最近、ちょっとだけホの字です

-あらたに気づいたアラタの魅力 井浦 新-



このところ、何となく気になってきた俳優に井浦 新がいる。前から居るのに何で今ごろ?という感じだけれど、ワタシの場合は「日曜美術館」の司会っぷりが、訥々として真摯な雰囲気で何となく良いな、と思ったのがキッカケかもしれない。俳優としての彼を最初に知ったのは「ピンポン」だったと思う。その後、ちらほらと映画で観たりはしていたのだけど、特に好みというわけではなかったのに、なんとなく「日曜美術館」と「マウントレーニア」のCMで、ちょっと掴まれてしまった。

長らく地上波を観ていないので、評判のいいCMも世間で話題になり始めてから知る事が多くなったワタシ。マウントレーニアも、なんとなくいい感じだ、という評判を聞いてチェックしてみたら、気になる男・井浦 新が出ていた。ヘアスタイルはちと微妙だけれども、雰囲気がいい。日曜美術館での司会ぶりに通じる、軽やかで朴訥とした軟らかい良さがある。



余談だけれど、
ロンゲでコーヒー飲料のCMというと、ワタシは浅野忠信が売れ始めた頃に出ていた「カフェレシオ」のCMを何となく思い出す。あれは消費税で買い物の時にやたらに小銭が必要になった事をネタにしたCMだったと思う。コンビニで、白いザックリセーターを着たロンゲの浅野が、カフェレシオを持ってレジに行く。消費税のせいで細かいハシタが出て、浅野は「あ、1円あります」と言って、ヒップポケットなどに手を突っ込み、あちこち探してみるが、結局「…やっぱ、無いす」と頭を下げる。ロンゲにざっくりとした白いセーターなんてもう必殺の決め技というか、禁じ手に近いような取り合わせだけれども、ワタシも若かったので「あら、ナイスじゃない」などと眺めていた。90年代初頭から半ば頃だったと思う。


なんとなく、このぐらいな頃じゃなかったかしらん、と思うんだけれど

90年代の浅野忠信は好きだった。「幻の光」「ユメノ銀河」、「ねじ式」など、そのころの出演作品はすぐに脳裏に浮かぶ。ワタシが浅野の出演作品をチェックしていたのは2000年の「風花」ぐらいまでだろうか。その後、CHARAを捨てて若い女に走ったりしたのもワタシ的にはかなりのイメージダウンだった。そんなこんなで興味の対象外になって久しい浅野忠信だけれど、最近なんだかやたらに売れていて、話題のドラマや映画に出ているみたいだ。ワタシが一応チェックしなくちゃ、と思っているのはレイモンド・チャンドラーの「ロング・グッドバイ」の翻案ドラマ化作品(BSプレミアム)。浅野はフィリップ・マーロウにあたる探偵役。この役名が増沢磐二(ますざわばんじ)というらしいのだけど、もうちょっとどうにかした名前は無かったものか。フィリップ・マーロウってどちらかといえば二枚目系の名前じゃないかと思うんだけど、磐二ってどうなの?アリなの?一体どうしちゃったのよって感じであるが、この役名ひとつをとっても、う~む、な気配は漂うし、ましてや、夢の女アイリーンに当る役を演じるのが小雪だというのもイヤな予感に拍車をかけるけれども、「ロング・グッドバイ」の連続ドラマ化と言われれば、原作ファンのワタシとしては一応チェックしないわけにはいかない。4月中旬からスタートらしいので、半歩後ろに身を引きつつも観てみようとは思っている。


浅野忠信の「増沢磐二」

というわけで浅野はこのぐらいにして井浦 新に話を戻すと、前から時折、この人の出る映画は観ていたけれども、特にどうこう思った事はなかった。無表情で、虚無的な男の役が多い、という印象だった。かなり異色だったのは、ダルそうに歩き、ダルそうにしゃべる、首のない男を演じた「ウルトラミラクルラブストーリー」(2009)だろうか。
「空気人形」
(2009)では空気人形に惚れられる男を演じていたっけ。
俳優としての彼に、「お」と思ったのは、去年、「そして父になる」の中で、1シーンだけ登場する研究員役を観た時。ちょっとしか出ないのに場面を浚っていた。ワタシはこの映画にさほど感銘を受けなかったもので、観終えたあとに井浦 新の研究員しか印象に残らなかったといっても過言ではない。研究所の林で育った蝉が幼虫から成虫になるまでに15年かかる、という話を福山雅治にするシーンで、福山が「15年も?」と驚くと、「長いですか?」と不思議な微笑を浮かべて問い返す。そこにだけ、形而上的な空気が画面に漂い、なんだか妙に印象的だった。1シーンしか出ないのに、しっかりと浚っていくなぁ、とニヤリとした。

また、今年に入って、ビデオ・オンデマンドで「モリのアサガオ」(2010)というドラマを観た。これはコミックが原作で、テーマは死刑制度についての問題提起と、看守と死刑囚の友情である。かなり重い話で辛い感じではあるのだけど、両親を殺した相手を仇打ち殺人した死刑囚の役に井浦 新はしっくりとハマっていた。看守役は伊藤淳史。熱血系で一生懸命という役をステレオタイプに演じていた。



俳優としての新がちらっちらっと気になるなぁ、と思い始めたところで、「日曜美術館」での好印象が乗っかった。この番組での井浦 新は、ほんとうにアートが好きなんだな、という感じが伝わってくる。知ったかぶりもしないし、変に構えたところもなく、自然体で、謙虚で、でも熱烈にアートが好きだという事が分かる。そんな雰囲気が、なんとなく番組に合っててナイスである。声も低めで耳に心地よいトーンだ。

この雰囲気の延長戦上にあるのが、「マウントレーニア」のCMではなかろうか。これはもう、いやが上にも好感度が上がってしまうであろうCMで、たとえ真夏でも汗もかかなさそうな、風通しのいい、爽やかな雰囲気が流れている。CMの中は年がら年中、春、という感じだ。友達以上、恋人未満な二人(井浦 新、伊藤 歩)の陽だまり的な風景が、折々にマウントレーニアにストローを突っ込んで啜りつつ、スケッチされる。アラタの職業が中古レコード屋を営んでいるというところも、ノンビリとして我が道をいく、という感じがそれらしい。下北沢あたりにひっそりとありそうな小さなレコードショップという雰囲気。ノンビリと商売をしつつ、いかにも趣味で写真とかやってそうなアラタ(笑)





マウントレーニアのCMの井浦 新は、推察するに、やや素に近い空気感を醸し出しているのだと思うけれども、俳優としての彼は、けっこういろんな役をやっている。主役もあれば脇もある。1シーンしか出なくても、やたら印象に残るという事が多い。特に上手いというわけでもないのだけど、独特の存在感がある。今後もなんとなく楽しみな人だし、マウントレーニアと日曜美術館だけでも、ワタシ的にはかなりOKである。

ちなみに、デビュー時期が10年ほどズレているので新の方がずっと若いように思っていたけれども、浅野忠信(73年生まれ)と井浦 新(74年生まれ)は、実は1歳しか違わないのだった。5、6歳違うのかと思っていたので少し意外だった。

コメント

  • 2014/03/28 (Fri) 19:51

    この人の聞き取りにくい声が気になりませんか?
    細く冷たそうな眼も薄い唇も、どことなくイイですよね。
    20世紀少年に出た時のスキンヘッドでサイコな信者役にはびっくりしましたが。
    テレビの司会もマウントレーニアも良く聞き取りにくい声で同じなんですが、一見その場にハマってなさそうな位置で彼の魅力が良く発揮されているような。
    小栗旬とのテレビドラマもたまに観ましたが、ああいう役もするんだなァと。
    適材適所に居ない感じの(表現が曖昧で失礼)存在がなんとなく心地よい、みたいな。
    ちょっと危険性もはらんでるんですよね、こういう人って。
    だから、ファンでもないけどなんだか見てしまう。
    大きなアクションがないのに、なんだか見てしまう。
    そんな人です。

  • 2014/03/29 (Sat) 22:51

    sanctuaryさん 
    そういえば、「20世紀少年」にも出てたみたいですよね。ワタシ、あの映画は観ていないので、どんな役を演じていたのかは分らないんですが。彼は三島も大真面目に演じているんですよねー。かなりビックリしました。ビデオ・オンデマンドでささっと斜め観してみましたが、とても真面目に演じてました。「蛇にピアス」ではタトゥ職人の役か何かやってましたし、本当にかなり役の幅は広いですね。
    そこに居る事がピッタリとハマっているんじゃなくて僅かな違和感を伴うから、1シーンしか出ない役でも印象に残ったりするのかもしれませんね。確かに、適材適所でハマっているわけではないからこそ発揮される存在感、みたいなものがあるのかもしれません。いくばくかの危険も孕んでいて、ね。
    だから、何となく気になって見てしまうわけですね。何かを表現する人間としては実に持ってこいな個性じゃないかなと思います。

  • 2014/03/30 (Sun) 15:24

    私、この人は「ピンポン」のイメージが強いんですよねー。あの時はまだARATAで、クールな美形、といった感じでした。で、しばらく見ないなあと思っていたら(見ても気づかなかっただけかもしれない)、「すーちゃんまいちゃんさわこさん」に出ていて、しかもエンドロールで気付いてビックリ。「変わったわねーっ!」と。
    でも、いい役者さんになったと思います。

  • 2014/03/30 (Sun) 21:42

    mayumiさん
    そうそう、彼は、あるところまでは「ピンポン」のイメージが強かったですよね。ニコリともしなくて、うつむいてぼそぼそしゃべる、みたいなね(笑)「すーちゃんまいちゃんさわこさん」は、ワタシは未見なんですが、それの前にもけっこう、あれやこれやと出ているようですわ。でも、漫然と仕事をしていない証拠に、うまく年齢を重ねて、存在感のあるいい俳優になっているな、という感じがします。声のトーンも好もしい感じです。

  • 2014/04/27 (Sun) 10:57

    お久しぶりです。
    井浦新は私も好きです。
    雰囲気がなんか淫靡な所が特に。

    腐女子歴1年半の私としては同性愛にもぜひ出てほしいです。

  • 2014/04/27 (Sun) 22:00

    お、いつもと違うお名前ですのね?(笑)
    井浦 新、淫靡かなぁ。まぁ、役によってはそういう雰囲気も出すかもですね。ワタシは、そこはかとない憂いをまとうことができる点が一番気に入っているかも、です。いずれにしても、この先もっと楽しみな人ですわね。そっち系の役も、いい感じでこなすと思いますわ。

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