリしてるけど、自然にいろんな役になりきる人で、目立たないけどちゃんと仕事をする俳優だ。そういえば、今回、ドナの三人の男たちは皆かなりの長身だったので、あのコリンが一番小さく見えたほどだった。それってみんな相当にノッポってことで、190cm前後みたいな男が3人集まるとなかなか壮観だ。

が、しかし、ワタシがどのシーンよりも大喜びで、思わずシートの上でノリノリになってしまったのは、やっぱり「ダンシング・クイーン」。ボロホテルを一人で切り回し、働きづめで借金だらけ、と嘆くドナを「昔の元気はどうしたの?」と旧友二人がチアアップするシーンで、待ってました!のイントロが流れてきた。

♪あなたはダンシング・クイーン
 若くて、キレイで、まだ17!



これはもう理屈ぬきにウキウキ。
「ダンシング・クイーン」のパートだけもう一度観たいと思ったぐらいにゴキゲンだった。
メリルさんの聴かせどころとしてはクライマックスの「ザ・ウィナー」なんだろうけれど、まぁ、その熱唱っぷりを聴きつつも、あぁ、「ダンシング・クイーン」聴きたいわ、もう1回やってよ、と思っていたら、大団円のラストにディスコシーンが出てきて、再びやってくれましたわ。そうこなくっちゃね!
女も古くなった上に厚化粧すると、限りなく古びたオカマに近づくが、メリルを筆頭にオバハンたちはダンシング・クイーンというよりもドラッグ・クイーンのようだった。が、そのマンドリンのような腰から太ももの曲線に、アバの女性ヴォーカル二人のヒップラインをちょっと思いだしたりした。そんなわけでもう、頭の中では「ダンシング・クイーン」がヘビー・ローテ中。今度カラオケに行ったら、振り付きでこれを歌ってしまいそうな自分が怖いkikiでございます。

コメント

  • 2009/02/06 (Fri) 00:38

    劇団四季の「マンマ・ミーア!」を観たことがあるのですが、なんと歌詞を日本語に訳してしまっていて、すごくがっかりしたんですよね。だから、今回この映画版を観て「やっぱりこうでなくっちゃ!」と思いました。「ダンシング・クィーン」の場面はやっぱり楽しいですよね~♪
    で、私もkikiさんと同じく、男性陣ではコリン・ファースがなかなか上手かったと思います。ピアース・ブロスナンは、声質が歌向きではないなあ、と。本人はかなり練習したらしいですけど、最初のうちは子供達からダメ出しをくらっていたそうです。ところでピアース、そんなに老けてましたか。私的には「ま、こんなもんかな」って感じでしたけど・・・。ああ、でもこの間TVでチラッと「ゴールデン・アイ」を見たら「若いな!」とは思いましたけど(笑)。
    逆に私はメリルがちょっと・・・。嫌いな女優ではありませんが、やっぱりこの人ってシリアスな方が合ってるんじゃないかしら、と。彼女が綺麗に見えなくて困りました。

  • 2009/02/06 (Fri) 07:34

    mayumiさん、歌詞が日本語だといよいよこじつけ感が増大しそうですねぇ。ワタシの友人はロンドンの舞台を観ているので、映画版は「男性陣の歌がダメすぎて」途中爆睡したらしゅうございます。さもありなん。でも、ワタシは一切舞台を観てないし、他はどうでも「ダンシング・クイーン」だけはゴキゲンだったので、それで全ては良し、ですわ。(笑)それにしても、ブロスナンの歌は人さまに聴かせるレベルじゃないというか、小手先でごまかしてる感じアリアリでしたね。ワタシは「トーマス・クラウン・アフェア」か何かを前にちらっと見て、その後これだったので一挙に爺さんになった、という印象になりました。もう70代の顔が想像つく感じ。(これじゃいずれにせよボンド役はもう無理だわ、と思ったりして…)で、メリルは一人だけ顔がどシリアスな「ホロコースト顔」なもんだから、話や全体の空気と合わないし、う~む、という感じは拭えないんだけど、歌を頑張ってたので免じる事にしました。でも他に幾らでも大看板で歌も歌える人はいそうなもんだのに、なぜメリルだったんでしょうねぇ。

  • 2009/02/06 (Fri) 22:18

    昨日、ムリヤリ入場にて観て来ましたぞ!
    ダンシング・クイーンで号泣…なんでこんなに涙君?って、分からないけど感動した!
    ABBAの曲、普通に聴いてきたけど初めて意味判明の歌もあって楽しかったわー。
    3婆トリオが面白くって!いや、料理家と整形顔の2人ね。トレーラーの時は本当にコリンの陰が薄くって、名前が出たとき「ひぇ~~~!コリン公」ドンテンコイタ。
    ↑メリルの「ホロコースト顔」ってワタシャ怖くて書けねぇズラよ。kikiさんに乾杯!(完敗)ははは。

    • 吾唯足知 #uqr/pqJA
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  • 2009/02/07 (Sat) 00:30

    吾さんは泣いたか!…泣くってあーた。でも、なんとなくお気持ちは察してよ。
    アバの曲、あまり人口に膾炙してない曲も混ざっていたようで、へぇ~、こんな曲もあったのねんなんて聴いていると面白かったですね。そうなの、コリン、トレーラーで脇に押しやられすぎだよね。あんなプレスリーもどきのステージ衣装で恥をさらして頑張っているというに…。報われず。3婆トリオっていいネーミングなり。うふふふ。あのちっこいオバハンはほんと、婆さんて感じだったものね。でもこの映画は、やっぱり何はさておき「ダンシング・クイーン」って事ですわね。いや~。あのシーンだけもう1回観たいわ。

  • 2009/02/07 (Sat) 10:37

    お、マンマ・ミーア!ですかkikiさん。なかなか楽しいですよね、これ。私もkikiさんのお友達と同じく数年前にトロントで舞台を見てしまったので、映画版にはどうしても点数辛くなっちゃうんですがまあそれはそれ。ただ、やっぱり私もメリルが主役なのはどうかと思う。他にいなかったのか?あとハリポタのウィーズリーおばさんがママ友だったりとか、なかなか不思議な配役。男性陣は全員好きだったわあ。うふ。
    舞台版ではもっとかっちりと歌とストーリーがはまって一つのお話になってた記憶があるんだけど、映画ではそこがすこしゆるかったかなと思う。ま、時間の制約もあるもんね。
    しかし日劇満員なの!?ええええ?

  • 2009/02/08 (Sun) 09:58

    Sophieどんも舞台版を観てるのね。どうも最初に舞台版を観ている人には、何かと評判が悪いみたいね~。(笑)確かに舞台は本物のミュージカル俳優が歌い踊るわけだから、キレやメリハリや迫力が違うでしょね。映画はそこらへんの不足をギリシャロケで補ったってわけなんでしょ、きっと。
    この日はサービスデーだったこともあるけど、ヒルズは午後になると席は半分になり、夕方には残席僅か。休日でもないのにそんなのあまり見かけないから、ああらららという感じ。で、マリオンに行くと、こっちも限られた場所しか席が空いてない状態。後方の席だったから、トレーラーが始まる頃になるとほぼ一杯に埋まった劇場が見渡せて壮観だったわ。何しろ広いから観客の笑い声もサラウンドみたいに聞こえてくるし、久々に大箱で観るっていうのも面白いわね。前にマリオンの日劇で観た映画はなんだったか、もう思い出せない程ご無沙汰だったもんで、新鮮でしたわ。

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