「ハリアー H.H. 第三章」(TOYOTA HARRIER CM)

-荒野の旅人にして人生の先達、その名はH.H-



昨今のハリアーのH.HシリーズCMはハリアーという車にはもったいないようなクオリティで展開しているけれども、第1章(というか、H.Hの最初のCM 2013年)の高いクオリティに感銘を受け、その後、なんとなく心の片隅でチェックしているこのシリーズ。第2章(2014年)はH.Hを女性に変更していて、まぁ、そういうのもありかもね、とは思ったが、このシリーズとしてはやや小休止な雰囲気だった。その一休みのあとで、この第3章が来た。
なんと、ジョセフ・マウル×デヴィッド・レオンというキャスティングで、第1章のラインを踏襲する中年と青年のイケメンコンビで旅に出ていた。 
…そうそう。H.Hシリーズはこう来なくちゃね。
それにしても、なんでハリアーH.HはこういうラインでCMを作成することになったんだろうか。CMとしては凄くいいんだけど、良ければ良いほど、なんでこれがハリアーのCMなんだろうか?という疑問はやっぱり拭えない。もっと別な車のCMで見たかった気もするけれども、まぁ、ワタシは映像を楽しんでいるだけなので、車種についてはあまり考えない事にして…。

第1章(2013年)で非常に効果的に作用していた、人生の途上で進む方向が見えない(あるいはただボンヤリと過ごしている)青年と、彼をインスパイアする、人生の先達である荒野の旅人(H.H)という図式を再度持ってきて、今回は、青年にデヴィッド・レオン、H.Hにジョセフ・マウルを起用。新たな旅立ちの第3章をスタートさせたハリアーH.Hシリーズ。


ハリアーH.HのCM第1章 このCMシリーズはどれもクオリティが高い

CM全体のトーンとしては、ワタシはヨーロッパ色の濃い2013年の第1章の雰囲気の方が好きだけれども、もちろん、この第3章も悪くない。第3章は味なキャスティングが全てと言えるかもしれない。ジョセフ・マウルとデヴィッド・レオンの組み合わせというのは、かなりUKのドラマや映画が好きな人がキャスティングしたんだろうかな、ふふふと思いつつ、デヴィッド・レオンもシーズン4まででブレンダ・ブレッシン演じる「ヴェラ」の部下役を切り上げて、活動範囲を広げ始めたんだねぇ、などと、ちょっと遠い目になってしまった。



デヴィッド・レオンは長身でハンサムでナイスガイなのだが、脚が長いのにひどいガニ股で、銭形警部もビックリなほど脚をくの字に曲げて歩くのが、「ヴェラ」を見るたびに気になっていた。せっかく男前で背も高いんだから、もうちょっと脚をまっすぐ前に出して歩けばいいのに…といつも思っていたのだけど、このH.HのCMでは、歩いているシーンで、さほどガニ股という感じではなかったので少しホッとした。ガニ股じゃねぇ…。雰囲気台無しだものね。


…でもやっぱりちょっとガニってるかも、なデヴィッド・レオン(左)

デヴィッド・レオンは長年UKの女警部ものミステリー「ヴェラ」で、2児の父でもある部長刑事で、母親のような年代のヴェラ警部(ブレンダ・ブレッシン)を側面から支える忠実なサイドキックの役をきっちりと演じていた。仕事中毒で独身で、私生活はあるのかないのか分からない、という感じのヴェラは衒学的でない女モース、という雰囲気。そういう、仕事が生きがいの変わり者の上司を持つ部長刑事というのは、モースの部下であるルイス(ケヴィン・ウェイトリー)も、デヴィッド・レオンの演じたジョーも、何となく息子みたいな感覚になって心配したり世話を焼いたりしながら付き従うという事になるんだねぇ、などと「ヴェラ」のシーズン4を見ながら思ったりした。シーズン5では、どうやらジョーは昇進してヴェラの元を巣立っていったという事になっているようだ。その「ヴェラ」の最新のシーズン5はそろそろ本国で放映される頃だと思うけれども、ジョー(デヴィッド・レオン)が出ない「ヴェラ」は、どういう感じになっているんだろうか。「ヴェラ」の新シーズンも楽しみなので、できるだけ早く日本でも放映してほしい。(よろしく!AXNミステリーch)


ヴェラの健康も気遣ったりする、息子のような部下ジョーを好演していた

ともあれ、「ヴェラ」で姿を見られなくなるなぁ、と思っていたデヴィッド・レオンを、日本の車のCMで見られるとは思わなかったので、ちょっと嬉しかった。


一方のジョセフ・マウルは多分、UKドラマ好きな人は、色々なドラマに脇役やゲストで出演しているのを、その特徴的な風貌で覚えている俳優、という感じではないだろうか。少なくともワタシはそうである。デヴィッド・スーシェのポワロ物「オリエント急行の殺人」にも乗客の一人で出ていたし、「刑事フォイル」にもゲスト出演していた。こういう俳優は通好みという感じがする。このCMはキャスティングセンスが実にシブい。ナイスである。



CMの映像的には第1章の方が凝っていたような気がするけれども(ワタシの好みを言えば、第1章の方が欧州のムードが色濃くて、全体に謎めいていて素敵である)、この第3章の方は、より大陸的で荒削りな荒野の旅、男の旅、というニュアンスが映像に滲み出ていた気がする。


飛べない鳥になるな 群れる狼になるな 希望を抱かぬ人間になるな


さぁ、世界の果てまで旅をしよう

二人の俳優は実際には6歳ぐらいしか歳は違わないのだが、デヴィッド・レオンは若者という感じが漂っているし、ジョセフ・マウルはそれなりの年輪と経験を経た男、若者に道を指し示す先達、という雰囲気が出ている。
そしてこのCMは、それぞれの俳優にとって、質としても、傾向としても、実に悪くない仕事だったのではなかろうか。



まぁ、何しろ、二人のセリフ(モノローグ含む)がなかなか良いですしね。俳優たちも仕事として楽しかったのではないかと思う。そういう雰囲気がフィルムに滲んでいる。CMとしてクオリティが高いし、「選ぶ車=生き方」である、というメッセージがくっきりと浮き上がってきている。(で、こんな強いメッセージをまとう車がハリアーでいいのか?という問題が再び提起されてきてしまうわけだけれど…それを言ってもしょうがないので、もう言うまい)なんとなく、この第3章は続編というか、別バージョンも作られていきそうな気がするのだけど、どうだろうか。





それにしてもこのCM、日本でだけしか流れないんだろうか。このクオリティで日本国内でしか流れないのは何だか勿体ない。広く欧米で、というか世界中で見てもらいたいCMだなぁという気がした。

コメント

  • 2015/10/04 (Sun) 22:18

    はじめまして。
    こちらのサイトは「三船敏郎さん」の記事で知りました。
    このCM,先程アイス・スケート・ショーの番組で観ていい映像だなと思いました。25年ほど前、サントリー、ダーバン・レナウン、カネボウが見ごたえあるCMを放映していた時代を思い出しました。

  • 2015/10/04 (Sun) 22:32

    Катяさん 初めまして。
    敏ちゃんのファンでいらっしゃるんでしょうかしら。
    そうそう、このCMシリーズを見ていると、なんとなく昔のアラン・ドロンのダーバンCMシリーズを思い出したりしますね。ドロンのダーバンは40年以上前かしらん、ははは。いずれにしても、久々にクオリティの高いCMシリーズを見た、という気がします。

  • 2015/10/05 (Mon) 21:10

    こんばんは、はい、三船さんの俄ファンでございます。
    こちらのサイトで色々情報を頂き感謝しております。
    今年のベネチア映画祭でMIFUNE:The Last Samurai が上映されたそうで日本での公開を楽しみにしている次第です。

    25年前というのはタイプミスで35年前のつもりでしたが、もう40年になりますか^_^; マルチェロののヴァルカン・オード・トワレのCMも素敵でした。

  • 2015/10/06 (Tue) 22:22

    Катяさん
    「MIFUNE:The Last Samurai」、日本で公開されたら是非とも見たいですねぇ。

    ざっくりと35年から40年ぐらいの昔ですよね、あの辺のCMは。そうそう、マストロイヤンニの「ヴァルカン」も印象的でしたよね。昔の海外有名俳優を使ったCMは最後の一声に重みがあって、それで何年たっても覚えているようなところがありますわね。

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