第88回アカデミー賞授賞式のごく短い感想



今年の授賞式は、司会のクリス・ロックが多分に「役割として」黒人が一人もノミネートされなかった事への皮肉をウザいほどに何回もギャグを交えて連発し続けたことと(やりすぎて逆効果)、デカプー(レオ様とかいう呼び方はワタシ的にはしっくり来ない)のようようの主演男優賞受賞に尽きたという感じだけれど、ワタシ個人としては、助演男優賞に初ノミネートでスポンと初受賞してしまった、キュートな哀愁中年、マーク・ライランスのイノセントな笑顔に思わず頬が緩んだ。

このところ2年続けて黒人が一人もノミネートされていないということに、こんなに黒人が大騒ぎするのは、最近アメリカの中で、差別的な事件や発言が時折起きたりしていることへの抗議や懸念も背景にはあるのだろうと思うけれども、それにしても今年の授賞式におけるブラックピープルのスネまくりのケツまくりっぷりには、正直、ワタシはゲンナリした(日本の近所の半島系の人々と思考回路が近い感じがする)。
冒頭でも相当に長い時間をその件でギャグ混じりにしゃべり倒しているのに、合間合間に、これでもかというぐらいにそっち系の発言が挟まってくるのはかなりクドかった。


クリス・ロック 過ぎたるは及ばざるがごとし

「男優と女優を分けているのも考えてみたら不思議だ」「黒人枠を作ればいい」とか、かましまくりだったが、人種に配慮してノミネートするなんていうのも奇妙なものだし、たまたま白人ばかりだったということが続いたとしても、白人だって凄く頑張ったのにノミネートされなかった俳優は沢山いるわけだから、黒人が選ばれないという事で僻んでキィキィ言うのもおかしな話のような気もする。それこそ、数多居る俳優の中で、黒人のノミニーを毎年出そうと思ったら、黒人枠でも作らないと無理ではなかろうか。

*****
デカプーのat long last な主演男優賞については、特に異議はないし、そうか、やっと受賞したのだね…という感じだった。しかし、だからといって「レヴェナント」を見に行きたくなるかというと、それは全く別なお話(笑)正直、さっぱり引っ張られない。
ただ、これまで好きでも嫌いでもない、というか、若い頃はインディーズ系の映画に出ていて、演技者としても冴えているという印象だったのだが、30をすぎてからは肉付きもよくなり、やたらに使われるけど俳優としてそんなに良いかなぁ…という印象しかなかったディカプリオを、今回の受賞スピーチで見直した。



いや〜。あの受賞スピーチは男を上げたねぇ、ディカプリオ。彼がずっと環境に配慮してきたことは周知の事実なので、受賞スピーチで環境問題を持ち出しても、その場限りの点数稼ぎだとは思わないし、むしろ、雪を撮る為に南極まで行かなくてはならなかったという出演映画の話からスムーズに温暖化に警鐘を鳴らす方向へ話頭を転じたその鮮やかさに、おぉ、やるじゃん、と感心した。「この地球も今夜の賞も当然とは思いません」という締めくくりもバッチリと決まっていた。興奮しまくって噛みながら、家族愛と、誰それさん、ありがとう!をいくつも繋げただけのありふれた興ざめなスピーチではなく、自分が常日頃から思っていることを、落ち着いて、あざとくなく印象的に伝えることに成功していた。ナカナカである。何回も肩透かしを食らっただけに、準備は周到にできていたということかもしれない。
でも見直したよ、デカプー。あの受賞スピーチは、名スピーチの1つに数えられるんじゃないかと思うよ。
「人類に迫る最も身近な脅威への対応を、一致団結して行わなくてはなりません」とスピーチするデカプーを、涙を溜めて見守る女優の表情が大きく抜かれたが、それがケイト・ウィンスレットだった。



タイタニック・コンビはあの共演以来ずっと仲がいいらしい。ケイトの真剣な表情を見ていたら、通り一遍の同意とかではない、遥かに真摯なシンパシーを感じているらしいことが伺えた。…そうか、本当の友達なんだね。
仲良きことは美しき哉。

*****
そして、マーク・ライランス。スコ禿げの額もかわゆい下がり眉毛のライランスは、名前を呼ばれると立ち上がって真っ先にスピルバーグに近寄り、抱き合った。新たな監督と俳優のコンビが出来上がっているようだ。
舞台出身の一流の英国俳優が、そんな気負いなど全くなしにアメリカで仕事をして、相応の評価を受け、それに謙虚に礼を述べる、という感じが、自然で凄くナイスだった。ライランスには最近ちょっとホの字なのだけど、控えめで愛嬌のある人柄が伺われるスピーチと表情で余計に好きになってしまった。


か…かわゆい!

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面白かったのは、「マッドマックス 怒りのデス・ロード」が、演技部門では誰もノミネートされなかったのに、編集賞、録音賞、音楽編集賞、メイクアップ&ヘアスタイリング賞、衣装デザイン賞、美術賞など6部門の最多受賞を果たしたことだ。そんなに美術や衣装がいい感じだったなら、ちょっとDVDで見てみようかしらん、という気になった。トム・ハーディが主演ではあっても、なんだかあまり観る気になれずに見送った映画なのだけど…。
トム・ハーディは、これと「レヴェナント」で出演作品が2本もアカデミー賞にノミネートされていることを取っても、今、非常に勢いがあって売れている俳優なんだな、ということがよくわかる。デカプーにも「親友になった」と好意を寄せられていたし、トム・ハーディ絶好調!って感じで、ご同慶の至りである。



最近、黒人俳優がノミネートされる機会が減っているのは、研ぎ澄まされた実力を持つ英国俳優が多数台頭していることが影響しているのかもしれないな、とチラと思ったりした。




コメント

  • 2016/03/03 (Thu) 09:47
    No title

    kikiさん、おはようございます。
    少しずつ春が近づいてまいりましたね。我が家の甲州白梅は先週まで見頃で、今は花びらが落ちて春への意気込みを(裸の枝姿態で)静かに力消耗したところです。
    今から春夏に向け、葉を出し力づけてゆこうとする前ですね。

    さて、オスカー2016。
    ブラックアメリカンの人々はジョークを装いながらも、やや目をひん剥き、口角泡を飛ばしながらアピールしてましたね。
    あのスタンディングコメディ出身の司会者も皆を代表して主張したんだろうけど、かなりクドかった。
    わたくしが思うに、黒人でありながらオスカー初主演男優賞を受賞したシドニー・ポアチエも、その後のデンゼル・ワシントンも、「黒人だから受賞した」ワケではなく、「その演技が優れていたから受賞した」と思えば、その他白黒問わず受賞を逃した歴代の有象無象の俳優たちも同じ立場から悔しい想いをしてきたワケで、黒人ノミネートが少ない、もしくはないといった状況は、それだけ現在黒人俳優で優れた者がいないというだけの話だと思います。
    スパイク・リー監督なんかも毎回ゴタクが多いし、「良い作品作れよ、作品が良ければ評価する人は沢山いるよ」と思うワケです。
    日本アカデミーみたいに二大映画会社が毎年交互に作品賞を獲るような談合社会ではあるまいし(多少、米アカデミーにも存在するだろうが)、表向きは映画の祭典として賑やかに、旺盛に、公平に作られているように思うのですが。
    やれ、白人警官が黒人を撃っただの、やれ羽交い締めにされ殺されただの、やれ~殺されただの事件があったのち、すぐに白人警官が地元の黒人少年らとバスケットボールを楽しんだとか、白人女警官が巷の黒人少女たちとダンスのかけ合いをして友情が芽生えただの、メディアを通してポジティブアピールするのはちょっとワザとらしいですけど…。苦笑

    確かにディカプリオのスピーチは印象が良かったけど、我々日本人にとって多大な迷惑をかけまくるシーシェパードのパトロンだったり、勘違い系環境保護活動が鼻についたりしますが、わたしは元々その者の人間性や仕事と、それ以外の趣味や活動、家族とは分けて考えてるので、俳優ならば良い演技をしてくれていればそれなりに尊敬できますです。笑
    ちなみにシーシェパード支援者にはショーンコネリーやピアーズブロスナン、ミックジャガー、クリスチャンベールなど列挙されますが、なにぃ!英国系多いな、こりゃ。

    最後に、アニメーション賞にいつも「ジブリ作品○○○は今回受賞を逃しました」って報道されるようになって久しいですが、なんとなくこの報道要らないって思うのはわたしだけ?
    日本でもそこまで来場者数多くなかった(ショボい)ジブリ作品をしばらく経って翌年2月のこの時期に思い出すことになるからだろうな…。

    • Sanctuary #V0sVL5lk
    • URL
    • 編集
  • 2016/03/06 (Sun) 10:55
    Re: No title

    Sanctuaryさん こんにちは。
    3月に入ると、やはり春の気配が濃厚になってきますね。道を歩いていると沈丁花の香りが漂ってくるようになりました。あっという間に桜が咲き出すんでしょうね。

    ブラックアメリカンたちは、あまりにもクドかったですね。さらっと1回だけ言って、あとは普通にしていた方がずっと効果的なのにね。何度も何度も、下品だし僻み根性が強すぎてうんざりだよ、と早送りにしてしまいましたわ。黒人専用枠なんか作ったら、それこそ黒人だけ特別待遇みたいなことになって逆差別ってことになるでしょうにね。アホくさい。

    デカプーの環境保護運動はセレブにありがちな勘違い系の運動で鼻につく、という側面も確かにあるだろうと思います。彼の運動についてはワタシは関心もないし、どうでもいいんだけど、日頃何もやってないのにスピーチの席で点数稼ぎにいきなりそういう発言をしたわけじゃないということと、主にはスピーチの仕方がうまかった、パフォーマンスとして上手かったというのがワタシが感心した理由です。
    大昔、ヴァネッサ・レッドグレイヴがアカデミーの授賞スピーチで突如、力んで政治的発言を始めて、みんなドン引きだった事があって、それを子供だったワタシも微かに覚えていたので、いかに反体制の闘士だからといっても、時と場所とやり方を選ばないとアピールしたい事が逆効果になるな、というのは凄く記憶に残ったんですね。そういうのを踏まえて見ると、今回のデカプーのスピーチはかなりソフィスティケイトされた内容と態度だったんじゃないかと思います。そういう意味で、ある種の名スピーチといえるかな、と思った次第。

    ジブリは、どうせ受賞なんかできなかろうと思っていたので、さらっと流しましたが、ノミネートしなければいいのにね。ノミネートされると日本のマスコミは一応騒いじゃうから、毎年同じ事の繰り返しになりますわね。

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