エヴァ・グリーンは ever green

-妖艶であり、時に可憐でもある「運命の女」が似合う女優-



ワタシがエヴァ・グリーンを知ったのは、「カジノ・ロワイヤル」のヴェスパー役でだったのだが、「キングダム・オブ・ヘヴン」や、もっと遡って「ドリーマーズ」の頃から知っていた人も勿論居ると思う。「カジノ・ロワイヤル」で一躍ブレイクした後は、きついアイメイクで魔女っぽい役を演じる事が多くなり、なんだってそういつも魔女なのかな、と思ったりもしていたが、2011年以降は魔女一辺倒から、選ぶ役柄が少し変わってきて(相変わらず普通の女は演じないけれども)、より広範な意味でのファム・ファタールになりつつある印象だ。ファム・ファタールというのは言い古された言葉であまり使いたくはないのだけど、エヴァちゃんは男の命運を握る女、人の運命を狂わす女、歴史の渦の中で流れを左右する女、…でありながら底に哀しみを抱えた女というのを演じてハマる希少な女優だと思う。その人にしかない独特のムードを持っている、という事は女優として得難い財産だ。
かなり久々の「My Favorite Stars」第9弾は、マジカルでミステリアスなエヴァ・グリーン。
ワタシは「カジノ・ロワイヤル」のヴェスパー役をエヴァ・グリーンが演じていて本当に良かったと思う。もっと分かり易くゴージャスな女優の方が良かったのではないか、という人もいるが、あの役は彼女が演じたから光ったのだと思う。ドラマティックな儲け役だったにしても、彼女は、抜き差しならない秘密を抱え、計算外に愛してしまった男を、計画通りに裏切って死ぬ謎の女のありようをとても魅力的に演じていた。こういう役はそこはかとなくミステリアスな雰囲気がないと演じられない。公開時にワタシが4度もこの映画を観に行ったのは、ダニエル・クレイグの体を張ったボンドっぷりと、ヴェネチアやバハマのロケ風景の他に、エヴァ・グリーンのヴェスパーがかなり気に入ったから、という事も大きかった。



彼女の魅力の大いなる部分を占めるのが、そのグリーンの瞳だ。彼女の母親は、「雨の訪問者」のマルレーヌ・ジョベールだという事はよく知られているけれども、母のマルレーヌ・ジョベールはユダヤ系で仏領アルジェリア出身。父親は歯科医でスウェーデン人らしい。つまり、エヴァ・グリーンは北欧とユダヤ系のハイブリッドなのである。(エヴァ・グリーンはパリ生まれだけれども、血統的にはフランス人というわけではないという事になろうか)こういう系統の人は目に魅力のある人が多い気がする。例えばジェイク・ジレンホールなども、父方は北欧系、母方はロシア系ユダヤ人であり、彼の魅力の大いなる部分は、その目元にあるとワタシは思う。





余談ながら、ジェイクとエヴァは偶然にも生まれ年も同じ1980年だ。今年34歳。男性も女性も、殊に女性にとって30代半ばというのは、もっともいい時期じゃないかと思う。花の盛りの時期とでも言おうか。だから、最近のエヴァ・グリーンは以前にもまして一段と魅惑を増した観がある。彼女のもうひとつの魅力は、そのスレンダーな体つきと、細身なのに巨乳であるところだろうか。ほっそりしているのに巨乳の人というのはたまに居るけれども、腕も腰もほっそりとしているのに胸だけが大きいというのは、全体にムチムチしていて巨乳の人よりもインパクトが大きいと思う。



また、そういうフィジカルな部分だけではなく、彼女には少女のような素顔と化粧をした時の妖婉さのギャップがあり、陰影に富んだ複雑なキャラクターを魅力的に演じられる女優としての柄を持っている。文芸作品のヒロインもしっくりと演じられる。つつましい女性も演じられれば、妖艶な悪女も演じられる。物思いに耽る内面的な女性も演じられる。シャーロット・ランプリングに近い持ち味もあるが、ランプリングより柔らかい女性美もある。
少し前にビデオ・オンデマンドで「パーフェクト・センス」を観た時に、映画そのものの出来はいまいちだったが、久々に素敵なエヴァ・グリーンを観た、という印象は残った。しばらくの間、何かといえば魔女ばかり演じているという印象だったエヴァだけに、マンガチックな設定のSF映画にせよ、町のレストランのシェフであるユアンと恋に落ちる感染症学者を演じている「パーフェクト・センス」はフツーっぽくて良かった。あくまでもエヴァ的には普通、という事だけれど(笑)


映画としてはなんだかなぁ…な感じだったがエヴァとユアンのコンビネーションは良かった

そしてまたここに来て、エヴァのセクシーでエキセントリックな魅力を活かした作品への出演が相次いでいる。現在公開中の「300」の続編と、この先日本でも公開されるであろう「シン・シティ」の新作だ。どちらもフランク・ミラーのグラフィック・ノベルが原作なのは、偶然なのか、必然なのか。

「300」の続編〜帝国の進撃〜は、エヴァ・グリーンが敵役の女戦士を演じているようだ。身体能力が要求されるアクションは初の挑戦だと思う。エヴァもかなり存在感がある役で、それなりに良いんじゃないかと思うが、ワタシはこれにはあまり興味がない。



300」は、やはり2007年の1作目が良かったので、気分的にはあそこで完結しているものであり、特に続編など観たいと思わないし、何より1作目の「300」には主演のジェラルド・バトラーを始め、トム・ウィズダムや、マイケル・ファスベンダーなど肉体美のイケメンが大盤振る舞いに登場し、戦士の誇りと結束の美学を謳い上げていた。今回の続編はメインの男性キャストがどうも魅力に欠ける感じがあり(クセルクセスでロドリゴ・サントロが続投していても、主演の俳優にサッパリ魅力がない)、エヴァちゃんの女戦士はなかなかキマっていそうだが、別に観に行くほどのものでもないように思う。


「300」は2007年の1作目に尽きる

1作目の「300」は、やはりジェラルド・バトラーが良かった。この作品での彼は、その引き締まった肉体美とともに(いつ観てもあの腹筋と長い脚にはため息が出る)、いつどんなシーンで映っても男前だったと思う。殊にも、目の表情がとても良かった。ジェラルド・バトラーはワタシにとって、やはり「300」と「Dear フランキー 」の人である。この2作でのみ、飛び抜けて光っている。それ以外の作品は別に観なくてもいいようなものばかりだが、「300」と「Dear フランキー 」に於いては、その輝きは永遠に消えないだろう。


今は良くないというのか…

「300」には、マイケル・ファスベンダーもスパルタの兵士として登場していて、ブレイクした今から振り返って観てみると、基本的には痩せて貧弱で胴長短足気味なファスベンダーが、「300」ではかなり鍛えて体を作っている上に、CGでもそれが増強されているのだろうし、アングルなどで工夫されているせいか、胴長短足の体型が全く目立たないように撮られているのに感心したりする。皮パンに赤マントで懸命な顔つきで演じているのが初々しい感じもする。わずか数年前ではあるけれども、久しぶりに観ると、ブレイクした俳優について温故知新な気分になるのも楽しい。


胴長短足だと!?

ちと脱線したが、ワタシがエヴァちゃんの出演作でちょっとそそられているのは、「シン・シティ」の新作「A Dame to Kill For」(原題)のほう。これはなんだかモノクロ映像のトレーラーを観てもゾクゾクする。エヴァちゃん以外にも、ジョセフ・ゴードン=レヴィットやらジェシカ・アルバやらロザリオ・ドーソンが出演しているし、勿論ブルース・ウィリスにミッキー・ロークといったレギュラーな面々も登場する。前作の「シン・シティ」は陰惨な部分だけが記憶に残ってしまったのだが、今回のは同じエログロ路線でも、いい女が色々出ている分、画面に艶がある感じがする。



トレーラーを観た限りでは、本作のエヴァちゃんはこれまでで一番魅力的に撮られている感じだし、「シン・シティ」の持ち味であるエログロ路線と、フィルム・ノワールの空気感が巧く混ざり合っているような気配を感じる。何より、この映画のエヴァちゃんはアツい。グイグイ来ている。強い吸引力がある。日本での封切りはいつになるのかまだ決まっていないようだが、USでは8月に公開予定らしい。まぁ、日本でも秋か、遅くても冬には公開されるのではなかろうか。
当初、この「Sin City: A Dame to Kill For」のポスターはシースルーの衣装を着たエヴァちゃんの上半身をフィーチュアしたデザインだったが、セクシーすぎるという事で無難なものに差し替えになってしまったらしい。ははは。それは残念。


残念無念なお蔵入りポスターだが、これは確かに青少年には刺激が強すぎるかも

エヴァちゃんは、常にフツーじゃない役を好んで引き受けているが、それは、素の自分自身が至ってもの静かで地味なタイプなので、日頃の自分とはかけ離れた役柄に挑戦したくなるかららしい。まぁ、確かにそんな気配は感じる。映画祭などの公の場に出る時、エヴァちゃんはかなりきつい目化粧の魔女メイクをして来る事が多いが、必要以上に濃い化粧は彼女にとっての仮面なのだろう。公の場に出るためには、そういう仮面が必要なのだと思われる。素顔の方が綺麗なんだけれどね(笑)


ひところ、よくこういう魔女メイクで公の場に出て来ていた

エヴァちゃんの出演するTVドラマでは、日本ではまだ放映されていないけれども、USで放映中の「Penny Dreadful 」というのが面白そうだ。英/米/アイルランドの合作で、ビクトリア朝のロンドンを舞台に、ティモシー・ダルトン演じる探検家をメインとした人々が超常現象と戦うお話、らしい。主演がティモシー・ダルトンというのも嬉しいところだが、ここに絡んで来るミステリアスな女性の役でエヴァちゃんが出ているようだ。


ティモシー・ダルトン、ジョシュ・ハートネットらと

なんだか、このドラマのエヴァちゃんは「アッシャー家の崩壊」のアッシャーの妹マデラインを想起させるようなイメージだ(あくまでもスチール写真を観た印象で言っているのだけど)。そうそう、「アッシャー家の崩壊」も、もし新しく映画化するなら、マデライン役はぜひエヴァちゃんでお願いしたいと思う。イメージぴったりに違いない。
ともあれ、この「Penny Dreadful 」もかなり面白そうなので、どこかが放映権を買って、ぜひとも日本で放映してほしいものだと思う。


エドガー・アラン・ポー的世界にぴったりハマるであろうエヴァ・グリーン

エヴァ・グリーンはこの先もどんどん、興味深い役、強烈なキャラクターに挑戦していくことだろう。女優としても、これから更に一層花開く時期にさしかかっている。この先も、ますますHOTに、ユニークなキャリアを積み重ねていくに違いない。
ワタシは、そんなエヴァ・グリーンがなんだか好きだ。

コメント

  • 2014/07/08 (Tue) 10:55

    ご無沙汰しています、sanctuaryです。
    夏前の梅雨、そして台風が列島を横断しているこの頃。どうお過ごしでしょうか。
    わたくしもエヴァ・グリーンを初めて映画で観たのはカジノロワイヤルでしたが、その前にファッション雑誌で誰だろこの人?といったインパクトがあって、それ以来密かに注目している女優さんです。
    kikiさんがおっしゃるようにこの人の魅力は目。
    一見、冷たそうな視線です。
    スカルストラクチャーは決して新人類のインパクトと慣れない違和感ではなく、どちらかというと時代性のないデザインですが、あの瞳と目を囲む骨格が言いも言われぬファムファタルな雰囲気を醸し出している気が致します。
    彼女からはなんとなくダークな空気、程よく癖になる威圧感がわたしには感じられます。
    なんとなくメディアが作り上げるキャラクターに彼女本来の姿が隠れているような気がしないでもないですが、だとしたらそれは彼女の女優としての力量なのでしょう。
    わたしには彼女から獣臭さえしてきます。
    なんと申しましょうか、ルックスや肉体から発するフェロモンの類が、フェミニンな女性としての香りプラス獣のような危なさを感じ取れるのです。
    そういう女性はやっぱりいつの時代にも輝きますね。
    厚みが違うというか、匂いに層がある。


  • 2014/07/08 (Tue) 23:04

    sanctuaryさん こんばんは。
    梅雨がまだ明けないので、この先はどうか分かりませんが、これまでのところ、気温の高くない日が多いので、夏としては過ごし易いかな、という気分でいます。梅雨明けにグワっと暑くなったらイヤだなぁ、と恐れてますが…。

    モデル時代からエヴァちゃんに注目されてましたか。独特ですよね、雰囲気が。そして獣臭さえも感じられますか。ほほぉ。面白い。獣臭か…。「CAMELOT」の時のエヴァちゃんからは、確かに獣臭のようなものを感じましたわ。パープル系の衣装とか、ムスク系の香りとかが妙に似合っちゃう雰囲気ですわね。でも、そういう面もあるけれども、それだけでもない、という感じもまたエヴァちゃんの面白さ、魅力の層、という感じなのかもしれませんわね。
    これからも、もっともっとダークで艶やかな花を咲かせてほしいものだと思っています。

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