「パーソン・オブ・インタレスト」(PERSON OF INTEREST)シーズン1

-タフガイの囁き声-
2012 米  Kilter Films, Bad Robot, Warner Bros他



これについては、AXNで放映が始まる前ごろ、わぁわぁと番宣が流れていたので1話目だけ見てみたものの、さほど引っ張られるものを感じなかったので、その後ずっとノーチェックだったのだが、昨今、一挙放送をしているので一応録画しておいて、何話か観賞してみた。C3POを生身にしたような頭脳派のフィンチと、6' 2"の長身を高級スーツに包んで人助けに動き回るリースのコンビネーションは面白い。リースを演じるジム・カヴィーゼルの女子受けが良いのも、ははぁーん、と納得。でも惜しむらくはちっと声がソフトで高い。だから無理に低めようとしているのか囁き声のスーハー調のしゃべり方になっていて、タフガイの柔らか~いスーハー調の語り口というのは、新鮮なんだか微妙なんだか…という感じもなきにしもあらず(笑)

1話目ではモーゼが乞食になっちゃったようなホームレス姿を披露したリース役のジム・カヴィーゼル。サイドのグレイヘアがトレードマークのようで、白髪を染めずにそのまま出ているのは好感が持てるが、この人は、髪にかなり白髪がまじっていても老けて見えないのが真骨頂かもしれない。顔の皮膚に張りがあるせいか、40代前半の男盛りの雰囲気が充満している。背も高い。188cmというのはコリン・ファースや、ジェラルド・バトラーなどと同じだから、かなりの長身である。肩幅が広く、体つきもしっかりとしているが、大学時代はバスケットの選手だったらしい。プロを目指していたが怪我で断念。俳優へと進路を変えた。
ワタシは当初、この人と、「LOST」のマシュー・フォックスの区別がついておらず、「パーソン・オブ・インタレスト」は「LOST」に引き続いてマシュー・フォックスが出ているのだと思っていた。暫く見ているうちに、なんとなく違うような気がして出演者をチェックして、別人だと気づいた。でも雰囲気が似てませんか?キャラが被らないのかしらん。


マシュー・フォックス(左) ジム・カヴィーゼル(右)似て蝶

ジム・カヴィーゼルの映画デビュー作は「マイ・プライヴェート・アイダホ」らしい。へぇー。どこに出ていたのだろう。チョイ役だったのだろうけれど、もう一度見てみても分らないかもしれない。その後下積み生活を経て、「シン・レッド・ライン」の主役に抜擢されてからは順調なキャリアのようだ。この人は派手なルックスというわけではないので、若い頃よりも、むじろ30代後半から40代、50代とよくなっていくタイプの俳優のような気がする。だから40代半ばの今というのは、まさに絶頂期ともいうべき時期にさしかかっているのではなかろうか。スポーツマンだけあって、体も良いし、アクションもOKだし、黙って立っていると絵になるが、いかんせん、声が妙に優しくて高いのが残念である。これで声がバリトンだったら良かったんだけどねぇ。



画面を見ないでオリジナルの音声だけを何かをしながら聞いていると、彼のスーハー調の語り口が耳に引っ掛かるのである。なぜいかなる時にも吐息のようにしゃべる?大きな図体で息を抜きすぎである。さなきだに深い低音の声質じゃないとグっと来ないワタシなどは、ヤワヤワしすぎていてさっぱり訴えかけられないけれども、あの耳を撫でてくるようなソフトな声は、ファンの女性たちにとってはセクスィー!って事になるのかも知れない。まぁ、それはそれとして、短髪で、筋肉質かつ長身の体をダークスーツやコートに包んで、憂わしげな目をして、事件に巻き込まれそうな人物をじっと物陰から見守る様子は確かに悪くない感じである。「あーん、私も守られたぁい!」なんて思っちゃう奥さんたちが洋の東西を問わず、相当数存在しても不思議はない。

で、物語であるが、テロ対策の一環として、極秘に開発された犯罪予知システムをテロ対策ではなく、一般市民のために役立てたいと考えた開発者の大富豪が、自らも身を隠し、表向き死亡した事になっている元CIAのプロの男を相棒にして、非公式に、無報酬で犯罪に巻き込まれようとしている人々を救っていく、というのが骨子だ。街中にめぐらされた監視カメラや、Webや携帯電話やGPSなど、ネット情報の無差別な入手などにより、計画犯罪のみを事前に察知するそのシステムは、行き過ぎた情報機関による個人情報の乱獲や監視社会への警鐘、または風刺が籠められているのか、どうか。まぁ何らかのメッセージは発信しているのでもあろうけれども、今の世の中、プライバシーを守ろうとするのは蟷螂の斧のような虚しい行為であるのだな、という事だけは伝わってくる。プライバシーなどもはや存在しないのだな、と思わないわけにはいかない。街中にカメラがある、という状態はオソロシイ。家の外だけでなく、家の中も、世界とネットで繋がっていれば、そこからなんでも筒抜けに情報は盗られてしまうのである。「ネットの世界は広大だわ…」という、甲殻機動隊・草薙少佐のつぶやきが思わず脳裏に浮かんだりした。



それにしても、計画犯罪だけを予知するといっても、ニューヨークだけでも一体どれだけの人間が住んでいるか分らないのに、「マシン」が予知する、事件に巻き込まれると予測される人間の社会保障番号を頼りに、一体なにがどうしてどうなろうとしているのかを、対象人物の身辺を探りつつ見当をつけ、毎回きわどく助けていくわけであるが、一人ずつチマチマ救っていったって、焼け石に水だろうよ、という観もある。まぁ、そういうツッコミをかわすためもあってか、NY市警の男女の刑事をサブ・メンバーとしてチームに引き入れるのだが、それでも、圧倒的に人手不足だよねぇ、という印象は否めない。大体、その「マシン」がカメラだの張り巡らされたネットワークからの情報を入手して、どうやって毎回、被害者候補を選び出すのかなどもサッパリ不明ではあるし、全体に荒唐無稽で漫画チックな展開なのは、制作にJ・J・エイブラムスが噛んでいる以上は否めない事であるのだろう。

この「犯罪予知マシン」を開発したのが、CIA工作員だったリースを密かに相棒にする謎の大富豪で天才開発者のハロルド・フィンチである。出た!謎の大富豪。謎の大富豪って便利な設定である。人知れず何かを行うには、大富豪であることは必要不可欠な条件だ。誰の手も借りずに、自分の思う事を思うように行うためには巨額の資産が必要なのだ。しかも、ただの大富豪ではなく、謎の大富豪でなければ、より自由に世間に隠れて活動することはできないので、誰もその顔を見た事がないような、「謎の大富豪」という設定がベターなわけである。



その「謎の大富豪にして天才開発者」のフィンチを演じるマイケル・エマーソンは「LOST」に出ていた人らしいが、ワタシは「LOST」を殆ど見ていないので、今回見るまで知らなかった。マイケル・エマーソンが演じるフィンチは、足を引き摺り、体の動きがやや不自由なため、瞬きを殆どしない無表情とあいまってロボットっぽい印象がある。ワタシはフィンチを見ていて、スター・ウォーズのC3POを思い出した。すべからくロボットっぽい人間というのは、C3POに似るもののような気がする。



常にポライトネスで冷静で、ある一定のスタンスを崩さないロボットのようなフィンチと、体を張って荒事を担当するリースの間に、次第に友情が芽生えていくというのはお約束の展開。相棒というのは、徹底的に対象的な方が物語として面白い。
また、常にPCの前にいて必要な情報を随時リースに知らせるフィンチと、街に出て行動するリース、というパターンを崩し、リースの負傷により、フィンチがカクカクとした動きで街に出てリースの代わりに行動し、リースがネットで情報を探ったり、危機を知らせたりすることもある。

彼らが助手として(?)便利に使っているNYPDの刑事たちは、おっさんデカのファスコと、黒人の女性刑事カーターである。この組合せがなかなか味である。ファスコを演じるケヴィン・チャップマンも、マイケル・エマーソン同様このドラマで初めて見たが、おっさんらしい愛嬌があって妙に憎めないキャラである。一方の、正義漢が強くてはみだし気味の女性刑事カーターを演じるタラジ・P・ヘンソンは「ベンジャミン・バトン」でベンジャミンの育ての親を演じていた女優らしい。どこかで見たような…と思っていたのだけど、「ベンジャミン・バトン」だったか。
当初は犯罪現場に出没する謎の男としてリースをマークする女性刑事カーターだが、リースとその背後にいるフィンチの目的を知ってからは、随時、彼らの人助けに協力するようになる。



ファスコやカーターなど、NYPDの刑事たちを絡めた毎回の人助けが展開されていくだけだと、よくある刑事ものに近くなったりしてマンネリ化しそうだが、大富豪かつ天才開発者であるフィンチに挑戦をしかけてくる天才女性ハッカーなどが現れ、話が少し複雑になったりもする。ワタシはシーズン2の1話目までしか見ていないので、この女ハッカーとフィンチ&リースがどんな闘いを繰り広げていくのかはまだ分らないが、手強い敵が現れて、狡知の限りを尽くした妨害工作などをしかけられ、毎回の人助けの合間にフィンチとリースのコンビが、これにどう対処していくのか、という側面もあった方が面白い事は確かだろう。

「パーソン・オブ・インタレスト」はシーズン3まで制作されていて、現在、シーズン3はUSで放映中らしい。日本でもシーズン2が放映中で、シーズン3は来年の早い時期に放映予定らしいので、珍しくあまりタイムラグがない状態で日本でも放映されているドラマのようだ。このドラマはシーズン間のインターバルが短くて、矢継ぎ早に制作され、放映されているようなので、スタッフやキャストはけっこう大変なのではなかろうかと推察されるが、頑張っていただきたいものである。

コメント

  • 2013/11/14 (Thu) 19:27

    kikiさん、たいへんご無沙汰しております。

    「パーソン・オブ・インタレスト」見てないんですけど(見れる環境ではありますが海外ドラマは食わず嫌いなとこがありまして・・)、ジム・カヴィーゼル、以前にちょっとファンでした!
    きっかけはメル・ギブソン監督作「パッション」でした。俳優目当てでは全然なくて、なんだかとにかくすごいらしいと聞き及び観にいったのでした。それはそれは痛い痛い作品で、カヴィーゼル氏はキリスト役なのですが、その拷問シーンのすごいこと!リアルすぎて気絶しそうでした。しかし静かに耐えるキリスト役のカヴィーゼル氏になんだか惹かれてしまい、結局二回見たのでした(笑)。後にも先にもあんな痛い映画は見たことないです。
    「シン・レッド・ライン」も見ましたが、わたしには難解でポカ~ン状態。「ハイ・クライムズ」「ハイウェイマン」とか誰も知らないであろうB級作品も見ましたよ(笑)。そのうちわたしの熱も冷め、カヴィーゼル氏の作品を追うこともなく(メジャーな作品にはあまり恵まれなかったようですね)今に至りますが、ドラマで活躍中とのことでよかったよかった、という具合です。
    ハンサムだけどなんていうかパンチがないような・・。ソフトボイスでしたっけね、もう思い出せないけど、ドラマとはいえ、またメジャーシーンに登場。頑張っていただきたいものです!

  • 2013/11/14 (Thu) 22:57

    ミナリコさん お久しぶりですねー、こんばんは。
    邦画レビューがなかなか出せなくて申し訳なしですわ。
    ミナリコさんがジム・カヴィーゼルのファンだったとは、これまた意外な…。
    そういえば「パッション」って話題になってましたね。「監督兼俳優」と言えばケヴィン・コスナーに続いてメル・ギブソンもやっていたという印象です。その頃はもう、メル・ギブソンは何をやっても大当たりで、子煩悩なマイホームパパというのが売りだったけど、トンデモ暴力亭主だった事がのちに分かったりして、人生、栄枯盛衰ですわね。
    で、ジム・カヴィーゼル。確かになかなかカッチョいいのだけど、ソフトですね。声も存在感も。決め手にかけるというか、確かにパンチがないって観も無きにしも非ず…。でも、ジムのファンだったなら「パーソン・オブ・インタレスト」は一度ぐらい見てみてもいいかもしれませんよ。とにかくジム・カヴィーゼルは儲け役で、常に口数少なくコートの襟を立てたりして、いざとなると頼りになる、猛烈に腕の立つ男を演じていますわよ。ワタシも最初は海外ドラマさっぱり見なかったけれど、何かで見始めて面白いと思うドラマが出てきたら、毎回チェックするのが楽しみになっちゃったりしますことよん。

  • 2013/12/01 (Sun) 23:20

    おおおお!このドラマ大好きなんですよっ!ブルーレイシーズン1とシーズン2を持ってます!シーズン2のブルーレイはアメリカ発売にも関わらず、日本語字幕&日本語吹き替えが入っているという、日本の視聴者に優しい仕様となっております。
    がっ!今アメリカで放映中のシーズン3ではとんでもない展開となり、私は現在失意のどん底でございます・・・(涙)。
    この作品のプロデューサーがクリストファー・ノーランの弟、ジョナサン・ノーランなのですが、この先どんどん暗くなることが予想されて鬱です・・・。

  • 2013/12/02 (Mon) 22:35

    mayumiさん
    ワタシは、今、AXNで帯放送しているのでシーズン1に続いてシーズン2を随時、見ているという感じですわ。確かになかなか面白いですよね。CIAとかFBIの後ろ暗~い感じとかも、よく出ているし(笑)アメリカ版のBDには日本語字幕と音声も入ってるんですか。日本はいい市場ってことかもですね。
    そして、シーズン3で一体、何が起こってしまうんざんしょうかしら。気になりますねぇ。mayumiさんがそれほど取り乱しているからには、リースに何か悲劇的な事が起きるのかしらん。でも彼が負傷したりすると行動する人が居なくなってストーリー展開に支障を来たすから、フィンチが不幸に見舞われるのかしらん。うーむ、気になるなぁ…。

  • 2013/12/02 (Mon) 22:53

    ふふふ、シーズン3気になるでしょう?でも、知ったら一気に観る気を失くすというか・・・私はしばらく脱力しました。もう観たくないと一時期は思ってしまったほど。アメリカ人のツイッター見たら「Nooooooo!」の嵐でした。ちなみにプロデューサーたちは「この作品で確実に生き残ると断言できるのはベアー(犬)のみ」と言ってます。サド・・・(涙)。

  • 2013/12/02 (Mon) 23:03
    Re: タイトルなし

    そんなに気を持たせられると、シーズン3の展開が気になるじゃないですか。(笑)
    日本ではいつ放映かな。来年の春ごろには放映始まるかしらん。誰か死ぬんざますね?あらまぁ…。誰なのかしらん。気になるわ。

  • 2016/03/12 (Sat) 09:48
    フィンチとC3PO!

    突然失礼します。フィンチとC3PO!似てますよね!
    実は昨日、夢の中にフィンチさんが登場したのだけど、そこではナゼか日本名でした。起きてから妻にその話をしようとしたのだけど、夢の中の日本名に惑わされてか、彼の役名も芸名も出てこなかった。"Person of Interest"も"LOST"も妻と観ていたのだけど、このドラマ名も連想がつながらなかったんです。^^;
    で、C3POに似たあの俳優!って言ったのだけどw通じないwそして数時間後、フィンチの名が出てきて、ロストでのベンなど全て繋がって、妻に言ったら、「相変わらずだなぁwC3POで分かるわけないじゃん!」って言われちゃったのですが、今、「フィンチ C3PO」で画像検索かけたら、なんと二人が隣り合った画像がトップに出てきた!

    というわけで、このブログ拝見し、そしたら映画やドラマのハイレベルの目利きの方の見解! 
    大喜びで、妻に報告いたしました!
    妻曰く 「同じセンスの変人 いて良かったね~」だってw
    ブログの見解、とても共感いたしました。^^

  • 2016/03/12 (Sat) 18:20
    Re: フィンチとC3PO!

    Masami Fujiiさん こんばんは。

    まぁ、いきなりフィンチ役の俳優の名前や役名を思い出そうと思ってもちょっと難しいですわね。ワタシもとっさには出てきませんわ。顔は浮かんできてもね。でも、似てますよねC3POに。逆に、C3POに似た俳優のあれだよ、とか言ってもフィンチが脳裏に浮かぶ人はいないだろうとは思いますが。

    > 妻曰く 「同じセンスの変人 いて良かったね~」だってw

    いきなり「変人」扱いとはこれいかに。凄い決めつけですね。でもまぁ、ワタシもブログ中ではちょっちゅう勝手に決めつけているので、たまには決めつけられてもしょうがないかな、という事で流しておきます。

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