「シン・シティ 復讐の女神」(SIN CITY: A DAME TO KILL FOR)

-悪女の香り-
2014年 米 ロバート・ロドリゲス & フランク・ミラー 監督



USでは、前作「シン・シティ」(2005年)はかなりヒットしたようだが、今回の続編はイマイチな興行成績になってしまったらしい。あまり評判が良くないようだし、どうしようかと思ったけれども、ご贔屓エヴァちゃんの花盛りの女っぷりを悪女役で楽しめるとあっては見に行かないわけにはいかない。で、観てみたら、ワタシ的にはどこに前作との差がそれほどあるのか分からず、むしろ続編の本作の方をより楽しんで観た(マイノリティだろうか)。それも一重にご贔屓エヴァちゃんの存在ゆえだろうとは思うのだけど(笑)

前作は劇場では観ていず、暫くたってDVDか何かで鑑賞したと思うのだけど、とにもかくにもエログロなシーンのみが目立ってしまってゲンナリしたことと、クライヴ・オーウェンとジョシュ・ハートネットがハンサムに映っていたこと以外は、あまり覚えていない。が、観客受けは良かったようで、今回の続編よりもずっと一般的な評価はいいのだが、ストーリーや全体の雰囲気的にはさしたる差はなかった気がするので、グラフィックノベルを映像化したモノクロ(パートカラー)の独特の映像やレトリックに観客が慣れたことや、いわゆる40年代、50年代の暗黒街モノへの思い入れたっぷりな作りに(作品の時代設定は現代という感じみたいではあるけれど、見ていると時代設定はいつなのか分からなくなる。車も昔の車ばかりだし…)観客が些か辟易したキライがあるのかもしれない。ワタシ的には、今回は私立探偵ドワイトをクライヴ・オーウェンが演じていないことが、前回と比べてのマイナス要因だろうか。


娼婦にモテモテの私立探偵ドワイトのクライヴ・オーウェン(1作目)

女ばかりを殺す殺人鬼らしき二枚目に扮するジョシュ・ハートネット(1作目)

前作は一度か二度さくっと観たきりなので覚えていず、だから観ていて前作とのつながりがよく分からなかったので、再度1作目をさくっと観てみたのだが、時系列的にあれれ?どっちが先でどっちが後?というところも何カ所かある気がする。例えば黒人の大男マヌートの片目は前作ですでに義眼だったのでは?とかね。…まぁ、どうでもいいのだけど。

再度1作目を観てみるまで、ジョシュ・ブローリンが演じていた私立探偵は1作目でクライヴ・オーウェンが演じていたのと同一人物だ、という事にさっぱり気付かなかった。あまりに見た目が違いすぎて。
大体は1作目と同じ登場人物は同じ俳優が演じているが、東洋人の殺人マシンであるミホと、私立探偵ドワイト、そして大男マヌートは2作目ではキャスティングが変更になっている。知らずに観ていた時には、ドワイトはジョシュ・ブローリンでもいいか、という感じだったが、知ってしまうと、今回もクライヴ・オーウェンが良かったのに、と思う。ご贔屓エヴァちゃんとの絡みがもっと楽しく観られたのに…。エヴァちゃんに翻弄されるクライヴ・オーウェンが観たかったなぁ。どうして今回は出なかったのかしらん…スケジュールの都合かしらん…残念。


1作目のドワイト クライヴ・オーウェン


2作目のドワイト ジョシュ・ブローリン …別人28号

マヌートについては前作で演じているマイケル・クラーク・ダンカンが亡くなったから変更になったのだと分かるけれども、ドワイトは今回もクライヴ・オーウェンで見たかった。
本作では、ジョシュ・ブローリン演じるドワイトがひん死の重傷を追ったあとで、整形手術を受けて戻って来るシーンがあるのだが、整形後のヘアスタイルなどは、ちょっと前作のクライヴ・オーウェンを意識している気配が漂っていた。さっぱり似てはいなかったけれども…。

ストーリー的には前作同様、筋などあれどもなきがごとしの雰囲気ノワールという感じだが、今回は巨悪・ロアーク上院議員を演じるパワーズ・ブースの不適な悪い奴っぷりが前作よりも目立っていて、酷薄そうに光る薄い色の瞳が、いかにもという感じでハマっていた。



冒頭にも書いたけれども、ワタシは本作の方が1作目よりもグラフィックノベルの映像化として、純粋に映画を楽しむ事ができたような気がする。それには、やっぱり青いコートの悪女・エヴァちゃんがファム・ファタールの魔性全開で文句なしの存在感だったからという事が大きいかもしれない。一般的な傾向として、前回の1作目を好きだった人は、この2作目には不満な人が多い気がするが、ワタシは1作目があまり好きではなかったので、この2作目の方が観ていて楽しかった。



しかしまぁ、今回のエヴァちゃんは服を着てるシーンの方が少ないほど脱いでいる。脱いで脱いで、脱ぎまくっている。撮影スタッフもさぞ目のやり場に困ったのでは?と思うほど、ほぼ毎シーン裸である。いっそ男前なほどの壮快な脱ぎっぷりというべきかもしれない。惜しげもためらいもなく、プールの中でもベッドの上でも、とにもかくにも裸である。そのせいか、本作のエヴァちゃんの公的なスチール写真は少ない。18禁で出せない画像ばかりという感じなのでそうなってしまったのかもしれない。でも、あれだけキレイな体をしていれば、キレイなうちに沢山脱いでフィルムに焼き付けておくのはアリだろう。生きとし生けるものはいつか全て衰える。不滅の肉体はフィルムの中にしか存在しないのだ。





確かに彼女の演じたキャラはステレオタイプな悪女ではあるけれども、そういう女をゾクゾクするような魅力を放って演じられる女優というのも本当に限られるだろう。本作の原題は「SIN CITY: A DAME TO KILL FOR」というのだが、この”A DAME TO KILL FOR”(その女のためなら人殺しも厭わないと思わせる女)というのは、エヴァちゃん演じるエヴァ(役名)を指して、ドワイトが言うセリフなのだ。



つまりこの2作目においては、エヴァちゃんはかなり芯になるキャラクターを演じているということなのだが、脱ぎ過ぎであまり宣伝に使えないせいか、邦題は「復讐の女神」となり、それはジェシカ・アルバ演じるダンサー、ナンシーを指しているようである。ナンシーの方が日本人受けするキャラには違いないだろうし、彼女を芯にする方が日本では正解なのかもしれないが、ワタシ的には、ナンシーの復讐譚のあたりは中だるみが来て退屈してしまった。ラストをそれで締めくくらなくてもいいのでは?とも思った。けれども、ジェシカ・アルバの、見事に贅肉のない引き締まった細身のボディのキレイさには、子供産んでるのに大したもんだなぁ、と素直に感心した。



エヴァちゃんもそうだけれども、いい女はお腹周りに一切、贅肉がないんですねぇ。気持ちいいほど引き締まっている。削ぎ落とされている。悪の華だろうがなんだろうが、いい女はそうこなくちゃいけませんわね。



とりわけ、本作のエヴァちゃんからは、40年代のフィルムノワールに登場する悪女の香りがぷんぷんしていた。その姿からも、グリーンの瞳からも、妖しい存在感が匂い立っていた。本作のエヴァちゃんは、ニュアンスとして「さらば愛しき女よ」の悪女ヴェルマのようなムードを醸し出していたと思う。大金持ちの奥様に収まってはいるが、悪女の本性は眠る事はないし、隠しきれないのである。そして徹底的に男の純情を利用し、もてあそぶ。
エヴァ・グリーン、匂い立つ悪女っぷりで、女盛りの華を目一杯咲かせていた。眼福だった。


この色気はタダモノではない

こういうどぎついコミック原作の映画化作品ではなく、それこそ「さらば愛しき女よ」のリメイクでも作って、エヴァちゃんにヴェルマを演じてもらいたいと切に思う。ヴェルマはエヴァちゃんだが、肝心のマーロウは誰がいいかしらん。今からだと、もうクライヴ・オーウェンでも、ダニエル・クレイグでもない方がいい。誰がいいかな。最近また、色々な俳優が出て来ているから物色する愉しみも増えたかもしれない。40代でソフトの似合う男前だと、やっぱりジョン・ハムだろうかしらん。うふふふん。

その他では、今回、初顔のジョセフ・ゴードン=レヴィットが演じる生意気盛りのギャンブラーも、ふふふ、という感じだった。カードを鮮やかに切り、配るあの手さばきは、どれだけ練習したんだろうねぇ。いかにも手先が器用そうではあるけれども。
しかし、ゴードン=レヴィット演じる若いギャンブラーはあんなにひどい目に遭わされたのに、博打で勝ったぐらいではその代償が重すぎたのではあるまいか。彼にももっと報復のチャンスをあげてほしかったなぁ。ギャンブラーだから博打で勝てば、あとはどうでもいいのか。う〜む。そんな美学だけでは浮かばれまいに…。



ミッキー・ロークのマーヴは良くも悪くも相変わらずだった。マーヴは醜い大男、という設定なのだが、あのヘアスタイルや、顎と額の張り出した横顔などを観ていると、ワタシはスパルタカスのカーク・ダグラスを思い出してしまうのだけど…。額や顎、鼻にお面のようにあれこれとくっつけた特殊メイクで異様なご面相になったミッキー・ロークなれども、いかに輪郭をごつごつさせようとも、目だけはずっと変わらずミッキー・ロークのままなのは前作同様だ。



冒頭に、前作の短い紹介があり、そこに前作でも冒頭とラストにだけ出て来たジョシュ・ハートネットの顔もちらっと出て来たが、あのエピソードは部分的に、どことも繋がらずに存在している。あれはどういう話なのか、その先はどうなったのか、今更ながらにふと気になった。独立したエピソードとして観てみたい気もちょっとするのだけど、それだけの為に次が作られなくてもいいし、実質的に、これの3作目はもう作られないような気が致します。はい。

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