「SHERLOCK/シャーロック 忌まわしき花嫁」(SHERLOCK: THE ABOMINABLE BRIDE)

−忌まいましき?劇場公開−
2015年 英 BBC



なんだって劇場公開なのよ?家でアームチェアに座ってゆったりと観たいのに全くもう…とこれまで何度か心の中で繰り返した愚痴をひとくさり吐きつつも、これまでの行きがかり上、一応、映画館に観に行ってみた。都内の上映館だとワタシの最寄りはシャンテになるのだが、シャンテは席と席との間隔がとても狭い上に、何故か隣に太めのオヤジに座られてしまって更に窮屈になった。レディースデーに女性に囲まれて映画を観たい為に紛れ込んでくるオヤジにはレッドカードを出したい気分である。ええぃ、こっちに寄ってくるなというのに!狭いんだから。向こうへ行きなさい、向こうへ!


平たく言えば、来年放映されるシリーズ4への繋ぎである今回の特番。シリーズ4まで、あまり間があくのもナンだからというので(多分)、今年の1月元旦に特番という形でBBCが放映したものである。

ビクトリアン・シャーロックの部分と現代版とがところどころザッピングするのだが、ビクトリアンの部分は現代版のシャーロックがドラッグでぶっ飛んでいる時に観た白日夢というような設定になっていて、…夢オチかよ!とため息が出たりもした。

冒頭にはスティーヴン・モファットが、シャーロックの住まいである、221Bの細部についてところどころ「どう?凝ってるよね」「この遊び心がわかるかい?」という感じのほくそ笑みを浮かべつつ紹介する特典映像がまず流されることでも明らかなように、これはシャーロックの製作サイドから世界中のファンへの目配せというか、オタッキーなテイストの馴れ合いを前提とした世界(しかも本来はTV放映されるべきもの)なので、単独の映画として、ドラマの世界観を知らずに観に来た人には「はぁ?何コレ???」(ポカーン)という拍子抜けを誘うこと必至であろうと思う。この特番の企画そのものが、そういう馴れ合いから生まれた趣向なわけなので、それだけを単独で見ても、ナニコレ?の連続になってしまうだろうと思われるのだ。


いつものセットをクラシカルにお化粧させた221Bの居間

ドラマの世界観を知っていても、今更ビクトリアンバージョンでワトソン君との出会いの場面から繰り返されると、「あぁ、もうそれはいいのよ…」という気分になってしまったりもする。



また現代版では、跳ね返った生意気な感じと早口のセリフ回しが独特の味わいになっていたシャーロックも、ビクトリアン・シャーロックになると、なんだかその跳ね返った感じが煩わしく感じられてしまったのが不思議だ。ビクトリアン・シャーロックは、現代版よりも落ち着いて大人風味のルックスになっているだけに、セリフ回しが超早口で次の言葉が前の言葉の尻を踏む形でどんどんと繰り出されるといった現代版の「生意気な変人の若造」のままだと違和感が生じるのかもしれない。



そして、またも出てきたマーティンの嫁。忌まわしき花嫁というのは、彼女のことじゃないの?違うの?と思ってしまうぐらいに、なんだか忌まわしい(いまいましい?)存在感である。ルックスがくたびれ過ぎというか、おばちゃん過ぎて華もないし、キャラとしても好きになれない。いい加減でこのシリーズにマーティンの嫁を出すのは諦めたらどうであろうか。出てくると何だか気分的に白ける。まぁ、今回は完全な脇役なので、別にどうでもいいと言えばいいようなものなのだけど…。

*****
ワタシがシリーズ3以降の「シャーロック」で何が一番嫌かというと、役者や製作陣の身内をやたらにキャスティングしたがるという、仲間うちでの馴れ合い感覚の視聴者への押し付けである。自分たちは楽しく内輪受けで盛り上がってるのかもしれないが、こっちから見ていると別に面白くないしハタ迷惑でさえある。
ワタシとしては、切に、シリーズ2までの状態に戻ってほしい。もう無理だとは思うけれども…。

とはいえ、本題の「忌まわしき花嫁」事件に入ると、その部分は少し面白くなってはいる。
忌まわしき花嫁が登場するシーンはゴシックホラーの空気が充満しているし、ちょろりと「オレンジの種5つ」などのテイストを絡めてあるのもふほほ、という感じである。

ビクトリアン・バージョンでは原作に忠実に、マイクロフトはかなりのデブチンで登場する(マーク・ゲイティスは特殊メイクで頑張っている)。常に食べていて、根が生えたように一人がけのソファに座ったままである。

そしてモリアーティの登場。モリアーティのみは現代版もビクトリアン版もほとんど変化がない。
…そして、結局のところモリアーティはシャーロックの頭の中で生きているだけ、という事だったのかしらん?どうなのかしらん?

シリーズ2までの空気感を愛するワタシとしては、ビクトリアン・シャーロックが、ロケットの中にアイリーン・アドラーの写真を入れているのをワトソン君に冷やかされるシーンが一番印象に残ったし、ちょっとニヤリとした。



*****
しかし、全編を見終えたあとでは、皆、これで果たしてシリーズ4が楽しみ〜!という気分になるんだろうかしらん…と甚だ疑問になったけれども、勿論、楽しみになる人はなるのであろう。ワタシはというと…ノーコメントとしときましょうかね。
ただ、1つだけ願うことがあるとすれば、それはシリーズ2までのテイストに戻せないまでも、シリーズ3とは方向性を変えてもらいたい、という事である。あのノリでこの先ずっとやられてしまうのは、ちとキツい。

余談だが、立派なカイゼル髭(というのかしらん)を蓄えたビクトリアン・ワトソン君は、どことなく夏目漱石のような風貌で、ちょっと微笑ましかった。




それにしても、この特番。NHKかAXNミステリーが放映してくれればいいだけなのに、なんで日本では劇場公開などになってしまったんだろうか。興行権をKADOKAWAが取得してしまったのが間違いの元か。…ああ、やれやれである。

コメント

  • 2016/02/27 (Sat) 00:26
    No title

    こんばんは、kikiさん。

    ワトソンが夏目漱石に見えるって、私もそう感じました⭐️
    せっかくなら日本人漱石を絡ませてくれれば面白かったかも〜。
    マークゲイティスの日本滞在記読んでみましたがなかなか親日家ですね。「Mr,ホームズ名探偵最後の事件」では日本人役で真田広之が出てますね。

    マーチンはデビッド・スーシェの後釜として新ポワロに、と言った声もあるんだとか?!真偽のほどはわかりませんが(笑)

    S4にまぁ期待しましょう!

    • ジェーン #io8unDfk
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    • 編集
  • 2016/02/27 (Sat) 22:50
    No title

     はじめてコメントさせて頂きます^^

    僕はメンズデーに観てきたのですが、自分以外は全員女性でかなり恥ずかしかったです。でも人は入っていたのでシャーロック人気は本物ですね。

     序盤は比較的に楽しめましたが徐々に雲行きが怪しくなり、映画館を出るときにはテレビでやってよ!としか思えませんでした。

     ショットガン・ウエディングのところとシャーロックのマインドパレス内の新聞記事の切り抜きが宙を舞う演出、モリーとマイクロフトの出オチあたりは個人的に好きですが^^

     kikiさんのシャーロック関係の記事を楽しみにしていたのですが、このままだとkikiさんが視聴をやめてしまうのではないかと心配になるレベルです。
    モファットがドクタフーを降板なんて話もありますから、S4での巻き返しに期待します!

  • 2016/02/28 (Sun) 21:34
    Re: No title

    ジェーンさん
    ワトソン、夏目漱石チックでしたね。ちっこいので余計にそういう感じがしたのかも。漱石がロンドンに留学してたのも、ちょうどこのぐらいの時代じゃないかと思われるし。ふほほ。

    >マークゲイティスの日本滞在記読んでみましたがなかなか親日家ですね。
    次のロケ地は日本もいいかも、なんて言ってますね。モファットもね。だいたい、欧米のインテリは日本好きな人が多いですわね。

    >「Mr,ホームズ名探偵最後の事件」では日本人役で真田広之が出てますね。
    みたいですね。トレーラーが流れてたので見ましたよ。シャーロックものとしては「忌まわしき花嫁」よりも、こちらの爺さんシャーロックの方が面白そうです。

    マーティンがデビッド・スーシェの後釜として新ポワロですか。ポワロはもうスーシェのシリーズで完全に完結してるし、すぐに他の役者で新シリーズを作り始める必要はなさそうな気がするから噂だけじゃないですかしらね。話があったとしても、マーティンは乗らないような気もしますわね。

    > S4にまぁ期待しましょう!

    う〜ん。どうかな。微妙な感じざんすね(笑)

  • 2016/02/28 (Sun) 21:45

    たけおさん 初めまして。
    メンズデーに行ったのに女性ばかりでしたか。女性は割引にならないのにね…。

    そうそう、本当にTVでやってよ!って感じでしたね。というか、元はTVなんだから日本もTV放映で十分なんだけど。
    特典映像とか、DVDに入っているのだろう内容を映画館で流されてもねぇ…という感じしきりでしたね。

    モリー、男装で頑張ってましたね。でも、たけおさんがそう書かれるまで、モリーもでていた事をすっかり忘れちゃってました…。

    シャーロック記事、楽しんでいただいてたんですね。う〜ん、でもシリーズ3以降の作りや方向性が妙な方へ妙な方へと流れていく感じで、シリーズ1、2の面白さや完成度の高さから遠ざかる一方で、悪ふざけしすぎてチャラチャラしてきちゃってますね。
    そもそも飽きっぽいタチではあるのですが、クオリティが保たれないと愛想が尽きるのは止めようがないなぁ…という気はします。クオリティが蘇れば勿論見ますけどね。シリーズ4のでき次第、という感じでしょうかね。…巻き返せるかなぁ。

  • 2016/05/08 (Sun) 10:20
    今頃ですが・・・・・

    2016 5月8日(多分)

    BSで、「SAERIOCK 忌まわしき花嫁」放映されます。

    録画登録を「SAERLOCK」で入れて置いたら、引っかかりました。

    kiki様、ご紹介 ありがとうございます。見逃す処でした。

    • ジェード・ランジェイ #HirsyGes
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  • 2016/05/08 (Sun) 20:37
    Re: 今頃ですが・・・・・

    ジェード・ランジェイさん
    TVで放映すると分かっていたら、劇場なんかに行かなかったんだのにさ!と思いますが、もう見に行ってしまったものはしょうがないざますわ。今更TVで放映してもらってもワタシはもう見ないで結構ですが(笑)でもまぁ、お役に立ててよかったです。

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