憧れのイングリッシュ・ガーデン



ワタシのささやかなベランダも、紫陽花がそろそろ時を迎え、クチナシの蕾も膨らみ、百合の茎もすくすくと伸びてその中から蕾が出てきました。日ごとに成長しているので、朝起きて窓を開けてベランダを見るのが楽しみです。
それにしても、ワタシが一体、いつからどうして草花だのガーデニングだのに興味を持ち出したかといいますと…。
今から、もう十数年前のことになりますが、ある夏、知人に誘われて、その知人のリタイアした元上司の方の山荘に遊びに行く機会がありました。そこは八ヶ岳を臨む別荘地で、転勤族だった元上司の方は、首都圏には家を買わずにずっと社宅で済ませてきて、リタイアした後でその山荘に奥さんと住むようになったんだとか。旦那さんは大工仕事、奥さんはガーデニングとリース作りが趣味、という穏やかなご夫妻で、その奥さんの理想の庭がターシャ・テューダーのイングリッシュ・ガーデンでした。ワタシはそこで初めてターシャ・テューダーの存在を知り、奥さんが見せてくれた写真集でターシャの庭を知ったわけです。


ターシャ・テューダーとその庭


写真で見たターシャの庭にも興味を持ちましたが、八ヶ岳の見える高原の別荘地で、山荘の周囲に四季の花々や木々を植え、ゆったりとしたリタイア後の生活を楽しまれているそのご夫妻のありようと、ターシャの庭のように広大ではないけれども、奥さんの丹精した草花の揺れる、その小さなイングリッシュ・ガーデンの佇まいがワタシにはとても目に快く、心に淡い憧れが残りました。

そのお宅を辞して、夜、中央道を車で帰りながら、「あんなリタイア後の生活は理想だねぇ。あの庭、素敵だなぁ」と言うと、知人はさっぱり庭にも花にも関心がない様子で、「そうかなぁ。まぁキレイだったけどねぇ」とボンヤリしたお返事。知人は全くガーデニングには興味がなかったのでしょうが、ワタシはそういうものに惹き付けられる傾向が自分の中にあった事を、その時に初めて認識したわけですのね。
そもそも我が家は、祖母は生け花の師匠をしていたし、母もガーデニングが好きで、家の庭先に花壇を作っていたので、ワタシにも素地としてはそういうものはあったんだろうと思うけれども、自覚したのはその時からだろうと思います。

その後、NHKでターシャの庭が何度か特集で取り上げられたりしているのを見るうちに、「やっぱりイングリッシュ・ガーデンは素晴らしいわ」と憧れはますます強くなりつつも、まぁ、ターシャの庭はまず普通の人にはムリだからねぇ、こうしてTVで遠く眺めるだけだわね、と思ったり。バーモントって信州みたいだわ、と思ったり。

それから更に時が流れて、数年前にBSで放送された「イングリッシュ・ガーデン」の特集で、その中に素晴らしい庭園が紹介されていたのを見ちゃったんですねぇ。これもTVで眺めるだけだけど、実に眺め甲斐のある素晴らしいお庭ざんしてね。
南イングランドのシシングハースト・キャッスルと呼ばれるコテージとその庭で、30年かけてその庭を作ったのは一組の夫婦。外交官で批評家の夫ハロルド・ニコルソンと、作家で詩人の妻ヴィタ・サックヴィル=ウエスト。
日本でいえば、例の白洲次郎と正子の夫婦っぽい感じになるのかな。どうかな。



1930年に夫妻がシシングハーストを買って移り住んだ時には建物の周囲に庭はなく、畑になっていたそうで、夫妻は庭造りなど何も知らなかったけれども、1から2人で少しずつ庭を拵えていったとか。

全体設計を考えるのは夫。夫の区切った区画に花を植えるのは妻。
垣根やレンガの塀で敷地内を区切ってさまざまな様式を取り入れた庭が展開するシシングハースト。



夫妻がこだわりのオールド・ローズばかりを集めて植えたローズガーデンや明るい色の花が咲き乱れるコテージガーデンや、白い花ばかりを集めたホワイトガーデン、櫟の生垣が両側に壁のように並行して、その間に小道を作るイチイの小径、遊歩道の両脇にライムの木を15本ずつ植えて作ったライムの小径など、静謐で美しい、夫妻の夢の空間が広がっております。


イチイの小径

ローズガーデン

ライムの小径

ホワイトガーデン

夫妻は、午前中はそれぞれの書斎で執筆に没頭し、午後は庭に出て、心行くまでガーデニングをして過ごしたとか。
…憧れですねぇ。  なんちゅう優雅さかしらん。

と、そんなシシングハーストにウットリしていたかと思えば、昨今では京都・大原で本場イギリスから来たベニシアさんが築百年の古民家に住んで、家のぐるりをイングリッシュ・ガーデンで彩っておられるさまをEテレで見てしまい、これは実にもう、理想的な暮らしだよねぇ、なんて更にウットリが極まるワタクシ。
あの人のおうちには立派な藤棚がしつらえてあって、季節になると房も重げに藤がふさふさと垂れ下がるんですのよねぇ。いやぁ、家に藤棚があるのは素敵だな。まぁ、藤棚は言うに及ばず、あの人の生活は素朴と素敵のオンパレードですね。まさに素敵生活。ベニシアさんとその庭は映画になって、この秋に公開されるらしいので、これは是非とも観に行かないとね。暗闇でウットリ。ふふふ。


庭仕事に勤しむベニシアさん

作業場の上を藤棚が覆っている いいですねぇ


信州か甲州に小さな山荘を建てて、そのぐるりをイングリッシュ・ガーデンにして、巡る四季を花々が彩っていくのを楽しむ、というのが、今のところのワタシの理想の生活かしらん。まぁ、仕事もあるし、東京も好きだから、山荘でのガーデニングはリタイア後の楽しみって感じになるんでしょうけど。
でも、その頃には甲信越なんて秋冬が寒くて暮らせない、とか言い出して、結局、夢のガーデニング生活は夢のままに終わってしまったりして…。 噫。

コメント

  • 2013/05/31 (Fri) 22:35

    いい季節
    いい女
    ・・・それは、kikiさま!
    な~んちゃって。「いい季節 いい女」は田辺聖子の小説からちょいと拝借しました。梅雨に入ろうかって頃ちょうど今時の季節が好きです。そろそろkikiさんのベランダの百合やくちなしが適度な湿り気のなか甘く香ってくるのでしょうね。

    イングリッシュ・ガーデン。このトピックを見た昨夜、またまたシンクロニシティを感じたよん。きのうの午後、ちょうど友人にターシャ・テューダーの話をしましたのよ。それはこんなお話し。。。数年前、ある伝説に惹かれて人里離れた神社を訪ねたの。その帰りに素敵なお庭のお家を通りかかったところ、お婆さんが出てきてどうぞ花を見ていってと誘われました。立派なお家に一人暮らしで広いお庭は水仙が咲き乱れ花木がいっぱい。愛犬もいましたねww 春先だったので次ぎは芍薬の咲く頃おいでと。それで図々しくも次には手作りのお茶をお土産にまた訪ねたところ、本当に色とりどりの芍薬やらアイリスやらが。夢のようでした。まるでターシャ・テューダーの世界みたいだった。。。と(笑)

    私は、ターシャは手芸や絵本から知ったのだけれどその頃はもうターシャのお庭に夢中で。一抱えものシャクヤクを頂いて帰りました。その直後、なんと八ヶ岳の見えるwww友人の別荘によばれて行ったのですよ!!
    そのお隣の別荘はそれこそリタイアメントされたご夫婦が素敵なイングリッシュ・ガーデンを作られていて、ちょこっとだけれど見学させて貰いました。この時は山梨フラワーセンターに「青いけし」を見に行く旅でしたが。。。と。ね、どこかkikiさんとシンクロしてるでしょ。

    シシングハースト・キャッスルのお二人が白洲次郎と正子ね、なるほどおもしろい考察。次なる研究課題だわ。我らがベニシアさんの映画ができるのですか?それは楽しみです。

    始まりはバーネットの「秘密の花園」だと思う、私の場合。10代の頃は植物には関心が無いと思い込んでた時期もあったけれど。何しろ子どもの頃大好きなお話しだったから。今では毎年トイレのカレンダーは、Workman Publishing の“Secret Garden”なのは、ヒ・ミ・ツです!で、kikiさんの文章読んで気付いたのね。秘密の花園のメアリーもターシャもお白洲さまも(正子は実際は・・・まいいか!笑)シシングハーストの二人もそしてベニシアさんも、みんな荒れ地やかつては庭だったところに丹精して自分のお庭世界を創り出してるということ。そこが良いねと。その気力・体力・(財力)羨ましすぐる。できるなら私も。

    しかし私には、すでに一から庭仕事する体力は無いと思われ。夢は枯れ野を駆けめぐる・・・ではあまりに悲しいのでせめて、夢で、だけでも花園を駆けめぐりたいと思う今日この頃でしゅ。いや、kikiさんのがあったな☆kikiさん!信州か甲州に山荘たててイングリッシュ・ガーデン作ったら是非とも私めを呼んでくだされ~~。
    ところで、ベランダの百合の品種は何でしょう?白だとカサブランカやマルコポーロ、ピンクだとソルボンヌ等かな?



  • 2013/06/01 (Sat) 09:10
    藤棚

    kiki様
    おじゃまします。
    藤棚、きれいですよね。私がいっていた小学校は紫と白の藤の大木(こどもが蔓で座ってブランコできました)がある庭があり、いっせに咲いたときの花の香りとそこに差し込む日差しは忘れられません。そういえば池やら他の花も沢山あったような、イングリッシュガーデンなんて言葉もしらないときでしたがそれに近かかったのかしら?藤は和風ないイメージがあったのですがイタリアなんかにも建物に這わせているおうちがあったりするのでけっこうモダン(なんて今、使わないかもしれないですね)な花なのかもしれませんね。

  • 2013/06/01 (Sat) 12:53

    ジェーンさん
    とうとう梅雨入りしましたが、まさに、梅雨の時期に紫陽花が開き出しました。本当に季節通りだなぁ、と目を細めています。百合とクチナシはまだ、もうちょっと先かな。クチナシの方が先に咲き出しそうです。うちの百合はオリエンタル・ハイブリッドじゃなかったかしらん。咲くととてもよい香りを放つらしいです。楽しみ、楽しみ。

    伝説のある神社の傍にターシャみたいなお婆さんが花に囲まれて住んでいるなんて物語みたいな話ですね。ふぅん。
    そして、その後に八ヶ岳の見える別荘に遊びに行ってイングリッシュ・ガーデンを見た、というのは不思議ですね。へぇー、確かにちょっとシンクロしてるかもね。私見だけど、甲州と信州の境目のあたりというのはイングリッシュ・ガーデンを作るのに向いているような気がするんですわね。

    ベニシアさんの映画は秋ごろに公開になるらしいですわ。彼女の大原での里山暮らしの様子と、その庭が四季を追って紹介されるという感じじゃないかなと思います。癒されそうなり。

    キッカケは「秘密の花園」ですか。なるほどね。子供の頃や、若い頃には、草花に特に興味はないと思ってるんだけど、潜在的にそういうものが好きだと、人生のどこかでそれが芽吹いてくるんですわね。
    そして確かに、みんな、荒地や放置された土地、庭でもなんでもなかった土地を丹精してイングリッシュ・ガーデンに仕上げてますね。ほんと、気力・体力・経済力が必要ですわね、これ。あと、なにがどうでも理想を現実化するという強い意志かな。
    その強い意志を持って、ワタクシも高原に好みの山荘を建てて、理想のイングリッシュ・ガーデンを作らないとね(笑)実現した暁には、ご招待しましょう。ふほほ。いつの事になるやら分らないけど…。

  • 2013/06/01 (Sat) 13:06

    joveさん

    藤棚っていいですよね。日本でも、古いおうちで玄関の脇に藤が生えていて、玄関の上に藤の枝を這わせているようなおうちがありますが、そういうのを見るたびに、家に藤があるっていいなぁと思います。
    joveさんも藤がお好きなんですね。藤は日本固有の種らしいですが、18世紀とか19世紀、イギリスではボタニカル・ハンターという職種の人が王様の命令で世界中を巡ってイギリスにはない花や苗を集めて持ち帰ったらしいんですよ。藤もそれで欧州に渡ったんじゃないかしらん、と思います。百合なんかもそうらしいです。

  • 2013/06/01 (Sat) 19:38

    kikiさま 

    藤や百合が日本固有の種だったとは!!素直に驚きです!

  • 2013/06/01 (Sat) 22:03

    庭仕事は時間がある人か、マメな人でないとなかなか…ですよね~。
    私も今の家を建てた当初(十数年前)にはイングリッシュガーデン風にするつもりでした。
    実際、全体の雰囲気は自然を生かしたロックガーデン風のイングリッシュガーデンもどきになりかけてましたけど。
    ぐうたらな性格の私は勢いがつかないと庭に出れないのですが、ここ数年仕事が忙しくて心の余裕がなくなり、なかなかその勢いがつかないので、庭がすぐに荒れてしまいます。

    再来週、我が家に初訪問する来客があるので、それまでにはきれいにしておきたいです。

    • ようちゃん #-
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  • 2013/06/01 (Sat) 23:31

    あ、百合は日本固有種じゃなくて、アジアと北米に多く分布してるようです。でもイギリスに渡った最初の百合は日本産のヤマユリらしいですわ。

  • 2013/06/01 (Sat) 23:36

    ようちゃん
    ホントにね。本式にイングリッシュ・ガーデンを作ったら、季節事の手間ひまとか、翌年綺麗に咲かせるための準備とか、なかなか大変そうですね。雑草がすぐにはびこるから、それを間引くのだってエライ事だろうしね。(笑)
    お客さんが来るまえに、庭の体裁が整うといいざんすね。頑張って。

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