気になる海外ドラマの新シーズン



この秋は、海外ドラマの新シーズンがいろいろと始まる(始まっている)ので、録画予約とチェックに大わらわになりそうである。
いち早く始まって、最終回まで放映が終わった「ハウス・オブ・カード」シーズン2は中盤の部分を3〜4話見逃してしまったので、一挙放送を観てから改めて感想を書こうと思っているが、期待にたがわぬ面白さだった。その他、久々の「MAD MEN」シーズン5、早くも放映が始まる「HOMELAND」シーズン4、いつの間にか始まっていた「ホワイトカラー」シーズン5など、なんだかもうチェックしきれないほどわらわらとあって大変である。
*
まず、「ハウス・オブ・カード」シーズン2。これは凄かった。忙しかった事や録画忘れなどで中盤を数回観ていないので、フランク(フランシス)の権謀術数に伴って操作される政治的な流れがよく分からなくなった為、再度、一挙放送をじっくりと鑑賞しようと思っているけれども、間違いなく面白かったし、全体にシーズン1より凄みを増したという印象だった。



第1話めから、かなり飛ばしている、という前評判に違わず、第1話幕切れ直前のあのシーンには確かに驚いた。フランシス・アンダーウッドは煮ても焼いても食えない男ではあるが、そういう事ではきっちりと自分の手を汚すのだけは潔いとも言える。誰かに押し付けて自分は涼しい顔をしているというのではなく、自らの手で始末をつけねばならぬ事は自分でやる事だけは確かだ。シーズン1でもさんざん利用して小突き回したあげくに不要になった若手議員ルッソを自ら始末している。…が、これらのことは、潔く自らの手を汚したというよりは、誰も信用しないから自分で始末をつけた、という方が正解かもしれない。

シーズン2では、妻クレアの過去の傷が暴かれたり、彼女のラブアフェアがすっぱ抜かれたりもするが、野望で結ばれたフランクとクレア夫妻は、世の常の夫婦とはまったく異なる部分で結ばれている為にそれらが障害にはならず、いよよ絆は強くなるのである。絆が強くなるといえば、夫妻の間にフランクのボディガードを交えて怪しい3P関係があらたに築かれるなど、いやぁ、なかなか淫靡です。シーズン2では、陰謀を巡らす大富豪レイモンド・タスクとの暗闘が激化する。互いに強者かつ曲者なので、展開は互角のシーソーゲームで余談を許さない。寄せ来る大ピンチをかわしつつ前進するフランクだが、その足下には常にヒタヒタと崩壊の足音も忍び寄る。いわば、いつか来るに違いないカタストロフが、いつ来るか、どう来るか、という興味で物語を追っていくのが、このドラマの鑑賞法なのだと思う。なにせタイトルが「ハウス・オブ・カード」House of Cards = 砂上の楼閣であるのだから。

「ハウス・オブ・カード」は、1990年〜1995年にかけてBBCが制作した各シーズン4話×3シーズンのミニドラマのアメリカ版リメイクである。イマジカはこのBBCのオリジナル版も放映しているし、契約しているビデオ・オンデマンドサービスにも一挙にシーズン3まで入ってきたので、ひとまずオリジナル版を観てみた。英国臭が強く漂う雰囲気もナイスなオリジナル版は、1シーズン4話で観易いのもあるし、観始めると止まらなくなってしまって、毎日少しずつ観て、ついついシーズン3の最終回まで観てしまった。が、一応、結末が分かっても、アメリカ版ではそこに至るまでにどういう味付けをするのか、どういう流れでそこに持っていくのか、という興味があるので、ワタシ的には特に支障はなかった。しかし、何も知りたくない人は、アメリカ版が最終シーズンの最終回の放映を終わるまで、オリジナル版「野望の階段」は観ない方がいいのかもしれない。


BBC版「House of cards」(邦題:野望の階段)主演のイアン・リチャードソン

BBC版では、主人公フランシスの妻(クレアではなくエリザベスという)が、アメリカ版のクレアに輪をかけたマクベス夫人ぶりで、夫が弱気になったり、罪の意識に苛まれそうになると、すかさず先手を打ってなだめたりすかしたり鼓舞したりする、その冷徹な監督官ぶりが印象的だった。夫婦というよりも完全に同士、というか、妻が背後で夫をコントロールしている感じで、妻エリザベスは夫に自ら選んで若い女をあてがったりもする。主役の政治家フランシス・アーカート(アメリカのリメイク版ではフランシス・アンダーウッド)を演じるのは、いかにも上流の英語の発音が美しいイアン・リチャードソン。TVドラマや舞台に数多く出演しているそうだけれど、「野望の階段」では、野望と権謀術数に生きる男をエレガントに演じきって代表作になった。2007年に72歳で亡くなっているので、「野望の階段」撮影時は50代後半という事になるが、実年齢よりはお爺さんに見える(銀髪だし、65歳以下には見えない気がする)。

そういえば、BBC版の「野望の階段」では、熟年男女のベッドシーンがけっこう出て来て、Oops!という感じもあった。恋愛は若くて美しい男女だけの特権では勿論ないのだけれども、特に美形でもない中年以上の男女のラブシーンは、リアルではあるが視覚的には美しくないし、別にそんなシーンは見せてもらわなくてもいいのだが…と感じてしまうのは、ハリウッド的なラブシーンに感覚が慣らされてしまっているせいなのかもしれない(笑)
このBBC版では、主人公フランシスの忠実な右腕であるスタンパーを、グラナダ版ホームズ・シリーズでレストレード警部を演じていたコリン・ジーヴォンスが演じていた。また、フランシスに近づき、知りすぎてしまう女性記者を演じていたスザンナ・ハーカーは、コリン・ファースの「高慢と偏見」でヒロイン、エリザベスの姉ジェーンを演じていたブロンドの女優である。



アメリカ版で、この女性記者にあたるゾーイ・バーンズ役を演じていたのはアグレッシブ一辺倒のケイト・マーラだったが、BBC版の女性記者(役名はマティ・ストーリン)は、美人で野心もあるが、かなりファザコンの傾向があり、特ダネ狙いだけではなく父親のような年齢のフランシスに惹かれて近づいていく様子が描かれている。その彼女を始末した事は、フランシスの中でずっと大きな心のシコリとして残り続ける…。一方、アメリカ版のフランク(ケヴィン・スペイシー)はというと、彼にとってその件はいささかの傷にもなっていない気配だ。さすが野望に生きる男、スーパードライである。

…という感じで、オリジナルを観て、アメリカ版とあれこれと比べていくのもなかなか楽しい。
オリジナルのBBC版は、主人公のキャラや、彼の心の声の取り澄ましたシニカルさや、彼を取り囲む環境や人物などに、いかにもな英国らしさが随所にちりばめられていて面白かった。アメリカ版では、ワシントンの闇にうまく物語が置き換えられていて、カメラ目線で適宜、心の声を披瀝するフランクもアメリカの野心家にスムーズに置き換えられており、オリジナルを実に上手く脚色していると思う。シーズン3も、この絶好調をキープしていくと思われるので、仕上がりがとても楽しみだ。

**
少し前から2年ぶりに放映が始まった「MAD MEN」シーズン5。「MAD MEN」はシーズン4の放映以降、パタっと新シリーズが入ってこなくなっていた。勿論本国USではずっと制作が続いていたのだが(現在はシーズン7)、なんで日本でのシーズン5放映に2年も間が空いたのかはよく分からない。放映権を巡って何かスッタモンダでもあったのかどうか…。



けっこう間が空いたので、シーズン4でどこまで行ったのか忘れてしまっていたが、梗概を見て、そうかそうかと思い出した。ドンは若い秘書のメーガンとめでたく結婚したのだったっけ。で、シーズン5をちらっと観てみると、このメーガンが結婚前とキャラが変わったような…。若くて美人だけどしっかり者で堅実そうで子供の面倒見もよくて、先妻ベティとは全く違うタイプという印象だったメーガンだが、シーズン5が蓋を開けると、金持ちで仕事の出来る年上の夫をゲットした、若くて綺麗なだけが取り柄のチャラチャラした若妻の典型みたいな事になっていて、あれ?そういうんだったっけ?と首をひねった。が、とにかく、誰と結婚しようとも、ドンの結婚生活に「平穏」という文字はないのだ、という事はハッキリしているわけである。大体、ああいう男は結婚などしてもしょうがあるまい。そんな事は分かり切っているのにまた結婚してしまうというのも、それが人間、それも人生、という事でもあろうか。
時代設定も60年代半ばになり、ドンも不惑を迎えた「MAD MEN」。60年代も後半に入ったところで、その時代ならではの流行や空気感のなかで、今回もどんなグチャドロの人間関係が描かれていくのか、うっすら斜め見、という感じでチェックしていこうと思う。

***
そして「HOMELAND」。シーズン4は現在、全米で放映が始まったばかりという状態で、ひとまず、10月末にFOX CRIMEで1話目だけが放映され、11月から正式にシーズン4が放映されるようだ。「HOMELAND」や「パーソン・オブ・インタレスト」は、全米での放映から殆どタイムラグなしで日本でも放映されるのでステキである。



「HOMELAND」シーズン3は、今年の春先に日本で放映されたのだけど、そういえばレビューを書いていなかった。何しろしんどい展開の物語だけに、かなりその気にならないとなかなか書けないのだ。春先もワタシは、なんだかんだとバタバタしていたので、録画だけしておいたけれどリアルタイムでは観ていず、あとで時間のある時にまとめて観たような気がする。ふとシーズン3の幕切れはどうだったのだっけ?と思って、録画したディスクの11話目あたりからさくっと見直してみたら、…そうだった。ブロディが「ええ!!」という事になってしまったのだった…。思い出した。でもワタシは、あれはそのように思わせておいて、結局、ところがどっこい!チャンチャン、となるのだろう、という気がしたので、あまり重く受け止めていなかったのだった。それには「HOMELAND」はダミアン・ルイスとクレア・ディンズのW主演ドラマだと思っていた事もある。主役の一人がそうそう途中で消えないだろうと。しかし、結局のところ、この先はクレア・ディンズの単独主演ドラマという事になるのだろうか。
しかし、ブロディは本当にあそこで終わったのだろうかな…。今後は、キャリーの胎内に宿る新しい生命の中に生き続ける、という事になるのだろうかしらん…。なにか、予想外のドンデンがありそうな気がしてしょうがないのだけれど…。(どうも「Sherlock」以来、死んだなんて言ったってさ、という癖がついてしまって(笑))
ともあれ、シーズン4はブロディなきあとの新たな展開になり、またも余談を許さない流れになっていくのだろう。ワタシ的には、ルパート・フレンドが好演している孤独なピーター・クインがちょっとお気に入りなので(彼のキャリーへの抑えた想いが時々表に出てきてしまうところが、なかなか切なくて良い)、彼の動向に注目して観ていきたいと思う。

****
「ホワイトカラー」については、時折観るという程度でいいかな、という感じではあるけれど、この前シーズン5の1話目をちらりと観たところでは、相変わらずな様子ではある。今回は登場人物がそれぞれに転機を迎えるとの事だけれど、これはチェンジ・オブ・ペース的に、他のヘビーなドラマに疲れたら、ちょろっと観る、という感じで気分転換に観ていこうかな、という感じだ。



国内ドラマでも、10月後半から「深夜食堂3」が始まるらしいので要チェックである。

…ふ〜。とまぁ、ざっとこんな感じで、あれこれ観なくちゃならないものがあって大変である。何も観たいものがないよりはずっといいけれども、それにしてもね…。ドラマばかり観ているわけにはいかないのだけれど…(笑)

コメント

  • 2014/10/15 (Wed) 20:47
    一押し海外ドラマ

    こんばんは!いつもたくさん書いてあるので眼鏡かけて気合いを入れて読んでいます。私の一押しは「ハウスオブカード」と「ハンニバル」です。ハウスオブカードのクレアが好きで同じ髪型にしました。が・・・私がするとただのショートカットです。

  • 2014/10/15 (Wed) 22:36

    mimiさん こんばんは。
    ははは。ワタシの記事、長いかしらん。
    「ハンニバル」は1話目だけ見た事あるんだけど、現在WOWOWを契約してないのでそれ以降は見ていません。でも、面白そうではありますよね。マッツンのレクター博士というのは、なかなか慧眼のキャスティングだと思います。
    「ハウス・オブ・カード」はどんどん凄くなり、どんどん面白くなりますね。ロビン・ライトはきつい目化粧とショートカットで、独特な雰囲気が役に合ってますね。(つくづくS.ペンと別れて良かった)
    クレアのヘアスタイルは、毎日ちゃんとキメるのがなかなか大変かも、な感じですが、どうですか?(笑)

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する