「コバート・アフェア シーズン3」(Covert Affairs Season3)

-愛、裏切り、そして愛-
2012年 米 Open 4 Business Productions制作



このブログでは、ワタシの好みを反映して、海外ドラマでは恋愛モノやコメディについての記事は皆無で、スパイ物やサスペンス、ミステリー系のドラマの記事が多いのだけど、中でもダントツの人気なのが、「Sherlock」関連記事と並んで「コバート・アフェア」の記事。「コバート・アフェア」関連記事への検索がかなり多いのをみても、このドラマが愛されている事が分かる。勿論、ワタシも好きだけれど。だって確かに面白いものね(笑)
シリアスで辛いスパイ物も多いが、「コバート・アフェア」のポイントは娯楽スパイ物というスタンスを崩さないところだろうと思う。シーズン3では、アニーの女007化が加速している。任務とロマンス、愛と裏切りのドラマがスリリングなストーリー展開の中で効果的に花開いている。それにしてもモサドのエイアルは出過ぎだなぁとは思うけれども…。

シーズン1から観ていると、当初はOLに毛の生えたようなスパイ1年生だったアニーが、シーズン2では次第に一人前になって遂に初めての殺しを経験、シーズン3では様々なタフな試練を経て、エース的な存在になっていく様子が描かれている。確かにシーズン3はユルくない。非常にキビシい。だが、危険な任務や裏切りや陰謀の中を泳ぎ渡りながら、世界を股にかけたロマンスも展開するのがこのドラマのいいところだ。今回も世界各地へのロケがふんだんに盛り込まれている。
しかしながら、前にシーズン3の1話目についての記事でも書いたけれども、今回のアニーはかなり大変である。撃たれもするし、敵方に捕まったりもする。



心の寄りどころだった姉が姪たちを連れて夫の赴任先に引っ越して身辺から去り、職場では唐突にロシア課への異動を言い渡され、手強いロシアのスパイ、サイモンに接近して情報を取れと指令を受けるアニー。彼女に何事かを告げようとしたジェイは爆死し、その死の裏に隠された陰謀を探るハメになるオーギー。
アニーの元上司ジョーンと新上司リナとの間に、折々女の闘いも繰り広げられる。(リナと、ジョーンの夫のアーサーは昔ちょっと関係があったらしい)何かといえば腕組みをするコワモテのおばちゃん同士の意地の張り合いは怖い。クワバラ、クワバラ…。今回のアニーはこの二人の女性上司の間を行ったり来たりするハメになる。



アニーは任務で近づいた謎の男サイモン・フィッシャーとの間にロマンスが芽生え、一方でスパイ活動も順調に行う。リッチなビジネスマン、サイモンとの逢瀬はパリだったり、DCだったり、キューバだったりするのだが、パリでの休日を楽しむシーンなど、このシリーズの「ロマンス+世界各地でのロケ」という売りの部分がふんだんに生かされている。パリでデートなんてそりゃ楽しいに決まっている。仕事でやってるとしたって楽しい事に変わりはあるまい。



危険な男との逢瀬で情報を取るという任務をこなしつつも、オーギーから「婚約者への指輪を買ったから感想を言ってくれ」と婚約指輪を見せられると、人知れずアニーの表情は曇る。

ジェイの後任を引き受けつつその死因を探るという任務を負わされたオーギーは、戦友の妹パーカーにプロポーズするが、CIA局員である事が知られて怖気づかれ、振られてしまう。ヤケになったオーギーはバーで乱闘事件を起して警察沙汰になり、ジェイの後任というポジションを解任される。
オーギーはアニーとビールを飲みつつ積もる話をしたいと思うのだが、彼女は任務に忙殺されて各地を飛び回っているため、なかなか時間が取れない。



戦友の妹、パーカーに振られた時のオーギーの傷心はちょっと胸キュンである。懸命に翻意を乞うオーギーだが、女はごめんなさいを繰り返して、去ってしまう。スパイを理解できるのはスパイだけである。素人にスパイの女房は務まらない。そもそも、そんな事は分りきっていたのに、なんで素人娘に夢中になったのかねぇ、と思ってしまう。

それやこれやの中で、CIA内部に大物二重スパイがいる事が発覚。ロシア絡みの大物二重スパイなんて、なんとなく「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」を想起させる設定だ。そして、その二重スパイこそがジェイ爆死の仕掛け人だった。オソロシイ。いや~、確かにあの四角い頑丈な顎や薄い唇は冷酷非情な裏切り者に持って来いである。証拠隠滅のため二重スパイに撃たれたアニーは生死の境を彷徨うが、その間に、逆にアニーが二重スパイ容疑をでっちあげられて解任されかける。が、オーギーとジョーンの懸命の活動で真犯人が明らかになる。この時の、オーギーの必死ぶりがナイス。 愛だね、愛。
何かと波乱含みの展開の中で、シーズン1では夫の浮気ばかり疑って公私混同で未熟な上にメス臭いなぁ、という感じだったジョーンが、かなりいい感じに部下思いの上司になってきているのも印象的だった。アニーがプロになるだけでなく、上司も成長するってことなのだろう。



アニーとオーギー、それぞれに任務やプライヴェートに悩みながら日々の仕事に励む中、CIA内部の二重スパイ事件が浮かび上がるなど、波乱の展開の合間に、ちょこちょことアニーに絡んでくるのがモサドのエイアル・ラヴィーン(オデッド・フェール)だ。
シーズン3はこれまで以上に登場回が多かった。エイアルのキャラが視聴者に受けがいいのか、製作サイドが気に入っているのか、ただ便利に使い易いキャラなのか分らないが、かなり頻繁な登板だった。シーズン3では、シーズン2にも増してドラマティックな展開で、敵方の刑務所からアニーを脱獄させるなどという、国も任務も無関係な決死の個人的救助活動を行ったりもする。盲目のオーギーは一人で動けないので、その分もエイアルが行動する、という感じだろうか。



エイアルとアニーの友情もほのかな恋愛感情を含んだもので、共闘する任務で互いに何度も助けたり、助けられたりして死線を越えているうちに、何か特別なものが育っているという感じである。殊にエイアルの方は、モサドに辞表を出した後、仕事を離れてアニーと一緒に生きたいという意向を見せるが、心がオーギーに掴まれているアニーは、ほろにがな笑顔で受け流す。オーギーの存在がなかったら、アニーはエイアルの誘いに乗ったかもしれないが、どうだろうか。彼女は、仕事を捨てる事はしないかもしれない。


アニーのために協力しあう二人

それにしてもアニーは、絶体絶命のピンチになると、身を捨てて助けに来てくれる頼りになる男が二人もいて実に果報者である。それはアニーが常に、オーギーにだけでなくエイアルにも友人として誠実に接しているからだろうと思うが、とにかくアニーはモテモテ状態ではある。滅多な事では心を動かされないサイモンのような男だってアニーには惚れてしまったりする。観る側は、そのモテモテぶりも楽しんで観賞する。これはひとえに、アニーを演じるパイパー・ペラーボの憎めない個性が、アニーのモテモテぶりをイヤミに感じさせないからだろう。困り眉毛でアヒル口のパイパー・ぺラーボは、かなりアグレッシブに振舞ったりするシーンでも、不思議にイヤミを感じさせない個性の持ち主だ。これはかなり得がたい個性というべきで、大抵のアグレッシブ女は、暑苦しい、押し付けがましい嫌味感を払拭することができずに、ウザいとかいい気になっているとか思われ勝ちなものである。



別組織のエージェントで準レギュラーといえば、エイアルの他に、たまにちらっと登場してはアニーに騙されて(その気はないのだが、なりゆきで騙したような事になってしまうのだ)、いつも頭に来て喧嘩別れすることになるFBIのロサビ捜査官(ノーム・ジェンキンス)が居る。シーズン3でも1話だけ登場していたが、またまたアニーが彼を騙したような事になってしまい、怒り心頭。アニーは、今度こそ彼に決定的に愛想を尽かされてしまった、かも。 だが、また困り顔のアニーに協力を頼まれるとブツクサ文句を言いつつ出てきてしまうのかもしれない。ふふふ、憎めない。


いつも貧乏くじで、アニーに怒り、呆れ果てて去る事になるロサビ

シーズン3は、色々な試練を経て任務をこなしながら、不安な時、苦しい時に傍にいて欲しい人物はただ一人である、という事を互いに確信していくアニーとオーギーが描かれる。殊にも、今回はアニーが死線を彷徨うので、オーギーは自分の気持ちに正直に向きあわざるをえなくなる。アニーが撃たれて病院で意識不明の時に、ベッドサイドに座ったオーギーが、意識のないアニーにせつせつと語りかけるシーンは、愛の告白そのものである。「他の誰も必要じゃない。君だけしか要らない」なんてね。

一方、昏睡状態のアニーの夢の中にはオーギーが現れ、どこかのホテルにオーギーの運転する車で乗りつけると、二人でホテルのボールルームで踊り、裏切り者「ブラックバード」が何者なのかをオーギーが示唆する。夢の中でオーギーの車に乗り込むシーンでは、アニーの猛烈なハイヒールにたまげるが、彼女はなんであんな20cmはあろうかという猛烈なハイヒールを履きたがるのだろうか。靴フェチであるというのはシーズン1から明らかにはなっているけれども、猛烈過ぎる。あれじゃいざという時に走れないし、転んだら骨折ものかもしれないし、かなりリスキーである。毎度、なぜにそこまでハイヒール?と首を捻ってしまうワタシ。目一杯爪先立ちをして歩いている感じなので、アキレス腱が攣りそうになってるんじゃなかろうか、既に痙攣してるんじゃないの?とか、余計な事を考えてしまうのだ(笑)


狂気の兇器靴

様々な波乱を経て、シーズン3のラストで満を持してアニーとオーギーは結ばれるわけなのだが、この先まだまだシーズンが続いていきそうな中、シーズン3で恋仲になるという事は、その後にひと波乱かふた波乱ぐらいありそうな気配である。何か厄介な問題が起きて、一度別れるハメになるとかね。スパイ同士の恋愛もそうスンナリと上手く行くとは思われない。そこにまたエイアルが絡んできたりしそうだし。



「コバート・アフェア」は適度にシリアスな展開もありつつもシリアス過ぎず、スパイ・アクションとしてスリリングな展開がテンポよく、ヨーロッパをメインとする海外ロケが目に楽しく、困難な任務に励むなかにもロマンスがあり、冒険がある。主要キャラクターがそれぞれに魅力があって好感が持てるので、気軽に楽しく観られて、しかも面白い、よく出来た娯楽スパイアクションだ。ゆるみがなく、スピーディな展開なので停滞感がないのも良い。


アクションはスピーディだ パイパー・ペラーボは走るシーンも多い

何より、やはりアニー・ウォーカーを演じるパイパー・ペラーボと、オーギーを演じるクリストファー・ゴーラムが二人ともカワイイし、コンビネーションも良いので、気持ちよく観ていられるのである。アーサー(ピーター・ギャラガー)とジョーン(カリ・マチェット)の中年めおとスパイも、それなりの夫婦善哉っぷりで悪くないし、爆死したジェイの父であるCIAの黒幕的なヘンリー・ウィルコックス(グレゴリー・イッツェン)も曲者臭がプンプンしている中に、肉親への情愛が潜んでいたりして、アクセントとして悪くない。


中年めおとスパイ

USでは今年の夏にシーズン5が放映されるのだろうが、日本ではシーズン4がDVDで出るのかもしれない。シーズン3でもそうしたように、4もビデオ・オンデマンドに入ってくるのを待って、おもむろに観賞しようと思う。

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